平成27年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

右側のマイクの前でスーツ姿の小林市長が演説を行っている上半身の写真

1 はじめに

 平成27年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 去る2月15日、私は市民の皆様から、3期目となります厚木市長という重責を託されました。これまでも「みんなでつくろう元気なあつぎ」をスローガンに、市民の皆様と気持ちを一つに、まちづくりに全力で取り組んでまいりましたが、あらためて、皆様お一人お一人から頂戴した期待と信頼に、身が引き締まる思いであります。
 私は、今回の市長選挙におきまして、「貫く。改革」、「更なる挑戦」をテーマとして、市民の皆様に思いをお伝えしてまいりました。市民の皆様からいただいた期待と信頼を大きな力とし、新たなマニフェストに掲げた「“いのち”を守り抜く!世界に誇れる安心・安全なまち」、「子育て・教育環境日本一!子どもたちの未来が光り輝くまち」を始めとする6つのビジョンと136の政策、そして、「待機児童ゼロ」、「いじめゼロ」、「振り込め詐欺被害ゼロ」など、市民の皆様の安心・安全を守り抜く11項目の「ゼロ」への挑戦に積極果敢に全力で取り組んでまいります。
 また、全国的な少子高齢化、人口減少社会の到来を受け、本市におきましても、誰もが経験したことのない新たな局面を迎えようとしております。この困難を乗り越え、本市が将来にわたって発展を続けていくためには、どのような社会情勢の変化にも即座に対応できる仕組みづくりと、戦略的な施策の展開、そして、何より市民の皆様のお力が必要であります。3期目となりますこれからの4年間につきましても、市長就任以来、一貫して進めてまいりました「現地対話主義」、「市民協働」によるまちづくりを更に推進し、本市が魅力と活気にあふれ、誰からも愛され、全国に、そして世界に誇れる「雄都」となりますよう、全身全霊をかけて取り組んでまいります。
 さて、平成27年度につきましては、「あつぎ元気プラン」第2期基本計画及び第3期実施計画がスタートする年であり、将来都市像を着実に実現するための礎となる、きわめて重要な1年であると認識しております。第2期基本計画につきましては、基本構想の集大成として、これまで進めてまいりました各施策を更に充実させたほか、地域ごとに抱える課題に的確に対応するとともに、地域の個性や特性をいかしたきめ細かいまちづくりを推進するため、新たに地域別の計画を策定し、将来都市像の実現を確実に達成するための計画といたしました。
 経済の動向を見ますと、国の経済政策の推進もあり、内閣府の2月の月例経済報告では、「景気は、緩やかな回復基調が続いている」との判断が示されておりますが、景気の回復を国民全員が実感しているとは言い難く、先行きの不透明な状況は依然として変わってはおりません。こうした中、平成27年度当初予算につきましては、市民一人一人が光り輝くことのできる社会を目指した「あつぎの元気きらめき予算」として編成を進め、一般会計は777億8千万円、特別会計を合わせた総額では、過去最大となる1,406億円を超える予算規模といたしました。
 予算編成に当たりましては、全ての事務事業をゼロベースで見直すとともに、既存事業の整理・統合・廃止等の検討を行い、削るところは削り、加えるべきところはしっかりと加えていく「徹底した選択と集中」を実践してまいりました。厳しい財政状況ではございますが、少子高齢化や人口減少社会の到来、環境、経済・産業構造の変化、地方分権の進展などの社会情勢の変化にも的確に対応し、引き続き、市民協働によるまちづくりを推進するとともに、第9次厚木市総合計画「あつぎ元気プラン」を着実に推進してまいります。
 それでは、平成27年度の主要な施策につきまして、総合計画「あつぎ元気プラン」に位置付ける5つの基本政策ごとに御説明申し上げます。

2 五つの基本政策

(1)安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 安心して子育てできる社会の実現につきましては、4月から本格スタートする「子ども・子育て支援新制度」のもと、対象施設への新たな給付や認定こども園に対する財政支援などを行い、幼児期の教育や保育、地域の子育て支援を拡充することにより、子育てしやすく、子どもたちが豊かに育つことができる環境づくりに努めてまいります。
