平成25年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

スーツにメガネをかけた小林市長が挨拶する写真

1 はじめに

 平成25年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。

 昨年は、ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた女子サッカー選手の大儀見 優季 (おおぎみ ゆうき)さん、ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した菅井 円加  (すがい まどか)さんを始め、厚木市出身の方々が国内外を舞台に大活躍し、市民の皆様のみならず、日本中に夢と感動、そして元気を与えてくれた素晴らしい一年でありました。お二人には、特別表彰を贈り、その栄誉を称えたところであります。

 私は、一昨年、あの未曾有の被害をもたらした東日本大震災の被災地へ赴いた際、生活基盤が破壊され、混乱した厳しい環境の中で、被災地の皆様がひたむきに日々の生活を送っている状況を目の当たりにいたしました。そして、厚木市へと思いを馳(は)せ、市民の皆様の生命と財産、幸せを守っていく使命を果たすために、市政を預かる責任者として必要なことは何かを一心に考える中で、あらゆることを根本から見直す必要性を痛感し、市政運営のテーマに「原点」を掲げ、今まで構築してきた全ての政策を「原点」に立ち返って検証するとともに、徹底した行財政改革に積極的に取り組んでまいりました。
 特に、災害対策では、本市の防災力をあらゆる角度から検証し、甚大な被害を及ぼすとされる直下型地震や、近年大型化している台風による被害想定を明確に示すとともに、行政の責務・役割の「原点」である「市民の生命と財産を守り抜く」ために、災害時の情報受伝達など13の柱と、防災行政無線の新設など59の具体的対策から成る「地域防災計画」の見直しを完了いたしました。

 また、「自治基本条例」に基づく市民自治を推進するとともに、優先的に取り組むべき課題を解決するという強い思いから、「10の条例」の制定を目指して取り組んでまいりました。
 「10の条例」につきましては、市民の皆様の絶大なる御協力と議員の皆様の深い御理解により、平成23年12月には「暴力団排除条例」、昨年10月には「市民協働推進条例」、「セーフコミュニティ推進条例」、12月には「住民投票条例」、「自転車安全利用促進条例」、「文化芸術振興条例」、「公契約条例」、「子ども育成条例」、「観光振興条例」の九つの条例を制定することができました。
 なお、「(仮称)里地里山保全促進条例」につきましては、本年12月議会への提案に向け、現在、検討を進めているところであります。
 もちろん、これらの条例は制定することが目的ではなく、政策を実現するため、十分に機能することが重要でありますので、各条例に込められた市民の皆様の思いを十分に市政に反映するため、条例に魂を入れ、命を吹き込んでまいります。

 さて、全国的に多くの自治体が普通交付税の不交付団体から交付団体に移行する中、県内において、本市は、鎌倉市、箱根町、清川村とともに、引き続き不交付団体ではありますが、財政力指数が1.0に近づく厳しい状況となっております。市税収入に占める法人市民税の割合が高い本市にとりましては、景気の先行きが不透明な状況の中、今後、より厳しい財政運営を強いられると言っても過言ではありません。
 昨年12月、総選挙の結果、新たな政権が誕生し、第96代内閣総理大臣に就任した安倍首相は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三つの基本方針による「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を掲げ、市場が好意的な反応を見せたことから、政府の平成25年1月の月例経済報告においては、「景気は、弱い動きとなっているが、一部に下げ止まりの兆しもみられる。」との見解が示されており、日本経済全体の概観としては上方修正された状況となっております。
 このような社会経済環境の変化の中で、本市の歳入見通しにつきましては、個人市民税は高齢化の進展など社会構造の変化や景気低迷の長期化により就労者の減少が見込まれ、法人市民税は法人税の実効税率の引き下げなどが影響し、それぞれ昨年度と比較して、減収の見込みであります。
 こうした厳しい状況ではありますが、将来を見据え、本市が持続的な発展を遂げるためには、今こそマニフェストに掲げる3大改革である「経済活性化・企業誘致」、「子育て・教育環境日本一」、「徹底した行財政改革」に積極果敢に取り組み、「10の柱と100の実行計画」を推し進め、県央の雄都としての礎を築いていく強い信念を持って市政運営に当たる決意でございます。

