令和4年度第2回厚木市文化財保護審議会会議録
会議主管課 |
文化財保護課 |
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会議開催日時 |
令和4年11月17日(木曜日)午後1時30分から午後2時10分まで |
会議開催場所 |
厚木市役所第二庁舎4階 教育委員会会議室 |
出席者 |
委員8人、社会教育部長、文化財保護課長、文化財保護係長、同主事、傍聴者なし |
説明者 |
事務局(文化財保護係主事) |
開会
- 文化財保護課長
挨拶
- 社会教育部長挨拶
- 会長挨拶
案件
案件1 厚木市指定文化財の指定に係る答申について(資料1)
・資料1に基づき、事務局が説明
会長 今、答申書案の表の1枚を読んでもらった。事前に皆さんにメールで答申書案を送っていただき、目を通していただいているかと思う。それを踏まえて、御意見があれば、御発言をお願いしたい。委員、何かあるか。
委員 皆さん、指定理由書は御存知かと思うが、こういう論文(蓮仏教研究第十三号抜刷『厚木市妙傳寺蔵「弁財天十五童子像」小考』令和4年3月)に紹介したところ反応があり、1週間ほど前に福知山市大江山にある「日本の鬼の交流博物館」に寄託されている興味深い弁財天を拝見するきっかけになった。弁財天十五童子像の研究というのは美術史の中でもマイナーなものだったが、最近、稚児信仰や童子信仰というものが、宗教界の中で活発に論議されるようになってきており、そういう意味からも、1つデータとして貴重であるといえる。しかも、この絵像に関しては、特色で出しているとおり、複雑なものが色々と絡み合って、まさに中世の神仏習合を表している。
また、この前、妙傳寺の寺宝の虫干しを文化財保護課の職員と拝見することが出来た。やはり、裱背が再表具された頃に活発な動きがあり、参詣の聖地巡礼の場所としても妙傳寺がある種関連していて、ちょうどこちらの資料には写真が掲載されていないが、七面山に関わる、七面天女という日蓮宗独特の信仰があり、そちらと図像的に共通するところがあり、もしかすると可能性として日蓮宗の信仰と結びつけて利用していた可能性がある。そういった複合的な意味で興味深い作品である。制作時期に関しても、細部を拝見したが、絹目の感じであるとかそういうところから見ても、室町まで行く可能性が高い作品である。
是非、指定の方向で進めていただければと思う。
会長 こういった作品の中で制作時期も早く、重要な役割を占めると思う。それでは、指定理由説明書も皆さん一読されているかと思うので、語句や表記の修正等を含めて、この場で御意見を頂戴したい。委員から丁寧に緻密な説明をしていただいており、私は納得しているところである。
委員 担当者の方がすごく細かく振り仮名を振ってくれているので、読みやすいのではないか。
事務局 文化財の専門ではない方でも読めるようにルビを振っている。
委員 3ページ下から5行目に「岩倉」とあるが、仏像の場合は、「岩座」という。これは直していただきたい。
事務局 文化財の専門ではない方でも読めるようにルビを振っている。
会長 3ページ下から5行目に「岩倉」とあるが、仏像の場合は、「岩座」という。これは直していただきたい。
委員 神道の場合に「岩倉」という言葉を使うが、この場合は「岩座」の方がよい。あるいは、単に「弁財天の下に」といった書き方でも構わない。
事務局 承知した。
会長 他にあるか。
事務局 教育委員会の定例会では、「琢磨法眼はどういった人物か。」といった質問があった。
委員 詳細は分かっていない。
会長 元々琢磨派というのは、鎌倉に宅間ヶ谷という場所があり、そこに絵所を設けたのではないかと言われている。
委員 推測であり、この琢磨の字ではない。おそらく、(裱背墨書銘は)推定で書かれている。
事務局 推定とはどういうことか。