保育環境の充実につきましては、認定あつぎ保育室から認可保育所等への移行や、幼稚園から認定こども園への移行を支援することにより、「あつぎ子ども未来プラン」に位置付けた保育の受け皿を確保し、「保育所待機児童ゼロ」を実現してまいります。また、子育てをしながら働く方を支援する全国初の幼稚園送迎ステーション、留守家庭児童クラブの受入態勢の充実など、子育て家庭を応援する施策を更に充実してまいります。
さらに、深刻化している児童虐待及びDV対策につきましては、関係機関との連携強化を図り、適切な支援に努めてまいります。
子育て中の皆様から大変御好評をいただいている子育て支援センターもみじの手につきましては、子育て家庭の交流の場や育児の悩みを相談できる場として、子育て家庭の負担軽減につながるよう、きめ細かな子育て支援サービスの提供を行ってまいります。託児室わたぐもにつきましては、あつぎ市民交流プラザ利用者を中心に、必要なときに安心して子どもを預けられるよう充実してまいります。
また、発達に不安のある親子が地域の中で幸せに暮らせるための早期発見・早期療育の実現を目指し、乳幼児健診等から療育相談に確実につながるシステムの構築、療育相談から療育支援への迅速な連携、関係機関との連携体制の強化等を図るとともに、総合福祉センターを、乳幼児健診や療育支援など、新たな保健福祉の拠点となる、(仮称)保健福祉センターとして整備してまいります。
 高齢者が生きがいを感じる社会の実現につきましては、住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を送ることができるよう、医療・介護・介護予防・生活支援・住まいのサービスや支援を継続的・包括的に提供できる地域包括ケア社会の実現に向けた仕組みづくりを行ってまいります。
また、重度の要介護者や単身の高齢者世帯、認知症の高齢者の増加が見込まれることから、在宅での生活を継続できるよう、買物困難者への支援など、生活全体を支えていくための多様な仕組みづくりを行ってまいります。
さらに、高齢者や障がい者の急激な増加が見込まれるため、障がい福祉分野を含め、介護職の人材確保と定着につながる支援に努めてまいります。
 障がい者が生きがいを感じる社会の実現につきましては、障がい者の社会参加の促進や障がい福祉サービスの充実に努めるとともに、障がいや障がい者に対する理解促進のための更なる啓発に努めてまいります。
また、障がい者の相談支援につきましては、中核的な役割を担う障がい者基幹相談支援センターを設置し、地域の相談支援事業所や地域包括支援センターと連携を図りながら、障がい者や家族等からの相談に応じるなど、総合的な相談支援体制を充実してまいります。
 健康・長寿社会の実現につきましては、健康寿命の延伸を図り「生涯現役健康都市」への取組として、新たに制作した「あゆコロちゃん体操」を広く普及することで健康づくりに役立てるとともに、「健康食育あつぎプラン」の推進モデル地区事業を拡大してまいります。また、幅広い年代の皆様が楽しんで健康づくりに参加できる(仮称)あゆコロちゃんGENKIポイント事業を実施するなど、更なる取組を行ってまいります。
各種がん検診につきましては、複数の検診を同時に受診することが可能となるセット検診を導入し、受診者の利便性の向上を図るなど、受診環境の充実に努めてまいります。また、母子等の健康の保持増進を図るため、妊婦健康診査費用の補助額を拡充してまいります。
市立病院につきましては、3月1日に先行オープンした新病院の救急手術棟及び病棟A棟の医療機能が十分に発揮されるよう、専門性のある医師や高度な技術を持った医療職を確保・育成し、より高度で安全な医療を着実に提供するとともに、平成29年春の新病院全面オープンに向け、引き続き工事を進めてまいります。
 多様な市民活動が共存する社会の実現につきましては、地域の特性をいかした、活力ある地域づくり活動への支援や地域コミュニティ拠点施設の整備支援などを推進するとともに、地域との連携を密接に取りながら、市民活動の担い手の育成に取り組んでまいります。また、市内15地区の地域福祉推進委員会事業への支援、広域的なコーディネート役を担う地域福祉コーディネーターの配置など、地域福祉の着実な推進に努めてまいります。