 平成25年度の当初予算につきましては、総合計画「あつぎ元気プラン」の将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現に向け、安心政策を始め、成長、共生、快適、信頼の五つの基本政策と3大改革などを確実に推進する内容といたしました。その編成に当たっては、市民の皆様の声をお聞きし、職員とともに英知を結集して取り組み、「あつぎの元気総力予算」とし、一般会計は737億8千万円、特別会計を合わせた予算総額では、1,337億1千万円を超える予算といたしました。
 私は、市長に就任以来、「現地対話主義」、「市民協働」を信念とし、「市民の皆様が安心して安全に暮らせるまちをつくること」、「市民協働のまちをつくること」、そして、「活力あるまちをつくること」を私のまちづくりの基本的な考え方として、「みんなでつくろう元気なあつぎ」をスローガンに市政運営に取り組んでまいりました。
 本年は、市民の皆様から信任をいただいた2期目の任期の折り返しとなる年であり、市民の皆様にお約束したマニフェストと「あつぎ元気プラン」とを融合させ、着実に実行していくことが、「あつぎの元気」につながるものと確信しております。
特に、本市の地理的優位性の中で、国家レベルの道路交通結節点となるさがみ縦貫道路が間もなく開通されることから、これを契機に都市基盤整備を中心に充実したまちづくりを加速させてまいります。
 そして、「あつぎ元気プラン」第1期基本計画が平成26年度をもって終了することから、平成25年度は、基本構想に定めた将来都市像の実現に向け、本市を取り巻く様々な環境の変化に対応できるよう平成27年度からスタートする第2期基本計画の策定に向けて検討を進めてまいります。

 私は、今年のテーマに「総力」を掲げました。10年、20年先を見据え、次の世代にこの素晴らしい厚木市を引き継いでいくため、この厳しい時代だからこそ、市民の皆様と、行政のあらゆる力を結集し、厚木市の「総力」を挙げて、「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現に取り組んでいくことが必要であると考えております。

 それでは、平成25年度の主要な施策につきまして、五つの基本政策ごとに御説明申し上げます。

2 五つの基本政策

(1)安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 私は、次代を担う子どもたちが、元気で健やかに育ち、将来、必ず立ち塞がるであろう様々な困難に対しても、たくましく打ち勝っていける、そのような成長を願って、3大改革の一つとして「子育て環境日本一」を掲げ、子育て環境を向上させるまちづくりに取り組んでまいりました。
 昨年の市議会12月定例会において、全会一致で可決いただいた「子ども育成条例」の具現化に向けて、子どもが元気で心豊かに成長するための取組を「総力」を挙げて展開してまいります。

 子育て環境の充実につきましては、「子ども育成条例」を周知し、子育てについての理解を深める「子育て・子育ち応援シンポジウム」を開催するとともに、新たに、妊娠中及び出産後の家事や育児などを支援する「ほっとタイムサポーター」の派遣を行うなど、安心して産み育てられる環境の一層の充実に努めてまいります。
 また、民間活力を効果的に導入し、保育サービスの拡大や子育て支援を強化するため、公立保育所の民営化を推進してまいります。
 さらに、認可保育所等の定員拡大や幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」への支援を継続することにより、待機児童対策の充実を図るとともに、子育て世帯の負担軽減のため、医療費助成などを継続して実施してまいります。
 放課後の子どもの在り方につきましては、一層の拡充が求められる留守家庭児童クラブの適正な運営について検討するほか、児童館につきましては、地域と連携した行事の開催など幅広い活用を図り、子どもたちが安心して心豊かに過ごせる居場所としての機能の充実を図ってまいります。
 神奈川工科大学厚木市子ども科学館では、11月に最接近するアイソン彗星(すいせい)について、特別天体観望会を始めプラネタリウム番組を実施するなど、宇宙や科学への関心が高まるような事業の展開を通じ、科学が大好きなあつぎっ子の育成に努めてまいります。

 高齢者福祉の充実につきましては、「第5期高齢者保健福祉計画」の基本理念である「高齢者が元気で、いきいきと輝くまちづくり」を推進するため、高齢者バス割引乗車券購入費助成事業などを実施するとともに、日常生活の支援や家族介護者への支援などの在宅福祉サービスを、持続的かつ安定的に提供してまいります。
 また、高齢者の人権の尊重につきましては、高齢者の尊厳保持や虐待の防止に向け関係機関と連携を深めるほか、介護保険事業につきましては、高齢者が住み慣れた地域で安心して日常生活を送ることができるよう、介護サービスの充実を図るとともに、引き続き、介護職の人材確保及び介護従事者のキャリアアップ支援に努めてまいります。
 新たな取組といたしましては、法律的な契約行為が難しい高齢者を支援するための市民後見人の育成に努めるとともに、介護予防を推進するため、市内の老人福祉施設等に高齢者がボランティア活動を行う「いきいきサポーターポイント事業」を実施してまいります。

