平成26年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

紺色のスーツに紫のネクタイをした小林市長が演説をしている写真

1 はじめに

 平成26年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。

 平成25年度につきましては、厳しい財政状況の中、厚木市の将来を見据え、持続可能なまちとして成長していくために、必要な事業を精査し、市民の皆様とともに「総力」を挙げてまちづくりを進めてまいりました。
 特に、市民の皆様の関心も高く、厚木市の最重要課題の一つとして慎重に整備を進めてまいりました(仮称)あつぎ元気館につきましては、魅力ある商業施設と市民の皆様が待ち望んだ映画館、そして文化・芸術活動や生涯学習活動、子どもと保護者の皆様の集いの拠点となる「あつぎ市民交流プラザ」で構成する複合施設として、4月26日にオープンすることとなりました。名称につきましても、多くの市民の皆様から御応募いただき、市民投票の結果、「アミューあつぎ」と決まりました。
 この「アミューあつぎ」が、未来へと夢を広げる厚木市の新しいシンボルとして、市民の皆様から愛され、多くの方々に御利用いただくことで、中心市街地の回遊性の向上やにぎわいの創出が図られるよう、着実に運営してまいります。

 また、「10の条例」につきましては、昨年の市議会12月定例会におきまして、「里地里山保全等促進条例」を御承認いただいたことにより、全てが整いました。さらに、本厚木駅周辺の体感治安の更なる向上を図るため、神奈川県条例よりも規制対象を広げた客引きやスカウト行為などを防止する「客引き行為等防止条例」を制定することができました。

 このほか、さがみ縦貫道路の圏央厚木インターチェンジ開設や、東名厚木インターチェンジ南部中心地区に誘致した複合型商業施設の完成、県内初の民間メガソーラー「県央厚木第一発電所」の稼働など、官民協働による厚木市の魅力をいかしたまちづくりを進め、「県央の雄都」として着実に前進した年でありました。

 そして、議員の皆様と共に不断の努力で「徹底した行財政改革」を進めるとともに、市民の皆様との協働によるまちづくりに取り組んできた結果、日本経済新聞社が実施する全国自治体経営革新度ランキングにおいて、全国第1位の評価をいただくことができました。これからも「快適で利便性の高いあつぎ」の実現に努め、日本一の経営革新都市にふさわしいまちづくりを進めていく所存であります。

 こうしたまちづくり全般に対し、絶大なる御理解と御協力をいただきました市民の皆様並びに議員の皆様に改めて感謝申し上げます。

 さて、平成26年度につきましては、市長としての2期目の総仕上げの年として、今まで以上に情熱をかけて、厚木市の発展に心血を注ぐとともに、結果にこだわり、市民の皆様にお約束した取組の成果を明確にお示しすることで、更に信頼される行政を推進してまいります。
 また、平成26年度は、総合計画「あつぎ元気プラン」第1期基本計画及び第2期実施計画の最終年度でもあります。計画に位置付けた事業を着実に推進することはもとより、平成27年度からスタートする第2期基本計画への橋渡しとなる重要な一年であることから、市民の皆様お一人お一人の気持ちと期待をしっかりと受け止め、将来都市像の実現に向け、より実効性のある計画を策定してまいります。

 平成27年2月1日に厚木市は市制施行60周年を迎えます。記念式典を始めとする記念事業につきましては、現在、市民の皆様や各団体関係者の皆様と内容を協議しているところでありますが、厚木市に関わる全ての皆様が、市制60周年を迎える喜びを共有できますよう、様々な媒体を活用し市制60周年のPRに努め、機運の醸成を図ってまいります。

 私は、今年の市政運営のテーマに「情熱」を掲げました。
 厚木市が「県央の雄都」として、これからもあり続けるために、今、最も必要なものは、まちづくりに関わる人々の「燃え立つような思い」、すなわち「情熱」であります。
 職員はもとより、市民の皆様お一人お一人の厚木市に対する「情熱」を一つにし、全国に誇れるまちとして厚木市を更に発展させていくことこそが、行政の責任者としての私の役目と強く認識しております。