委員 古い作品は、有名な画人に簡単に充ててしまう。はっきりしたものがなくても、作られた地域や画題の内容と絵師の傾向を結び付けるものである。確か、天河弁財天を琢磨が書いており、そこから持ってきたのではないかと思う。有名画人や地方・地域、年代の絵師を持ってくるものである。そのため、(裱背墨書銘だけでは)特定出来ない。
会長 箔付けである。
委員 法眼というのは、1つの称号でもある。昔は、僧侶にしか使われなかったのが、時代が下るにつれて、法印や法眼、法橋というのが絵師にも使われるようになる。俵屋宗達とか尾形光琳もそういった名称をもらっている。絵師等の格の高さを示す。
会長 運慶も最後は法印となっている。他にあるか。もしよろしければ、本会として、この答申書案を承認するものとする。もし何かあれば、委員に一任することとしたい。
それでは、本会としてこの内容で答申を行うものとして、事務局には、この会議を踏まえて手続きを進めてもらいたい。案件1を以上とする。
案件2 厚木市指定文化財の指定候補について(資料2~4)
・資料2~4に基づき、事務局が説明
会長 只今、案件2について説明があった。先に気になったことを申し上げる。資料3・4とも員数は「躯」ではなく「軀」としていただきたい。体躯の時は、「躯」でよいが、員数の場合は「軀」とする。それから、お寺に御説明することもあるため、「本資料」と書かずに「本像」としていただきたい。
事務局 承知した。
会長 内容を詰めることもあると思うが、そこを直してもらえれば問題ないように思う。これは、将来的にお寺さんの同意をいただいた場合には、答申書案を作ると思うので、文章の方は精査していく必要がある。
事務局 地蔵菩薩立像の読み方は、「りつぞう」と「りゅうぞう」のどちらか。
会長 「りゅうぞう」と読む。
事務局 以前、長徳寺の阿弥陀如来像も「りゅうぞう」としている。また、もう1点お教えいただきたい。大興禅師坐像については、墨書銘があるとのことだが、これはどのあたりにあるのか。
会長 確認する必要がある。いずれにせよ、墨書銘は消されている。仏像においては、具合が悪い場合などは、墨で塗られることや削ってしまうことが多くある。この御像も、大興禅師と言われているが、鎌倉の大休正念と似ている。ただ、お寺の伝承のとおり大興禅師としてよいだろう。
事務局 資料では、木造大興禅師坐像(葦航道然像)と記載したが、この書き方でよいか。
会長 禅師と呼ぶ場合と、実際の名前とする場合がある。例としては両方あり、国でも統一が取られていない。厚木の中で、齟齬の無いようにしていくべきである。これまでの市指定で事例はあったか。
事務局 これまでは無い。
会長 それならば、このままでよいと思う。
委員 親切な書き方である。
会長 逆の場合もあるが、いきなり禅僧の名前というのは入っていきにくいため、禅師が先でいいように思う。他に何かあるか。
委員 彫刻の場合、彩色と古色塗りの違いは何か。
会長 彩色の場合は、(膠の)顔料を使って彩色している場合に用いる。古色塗りの場合は、下地は同じようにしてあるが、彩色が完全に落ちて、後世において、その上に再彩色するのではなくて、木屑漆をかけたりした場合には、古色となる。そして、歴然と彩色と言えない場合に、古色という。実は、古色にも色々あるが、分からない場合は古色としている。
委員 補彩はしていないが、色が落ちた時の現状を伝えているということか。
会長 その通りである。資料3・4については、指定の方向に進めば、本会で内容を詰めていく。
また、資料2についても説明があり、来年度は七沢石の石工の関係資料を進めていくとのことだった。この辺りについても何かあるか。委員はいかがか。前の会議でも、待つのではなく、整理をして、優先して文化財として保護する方向にもっていってもらうこととなっている。