 障がい者福祉の充実につきましては、障害者総合支援法の理念を踏まえ、障がい者の皆様が住み慣れた地域で生き生きと生活することができるよう、社会参加の促進や障がい福祉サービスの充実に努めてまいります。
 また、法改正により、社会福祉法に基づく社会福祉法人の適正な運営のための指導監督に努めてまいります。

 健康・長寿社会の実現につきましては、市民の誰もが安心して、健康で元気に暮らすことができるよう、「あつぎ健康相談ダイヤル24」を引き続き実施するなど、健康づくり施策や医療環境の充実など健康長寿に向けた取組を展開してまいります。
 予防医療につきましては、子宮頸(けい)がん予防ワクチンなど、各種予防接種や、がん検診など各種検診を引き続き実施し、市民一人一人の健康保持に努めてまいります。
 また、法改正により、4月から未熟児訪問指導等の業務が県から市に権限移譲されますので、万全の体制で業務を執行してまいります。
 さらに、自殺予防対策につきましては、尊い命を救えるよう、気づき、傾聴、つなぎ、見守りができるゲートキーパーの更なる養成に向け、研修会や出前講座を積極的に実施してまいります。
「健康食育あつぎプラン」につきましては、「生涯現役健康都市」の実現に向け、更 なる取組を行ってまいります。
 また、新たな法の施行に伴い、「新型インフルエンザ対策行動計画」を改めて策定し、感染の拡大防止と健康被害や社会・経済機能の低下などを極力抑制できるよう努めてまいります。
  市民の皆様に大きな期待をお寄せいただいている市立病院につきましては、平成26年の第1期工事完成、平成28年9月の全面オープンを目指して、建設工事を進めております。また、新病院の機能に合わせた看護師等医療職員を確保するとともに、災害医療拠点病院として、大規模な災害発生時に迅速な活動ができる災害医療派遣チームであるDMAT(ディーマット)を編成するなど、市民の皆様から信頼される病院となるよう、地域医療を支援する中核病院として、その使命と役割を果たしてまいります。

 地域コミュニティ活動の充実につきましては、市民相互の連帯意識の高揚や協力関係の構築など、活力ある地域づくり活動を展開している自治会を始め諸団体への充実した支援を継続するほか、「市民協働」の担い手となるNPO法人の活動を支援するため、NPO法人に寄附をしやすい制度を整備してまいります。
 地域福祉につきましては、市内15地区の地域福祉推進委員会事業への支援、地域福祉推進大会の開催など、地域福祉の着実な推進に努めるとともに、平成26年度からの5か年計画となる「地域福祉計画」を策定してまいります。
 友好都市との交流につきましては、友好都市締結30周年を迎える米国ニューブリテン市を始め、五つの友好都市との交流を更に深めるとともに、幅広い分野での交流を一層推進するという観点から、新たな友好都市について調査を進めてまいります。

 人権尊重社会の実現につきましては、市民の皆様の人権に対する理解を深め、偏見や差別のない地域社会の構築に取り組むとともに、男女が互いを尊重し、責任を分かち合い、その個性と能力を十分発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指してまいります。

 セーフコミュニティの推進につきましては、昨年10月に国内で初めて制定いたしました「セーフコミュニティ推進条例」に基づき、八つの対策委員会の活動や外傷サーベイランス委員会の活動を支援するとともに、セーフコミュニティ活動から得た健康、安心、安全に関する情報を、市民の皆様と共有してまいります。
 また、平成25年度は清水小学校のインターナショナルセーフスクールの再認証の年であり、引き続き、児童、保護者、教職員、そして地域の皆様との協働による、安全な学校づくりに向けた取組を支援してまいります。
  さらに、国内12自治体が加入する「全国セーフコミュニティ推進自治体ネットワーク会議」の会長として、自治体間の連携や情報交換、交流を進め、広く国内外にセーフコミュニティの取組を、発信してまいります。

 快適な生活安全の向上につきましては、本厚木駅周辺の環境浄化を進めるため「あつぎセーフティーステーション番屋」を拠点に、警察OBの市民安全指導員を配置し、警察との連携を図りながら、自治会や商店会、防犯ボランティア団体などとの協働による防犯パトロールの一層の強化に努めるとともに、客引きやスカウト行為などを防止するため、新たに「(仮称)客引き等防止条例」を制定してまいります。
 市民相談事業につきましては、可能な限り本庁舎1階の相談コーナーに窓口を集約し利便性の向上を図るほか、消費者の保護対策につきましては、消費生活推進員による啓発活動により、未然防止と被害者救済に努めてまいります。
  交通安全対策といたしましては、4月1日から施行する「自転車安全利用促進条例」に基づき、自転車の安全な利用に関する意識の向上及び自転車に起因する事故の未然防止を図るとともに、放置自転車の整理・移動を積極的に推進するほか、移動保管料の導入を研究し、放置自転車対策のより一層の強化を図ってまいります。