 経済の動向を見ますと、内閣府の1月の月例経済報告では、「景気は、緩やかに回復している」との判断が示されておりますが、4月の消費税率の引き上げによる影響など、市民の皆様の不安は拭(ぬぐ)えない状況となっています。
 こうした社会経済状況の中、平成26年度当初予算につきましては、税・料等の収納対策強化や国庫補助金等の特定財源の確保など歳入確保に努めるとともに、経常的経費の削減に徹底的に取り組むなど、全職員の創意工夫と「情熱」を結集し、「あつぎの元気情熱予算」として編成を行った結果、一般会計は754億8千万円、特別会計を合わせた総額では、過去最高となる1,377億円を超える予算規模といたしました。

 新年度は、「経済活性化・企業誘致」、「子育て・教育環境日本一」、「徹底した行財政改革」の三大改革に加え、本市の持続的な発展を確かなものとするため、特に健康長寿・医療・福祉の充実、安心安全・災害対策の強化、環境・交通先進都市の構築、東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ環境の整備、中心市街地などの都市基盤整備、さがみロボット産業特区の推進に重点的に取り組んでまいります。

 それでは、平成26年度の主要な施策につきまして、総合計画に位置付ける五つの基本政策ごとに御説明申し上げます。

2 五つの基本政策

(1)安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 子育て環境の充実につきましては、子どもが元気で心豊かに成長でき、子育て家庭が子育てに誇りと喜びを実感できるよう、「子ども育成条例」の理念に基づき、安心して生み育てられる環境の一層の充実に努めてまいります。
 待機児童対策につきましては、認定あつぎ保育室から認可保育所等への移行や幼稚園から認定こども園への移行を支援することにより、受入体制の拡大を図るとともに、全国最多の人員で活動する厚木市子育てコンシェルジュ(AKC)による適切な子育てサービスへの橋渡しなど、子育て家庭を地域全体で応援する施策を更に加速させ、待機児童ゼロを達成してまいります。
 また、深刻化している児童虐待及びDV対策につきましては、関係機関との連携強化を図り、適切な支援に努めてまいります。
 4月にオープンする「アミューあつぎ」8階フロアには、子育て中の皆様から大変御好評をいただいている子育て支援センターもみじの手を拡大して移転し、子育て家庭の交流の場として充実させるとともに、子育て家庭が必要な時に安心して子どもを預けられ、自分の時間を大切にできるよう、常設の託児室を新たに整備いたします。また、子育てをしながら働く方の幼稚園への送迎を支援するため、新たに(仮称)幼稚園送迎ステーションを設置し、利便性の向上に努めてまいります。
 さらに、全国トップクラスの水準である医療費助成や日常生活用品支給など子育て世帯の経済的負担の軽減策を引き続き実施することで、「子育て環境日本一」を具現化してまいります。
 また、発達に不安のある親子が地域の中で幸せに暮らせるための早期発見・早期療育の実現を目指し、乳幼児健診等から療育相談に確実につながるシステムの構築、療育相談から療育支援への迅速な連携、関係機関との連携体制の強化等、2箇年をかけて順次、療育支援体制の整備を図るとともに、総合福祉センターを乳幼児健診や療育支援など、保健福祉の拠点施設として改修し、新たな(仮称)保健福祉センターとして整備するための基本設計等に着手してまいります。

 高齢者福祉の充実につきましては、高齢者の健康増進や生きがいづくりを推進するため、シティプラザに総合福祉センターの高齢者施設と老人福祉センター寿荘を移転する準備を進めてまいります。
 また、高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい及び日常生活の支援を一体的に提供することができる地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を推進するとともに、2025年問題といわれる団塊の世代が75歳以上となる平成37年を見据え、中長期的な視点に立って、必要な方に必要なサービスを提供することができるよう総合的な施策や事業を計画的に実施するための「第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定してまいります。
 さらに、食料品等日用品物販店の減少や少子高齢化の進展などに伴い、増加傾向が見られる買い物に不便を感じる方への支援につきましては、地域やボランティア、福祉関係者の皆様との協力の下、事業者などとの連携を深め、積極的な取組を展開してまいります。

 障がい者福祉の充実につきましては、障がいのある方が地域社会で自立し、より一層安心して暮らしていくことができるようノーマライゼーションなどの理念を踏まえた「第4期障害福祉計画」を策定してまいります。
 また、重症心身障がい児を対象に、療養生活の安定と介護者の負担軽減を図るため、市立病院と連携し、新たにメディカルショートステイ事業を行ってまいります。

