絹本著色 弁財天十五童子像

市指定有形文化財(令和5年1月24日指定)
名称及び員数
けんぽんちゃくしょくべんざいてんじゅうごどうじぞう
絹 本 著 色 弁 財 天 十 五 童 子 像
文化財の種類
有形文化財(絵画)
所在地
上依知2397
宗教法人 妙傳寺
所有者
宗教法人 妙傳寺
構造
絹本著色
法量
縦80.7cm、横34.7cm
概説
本資料は、日蓮の星降伝説でも著名な三箇寺の一つ、厚木市上依知に所在する星梅山妙傳寺に所蔵される「弁財天十五童子像」である。妙傳寺は、寺伝及び『新編相模国風土記稿』等によると、弘安元年(1278)本間重連を開基檀越とし、開祖は日蓮、開山は厳誉院日源とする。江戸時代の寛文期に、不受不施派支持の立場をとった事から一時廃寺となったが、寛文五年(1665)水戸の隠井山高在院妙徳寺から一心院日遥(~1696)が入寺して第二十三世となり復興したとされる。なお、日遥の没年と齟齬があるが、同寺に所在する厚木市指定文化財の持国天像、毘沙門天像(多聞天)からは、この日遥による元禄十年(1697)の墨書銘のある木札が発見されている。
本資料の画面には、上方に金泥の日輪と白色の月輪を配し、唐装の八臂弁財天が岩の上の荷葉座上に立つ。現状では、弁財天の円光背に火炎光や宝珠は認められないが、赤外線写真により、その痕跡らしきものが見られる。弁財天は、𧞔襠衣、背子を纏い、双髻に結い、頭頂に老面白蛇身の宇賀神を頂き、更に宇賀神の上に鳥居を置く。画面の最下段には、髪を美豆良に結い、袍服を着た十五童子が描かれる。十五童子の配置は、弁財天の真下に正面を向く一童子を、左右に七童子ずつ分けて配する、左右の均衡を考慮した構図をとる。弁財天の左には大黒天、右には毘沙門天が配され、弁財天の岩座の下にやや小さく黒の束帯形と唐装女神形が描かれる。
本資料の図様は、弁財天と宇賀神の習合を物語るばかりでなく、大黒天、毘沙門天の登場など、中世の複雑な神仏習合の有様を如実に反映している。図様上注目されるのは、弁財天が立像である点、また頭頂に宇賀神に加え鳥居を描く点が挙げられる。さらに、通例描かれる二天に加えて束帯男神像と唐装女神像の二神が描かれる点が特色と言える。二神を加える図様は、金沢文庫で開催された展覧会に出品された個人所蔵の作例にも見られるが、極めて稀である。
この記事に関するお問い合わせ先
産業文化スポーツ部 文化魅力創造課 文化財保護係
〒243-8511
厚木市中町3-17-17
電話番号:046-225-2509
ファックス番号:046-223-0044
メールフォームによるお問い合わせ
更新日:2023年03月29日
公開日:2023年03月29日