 総合防災力の充実につきましては、「地域防災計画」に基づく取組を進めるとともに、「自分たちのまちは自分たちで守る」ために活動している自主防災組織の育成を重要な防災対策と捉え、各種の防災研修会・講習会などを通じて地域防災力の向上に努めてまいります。
 また、災害関連情報の収集能力の向上を図るため、新たに防災情報管理システムを導入し、各地区市民センターからの被害状況等の迅速かつ効率的な情報収集を行うなど危機管理体制を強化してまいります。
要援護者対策といたしましては、高齢者や障がい者などを災害から守るため、引き続き要援護者登録台帳への登録に努めるとともに、「個別支援計画」の作成を支援してまいります。
 さがみ縦貫道路の開通に伴い高規格道路での災害対応能力の向上が求められていることから、平成26年3月の竣工を目指し、地域の防災拠点施設となる北消防署依知分署庁舎の整備を進めてまいります。
 また、高齢化の進展等により増加する救急需要に的確に対応し「救命第一を目指すまち」として、救急隊1隊を増隊するほか、市内の医療機関と連携した「派遣型救急ワークステーション」を導入し、救急業務の高度化と救命率の向上を図ってまいります。
 さらに、複雑多様化、大規模化する各種災害に迅速、的確に対応するため、自主防災組織、経験豊富な消防団退職者で組織する大規模災害サポート隊、消防団などとの緊密な連携・協力体制を更に強化してまいります。
なお、旧耐震基準の木造住宅に対する耐震診断や改修工事への助成を引き続き行ってまいります。

(2)成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 私は、子どもたちが健やかに成長し、個性や人格の形成と、知識や経験を身に付けるための教育の重要性を強く認識し、3大改革である「教育環境日本一」を目指して、「総力」を挙げてハード、ソフト両面にわたる様々な施策に取り組んでまいります。

 学校教育の充実につきましては、教育委員会の基本目標である「拓(ひら)く力」、「感じる力」、「築く力」の更なる育成を図り、未来を担う人づくりを推進するため、公募市民及び教育関係者等で構成する「(仮称)教育委員会基本方針等見直し検討委員会」を設置し、幅広い分野からの御意見をいただきながら、「(仮称)第3期教育充実プラン」を策定してまいります。
 また、確かな学力の向上を図るため、引き続き、国の政策より一つ上の学年を対象に独自で35人以下学級を実施するとともに、学力ステップアップ支援員の派遣や、市独自の学力学習状況調査などを実施し、学習指導の充実を図るとともに、学習支援体制の強化に努めてまいります。
 さらに、小学校高学年の教科担任制や小中一貫教育を、引き続き推進するほか、外国語指導助手の配置により、児童・生徒の外国語によるコミュニケーション能力を高めてまいります。
 なお、生活保護受給世帯の中学生を対象に、学習支援や進路相談など、将来の夢や目標づくりのための支援を新たに行ってまいります。
 また、児童・生徒が抱える問題の早期発見と、不登校の未然防止のため、スクールカウンセラーや教育ネットワークコーディネーターを学校に派遣するとともに、関係機関等との連携を強化するなど、支援体制の充実に努めてまいります。
 さらに、児童・生徒が安全で快適な教育環境の中で学校生活を送ることができるよう、校舎の外壁や屋上、グラウンドを改修するとともに、教室の冷暖房設備の整備にも着手してまいります。
 また、新たに国の事業を活用した学校防災アドバイザーの助言の下、学校防災マニュアルの点検や避難訓練の検証などを実施するほか、通学路の危険箇所に学童通学誘導員を配置するなど、引き続き、安全対策を講じ、児童・生徒の安全確保体制をより一層充実してまいります。
 学校給食につきましては、4月から17校目となる厚木小学校の単独調理場がスタートいたします。また、北部及び南部学校給食センターの老朽化対策と施設の充実のための調査に取り組むなど、食育及び食の安心・安全を推進してまいります。
 学校給食費につきましては、市の会計ルールに基づく管理、運用に変更することにより、口座振替による収納を原則とすることで、安全性を確保し、利便性を高めるとともに、教職員の負担軽減を図り、児童・生徒と向き合う時間を確保してまいります。