 健康・長寿社会の実現につきましては、生きがいを感じながら、いつまでも心身共に健康で充実した生活を送ることができるよう、地域保健や医療環境の充実など、健康づくりに関する施策を積極的に展開するとともに、市制60周年を契機に新たな健康体操を制作し、広く普及することで健康づくりに役立ててまいります。
 「健康食育あつぎプラン」につきましては、健康寿命の延伸を図り「生涯現役健康都市」の実現に向け、推進モデル地区事業を拡大するほか、幅広い年代の皆様が楽しんで健康づくりに参加できる「(仮称)健康長寿ポイント事業」の導入に向けた研究を積極的に進めてまいります。
 また、緑内障等の眼疾患を早期に発見し、失明のリスクを減少させるため、成人眼科健康診査を新たに導入するとともに、在宅の要介護者への口腔ケアができるよう成人歯科健康診査を充実してまいります。
 さらに、風疹(しん)の流行防止と先天性風疹(しん)症候群の発生を予防するため、一年を通して予防接種費用の一部助成を実施してまいります。
 市民の皆様の命と健康を守る新たな市立病院につきましては、12月の第1期工事完成を目指し工事を進めるとともに、その機能が十分に発揮されるよう、医師や看護師など医療職員の確保を着実に進め、市民の皆様から信頼される公立の基幹病院としての使命と役割を果たしてまいります。

 地域コミュニティ活動の充実につきましては、市民相互の強固な連帯意識の向上や行政との協働関係の推進など、魅力ある地域づくり活動を展開している自治会を始めとする諸団体への充実した支援に引き続き努めるとともに、地域が抱える様々な課題に地域の皆様が主体的に取り組む「市民自治」の機運の高揚を図ってまいります。
 友好都市との交流につきましては、友好都市締結30周年を迎える中国揚州市を始め、五つの友好都市との交流を更に深めるとともに、幅広い分野での交流を一層推進するため、市制60周年を契機に新たな友好都市の締結を目指してまいります。

 人権尊重社会の実現につきましては、市民の皆様の人権意識の更なる高揚を図り、偏見や差別のない地域社会の構築に取り組むとともに、男女が互いを尊重し、一人一人が生き生きと、様々な分野で個性と能力を十分発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指してまいります。

 セーフコミュニティの推進につきましては、平成27年の再認証取得に向け万全な取組を行うとともに、国内14自治体が加入する「全国セーフコミュニティ推進自治体ネットワーク会議」の会長として、引き続き、広く国内外にセーフコミュニティの取組を発信してまいります。
 また、インターナショナルセーフスクールにつきましては、昨年の清水小学校の再認証に続き、睦合東中学校が新たに認証取得を目指すこととなりましたので、一層の支援に努めるほか、安心・安全な教育環境づくりに向けた取組を更に進めてまいります。

 快適な生活安全の向上につきましては、4月1日に施行する「客引き行為等防止条例」に基づき、禁止行為に当たる客引きやスカウト行為等をする者や関係事業者への指導等を行うなど、本厚木駅周辺を中心とした環境浄化の推進に積極的に取り組んでまいります。
 また、住民票の写し等の不正取得事件を踏まえ、第三者による住民票の写し等の不正取得を防止するため、本人に第三者による請求があったことを通知する「本人通知制度」を導入してまいります。
 交通安全対策につきましては、自転車乗車中のけがを軽減するため、新たに高齢者用自転車ヘルメット購入費の一部を助成してまいります。
 また、7月1日に施行する「自転車の放置防止に関する条例の一部を改正する条例」に基づき、放置自転車の整理・移動をより積極的に推進するなど、放置自転車対策の強化を図ることにより、本厚木駅及び駅周辺施設利用者の利便性の向上と放置自転車ゼロを目指してまいります。

