【陳情第6号】戸籍事務における請求主義の遵守及び手数料条例の適正な執行を求める陳情
陳情第6号 令和8年8月13日受理
件名
戸籍事務における請求主義の遵守及び手数料条例の適正な執行を求める陳情
陳情者
非公表
付託委員会
市民福祉常任委員会
陳情の趣旨
戸籍法第10条第1項は、戸籍謄本等(以下「戸籍証明書等」という)は請求権者による「交付の請求をすることができる」とし、その「交付の請求」に基づき、法定受託義務を担う地方自治体が交付することとなっている(いわゆる申請主義)。同法第12条の2は、除かれた戸籍の謄本等(除籍謄本等)の交付の請求についても同法第10条から第10条の4までの規定を準用するものとしている。
この申請主義を前提として、厚木市事務分掌規則第4条は、市民福祉部市民課の分掌事務を「戸籍(中略)に係る届書、申請書等の受付及びこれらに基づく謄本の写しその他の証明等の交付に関すること」と定めており、戸籍証明書等の交付が「申請書等の受付」を前提とすることを明示している。これは、普通地方公共団体の長が制定する規則は、地方自治法第15条第1項に基づき、普通地方公共団体の長が制定できる「規則」は「法令に違反しない限りにおいて」とされていることによる。戸籍法には地方自治体が職権により戸籍証明書等を交付する規定はない。
しかるに陳情者は、令和8年6月26日、戸籍法第120条の2に基づく広域交付制度を利用し、厚木市厚木南地区市民センターの窓口において、本籍を●●●●、筆頭者を●●●●(故人であるため、個人情報保護の対象外となる)とする除籍謄本1通を厚木市長に対し交付の請求した(別紙1)。
しかし、厚木市は別紙1により請求した除籍謄本1通を陳情書提出日においても未交付となっている。また、陳情者が別紙1で一切請求していない上記同本籍及び同筆頭者の改製原戸籍謄本を一方的に、あたかも除籍謄本であるかのように交付し、交付手数料750円を陳情者より徴収した。
この際、市民交流部公民館・地区市民センターは厚木市事務分掌規則第4条により「戸籍謄抄本の交付に関すること」が分掌事務となっており、厚木市厚木南地区市民センターは厚木市地区市民センター等に関する規則第3条により、「戸籍謄抄本の交付に関すること」が所掌事務とされている。
それにもかかわらず、別紙1を請求した令和8年6月26日、同センター長、同センター係長及び職員は、同センター窓口で陳情者から別紙1を直接受理し、改製原戸籍謄本を請求していないことを知りながら、市民課から送付された改製原戸籍謄本について、請求者(陳情者)が別紙1で請求していない戸籍証明書等であるとして、市民課に差し戻さなければならなかったのに、そのような対応は取らず、陳情者に交付し、交付手数料を徴収した。
戸籍法に基づかず、交付の請求をしていない改製原戸籍をなぜ交付したのかを厚木市に説明を求めたところ、厚木市は当初、7月16日、同月17日及び同月21日付の電子メールにて、陳情者が同センターの窓口で「戸籍証明書等の利用目的が家系図作成のため」であると、陳情者が一切伝えていない虚偽の事柄を 理由とし、あたかも陳情者の意向に沿って改製原戸籍謄本を交付した旨を説明した。
その後、令和8年8月3日付の厚木市長から発せれた公式文書(別紙2)では、改製原戸籍謄本を交付したことについて、一転して「御請求内容と実際に交付した証明書の種類に相違が生じ、その変更についての説明及び確認ができていなかった」と、「請求内容を厚木市が職権で変更した」ことを既成事実として正当化した上で、本件における問題は「説明及び確認ができていなかった」ことについてであったとし、法令に基づかない交付の請求によらない改製原戸籍謄本の交付についてはなんら問題視していない。
ゆえに、「陳情者が請求した除籍謄本の未交付」と「陳情者が請求していない改製原戸籍謄本の交付」は法的に区別されるべき事柄であるが、厚木市はそれらを一切の法的根拠のない「請求内容の変更」と理屈をつけ、法令違反を逃れようとしている。
厚木市自身の説明が経過とともに変遷し、一貫していない。陳情者は、別紙2にて厚木市長が説明する「請求内容の変更」について、どのような法的根拠があり、どのような手続であるかを繰り返し尋ねているが、一切説明に応じない。