 生涯学習の推進につきましては、市内5大学との協働による「あつぎ協働大学」の開校や市民講師の皆様による「輝き厚木塾」を引き続き実施するとともに、生涯学習に関する情報を提供するなど、多様化する学習ニーズに応えてまいります。
 社会教育の充実につきましては、公民館を中心に社会の一員として共に支え合い、よりよい社会を築いていく人づくりを推進するとともに、家庭教育を充実するため、保護者を応援する学習の場を提供するなど、家庭教育の支援に努めてまいります。
 また、「第2次子ども読書活動推進計画」を推進するため、「(仮称)あつぎ家庭読書の日」を設定し、家庭での読み聞かせや親子読書活動の必要性について理解を深めてもらうとともに、関係機関と協働して子どもの読書活動を推進し、「読書大好きあつぎっ子」を育成してまいります。

 青少年健全育成の推進につきましては、豊かな人間性と自主性を育むため、友好都市の網走市及び横手市の小学生との体験研修事業を実施するとともに、青少年指導員を始め、家庭、学校、地域の皆様の協働による、青少年を健やかに育てる活動を支援してまいります。

 文化芸術活動の推進につきましては、「文化芸術振興条例」に基づき、ひと、まち、自然が響きあうあつぎの文化芸術を創造し、心豊かな市民生活と活力に満ちた地域社会の実現を目指してまいります。
 また、市内の貴重な伝統芸能を継承するため、小・中学校での「郷土芸能出前体験教室」を始め、市民文化祭などでの公演を充実するなど、後継者の育成に努めるとともに、市民の皆様や文化芸術団体と連携し、更なる文化芸術の振興に取り組んでまいります。
 さらに、本市の豊かな自然や歴史文化を語る豊富な資料を市民の皆様に分かりやすく展示公開するため、(仮称)収蔵資料館の整備に向けて調査・研究を進めてまいります。

 スポーツ環境の充実につきましては、「スポーツ振興計画」を改訂し、スポーツ施策をより一層効果的に推進することにより、誰もが気軽にスポーツに親しみ、楽しむことができる生涯スポーツ社会を実現してまいります。 

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 本市では、最大の魅力である相模川や丹沢大山に代表される豊かな自然をいかしたまちづくりに取り組んでいるところであります。
 私は、この良好な自然環境を次の世代へ引き継ぐため、「総力」を挙げて「環境先進都市」の形成を目指してまいります。

 地球温暖化防止対策の推進につきましては、「地球温暖化対策実行計画」に基づき、住宅用太陽光発電システムや蓄電池等の再生可能エネルギーの普及を促進するとともに、「あつぎチャレンジeco(エコ)ライフ25」をキャッチフレーズに、省エネルギー運動を推進するなど、ライフスタイルやビジネススタイルの転換を促進してまいります。
 また、「あつぎ元気地域エネルギー構想」に基づき、防災の拠点ともなる公共施設に太陽光発電設備の導入を図るほか、本市と県及び土地所有者と連携した県内初の大規模太陽光発電施設の誘致実績をいかし、遊休地などへの太陽光発電施設の誘致を更に進めてまいります。
 放射能汚染対策につきましては、市内22か所の測定地点での定期的な測定や簡易測定器の貸出しなどを実施するほか、「放射性物質対策方針」に基づき、更なる安全確保に努めてまいります。
 また、児童・生徒等の食の安心・安全を確保するため、給食用食材の放射性物質の測定などを引き続き実施してまいります。

 循環型社会形成の推進につきましては、市民、事業者、市の相互協力により、ごみの減量と分別の徹底、3R(スリーアール)の推進、事業系ごみの適正処理などの対策を進めてまいります。
 環境センターにつきましては、基幹的設備の改修工事が完了いたしましたので、清川村に加え、愛川町の一般廃棄物受入れを開始してまいります。

 自然環境との共生につきましては、「生物多様性あつぎ戦略」について市民の皆様に周知するとともに、将来に向けても生物多様性の恩恵を持続的に享受できるよう、この保全に向けた取組を市民の皆様との協働により推進してまいります。
 具体的な取組の一つとして、市民ボランティアの皆様と協働して、里山が持つ恵みを将来にわたり享受できる環境づくりを推進するため、「(仮称)里地里山保全促進条例」を制定し、里山の復元や保全に努めてまいります。