 総合防災力の充実につきましては、近年、頻発している下水道施設の整備水準を超える集中豪雨等による本厚木駅周辺の市街地を中心とした浸水・冠水被害の軽減を図るため、効果的な浸水対策を進めるとともに、下水道中期ビジョンに基づく計画的な雨水管整備事業を推進してまいります。
 また、飲料メーカーなどと締結した災害協定に基づき、提供を受ける備蓄用飲料水等を避難所などに配備するとともに、公共施設や公園等への災害支援型自動販売機の設置を進めるほか、協定締結企業や団体等と連携した各種防災訓練を実施するなど更なる防災力向上に向けた取組を推進してまいります。
 さらに、大規模な地震等が発生した場合に備え、「アミューあつぎ」内に防災備蓄倉庫を整備するとともに、人口・都市機能が集積した本厚木駅周辺の都市再生緊急整備地域における滞在者等の安全確保を図るため、新たに「都市再生安全確保計画」を策定してまいります。
 なお、改正された災害対策基本法などの関係法令や、先般発表された「富士山火山広域避難計画」への対応につきましても、今後の「地域防災計画」の見直しに向け、市の対策について検討してまいります。
 また、高齢者や障がい者などを災害から守るため、引き続き要援護者登録台帳への登録に努めるとともに、地域における「個別支援計画」の作成を支援してまいります。
 消防力・救急体制の充実につきましては、高齢化の進展等により増加する救急需要に的確に対応するため、医療機関と連携した「派遣型救急ワークステーション」事業の更なる充実を図るとともに、地域の絆(きずな)で尊い「いのち」を守るための新たな取組として、市民の皆様と消防が連携した「市民救命サポート隊」を設置し、「救命第一のまち」を目指すほか、災害が複雑多様化、大規模化する中、災害現場における消防団の活動環境の充実を図るため、情報通信機器や安全装備品の整備に努めてまいります。
 また、近い将来発生が危惧されている大規模地震等の災害に備え、広域的な消防・防災体制の整備に向けた取組を推進してまいります。

(2)成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 学校教育の充実につきましては、市民協働の精神を基に、学校と保護者や地域が一体となって子どもたちの豊かな成長を支える「コミュニティ・スクール」の導入に取り組み、地域に開かれた信頼される学校づくりを進めるとともに、子どもたちに、これまで以上に豊かな教育環境を提供するため、土曜授業の在り方について研究を進めてまいります。
 また、確かな学力の向上を図るため、引き続き、国の政策よりも一つ上の学年を対象に独自で35人以下学級を実施するとともに、学力ステップアップ支援員の派遣などにより、学習支援体制の充実に努めてまいります。
 さらに、昨年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」に基づく本市の「いじめ防止基本方針」の策定を進めるとともに、新たに小学校に非常勤講師を派遣し、児童支援体制の充実を図るほか、小・中一貫性を持った教育を効果的に推進していくため、小学校と中学校の教員の人事交流を実施してまいります。
 不登校対策につきましては、未然防止や児童・生徒が抱える問題を早期に発見し、適切な対応を図るため、スクールカウンセラーなどを学校に派遣するとともに関係機関等との連携を推進し、支援体制の充実に努めてまいります。
 また、通学路の危険箇所に学童通学誘導員を配置するなど、児童・生徒の安全確保体制をより一層充実してまいります。
 さらに、児童・生徒が安全で快適な教育環境の中で学校生活を送ることができるよう、校舎のトイレや外壁・屋上などの改修を実施するとともに、中学校に加え、小学校普通教室への冷暖房設備の設置に取り組んでまいります。
 学校給食につきましては、小学校及び中学校の今後の給食施設整備について調査を行い、整備方針を策定してまいります。
 社会教育の充実につきましては、地域の拠点施設である公民館を活用し、よりよい社会を築いていく人づくりを推進するため、地域の教育力の向上を目指し、家庭、学校、地域の更なる連携を図るとともに、教育の原点である家庭教育を充実するため、保護者の皆様の学びや育ちを応援する学習機会の提供など、家庭教育の支援に努めてまいります。
 また、地域活動の更なる充実を図るため、厚木南公民館の新築移転に向けた準備を進めてまいります。
 さらに、「第2次子ども読書活動推進計画」に基づき、「あつぎ家庭読書の日」を中心として、家庭での読み聞かせや親子読書活動の必要性について理解を深めていただけるよう、関係機関と協働して啓発に努めてまいります。

 青少年健全育成の推進につきましては、青少年指導員や家庭、学校、地域の皆様との協働による青少年を健やかに育てる活動への支援を始め、全国子ども会連合会による第41回関東甲信越静(せい)地区子ども会ジュニアリーダー大会を招致し、ジュニアリーダーの交流を深めてまいります。
 また、若者一人一人の個性に応じた働き方を支援するため、地域若者サポートステーションの誘致に積極的に取り組んでまいります。