海外友好都市との交流につきましては、友好都市締結10周年を迎える韓国軍浦市を始め、海外からの訪問団の受入れや派遣、市内家庭でのホームステイを通じて異文化に触れる機会を充実するなど、国際交流の推進に努めてまいります。
 自信と誇りを持てる人権尊重社会の実現につきましては、様々な施策に取り組み、より一層の人権意識の高揚と、男女共同参画社会の実現に努めるとともに、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある方に包括的・継続的な支援を行うことで、生活困窮者の自立と尊厳の確保に向けた取組を推進してまいります。
 セーフコミュニティの推進による安心・安全な社会の実現につきましては、本年11月の再認証取得に向けて、更なる取組の充実と気運の高揚を図るとともに、国内15自治体が加入する「全国セーフコミュニティ推進自治体ネットワーク会議」の会長市として、引き続き、広く国内外にセーフコミュニティの取組を発信してまいります。
また、インターナショナルセーフスクールにつきましては、本年11月の認証取得を目指しております睦合東中学校に対し、一層の支援を行うほか、安心・安全な教育環境づくりに向けた取組を更に充実してまいります。
 安心・安全の向上に取り組む社会の実現につきましては、安心安全なまち会議など地域団体との協働により、防犯活動の一層の充実に努めてまいります。また、本厚木駅周辺における客引きやスカウト行為等に対する指導を強化し、「中心市街地客引きゼロ」を目指すとともに、自治会や商店会、防犯ボランティア団体などとの協働による、防犯パトロール体制の充実に努めるなど、本厚木駅周辺の環境浄化対策を強力に推進してまいります。
さらに、多様化する消費者トラブルに対応するため、今後も身近な相談窓口である消費生活センターの体制を継続するとともに、悪質商法などによる被害を防止するため、地域や関係団体などと連携し、「振り込め詐欺被害ゼロ」を目指して、積極的な啓発に取り組んでまいります。
 交通安全対策につきましては、「交通死亡事故ゼロ」を目指し、交通安全教室の充実や啓発活動の強化に取り組むとともに、自転車乗車中のけがを軽減するため、新たに中学生の自転車ヘルメット購入費の一部を助成してまいります。
また、放置自転車対策につきましては、「放置自転車ゼロ」を目指し、放置自転車の整理・移動をより積極的に実施するなど、対策を強化することにより、本厚木駅及びその周辺施設利用者の安全な通行の確保に取り組んでまいります。
 命と暮らしを守る社会の実現につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、高齢者や障がい者などの避難行動要支援者に対する対策を進めるとともに、改正された災害対策基本法など関係法令への対応のほか、富士山火山噴火や雪害等に対応するため、「厚木市地域防災計画」を改定し、大規模な自然災害への対策を強化してまいります。
さらに、大規模地震等の自然災害が発生した場合においても、本市の行政サービスを停滞することなく戦略的に継続できるよう、業務継続計画(BCP)を策定するとともに、帰宅困難者対策として、人口・都市機能が集積した本厚木駅周辺における滞在者等の安全確保を図るため、「都市再生安全確保計画」を策定してまいります。
また、近年、頻発している集中豪雨等による本厚木駅周辺における浸水被害の軽減を図るため、既存施設を最大限活用した効果的な対策として、雨水貯留施設等の具体的な整備計画を策定し、社会資本整備総合交付金の採択を受け、早期完成を目指し取り組んでまいります。
さらに、高齢化の進展等により救急需要が増加していることなどから、救命率の向上を目指し、新たにコンビニエンスストア及び全ての老人憩の家に自動体外式除細動器(AED)の設置を推進してまいります。
また、地震などによる大規模災害に備え、広域的な連携を強化するため、消防救急デジタル無線等の整備を実施するほか、地域防災の要である消防団の装備品等の充実を図るとともに、消防団や自主防災隊等との連携を更に推進し、地域防災力の充実強化に努めてまいります。

