厚木の生き物を調べる2

更新日:2021年04月01日

2 生きもの地図は語る

厚木市内の生きもの分布図

メッシュと自然の様子

 戸籍簿から分布の情報を引き出し、メッシュ単位で分布の有無を調べ、種類ごとに「生きもの地図」を作りました。まず、分かることは、厚木のどこに分布するのか、分布範囲が限定されるのか、広いのかといったことです。また、情報の蓄積が充分かを計る目安にもなります。たとえば、県内では普通種のコクワガタですが、厚木では分布が点状になっています。しかし、実際に各所で聞き取りをすると広域に分布しているようです。このようにして、戸籍の内容が不備であることがチェックされるのです。

厚木市内のエビネの分布図

エビネの分布

 さて、分布の広い種類、限定される種類をいくつか見てみましょう。愛好者の多いランの仲間であるエビネは、本市では分布がきわめて限られます。同様な分布をする種類としては、カタクリやカワラノギクなどが挙げられます。一方で、春先に紫色をした小さな花が咲くタチツボスミレは、広い分布を示しています。ハルジョオンやセイタカアワダチソウなども同様な分布をしています。

厚木市内のセイタカアワダチソウの分布図

セイタカアワダチソウの分布

 では、種類によって分布の様子が違うのはなぜでしょうか。この答えを探るには、生きもの地図といくつかの情報を重ねて考えるのがよい方法です。まず、メッシュの大まかな自然環境から分布の様子を読んでみましょう。エビネは、森林が多くを占めるメッシュで、カワラノギクは河原が広がるメッシュでそれぞれ見つかっています。分布が限定されているのは、限られた自然環境でしか生育できないことの現れのようです。一方、分布が広い種類は、自然環境ではなく、生育環境という情報を加えて考えてみましょう。セイタカアワダチソウは、河川敷や土手、車道の際など、日当たりの良く水気のない乾いた草原や裸地を好んで生育しています。このような他の植物があまり生えない劣悪ともいえる場所は、市内各所で見られ、年々増加する自然環境だといえます。したがって、セイタカアワダチソウの分布の広がりは、生育に適した環境が市内に広がっていることの現れと考えられます。ハルジョオンやヒメジョオンも同様で、こうした植物の多くは外国から持ち込まれて住み着いた帰化植物です。これに対して在来種は分布が限定される傾向にありますが、タチツボスミレやカントウタンポポなどは、今でも広く見られる代表的なものです。

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