令和7年厚木市議会第6回会議(9月定例会議)で可決した意見書
9月定例会議に議員から提出され、可決した意見書は次のとおりです。なお、各書類は関係機関等に送付しました。
自動車関係諸税等の抜本的見直しを求める意見書
日本は人口減少・超少子高齢化社会を迎えているが、地方には自動車がなくては生活ができない地域も多く広がる。また高齢者が身体的な衰えを自覚しながらも、生活において自動車に頼らざるを得ない状況も生じている。地方自治体においては、モビリティを通じ「誰もが自由で安全な移動を享受できる社会」に向けた、まちづくりが求められている。同時にこうしたまちづくりが、地方経済の活性化・地方創生の一助となり、また、安定した物流、自由な移動を通じた日本経済の活性化にもつながる。
しかし現在、自動車には取得・保有・走行の各段階において、複雑かつ過重な税負担が課せられている。また、一般財源化により課税根拠が失われている税の存続や消費税との二重課税など、様々な問題が指摘される中、事業や生活に自動車がかかせない地方の自動車ユーザーにとって大きな負担となっている。
よって、国においては、地方経済並びに地方財政に影響を与えることのないよう必要な措置を講じることを前提とし、自動車ユーザーの負担軽減を図るべく、令和8年度税制改正において自動車関係諸税等の抜本的な見直しを講じるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月6日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣 様
厚木市議会議長 瀧口 慎太郎
普通交付税不交付団体における財源充実を求める意見書
現在、地方公共団体では、子ども・子育て支援の充実をはじめ、社会保障関係費、地方行政のデジタル化対応、インフラ施設の老朽化、大規模災害の防災・減災対策など、多くの課題が山積しているが、国においては、地方自治体の負担を伴う制度改正が相次いでおり、自治体の財政負担が増大している。
近年では、ふるさと納税による個人住民税の減収分は、普通交付税の算定において反映されるものの、不交付団体においては、その減収分が全額純減となることとなり、財政に大きな影響を与え、看過できない状況にある。
このような中、令和7年6月13日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025」で示された学校給食費の無償化の実現に向けては、これまで積み上げた議論に基づき具体化することとし、全ての子供たちへの平等な教育機会を提供する社会にとって貴重な進展となるものと認識しているが、臨時的な財源措置に対する懸念が生じている。
近い将来に地方交付税措置が講じられることとなった場合、普通交付税不交付団体では恒久的に自主財源による補塡を余儀なくされ、財政がひっ迫するおそれがあり、今後、人口減少や税収減少に向かう地方自治体の財政悪化につながるリスクとなることが十分に予測される。
本来は、このようなリスクを回避しつつ、全国の地方自治体が公平に制度を運用し、地方自治体の財政負担なく持続可能で公平な形で実現されるべきものである。
よって、学校給食費の無償化や自治体情報システムの標準化に伴う運用経費など全国一律で実施される国の施策においては、地域間格差が生じないよう、全ての地方自治体において持続可能な制度設計とすること、さらに、自治体間で費用負担の格差が発生しないようにするため、地方交付税による措置ではなく、国の責任と財源において実施することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月6日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
デジタル大臣 様
厚木市議会議長 瀧口 慎太郎
再審法改正を求める意見書
冤罪は、国家による最大の人権侵害である。冤罪被害者の人権救済は、我が国にとってはもちろん、地域住民の生命・財産を守る義務を有する地方自治体にとっても重要な課題である。
冤罪被害者を救済するための制度として「再審」があるが、その手続を定める法律(刑事訴訟法第四編「再審」)には、再審請求手続の審理の在り方に関する規定がほとんどないため、再審請求手続の審理の進め方は、事件を担当する裁判官によってまちまちであり、審理の安定した進行が制度的に保障されていない状況にある。
その中でも、とりわけ大きな問題は、証拠開示の問題と再審開始決定に対する検察官の不服申立ての問題である。
過去の多くの事例では、再審段階で明らかになった捜査機関の手元にある証拠が、冤罪被害者の救済の大きな原動力となっている。
したがって、冤罪被害者を救済するためには、捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みが必要であるが、現行法にはそれを定める明文規定が存在せず、裁判官の訴訟指揮や検察官の対応次第となっており、事件ごとに証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情である。このような格差を是正するためには、証拠開示のルールを定めた法の制定が必要である。
また、再審開始決定がなされても、検察官がこれに不服申立てを行うことにより、いたずらに審理が長引き、結果として冤罪被害者の速やかな救済が妨げられた事例も多く生じてきた。
しかし、再審開始決定は、裁判をやり直すことを決定するにとどまり、有罪・無罪の判断は再審公判において改めて行われるのであるから、再審開始決定という言わば入り口の判断に対して、検察官の不服申立てを認める必要はない。
よって、冤罪被害者を早く確実に救済するために、再審請求手続における証拠開示の制度化及び再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止を含む再審法の速やかな改正を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月6日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣 様
厚木市議会議長 瀧口 慎太郎
国による義務教育財源の保障、教育の機会均等と水準の維持・向上並びに行き届いた教育の実現を求める意見書
国は、全ての国民が持つ教育を受ける権利を保障する立場にあり、子供たちが一定水準の教育を受けられる環境を整えるため、3分の1に引き下げられた義務教育費国庫負担制度を2分の1へ復元し、義務教育教科書無償給与制度を堅持する必要がある。
学校現場では、教職員の多忙化や未配置といった課題が深刻化しており、いじめ、不登校、外国につながりのある子供など、様々な支援を必要とする子供への対応は、複雑かつ困難になっている。神奈川県においては、本来配置されるべき定数のフルタイム勤務者を配置できず、教職員の多忙化は深刻さを増している。
特に中学校における美術・技術・家庭科の教員確保は喫緊の課題であり、加配教員や支援学級の正規教員の採用が困難な状況の中、持続的かつ安定的に教職員を確保するためには、全教科の教員免許保持者の配置を念頭に、現行の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」を改正し、抜本的な定数改善が必要である。
また、過去最高となっている不登校の子供や保護者への相談や心のケアなどを担うスクールカウンセラーや子供と学校・社会とのつながりを支援するスクールソーシャルワーカーは、学校現場に欠かせない職種であるが、小学校への配置が不足しており、不足分は市町村費で配置せざるを得ない状況である。指導・相談体制を充実させるためには、教育の自治体間格差が生まれることがないよう、国の予算において地方財政の確保が必要である。
よって、2026年度政府予算編成において、次の事項が実現されるよう強く要望する。
1 教育の機会均等、水準の維持・向上、無償制の維持に不可欠な義務教育費国庫負担制度を存続・拡充させること。また、学校事務職員・学校栄養職員をその対象から外さないこと。さらに、義務教育教科書無償給与制度を継続すること。
2 行き届いた教育を実現するために、現行の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」を改正し、抜本的な定数改善を図ること。
3 学校の働き方改革・長時間労働の是正を実現し、教職員が子供と向き合う時間を確保するために、加配の配置増など教職員定数改善を推進すること。また、スクール・サポート・スタッフ、介助員等の専門スタッフ職の拡充、教育環境を整備するための予算を確保・拡充すること。
4 子供たちの心に寄り添うための、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月6日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 様
厚木市議会議長 瀧口 慎太郎
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更新日:2025年10月06日
公開日:2025年10月06日