(2)成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 学校教育の一層充実した社会の実現につきましては、教育委員会が推進する各種事業を計画的、効果的に展開し、「教育環境日本一」の実現を目指してまいります。
児童・生徒一人一人の学力の向上を図るため、新たに中学校1年生の35人以下学級をモデル校で実施するとともに、小学校と中学校の教員の人事交流を実施するなど、小・中一貫性を持った教育を更に効果的に推進し、いわゆる「中一ギャップ」の解消を図ってまいります。
また、新しい学習指導要領に対応するため、教職員の研修の充実に加え、外国語指導助手の派遣や、特別な配慮が必要な児童・生徒への支援を行う特別支援介助員等の活用を積極的に推進してまいります。
いじめ防止につきましては、昨年7月に策定した「厚木市いじめ防止基本方針」に基づき、いじめの未然防止と早期発見・早期対応に向けた実効的な取組を進めるとともに、引き続き小学校に非常勤講師を派遣することで、児童支援体制を充実し、「いじめゼロ」を目指してまいります。
不登校対策につきましては、児童・生徒が抱える心の悩みの早期発見・早期対応を目指して、元気アップアシスタントやスクールカウンセラーを学校へ派遣するとともに、関係機関との連携を図りながら、より効果的な支援を行ってまいります。
また、防犯ブザーの配布や通学路の危険箇所に学童通学誘導員を配置するなど、児童・生徒の安全確保体制のより一層の充実を図ってまいります。
さらに、一人でも多くの生徒が夢の実現に近づき、意欲的に学校生活を送ることができるよう、昨年、市民の方からの寄附を基に創設した奨学金制度を適切に活用してまいります。
 教育環境の整備につきましては、児童・生徒が安全で快適な教育環境の中で学校生活を送ることができるよう、引き続き小学校普通教室への冷暖房設備の設置に取り組むとともに、校舎のトイレや屋上などの改修を実施してまいります。
学校給食につきましては、学校給食施設整備事業として、昨年実施した調査を基に、今後の小学校及び中学校の給食施設整備方針を策定してまいります。
 社会教育の一層充実した社会の実現につきましては、地域の拠点施設である公民館を活用し、家庭・学校・地域が協働で、地域社会における教育力の向上を目指すとともに、教育の原点である家庭教育の支援を行い、地域全体で子どもを守り、育てる機運を高めてまいります。また、地域活動の更なる充実を図るため、厚木南公民館の新築工事に着手してまいります。
 いつでも生涯学習に取り組むことができる社会の実現につきましては、市内5大学との協働による「あつぎ協働大学」の開校や市民講師による「輝き厚木塾」における市民の皆様との連携などにより、生涯学習の推進を図ってまいります。
 文化芸術に親しむことができる社会の実現につきましては、「厚木市文化芸術振興条例」に基づき、市民の皆様、文化芸術団体の方々と連携・協働し、「あつぎ市民芸術文化祭」や「あつぎ映画祭」などを開催することで、文化・芸術活動の推進を図ってまいります。
また、アミューあつぎ内のあつぎ市民交流プラザを積極的に活用し、市民の皆様の生涯学習、文化・芸術活動を支援してまいります。
さらに、市内に伝わる伝統ある郷土芸能を継承するため、市民の皆様や郷土芸能保存団体と協働し、後継者の育成に努め、文化芸術の振興に取り組んでまいります。
また、厚木市の豊かな自然や歴史文化について、市民の皆様に一層認識を深めていただくため、郷土文化を育む拠点となる(仮称)収蔵資料館の建設に向けた準備を進めてまいります。

誰もがスポーツに親しむことができる社会の実現につきましては、生涯にわたってスポーツに親しむことができる環境づくりを進め、「スポーツで心がふれあう都市(まち)あつぎ」を目指してまいります。
あつぎスポーツアカデミー事業につきましては、アスリートの育成や指導者の養成などのメニューを更に充実することで、国際大会や全国大会に出場できる選手を輩出するきっかけづくりや、スポーツ人口の拡大を図ってまいります。
また、公共スポーツ施設につきましては、「厚木市スポーツ施設整備推進計画」に基づき、サッカーの専用的な利用を中心とした中津川スポーツ広場など、計画的な整備・充実を図ってまいります。さらに、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、スポーツ文化の振興、国際交流の推進、観光振興及びバリアフリーのまちづくりなど、将来のあつぎにつなげるレガシー(遺産)の創出に取り組んでまいります。