 生涯学習の推進につきましては、多様化している学習ニーズや生涯学習意欲に応えるため、市内5大学との協働による「あつぎ協働大学」の開校や市民講師による「輝き厚木塾」などを実施し、「いつでも、どこでも、誰でも、何でも学べる」生涯学習の推進を図ってまいります。

 文化芸術活動の推進につきましては、「文化芸術振興条例」に基づき、心豊かな市民生活と活力に満ちた地域社会の実現を目指してまいります。
 また、「アミューあつぎ」内に新たにオープンする「あつぎ市民交流プラザ」を積極的に活用し、市民の皆様の生涯学習、文化・芸術活動を支援してまいります。
 さらに、厚木市の誇るべき郷土芸能を後世に引き継ぐため、「郷土芸能出前体験教室」や「郷土芸能まつり」などを実施し、後継者の育成と郷土芸能の更なる周知に取り組むとともに、本市の豊かな自然や歴史文化を市民の皆様に理解していただくため、展示公開や体験教室を開催する(仮称)収蔵資料館の建設に向けて準備を進めてまいります。

 スポーツ環境の充実につきましては、「スポーツ推進計画」に基づき、だれもが、いつでも、いつまでもスポーツを行うことができる環境を整えるとともに、平成32年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を契機として、スポーツ愛好者の拡大や競技力向上、指導者育成を目的とした「あつぎスポーツアカデミー」を創設し、「スポーツのまちあつぎ」を目指してまいります。

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 東日本大震災を契機としたエネルギー問題に対する国民意識が高まる中、エネルギーに関する様々な技術革新の利活用、さらには、生物多様性の保全や森林再生、ごみ減量の更なる推進のためのごみ処理方法の検討や環境センターの効率的で経済的な運用など、環境施策を計画的に進めるため、「環境基本計画」の改定を進めてまいります。

 地球温暖化防止対策の推進につきましては、住宅用太陽光発電や蓄電池などを備えたスマートハウスの普及を促進するとともに、家庭における省エネルギー行動を推進する「あつぎチャレンジecoライフ25」の普及・啓発に努めてまいります。
 また、防災拠点となる公共施設への太陽光発電システムの計画的な導入や、市内のメガソーラー発電所と連携し、全国に先駆けてメガソーラーと公共施設の地産地消モデルを確立するなど、「あつぎ元気地域エネルギー構想実行計画」に基づく「創エネ」、「省エネ」、「蓄エネ」の三つの取組を積極的に進めてまいります。

 循環型社会形成の推進につきましては、「ミッション35」を掲げ、市民の皆様とともにごみの減量化・資源化を進めてきた結果、資源化率も26パーセントとなりました。
 しかしながら、排出されるごみの内容物を確認しますと、まだ何も手つかずの食品などが含まれており、これらは推計で年間約4,300トンとなっております。
 こうしたことから更なるごみの減量に向け、「一般廃棄物処理基本計画」を改定し、市民協働による循環型社会の形成を推進してまいります。

 自然環境との共生につきましては、他市に先駆けて策定した「生物多様性あつぎ戦略」に基づく具体的な取組として、厚木市版レッドデータ報告書の作成に着手し、本市の生物多様性の実態の把握に努めてまいります。
 また、市民共有の財産である里地里山の有する様々な自然の恵みを将来にわたり継承するため、「里地里山保全等促進条例」の周知を図るとともに、多様な主体が互いに連携、協働しながら、里地里山の保全と活用に取り組んでいただけるよう、「里地里山保全等促進計画」を策定してまいります。

 豊かな生活環境の整備につきましては、「緑の基本計画」に基づき、公園緑地の整備・充実を計画的に推進するとともに、子どもたちが豊かな自然で「遊んで学んで元気になれる」自然体験活動型の公園として、「(仮称)健康こどもの森」の整備を進め、子育て・教育環境の拡充を図ってまいります。

 河川との共生につきましては、相模川、中津川を始めとする河川の保全・再生とその利活用に関する計画を推進するとともに、「相模川厚木市水辺拠点創出基本計画」に基づき、観光等の活性化につながる水辺拠点づくりを引き続き推進してまいります。
 また、河川敷の樹林化対策、市民の皆様との協働による草花の植栽や河川清掃活動など、河川環境の保全・再生に努めるほか、児童を対象とした環境学習として、水辺ふれあい事業を実施してまいります。  