委員 その通りお願いしたい。ずっと丹沢の中を巡っていて、色んな変化が加速されているように感じる。1つは、鹿による食害によって下草がほとんどなくなり、それでもって、集中豪雨があると土砂が流れて地山が出てしまう。3.11の地震で岩盤がずれている。そういったことで、近年、以前、日曜地学ハイキングなどで見ていたものが、見ることができなくなっている。七沢石の石切り場も作業を止めて、60年以上経っている。誰かが手を入れないものは荒れ放題である。道具の方は、博物館にある。それを早く整理して、出来れば、山の中の石切り場のいくつかだけでも、多少なりとも年に何回か整理するような状態を作れればと思う。50近く、小さいものから大きいものまで穴があるが、ちょっと隙間が出たところには、土や水が入ると木が根を下ろし、分けて割いてしまう。石切り場の形全体も、古いものは分からなくなってしまっている。それを付け加えて、是非、よろしくお願いしたい。
会長 石切り場というのは、だいたい市の方で把握しているのか。
事務局 分かっていることもあるが、具体的な把握は出来ていない。山の中であるため、具体的な地点を落とすことも進んでいない。
会長 なかなか入っていくのが困難なところか。
委員 自然教室などを開き皆さんを案内している県の環境保全センターの職員からも「皆さんをここへは案内出来ない」と言われる。結局、道の整備をしていないため、昔のままの状態である。もともと作業道だったが、人が5,6年行かないとたちまち木が出てくる。それを迂回しようとすると崩れていたりする。そのため、案内人なしで行くことは難しい。地図がある訳ではなく、私が作った分布図もあるが、それを見たってそこには行けない。石切り場の丁場のところは、なかなか難しいものがある。そもそも持ち主が分からない。山の中であるから、精密な測量を行った訳ではないと思う。現在、山の持ち主の中で何人かはっきりしている方がいる。そこの石切り場は、何百年と古いものではないが、昭和になってからのものでも確保してくれた方がよい。
会長 大変、難しい。
委員 県有地は境界が分かっているが、共有地として持っているものが多く、そちらは境が分からない。県有地の場合は、境界杭を打っているところも多い。国定公園となっている部分もある。
委員 伊勢原では、大山が日本遺産になっているが、その際に、七沢石は伊勢原側での日向石が沢山使われているのに資料を出していない。ここへ来て、日向石についても調査をしていこうという流れがあり、相談を受けている。
事務局 伊勢原市とも相談していく必要がある。
会長 何らかの調査を行っていく必要がある。委員がおっしゃったように、道具だけでよいということでは終わりそうにない。逆に、道具の方をきちんと先に指定をして、だから大事だという進め方もあるように思う。遠大な内容だが、引き続き、お願いしたい。
皆さん、よろしいか。それでは、案件2についても終了とする。
その他
次の内容について、事務局から説明
- 厚木市住居表示審議会の委員の交代について
- 文化財パトロール(天然記念物)の実施状況について
- 事業紹介
- 第50回記念相模人形芝居大会
- 令和4年度郷土芸能学校「相模人形芝居」
- 企画展「バッタ-はねる、飛ぶだけじゃないバッタの魅力-」
- 市史たより第27号「考古遺物からみた厚木の古代の秤」
閉会
- 会長挨拶
関連ファイル
【資料1】答申書案(絹本著色弁財天十五童子像) (PDFファイル: 794.8KB)
【資料2】指定候補文化財一覧 (PDFファイル: 171.5KB)
【資料3】指定候補文化財について_1金田建徳寺「木造地蔵菩薩立像」 (PDFファイル: 96.2KB)
【資料4】指定候補文化財について_2金田建徳寺「木造大興禅師坐像(葦航道然像)」 (PDFファイル: 87.9KB)
【その他資料1】第50回記念相模人形芝居大会チラシ (PDFファイル: 467.1KB)
【その他資料2】令和4年度郷土芸能学校「相模人形芝居」チラシ (PDFファイル: 570.2KB)
この記事に関するお問い合わせ先
産業文化スポーツ部 文化魅力創造課 文化財保護係
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更新日:2022年12月14日
公開日:2022年12月09日