 豊かな生活環境の整備につきましては、ごみのポイ捨て防止などの環境美化活動を実施するとともに、市民の皆様が主体となる地域美化清掃や年末美化清掃を支援するほか、動物愛護推進事業につきましては、神奈川県獣医師会など関係機関と共催で「(仮称)動物フェスティバル神奈川2013
inあつぎ」を開催してまいります。
 また、「緑の基本計画」に基づき公園緑地の整備・充実を計画的に推進し、特に、子どもたちが豊かな自然環境を学び、伸び伸びと遊べる自然体験型の公園として、「(仮称)健康こどもの森」の工事に着手してまいります。
 「(仮称)北部地区公園」につきましては、防災拠点としての機能を担う公園として整備してまいります。また、市域全体の災害対応機能を高めるため、災害時の一時避難場所となる都市公園に、トイレやかまどなどの防災機能を持ったベンチの整備に取り組んでまいります。

 河川との共生につきましては、「相模川水辺拠点創出基本計画」に基づき、観光等の活性化につながる水辺拠点づくりを進めるとともに、河川敷の樹林化対策や草花の植栽、河川清掃活動などを引き続き推進するほか、児童を対象とした環境学習として、水辺ふれあい事業を実施してまいります。
 また、河川堤防等を活用した、健康と交流を支えるみちづくりを引き続き進めてまいります。
 さらに、市内の谷戸(やと)周辺の水辺環境につきましては、多様な動植物の生育環境を復元し、自然に親しめる環境として整備してまいります。

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 私は、この厚木市を県央の雄都として、更なる発展を目指すため、3大改革の一つに「経済活性化・企業誘致」を掲げており、とりわけ、中心市街地の活性化に積極的に取り組むことを約束させていただいております。特に、中町第2-2地区周辺の整備や本厚木駅南口の市街地再開発事業、市民の皆様にも大変注目をいただいております、(仮称)あつぎ元気館の整備について、「総力」を挙げて取り組んでまいります。

 (仮称)あつぎ元気館は、中心市街地における回遊性の向上とにぎわいを創出するための大きな役割を果たすべき拠点施設の一つとして位置付け、文化芸術、生涯学習の拠点として、そして子どもから高齢者までのあらゆる世代が交流できる施設として、市民の皆様の御意見をいただきながら平成26年春のオープンに向け整備を進めております。誰もがワクワクとした気分で過ごしていただくことができ、立ち寄っていただけるような施設を目指し、事業展開の方向性や管理運営の手法についても、検討を進めてまいります。
 また、中心市街地の道路につきましては、災害に強いまちづくりという観点も加えながら、快適な道路空間を創出するため、面的無電柱化を進め、円滑な交通の確保とともに景観に配慮した整備を推進してまいります。
 さらに、空店舗対策事業を引き続き推進するほか、広域的な集客につながる「にぎわい爆発あつぎ国際大道芸」などを、市民の皆様、商工会議所、商店会連合会、企業と協働して開催してまいります。
 また、「第6回かながわフードバトルinあつぎ」につきましては、ゴールデンウィークに「あつぎスイーツランド2013」や県内のマスコットキャラクターが一堂に会する「かなキャラ大集合!2013」と同時開催し、まちのにぎわい創出と商業の活性化を進めてまいります。
 商業振興につきましては、愛市購買を推進するため、あつぎ商店会PR事業などに取り組むとともに、子育てパスポート事業AYUCO(アユコ)の充実を図り、子育て世帯への更なる支援と商業の振興に努めてまいります。

 快適生活空間の創出につきましては、本厚木駅北口・南口の混雑緩和と駅利用者の利便性の向上を図るため、西口の開設などについて、鉄道事業者との協議を進めてまいります。さらに、広域交通体系を強化するため、通勤・通学者の利便性向上と、産業経済等の更なる活性化を目指し、県や近隣市町村との連携により、引き続き小田急多摩線や相鉄線の延伸に向けた取組を進めてまいります。
 また、大規模地震に備え、市民の皆様の安全を確保するための本厚木駅の耐震補強工事に対し、国と協調した支援を実施してまいります。
 市民生活や企業の活動を飛躍的に向上させる広域的な幹線道路網としては、市内の渋滞緩和等が期待されるさがみ縦貫道路の開通と、それに伴う圏央厚木インターチェンジの開設が予定されております。
 さがみ縦貫道路開通後のパーキングエリア周辺へのスマートインターチェンジの設置について調査・検討を進めるとともに、新東名高速道路や厚木秦野道路の早期整備促進について、関係市町村と連携し国等との調整を図ってまいります。
 また、これらの進捗を視野に入れ、都市計画道路の整備を進めるとともに、緊急車両の円滑な通行など、市民の皆様が安心して快適な日常生活を営めるよう道路整備を推進し、交通ネットワークの構築や地域間交流の拡大を図ってまいります。
 本市の健全な発展を目指す新たな産業用地の創出など秩序ある土地利用の推進につきましては、都市マスタープランに基づく施策に取り組み、総合的な都市整備を推進してまいります。
 具体的には、土地利用検討ゾーンのうち、下古沢・上古沢地区特定保留区域につきましては、市街化区域への編入を念頭に、都市計画手続等を進め、早期の土地区画整理組合設立に向け、支援してまいります。
 関口・山際地区の市街化調整区域につきましては、先行エリア約22ヘクタールの事業化に向けて、事業計画書の作成などを支援してまいります。
 南部産業拠点地区につきましては、豊かな農地の保全と秩序あるまちづくりを進めていくため、関係者の皆様と協議を重ね、新たな土地利用の実現に向け、必要な支援を行ってまいります。
 このような新たな産業用地の創出に取り組みながら、企業誘致につきましては、重点的に誘致を図る産業を戦略産業として位置付けるなど、「企業等の立地促進等に関する条例」の一部改正を行い、引き続き全国でもトップレベルのインセンティブやワンストップサービスにより、新たな企業の進出や既存企業の事業拡大が円滑に進むよう積極的に取り組み、地域経済の持続的な発展と雇用創出につなげてまいります。