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 中心市街地の活性化につきましては、「県央の雄都」にふさわしいまちづくりを進めるため、中町第2-2地区周辺につきましては、中心市街地の交通機能の向上と、新たな集客の核となる複合施設の計画を進めてまいります。
 本厚木駅南口地区につきましては、市街地再開発事業の実施に向け平成26年度の都市計画決定を目指すとともに、南口方面の核となる魅力ある再開発事業となるよう引き続き、再開発準備組合の皆様の活動を積極的に支援してまいります。
 「アミューあつぎ」につきましては、4月26日のグランドオープンに合わせ、市制60周年記念事業のキックオフイベントとして、様々なイベントを開催してまいります。内容といたしましては、未来を担う子どもたちに市内企業の優れた技術にふれあうことができる場を設けるほか、「さがみロボット産業特区」の取組を紹介するロボットの展示やデモンストレーションを実施するとともに、ものづくり企業が技術と誇りを懸けて作成したコマを持ち寄り対決する、全日本製造業コマ対戦「あつぎ場所」を開催してまいります。さらに、文化・芸術、生涯学習関連や親子を対象とした様々な市民参加型イベントを実施するほか、「第7回かながわフードバトルinあつぎ」や「あつぎスイーツランド2014」、県内のマスコットキャラクターが一堂に会する「かなキャラ大集合!2014」につきましても、「アミューあつぎ」のオープンに合わせて開催することで、更なるにぎわい創出と商業の活性化を進めてまいります。
 また、にぎわいと回遊性のあるまちを実現するため、空店舗対策事業などの商業振興施策を推進するほか、市民の皆様、商工会議所、商店会連合会、企業と協働し、「にぎわい爆発あつぎ国際大道芸」など地域の活性化に繋がるイベントを開催してまいります。
 さらに、市内での消費拡大を図るため、あつぎ商店会PR事業などに取り組むとともに、子育てパスポート事業の充実を図り、子育て世帯への更なる支援と商業の活性化に努め、元気でにぎわいあふれるまちを創造してまいります。

 快適生活空間の創出につきましては、森の里東地区のまちづくりとして、ひと・自然・産業が響き合うまち「エコー・キャンパス」をコンセプトに掲げ、土地区画整理組合設立準備委員会の皆様とともに、(仮称)森の里東土地区画整理事業の早期完成を目指し、工事に着手してまいります。
 また、平成37年を目標年次とした第7回線引き見直しを見据え、「都市マスタープラン」に位置付けた土地利用検討ゾーンについて、秩序ある土地利用の推進を図ってまいります。
 具体的には、関口・山際地区の市街化調整区域の先行エリア約22ヘクタールの事業化を目指し、権利者の合意形成に向けた調査や事業計画書の作成など必要な支援を行うとともに、南部産業拠点地区の新たな土地利用の実現に向け、先行検討エリアにおいて、既存農地との調整を図り、関係機関と協議を重ねながら、土地区画整理事業を研究する地権者組織を支援してまいります。
 高規格幹線道路等につきましては、市民生活や企業の活動を飛躍的に向上させる広域的な幹線道路網として開通した「さがみ縦貫道路」の厚木パーキングエリアの有効利用や周辺地域の土地利用の推進を図るため、スマートインターチェンジの設置について関係機関等との協議を進めるとともに、新東名高速道路や厚木秦野道路の早期整備促進について、関係市町村と連携し国等との調整を行ってまいります。
 また、これらの高規格幹線道路等の進捗と合わせ、酒井下津古久線や厚木環状3号線等の都市計画道路の整備を進めるとともに、新たに周辺の県道及び1級市道を補完する道路として、(仮称)赤坂竹ノ内線の整備に着手するほか、地域間を結ぶ環状系道路として、横林上飯山線の新ルートを開通してまいります。