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 地球温暖化防止・低炭素社会の実現につきましては、「あつぎ元気地域エネルギー構想実行計画」に基づき、創エネ、省エネ、蓄エネの取組を計画的に推進し、住宅用太陽光発電システムやエネルギー管理システムを始め、ゼロ・エネルギー・ハウスにつきましても、市民の皆様への導入支援を引き続き行ってまいります。
また、防災拠点となる学校施設への太陽光発電システムの設置につきましても、引き続き計画的に進めてまいります。
 持続可能な循環型社会の実現につきましては、「ミッション35」を掲げ、市民の皆様と共にごみの減量化・資源化を着実に進めてきた結果、家庭系の資源化率は34パーセントと目標に近づくことができましたが、更なるごみの減量と分別の徹底による資源化の推進に向け、「厚木市一般廃棄物処理基本計画」に基づき、市民の皆様だけでなく事業者との協働による循環型社会の形成を推進してまいります。
 自然と共生する社会の実現につきましては、豊かな自然とその恵みを次世代へ引き継ぐため、全国に先駆けて策定した「生物多様性あつぎ戦略」に基づき、環境関連団体の皆様との連携により、生物多様性についての普及啓発事業を推進してまいります。また、本市の生物多様性の実態を把握するためのレッドデータ報告書の作成を継続して行うとともに、生きもの調査を市民協働で行うことができるシステムを構築し、運用してまいります。
さらに、森林の持つ多面的・公益的機能の保全・再生を図るため、「元気な森づくり整備計画」に基づき、荒廃林を計画的に整備するとともに、森林ボランティア活動を支援し、森林への愛護意識の向上に努めてまいります。
 豊かな生活環境の実現につきましては、子どもたちが豊かな自然で「遊んで学んで元気になれる」自然体験活動型の公園として整備を進めている(仮称)健康こどもの森を開園し、子育て・教育環境の拡充を図ってまいります。
 生活環境の保全につきましては、市民協働で「落書きをさせないまちづくり」の取組を推進するとともに、動物愛護精神の普及啓発や、ペットの飼養マナー向上を図るための意識啓発に努めてまいります。
 河川と共生する社会の実現につきましては、相模川、中津川を始めとする河川の保全・再生とその利活用に関する計画及び三川合流点地区の観光等の活性化につながる水辺拠点づくりを推進するとともに、谷戸周辺の水辺環境を再生し、多様な動植物の生育環境の保全・再生を引き続き推進してまいります。
また、河川敷の樹林化対策、市民の皆様との協働による草花の植栽や河川清掃活動など、河川環境の保全・再生に取り組むほか、児童を対象とした環境学習として、水辺ふれあい事業を実施してまいります。
水源環境保全・再生事業につきましては、「第2期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」を踏まえ、水源環境の保全や再生への直接的な取組である生態系に配慮した河川の整備を実施してまいります。

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 活力ある中心市街地の実現につきましては、「県央の雄都」にふさわしいまちづくりを全力で進めてまいります。
中町第2-2地区周辺につきましては、市民の皆様が気軽に立ち寄れ、充実した時間を過ごすことができる第3の場所づくり「サードプレイス」をコンセプトに、6つの整備方針を定めており、未来の図書機能と科学機能を核とした複合施設の建設に向け、基本計画を作成するとともに、魅力ある民間機能の誘致を図り、バスセンターを始めとした交通機能の充実に向け、事業を推進してまいります。
本厚木駅南口地区市街地再開発事業につきましては、駅前広場の拡充整備を図るとともに、商業、業務、居住機能を合わせた魅力ある再開発ビルの整備を促進するため、今後予定しております都市計画決定を踏まえ、再開発組合の設立を積極的に支援するなど、事業推進に取り組んでまいります。
