相模川の生き物

更新日:2021年04月01日

厚木を南北に流れる相模川は、関東地方でも有数の大河川です。また、その支流に中津川や小鮎川などを有し、市内には縦横に河川が流れています。川の流れや河原のほか、川によって作られた河岸段丘の林など、川の自然はいろいろです。こうした水辺に育まれる生きものの種類や暮らしぶりを見てゆきましょう。

1水に生きる

水辺の上を1羽の鳥が立って先を見つめている、ゴイサギの白黒写真

ゴイサギ(竹内)

 厚木周辺では、外国から持ち込まれた帰化種がよく見られます。川のよどみや池では、オオカナダモが繁茂し、クロモなどのもとからあった在来種はほとんど見られなくなりました。流れでは、魚類の放流が盛んで、本来は生息しない種類が多く見られます。外国産のペペレイやニジマスなど(国外帰化種)は、遊魚や漁業資源目的で放流されたものです。また、アユの稚魚に混じって琵琶湖水系の魚種が野生化した国内帰化種が多く見つかっています。厚木周辺では、タモロコやオイカワなどが知られています。本来は生息しない生きものが増え、在来種を追いやる結果になっており、地域性が失われる心配があります。
水生昆虫や水草は、水質汚染を反映することから、各地の河川で調査が行われています。厚木周辺では、資料館が調べた限り、汚濁を示す赤色ユスリカ、サカマキガイなどや、水の汚れに強いカワゲラやカゲロウの仲間が見つかり、水質の汚染も心配されています。
しかしながら、近頃の調査では、貴重な在来種も見つかりました。たとえば、水際に生育するミクリやタコノアシ、水中で生活するツマキレオナガミズスマシなどです。大河川に生息し、全国的にも記録が少ないタイリククロスジヘビトンボという、成虫になると川から離れるヘビトンボの仲間も見つかりました。河川の環境が改善してきた現れかもしれませんので、今後の生息の動向に注目したいところです。
このほか、年間を通じてゴイサギなどのサギ類、冬にはヒドリガモなどのカモ類が飛来します。

2河原に生きる

陽の光を浴びて何輪も咲いているカワラノギクの白黒写真

カワラノギク

 砂地や大きな石がごろごろする河原に好んで生息する生きものには、「カワラ」と名前がつく種類が多い。厚木周辺では、カワラバッタ、カワラスズ、カワラゴミムシなどの昆虫、植物ではカワラハハコ、カワラノギク、カワラナデシコなどが代表的なものです。しかし、河原への車の乗り入れや、モトクロスなどのレジャーにより、いずれの種類も絶滅状態か、きわめて少数が生き残るだけとなってしまいました。

水辺で一羽が餌を銜えて、もう1羽が見ているコアジサシの白黒写真

コアジサシ

 また、こうした河原は、鳥の繁殖場所としても重要で、チドリ類やアジサシ類などが営巣しています。とくに夏鳥のコアジサシは、集団の営巣地があることで有名です。年々、こうした鳥の営巣する条件は悪化しており、車や人の乗り入れを規制するなどの措置がとられ始めました。しかし、バーベキュの残飯に集まったカラス類が巣を襲うなど、新たな問題も起こり始めています。

小石の上にいる1匹のトノサマバッタの白黒写真

トノサマバッタ

 河原には、所々にタチヤナギや帰化植物のニセアカシアが混じった林が見られます。とくに注目したいのはタチヤナギで、夏になると樹液に多くの昆虫が集まり、丘陵地の雑木林を思わせます。コムラサキというチョウは、ヤナギ類の樹液を吸い、幼虫は葉を食べます。厚木周辺の河原では見つかっていないので、ぜひ見つけたい生きものの一つです。
このほか河原でよく見かける生きものとしては、オオブタクサやセイタカアワダチソウなどの背丈が高い帰化植物です。また、在来のオギも各所で群落が見られます。動物では、クルマバッタモドキやトノサマバッタなどの昆虫が主となります。

3河岸段丘に生きる

茎に止まっている1匹のギンイチモンジセセリの白黒写真

ギンイチモンジセセリ

 山際や上依知など、河川に沿って切り立った崖地が見られますが、これを河岸段丘といいます。川によってできた崖で、比較的人の手が入っていない所です。したがって、厚木の本来の植生であるシイ・カシ林が見られます。スダジイやタブノキなどの高い木や、アオキなどが林床に生えています。ときにはヤナギノイノコズチなどの稀種にも出会うこともあります。こうした林には、ムラサキシジミなどの昆虫や、ホンドタヌキのようなほ乳類も見られます。また、河原で発生したミヤマアカネやノシメトンボなども、ひと夏を過ごす大切な林になっています。

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