 企業活動の活性化につきましては、昨年11月1日に協定を締結した「厚木市・日産自動車グリーンモビリティ・プロジェクト」を推進するため、国や民間事業者による支援制度を活用し、幹線道路沿いの公共施設に電気自動車の充電設備を整備してまいります。
 また、電気自動車活用モデル事業の実施等により、厚木市発の技術によって誕生した電気自動車の普及促進を図り、環境・交通先進都市を目指すとともに関連産業の振興に努めてまいります。
 企業誘致につきましては、引き続き全国でもトップレベルのインセンティブやワンストップサービスにより、本格的な整備が始まる(仮称)森の里東土地区画整理事業への支援を進めるとともに、新たな企業の進出や既存企業の事業拡大を促進し、地域経済の持続的な発展と雇用の創出につなげてまいります。
 さがみロボット産業特区の推進につきましては、市内企業の高い技術力をいかすため、研究開発に係る費用の補助の充実を図るとともに、企業や大学などが保有する技術の連携を促進する取組を新たに支援し、ロボット産業の振興と集積を図ってまいります。

 地域特性を活用した観光の振興につきましては、「観光振興条例」や「観光振興計画」の具現化を図るとともに、本市の観光振興に向けた強力な推進体制を整えるため、厚木市観光協会の一般社団法人化と情報発信力の強化を積極的に支援してまいります。
 また、本市の魅力ある「食」の販売や情報発信を通した観光や商業の振興を推進するため、「アミューあつぎ」の地下1階に厚木市観光協会が開設する物産販売拠点の運営を支援してまいります。

 都市農業・林業の振興につきましては、厚木市、厚木市農業委員会、JAあつぎが結集して、「厚木市都市農業支援センター」を開設し、相談業務のワンストップ化を図るとともに、新たな担い手の育成や農地の有効利用を推進してまいります。
 また、安心・安全な農畜産物の地産地消の推進、施設園芸用燃料の購入支援を実施するとともに、農家の皆様の指導を受けながら農業を学ぶことができる体験型農園の開設を支援してまいります。
 さらに、「元気な森づくり整備計画」に基づき、荒廃林の整備を計画的に推進し、森林の持つ公益的機能の維持・増進を図るとともに、公共施設における地元産木材の利用や間伐材の搬出を積極的に促進してまいります。
 また、有害鳥獣の適正な捕獲を始め、農作物被害や生活被害の防止を目的に設置した広域獣害防護柵の適正な管理、ヤマビルが生息しにくい環境整備などに取り組んでまいります。

 勤労者・求職者への支援につきましては、就労に向けた様々なスキルの提供や、職場の内外で抱える諸問題の解決に向けた支援のため、各種相談や講座を開催するとともに、合同就職面接会を開催することにより市内企業と求職者とのマッチングの場を確保するなど、働く意欲の向上と雇用機会の拡大に取り組んでまいります。

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

 平成26年度は、第5次行政改革の取組最終年度であることから、職員が一丸となって徹底的に無駄を省き、歳出の削減を図るとともに、各種給付制度の見直し、税・料等の一元管理による収納対策強化、公有財産の有効活用など、持続可能な行政運営の確立を目指してまいります。
 また、行政改革を継続的に断行するため、第6次行政改革「行政経営プラン」の策定に取り組んでまいります。

 あつぎブランドの創造と発信につきましては、フェイスブックなど様々なメディアを通じて本市の魅力を全国へ発信するとともに、昨年、多くの市民の皆様に応援をいただき「ゆるキャラ®グランプリ2013」で全国第6位と躍進した「あゆコロちゃん」には、「あつぎシティセールス大使」として、更に活躍していただきます。

 市民参加・協働の推進につきましては、私の信念である「現地対話主義」に基づく「自治会長とのまちづくりフリートーク」や「子育てコミュニティトーク」などを通して、引き続き、市民の皆様の御意見を市政に反映するとともに、「市民参加条例」や「市民協働推進条例」を適切に運用することにより、更なる市民自治の推進や行政運営の透明性の向上に努めてまいります。
 また、市政の「見える化」を推進するため、広報あつぎを始め各種メディアや市ホームページ、地域SNSなどあらゆる媒体を効果的に活用し、積極的な広報活動を展開してまいります。

 行財政運営の効率化につきましては、市内の公共施設の老朽化が進み、建て替えや大規模改修が必要となることから、「公共建築物の維持管理計画」に基づく計画的な修繕に取り組むことで、安心して安全に施設を利用していただけるよう、将来を見据えた適正な公共施設の維持管理に努めるとともに、引き続き、施設の設置目的や利用状況などを考慮しながら、公共施設のより効率的かつ効果的な適正配置を行うことを目的とした公共施設の最適化を推進してまいります。
 また、利便性の向上や窓口の混雑緩和を図るため、身近なコンビニエンスストアで住民票の写し等の交付ができるよう、研究を進めてまいります。
 情報化につきましては、近年、情報通信に関する技術革新などが急速に進展していることから、情報化社会を取り巻く様々な環境に柔軟に対応できるよう、「情報化推進計画」を策定してまいります。
 また、住民記録、税、保険料などを扱う基幹系情報システムにつきましては、業務の効率化と運用経費の大幅な削減を図るとともに、災害時における業務継続性の向上や情報セキュリティの確保に努めてまいります。