 企業活動の活性化につきましては、「ものづくり企業ブランディング事業」を推進し、市内企業のブランド力を全国に示しながら、企業間のマッチングや産業、大学、行政、そして金融機関相互の連携を深め、技術開発の促進や製品の品質向上につなげてまいります。
 また、県やロボット産業関連機関、大学などとの連携を図りながら、市内の企業の高い技術力をいかすため、「ロボット産業推進事業補助金」を創設してまいります。
 さらに、ビジネスにチャレンジする方を応援するため、「あつぎ起業スクール」の更なる充実を図るとともに、「創業者支援利子補給金」を創設してまいります。

 勤労者・求職者への支援につきましては、就労相談や講座、就職面接会などを一体的に展開し、働く意欲の向上と雇用機会の拡大に取り組んでまいります。

 観光の振興につきましては、「観光振興条例」に基づき、本市の豊かな自然をいかし、ノルディックウォークなどの体験型の催しを実施するとともに、厚木市観光協会や企業ともタイアップしたイベントを開催するなど、地域提案型の新たな観光分野を開拓してまいります。
 さらに、飯山や七沢などのハイキングコースの整備を進めるとともに、飯山白山森林公園内の案内看板や大山から東丹沢七沢温泉郷へ登山客を誘導する道標を設置するほか、七沢観光協会が進める観光客用トイレの設置事業を支援してまいります。
 また、本市最大のイベントであります「あつぎ鮎まつり」や「あつぎ飯山桜まつり」を市民の皆様との協働により開催するほか、地域の活動団体と共にコスモスやロウバイの植栽など四季折々の花の里づくりを推進し、地域イベントとの連携も深めながら、魅力ある観光地づくりに取り組んでまいります。

 都市農業の振興につきましては、安心・安全な農畜産物の地産地消を推進するとともに、農地の有効利用を促進するほか、大型市民農園の開設に向け、関係者との調整を進めてまいります。
 また、本年秋には、「全国朝市サミット2013inあつぎ」を開催し、市民の皆様に「地産地消」の実践の場である朝市を広く紹介するとともに、本市の魅力を全国に発信してまいります。
 森林再生につきましては、「元気な森づくり整備計画」に基づき、荒廃林の整備を計画的に推進し、水源のかん養や地球温暖化防止など、森林の持つ公益的機能の維持・増進を図るとともに、地元産木材の有効利用に向け、間伐材の搬出を積極的に促進してまいります。
 鳥獣等被害対策につきましては、有害鳥獣の適正な捕獲、農作物被害や生活被害の防止を目的に設置した広域獣害防護柵の適正な管理、ヤマビルが生息しにくい環境整備などに取り組んでまいります。 

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 私は、3大改革の一つとして「徹底した行財政改革」に取り組むことを市民の皆様にお約束しております。
 これまでも申し上げましたとおり、本市は、普通交付税の不交付団体ということに変わりはありませんが、財政状況は非常に厳しいものがあり、県内においてトップレベルの市民サービスの水準をいかに保っていくかが大きな課題となっております。
 そのためには、可能な限り財源を確保しなければならないことから、適正な定員管理による人件費の削減など、徹底的に歳出削減を図りながら、受益者負担の適正化、各種給付制度の見直し、税・料の一元管理による収納率の向上、市有地の有効活用や市債残高の削減による健全財政の堅持など、第5次行政改革に「総力」を挙げて取り組んでまいります。