また、厚木市事務決裁規程においては、市民課長の決裁(専決)事項として「戸籍謄抄本の認証交付」は定められているものの、請求された戸籍証明書等を「交付しないこと」については、決裁(専決)事項として定められていない。陳情者が請求した除籍謄本は、本陳情提出時点においても交付されていないが、この未交付の判断が厚木市のいかなる部署の、いかなる意思決定や決裁に基づき行われたものかについて、厚木市から具体的な説明はされていない。
さらに、厚木市は、改製原戸籍謄本の交付に係る手数料について、陳情者から返還の要求があって初めてその返還手続を進める旨回答したものであり、厚木市の側から自ら返還を申し出た事実はない。厚木市手数料条例第2条第4項は「既納の手数料は、還付しない。」と明確に規定しており、陳情者もこの点を厚木市に指摘したが、別紙2では、厚木市は、同項の規定を認めながら、「その変更についての説明及び確認ができていなかったことを踏まえ、・・・協議した結果、返還させていただく」として、それがどのような法的根拠や手続に基づく返還(返金)なのかを繰り返し厚木市に求めているが、何ら回答していない。また、ここでも返還する理由として「説明及び確認ができていなかったこと」を問題としており、「説明及び確認ができていれば」、改製原戸籍謄本を交付の請求がなくとも職権で交付したことは問題視しておらず、適法かつ正当であるとしている。しかし、厚木市事務分掌規則第4条の市民福祉部市民課の分掌事務は「請求に基づく交付」であり、「請求に基づかない交付」は厚木市としてどのような意思決定や決裁によるのか判然としない。
厚木市が交付を適法かつ正当なものと考えているのであれば、同条例第2条第4項に基づき「還付しない」旨を回答すれば足りる。それにもかかわらず、交付手数料の還付(返金)に応じようとしていること自体、厚木市が交付の適法性や正当性に自ら疑義を有していることをうかがわせるものである。
厚木市長は行政府であり、立法府たる厚木市議会にて制定された条例を含む法令に、地方自治法第138条の2の2により、条例に基づく事務を自らの判断と責任において誠実に管理し、及び執行する義務を負っており、条例の規定に反する取扱いを執行機関の判断のみで行うことは許されない。
また、地方自治法第228条第1項により、地方自治体の手数料に関する事項は「これを条例で定める」としており、厚木市手数料条例で定められた戸籍証明書の交付手数料750円を行政府たる厚木市長の「協議」によって、1,000円にすることはできない。そして、同条例で「既納の手数料は還付しない」と定められている以上、行政府たる厚木市長の「協議」によって、交付手数料を還付(返還)することはできない。
加えて、交付手数料の返還方法についても、電子メールにおいて「定額小為替」による返還を陳情者と厚木市との間で、電子メールで確認しているにもかかわらず、その後、厚木市は現金でなければ返還に応じない旨を示し、定額小為替による返還に困る理由、不都合な理由を一切説明していない。厚木市厚木南地区市民センター長からは返還のために、強権的に「自宅に伺わせていただく」意向を示し、陳情者の意思を確認しないまま、交付手数料を返還することで、陳情者に納得してもらうなどせず、一方的に事を収めようとする対応も見られた。本陳情提出時点においても、交付手数料はいまだ返還されていない。当然、陳情者として合法でない方法による返還に応じることはできない。
これまで、何ら事実に関するエビデンスや法的根拠を一切示さず、厚木市が言いたいことを言えば、陳情者に対し、「すでに回答した」、厚木市に対する疑問や質問には応じない、もしくは無視することを繰り返している。
なお、これらの事案については、陳情者において事実関係の確認等のため別途手続を進めているところであるが、本陳情は、その手続の帰趨にかかわらず、同種の事態が他の市民に対しても生じることのないよう、厚木市における戸籍事務及びこれに付随する手数料事務の運用の適正化を求めるものである。よって、下記項目について適切な措置を講じられるよう陳情する。
陳情の項目