 都市間連携の推進につきましては、広域組織である県央相模川サミットや広域行政連絡会などを通して、河川の保全活用、観光の振興、防災対策、消防の広域化など各自治体に共通する行政課題の解決に向け、市域を越えた連携を図り、広域行政の円滑な推進を図ってまいります。
 また、厚木市は昭和39年度から50年にわたり、地方交付税の不交付団体として国に依存することなく必要な財源を独自に確保し、健全財政を維持してまいりました。しかしながら、法人市民税の一部が地方法人税として国税化されるなど、より一層厳しい財政運営を強いられることから、不交付団体間で情報交換を行い、必要に応じて、要望活動を行ってまいります。

 信頼政策の最後になりますが、私は、人間関係が希薄化していると言われる中、より住みよいまちづくりを進めるためには、市民の皆様相互のつながりと支え合う思いやりが最も大切であると考えております。特に、東日本大震災以降、「人とのつながり」の大切さについて再認識したことは言うまでもありません。
 こうしたことから、自治基本条例の前文にもある「人を大切にする心」、「互いの個性を認め合う心」、そして「人と人との絆を大切にする心」を、改めて市民の皆様と共有するとともに、本市の市民自治のシンボルとして市民相互のふれあいをテーマとした、「(仮称)地域ふれあい都市宣言」を市制60周年記念日である平成27年2月1日に宣言することを目指してまいります。

3 おわりに

 以上、平成26年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策につきまして、御説明申し上げました。

 来年2月、厚木市は誕生してから60年という記念すべき節目を迎えます。
 市制がスタートした昭和30年当初は人口32,000人であったまちが、今では225,000を超える人々が暮らす県内有数の都市に発展しました。
 時代が巡り、さがみ縦貫道路等の高規格幹線道路が整備されることにより、人と物の新たな流れが起こり、正に今、厚木市が大きく飛躍する舞台が整おうとしています。
 この市制60周年を契機に、これまでの歩みを見つめ直し、改めてふるさとあつぎに対する誇りや愛着を更に深めるとともに、将来に向け、希望ある新たな一歩を踏み出していこうではありませんか。

 「げんき!きらめき!だいすき!あつぎ60」。これは市民投票の結果、市制60周年記念キャッチフレーズに選ばれた言葉であり、市内の小学校5年生が提案したものです。先日、御本人とお会いし、どうしてこの言葉を考えたのかを尋ねました。その理由は、「圏央道が開通したことにより、これから厚木市にはたくさんの人が訪れる。その時に、厚木市の「元気なところ」や、「きらきら輝いているところ」、「みんなが大好きなまちであるところ」を大勢の人に知ってもらいたい」ということでした。
 私は、11歳の小学生が、純粋にあつぎを愛し、誇りに思ってくれていることを知り、胸が熱くなりました。次代を担う子どもたちの思いを受け止め、より魅力あふれるまちを創造していくことが私たち大人の最大の責任であると痛感した次第であります。
 60年間、多くの皆様が情熱を込めて育ててきた厚木市は、ここに暮らす人々の愛情あふれるまちであり、誇るべきまちであります。
 先人のたゆまぬ努力と今を生きる私たちが築き上げた実績を確固たる自信とし、私は、日本一の経営革新都市の名に恥じぬよう、更に市民の皆様と共に、協働を礎(いしずえ)とした自主自立の自治体経営に情熱と誇りを持って取り組む所存であります。

 総合計画「あつぎ元気プラン」に掲げる将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを、心からお願い申し上げ、平成26年度の施政方針といたします。

関連ファイル

関連ページ

この記事に関するお問い合わせ先 inquiry

政策部 企画政策課 企画政策係
〒243-8511
厚木市中町3-17-17(市役所本庁舎4階)
電話番号:046-225-2450
ファックス番号:046-225-3732

メールフォームによるお問い合わせ