 シティセールスの推進につきましては、マスコミなど様々なメディアを通じて本市の魅力を全国へ発信してまいります。特に、昨年、多くの市民の皆様にも応援いただき「ゆるキャラ®グランプリ2012」で全国第9位となりました「あゆコロちゃん」には「あつぎシティセールス大使」として、更なる活躍を期待しております。
 また、ふるさと納税寄附金の制度を活用し、本市のPRを積極的に行うことで、新たな厚木ファンを獲得してまいります。

 市民参加・協働の推進につきましては、私の信念である「現地対話主義」に基づく「自治会長とのまちづくりフリートーク」を始め、「わたしの提案制度」、「市民意識調査」などを通して、市民の皆様の御意見を市政に反映するよう努めるとともに、「市民参加条例」及び「市民協働推進条例」を適切に運用し、積極的な「市民協働」を促すなど、市民自治の推進や行政運営の透明性を向上してまいります。
 また、市政の「見える化」を推進するため、地下道に情報掲示板を設置するとともに、広報あつぎを始め新聞やテレビなどを積極的に活用してまいります。

 行財政運営の効率化につきましては、市内の公共施設の老朽化が進み、建替えや大規模改修が必要となっていることから、「(仮称)公共建築物長期修繕計画」を策定するとともに、施設の設置目的や利用状況などを考慮しながら、公共施設全体の在り方について今後の方向性を示す「(仮称)公共施設最適化計画」を策定してまいります。
 市役所の窓口サービスにつきましては、質の向上に努め、「おもてなし市役所」を目指すとともに、効率化の観点から委託化を推進してまいります。
 市が行う契約につきましては、愛市購買を更に推進するとともに、「公契約条例」に基づき、労働環境の整備や事業の質の向上を図るなど、地域経済の健全な発展に向けた取組を進めてまいります。
 情報システムにつきましては、住民記録、税、保険料などのシステムの運用経費の大幅削減と、情報システムの一元化に向け、ホストコンピュータから最新の技術を導入したサーバー等の機器による新システムへと、再構築してまいります。

 都市間連携の推進につきましては、県央相模川サミットや広域行政連絡会などを通して、市域を越えた連携を図り、広域的な行政サービスの向上に取り組んでまいります。

 信頼政策の最後になりますが、本市は、平成27年2月1日に市制施行60周年を迎えます。
 この記念すべき日を、市民の皆様、企業、団体など、本市に関わる全ての人々が心から祝い、厚木市への郷土愛を一層深めることができるよう、市制施行記念事業を実施するため、その準備を進めてまいります。
 少子高齢化など様々な社会的要因により、市民相互の関係が希薄化していると言われる中、「自治基本条例」の理念に基づき、人と人とのつながりやふれあいの大切さを認識し、身近な人と身近な課題を共有し、自ら解決に向けて取り組む意識の醸成が必要であります。
 こうしたことから、市制60周年記念事業の一環として市民相互のふれあいをテーマとした、市民自治のシンボルともいえる「(仮称)ふれあい都市宣言」に向け、機運を高めるための取組を進めてまいります。
 この大きな事業の準備から運営までを、市民の皆様、各団体、行政が共に取り組むことで、市民参加や市民協働意識の醸成を図ってまいります。   

3 おわりに

 以上、平成25年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策につきまして、御説明申し上げました。
 昭和43年4月25日、東名高速道路の厚木インターチェンジが開通しました。これを契機に、本市は企業集積地として、また、交通の要衝として飛躍的に発展を遂げてまいりました。当時、7万人の人口は、現在では3倍を超え、16億円であった一般会計予算額は、46倍を超えました。しかし、こうした発展の中で、地域のつながりや人と人との絆(きずな)など、本当に大切なものが少しずつ失われてきたことも事実であります。当時は、全ての人々が、脇目もふらず、がむしゃらに働いた時代でありました。まさに、日本国民の「総力」を結集することによって、我が国が高度経済成長を遂げた時代でありました。
 それから45年という長い年月が経過しようとする今、さがみ縦貫道路が開通し、圏央厚木インターチェンジが開設されます。このことは、本市にとりましても、45年ぶりのチャンスであります。昨年は、「原点」を掲げ、行政課題の解決に取り組むためのルールを市民の皆様とともに条例としてまとめ、今後の飛躍に向けた準備を整えることができました。
 そして、今こそ、22万5千市民の「総力」を結集し、「元気なあつぎ」の実現に取り組んでいく時であります。一人一人が全力を尽くし、厚木市の「総力」が結集されたとき、間違いなく、本市は県央の雄都として、全国に誇れるまちとなることを確信しております。
 「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを、心からお願い申し上げ、平成25年度の施政方針といたします。

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