1 戸籍法第10条及び第12条の2に定める請求主義(申請主義)を遵守し、請求権者から請求のない戸籍証明書等を交付しないよう、市民課及び各地区市民センター・公民館の職員に対する研修及び事務手順(マニュアル)を整備すること。
2 各地区市民センター・公民館において、市民課から交付のため送付された証明書等が、窓口で受理した請求内容と相違する場合には、これを市民課へ差し戻す等のチェック体制を整備し、厚木市地区市民センター等に関する規則第3条第1項第5号及び厚木市事務分掌規則第4条に基づく所掌事務(戸籍謄抄本の交付に関すること)が適正に履行されるようにすること。
3 請求権者の請求内容と異なる種類の証明書を交付する必要が生じた場合には、法令上の根拠なく職権でこれを行うことなく、交付前に請求権者本人に対しその旨を説明し、明確な意思確認を得た上で行う手続を義務付けること。
4 いわゆる「請求内容の変更」という取扱いについて、これを認める法的根拠及び具体的な手続の有無を明確化し、法的根拠が存在しない限り、このような取扱いを行わないこと。
5 「請求された証明書の未交付」と「請求されていない証明書の交付」とが法的に別個の事柄であることを踏まえ、両者を「請求内容の変更」等の名目により一体的・不可分のものとして処理しないこと。
6 厚木市事務決裁規程における決裁(専決)事項について、戸籍証明書等を「交付すること」のみならず、請求された戸籍証明書等を「交付しないこと」についても、その決裁(専決)権限の所在を明確に定めること。
7 戸籍証明書等の交付または不交付に係る意思決定の過程(決定者、決定日時及び決定の根拠等)を記録し、事後に検証可能な形で保存する体制を整備すること。
8 請求に対しては交付または不交付のいずれかを遅滞なく判断し、交付できない場合には、可能な限り速やかにその理由を、事実関係を裏づける資料とともに説明する運用とすること(戸籍法第127条により行政手続法第8条の適用が除外される場合であっても、市民の理解を得るための説明に努めること)。
9 厚木市手数料条例第2条第4項の規定(既納の手数料は還付しない旨)に反する手数料の返還等の運用が行われることのないよう、条例と実務との整合性を確保すること。手数料の還付を可能とする必要がある場合には、地方自治法第96条第1項第1号に基づき、条例改正案を議会に提出すること。
10 手数料の額及びその還付の可否は、地方自治法第228条第1項により条例で定めるべき事項であることを踏まえ、執行機関の判断や当事者間の「協議」のみによって、条例に定める手数料額と異なる金額を徴収し、または既納の手数料を還付しない旨の規定と異なる取扱いを行うことのないようにすること。
11 地方自治法第138条の2の2に基づき、厚木市長及び関係職員が、条例に基づく事務を自らの判断と責任において誠実に管理し、及び執行する義務を負うことを改めて徹底すること。
12 手数料の返還等、市民からの申出への対応に当たっては、市民が指定する適法な返還方法(現金以外の方法を含む。)を正当な理由なく拒むことのないよう、適切な業務運用を徹底すること。
13 手数料の返還等に関し、市民の意向を十分に確認しないまま職員が自宅を訪問するなど、市民に不安や困惑を与える対応がなされることのないよう、適切な業務運用を徹底すること。
14 市民からの質問または疑義に対しては、事実関係を裏づける資料及び法的根拠を明示して回答するものとし、「既に回答した」等の理由のみにより説明を打ち切ったり、質問に応じなかったりすることのないようにすること。
15 他の市区町村を本籍地とする戸籍の存否等について市民から照会があった場合には、当該市区町村からの伝聞のみに依拠せず、戸籍法第120条の2に基づく戸籍情報連携システム等の一次資料により厚木市自らが確認した上で、正確かつ速やかに回答する体制を整備すること。
16 上記各項目の是正状況について、一定期間内(例えば半年以内)に厚木市議会に対し報告すること。
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更新日:2026年08月27日
公開日:2026年08月27日