No.51 岡本 秋暉

岡本秋暉筆「孔雀図」あつぎ郷土博物館蔵
岡本秋暉は、小田原藩大久保加賀守に仕えた江戸後期の絵師です。
文化4年(1807)、彫金家石黒政美の次男として江戸に生まれ、後に岡本家の養子となり、24歳頃までには小田原藩藩士として江戸中屋敷につとめたようです。
絵は、写生的花鳥画に特色を示した南蘋派の画人大西圭斎に学び、江戸で画名を高めて、渡辺崋山、椿椿山、松崎慊堂らと交友を広げました。文久6年(1862)、53歳で没しています。
懇意の小鳥屋に通い写生に励んだという逸話も残るほど、濃厚華麗な花鳥画、中でも孔雀の名手としてその名を知られた秋暉。華やかな色彩のなか、羽ひとすじの美しさまで描きつくす技巧には、江戸時代の人々も魅了されたようです。
厚木とのかかわりで言えば、秋暉の長男岡本隆徳(碧巖)は中荻野村に陣屋を構えた荻野山中藩の藩士でありました。能書家でもあった隆徳は、皇居前広場に設置された楠木正成の銅像の台座の銘を書いたことでも知られ、市内旧家には彼の作品も残されます。秋暉もそうした縁によってか、厚木にも来訪しており、厚木市下荻野の林晃家には、荻野山中藩主大久保教義の賛の有る作品が残り、荻野山中藩士松下祐信の子孫松下敏夫家に伝わる「富士山図」(年月不詳)には「秋暉」の落款が見えます。
当館には、絹本着色「孔雀図」1幅(117.0×49.5センチメートル)、紙本墨画淡彩「老松に鶴図」1幅(169.0×68.0)、「岡本秋暉筆画帳」の所蔵があります。
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更新日:2025年05月03日