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こころの風景

最終更新日 2020年5月20日(水曜日)

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厚木にとっての「こころの風景」とは、幼い頃から自然と心に残されてきた風景。渡辺崋山が描いた厚木六勝そのものではないでしょうか。清流の相模川、秀麗たる大山、そして郷愁をさそう田園風景。旅先から厚木に帰ってきたとき、遠く大山を望んだときの安心感は、いまのあつぎ人の胸にも去来するものではないでしょうか。

1 海をわたった厚木六勝

厚木六勝 雨降ノ晴雪
厚木六勝 雨降ノ晴雪

 渡辺崋山が描いた厚木六勝は「雨降ノ晴雪」「仮屋ノ喚渡」「菅廟ノ驟雨」「相河ノ清流」「熊林ノ暁烏」「桐堤ノ賞月」です。

厚木六勝 菅廟ノ驟雨
厚木六勝 菅廟ノ驟雨

 これを描いたとおもわれる場所は、現在の旭町のきりんど橋付近ではないかといわれています。しかし、現在、描いた場所も、描かれたこれらの風景も昔とはかなりかわってしまっています。「菅廟ノ驟雨」では天神さまの森を描いていますが、現在の厚木中学校付近といわれています。
 厚木六勝は当初、斉藤鐘助の愛蔵品でしたが、後にその手を放れ、転々とし原画の行方はわからない状態でした。しかし、近年、原画がアメリカのハーバード美術館に所蔵されていることが明らかとなりました。

 厚木六勝が海をわたり、描かれた風景が様変わりしても、あつぎ人の心の故郷として大山の頂、相模川の流れは今も変わらずに残されています。

2 厚木を描いた渡辺華山

一掃百態の画像
一掃百態

 厚木六勝を描いた渡辺崋山はどのような人だったのでしょうか。
渡辺崋山は三河国渥美郡田原藩家臣渡辺一郎兵衛定通の長男として、寛政5年(1793)9月16日、半蔵門に近い田原藩邸において生まれています。名を定静、通称登といいました。
田原藩は一万二千石の小藩で、貧乏な藩としても聞こえていました。そのうえ、父定通は病身であったため生活は苦しく、崋山は家計を助けるため画を学び、初午灯籠などの絵を描いたりしておりました。のちに谷文晁に画才を認められ門人となりましたが、文人画に飽きたらず、写実的な洋画の技法を学び独自の画風を確立しました。また、漢学や蘭学なども学び当代一流の文化人として知られています。しかし、崋山は開明的な面が災いし蛮社の獄に連座し、国元蟄居を命じられ、主君に累を及ぼすのをおそれ自殺します。
絵として「一掃百態」や「鷹見泉石肖像」が有名です。著書としては「外国事情書」などがあります。

3 游相日記

駿河屋彦八(游相日記)の画像
駿河屋彦八(游相日記)

 渡辺崋山が「游相日記」を記したのは、天保2年(1831)9月20日から25日のことです。目的は藩主三宅康友の子、友信の生母お銀さまの消息を尋ねることと、大山詣で賑わう厚木の様子を見聞するためでした。弟子の高木梧庵をともない厚木に訪れたのは崋山39歳のときです。旧国道246号線にあたる矢倉沢往還(大山街道)をとおり、所期の目的であるお銀様の消息を綾瀬にたずね、相模川を渡しでわたり22日の夕刻、厚木村天王町の万年屋に宿を取りました。そして厚木の風雅人をよびよせ、厚木の土地の話をいろいろと聴いています。そして、そのとき集まってきた人の中に斉藤鐘助がいました。かれが「厚木六勝」を崋山に願った人です。また、游相日記の中に「きつい男」の顔が1つ描かれています。これは翌日23日に崋山を訪ねてきた酒井村名主の「駿河屋彦八」です。この游相日記は、わずか6日間の日記ですが、スケッチも多く描かれ、江戸から厚木までの当時の様子を描いている大事な資料といえます。しかし、原本は大正に起きた大震災によって焼けてしまい、現在は稀書複製会本によってのみ見ることができます。 

斎藤鐘助(游相日記より)の画像
斎藤鐘助(游相日記より)

ワンポイント解説 

厚木六勝の選者 斎藤鐘助 

 斎藤鐘助は号を利鐘、撫松などといい、手習いの師匠で崋山が訪れたときは、まだ30歳にすぎませんでした。彼は崋山が訪れた22日に厚木の風雅人のひとりとして万年屋に訪れ、酒宴に加わりました。翌日の23日には、来遊記念として、崋山に厚木六勝の揮毫を願い、「厚木六勝」を唐沢蘭斉とともに案内しました

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