【陳情第6号】種苗法の改定についての慎重審議及び農家、市民への情報提供を求める意見書を国へ提出することを求める陳情

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

陳情第6号 令和2年8月11日受理
議決結果 令和2年10月6日趣旨採択

件名

種苗法の改定についての慎重審議及び農家、市民への情報提供を求める意見書を国へ提出することを求める陳情

陳情者

厚木市飯山3504番地の1
杉山隆泰

付託委員会

環境教育常任委員会

陳情の趣旨

種苗法は、種苗の育成権者の権利を守る法律です。
種苗法改定が論議されており、次回の国会で通過する可能性もある状態です。
改定の影響は、農業や食生活に大きいにもかかわらず、農家、消費者に情報が伝わっていないのが実情です。改定の中には、登録品種の種苗の自家採種・自家増殖・栄養増殖の育成権者の許諾制、すなわち今まで農家に基本的に認められていた種を取り栽培するなどの作業の全面禁止を含み、農家の農産物育成に大きな影響があります。それは自分たち消費者の食生活に大きな影響があります。にもかかわらず、ほとんどの農家、消費者がそれを知らないうちに、法が改定されるということは大きな問題です。
種苗法改定については、専門家は以下の問題点を挙げています。
1 改定は、国内特許の海外流失を防ぐためと農林水産省は説明していますが、国内農家の特許使用禁止の種苗法を変えても、国外流失を防げません。国内法で外国の行為は防げません。また現行の種苗法第21条第4項などで海外流失阻止の対応は可能です。
また一方で、農業競争力強化支援法第8条第4項では、「種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること」とあります。民間企業には外国企業も含み、国は、国外への種子情報の流失を促進しています。種子情報の流失を防ぐという姿勢とは反対で矛盾しています。種子の情報の国外流失を防ぐなら、これを廃止すべきです。(資料、「農林水産省・種苗法の一部を改訂する法律案の概要」「日本の種子を守る会リーフレット・種苗法改定・続編」)
2 農業関連企業の登録品種の種の使用について、育成権者の許諾が必要ということは、今まで基本的に認めていた自家採種・自家増殖・栄養増殖が全面的に禁止になるということです。そのことについては、育成権者の権利のみを重視し、農家への配慮は感じられません。今まで、登録品種を使い自家採種、自家増殖、栄養増殖していた農家の経済的な打撃、農業全体の低下を免れません。今回の改定では苺、サトウキビ、芋類、稲、麦、大豆、果樹への影響が指摘されています。(資料、「日本の種子を守る会リーフレット・種苗法改定・続編」)
(現在まででは、登録品種の自家採種禁止は一部使用の品種に限られていました)
これは農業企業に圧倒的に有利で、農家に対して非常なる不利益と言わざるを得ません。
身近な例では、神奈川の農家でも稲のはるみ、苺の紅ほっぺ、やよいひめ、果樹などを自家採種している農家には影響が出る可能性があります。稲のはるみは、全農で作られ、もみを買うたびに全農に特許料を支払うことになります。また、もし全農が民営化されて外国資本が株主になった場合、日本の稲農家は外国資本に特許料を支払うことになる可能性があります。(資料・農林水産省ホームページ「神奈川県で主に栽培されている品種」)
また、米の種子については、今回の種苗法改定の方向と、以前の主要農作物種子法の廃止、農業競争力強化支援法の制定との関係で、米の種子生産に多国籍企業が参入し、支配を進めていく危険の可能性があります。
主要農作物種子法廃止で都道府県による米の種の管理を撤廃し、民間企業の参入への道を大きく開きました。農業競争力強化支援法では、第8条第3項で、農業資材(米の種を含む)の多品種を集約(数を少なく)する方向を打ち出しました。全国で約300種類ある米の種子の集約(数の減少)を進めるとされています。
第8条第4項では、種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進するとあり、長年の税金で作られた日本の米の種子の知見を、種子特許で利益を上げようとしている多国籍企業に提供する可能性を識者は指摘し、伊勢原市議会でもその点を危惧して国へ意見書を提出されております。
また、今回の種苗法改定で、米の種子の自家採種をしている農家の自家採種を禁止し、必ず毎年種子を買う体制を作る方向になる可能性があります。
これらを総合すると、種子特許で利益を上げる多国籍企業に有利な状況が将来作られる可能性を感じます。日本人の作った米の種子の知見を多国籍企業が分析し特許を得て、農家の自主採種禁止に動く可能性を感じます。農家が毎年、特許の米の種を多国籍企業から買うことになり、農家と消費者には不利な状況になる危惧を感じます。
また、沖縄の小さな島々のサトウキビ栽培で一般的に行われる自家採種を企業の許諾にして、特許料を支払う場合、生活が成り立たないとの指摘もあります。沖縄周辺の小さな島々に人が住めない場合、無人島になる可能性も指摘されています。国家の安全保障の問題にも関連します。苺生産、芋の生産その他の農家にも今後影響が出てくる可能性を感じます。
3 在来種の自家採種は認められています。しかし、在来種と登録品種の違いを見分けることは難しいです。特性表を用いるということですが、植物はその地方地方で土地や気候に合わせその姿を変えるため、特性表を用いた確認は困難です。さらに、経済的社会的に大きな存在である大企業と農家が、在来種か登録品種かをめぐって裁判などで戦えば、農家は圧倒的に不利になると思います。
4 農業多国籍企業が、特許種子しか買えない状況に農家を追い込み、農家に莫大な特許料を払わせ、農家を支配することは、北米、南米でも行われており、この種苗法改定を多国籍企業が農業支配に利用する可能性が高いです。我々の生活の基である農と食を営利優先の多国籍企業に支配していくとすれば生活の安定を脅かし、国民の生存権の侵害にもつながります。
現状の登録品種の数だけでなく、今後、企業が営利のために次々と特許を取得していくことは予想でき、現状だけでなく、将来的にも不安感はぬぐえません。
5 日本も批准している国連の「食料・農業植物遺伝資源条約」について「本条約は、世界中に存在する植物遺伝資源について、食糧安全保障上特に重要なものを中心に、その利用と保全を調和させつつ促進するもの。」(「食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約(仮称)の概要」外務省地球環境課・平成25年)とあり、一方的に農業企業に有利な改定は、この条約に反する可能性がある。また農家の種子についての権利も明記されています。
6 農業や食生活に影響があるにもかかわらず、一般国民、農家にこうした情報はあまり流れていないのが実情だと思います。私は数件の農家から聞き取りを行いましたが、種苗法改正について知らない農家が多いことを感じます。多くの農家、消費者が知らない間に決まっていく可能性があります。
また、すぐに上記の問題が発生しない可能性もあります。しかし、長期的に考えれば、上記の農業問題が広がっていく可能性は高いと思い、将来のために今、正しい判断が求められていると感じます。
7 こうした事態を危惧する以下の地方自治体からも種苗法改定への反対や慎重審議を求める意見書が提出されています。
北海道深川市、苫小牧市、白老町、むかわ町、倶知安町、札幌市。埼玉県所沢市。東京都清瀬市。滋賀県野洲市、愛荘町。三重県。京都市。徳島県上勝町。
上記の問題点から、以下の陳情をいたします。

陳情の項目

国に対して、以下の意見書を出すこと。

  1.  種苗法について市内の農家、市民に適切な情報提供を行うこと。
  2.  拙速な論議、結論を出さず、農民、市民も加えた論議の中で結論を出すこと。
  3.  国はこの件で起きるだろう不利益を十分検討し情報を国民に提供すること。
  4.  改定する際には、一方的に農業企業が有利にならず、農家、市民への不利益がない形で行うこと。

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