アミューあつぎにつきましては、オープン1周年を迎えるに当たり、音楽コンサートや講座、ワークショップなど、様々な記念事業を開催するほか、文化・芸術、生涯学習関連や親子を対象とした市民参加型の事業を実施してまいります。また、本市最大のイベントであるあつぎ鮎まつりやハロウィンなどに合わせ、季節ごとの特色をいかした魅力ある施設運営を行い、更なるにぎわい創出と中心市街地の活性化を進めてまいります。
地域特性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、森の里東地区のまちづくりとして、ひと・自然・産業が響き合うまち「エコー・キャンパス」を整備コンセプトに掲げ、昨年11月には工業系の都市計画事業としては50年ぶりとなる土地区画整理事業に係る組合設立を認可し、本年1月から本格的な工事に着手したところであり、引き続き組合及び業務代行者の皆様と共に、事業の計画的な進捗に努めてまいります。
関口・山際地区の市街化調整区域の先行エリア約22ヘクタールにつきましては、土地区画整理事業の事業化を目指し、組合設立に係る調査及び設計など、準備委員会を支援してまいります。
また、先行エリア北側約17ヘクタールにつきましても、関係機関との連携を図りながら、防災機能を備えた公園の整備を視野に入れ、土地区画整理事業調査など、権利者組織を支援してまいります。
さらに、南部産業拠点地区の先行検討エリア約27ヘクタールにつきましては、事業計画書の作成に向けた基本設計など、権利者組織を支援するとともに、農地に係る課題等に対応してまいります。
また、第7回線引き見直しを見据え、「都市マスタープラン」に位置付けた土地利用検討ゾーンなどについて、活力ある土地利用の推進を図ってまいります。
このほか、人に優しく景観に配慮した快適で魅力ある街並みを創出するための都市サインを整備するとともに、住宅に困窮している方々に良質な住まいを提供するための市営住宅の整備や、空家等対策の推進に関する特別措置法の施行に伴う、空家等対策計画の策定など、積極的な取組を進めてまいります。
 快適生活空間の実現につきましては、「厚木市下水道中期ビジョン」に基づき、公共下水道事業計画による雨水管の整備を推進するとともに、老朽化する下水道施設の機能を維持するため、長寿命化事業を推進してまいります。
高規格幹線道路等につきましては、昨年8月、積極的な要望活動が実り、(仮称)厚木パーキングエリアスマートインターチェンジの連結許可を受けたことから、平成30年度末までの供用開始を目指し、関係機関との調整を図りながら、実施設計等を進めるとともに、新東名高速道路や厚木秦野道路の早期整備促進について、関係自治体と連携し国等との調整を行ってまいります。また、これらの高規格幹線道路等の整備の進捗と合わせ、本市の道路ネットワークの拡充を図るため、本厚木下津古久線や厚木環状3号線等の都市計画道路の整備を進めるとともに、新たに周辺の県道及び1級市道を補完する道路として、赤坂竹ノ内線の整備に着手してまいります。
 企業・商業活動が活発なまちの実現につきましては、昨年、国から認定を受けた創業支援事業計画に基づくビジネスチャレンジャーへの支援と併せ、市内企業等の成長を一貫してサポートしてまいります。また、「厚木市・日産自動車グリーンモビリティ・プロジェクト協定」に基づき、厚木で誕生し、世界での普及が着実に進んでいる電気自動車等の利活用を図り、環境・交通先進都市を目指すとともに、関連産業の振興に努めてまいります。
企業誘致につきましては、引き続き全国でもトップレベルのインセンティブやワンストップサービスにより、森の里東土地区画整理事業と連携した企業誘致を進めるとともに、新たな企業の進出や既存企業の事業拡大を促進し、地域経済の持続的な発展と雇用の創出につなげてまいります。
さがみロボット産業特区に関する取組につきましては、ロボット関連企業等の研究開発の促進や技術力の向上を支援するとともに、企業や大学などが保有する技術の連携をより強化するほか、販路拡大に向け、ロボットの展示会等に出展し、ロボット産業の振興と集積を図ってまいります。
商業活動につきましては、商店会等の関係団体と連携を深め、にぎわい元気繁盛店相談支援事業を始め、あつぎ商店会PR事業などを支援し、魅力と特色ある商業活動の推進に取り組んでまいります。また、子育てパスポート事業を充実させ、子育て世代への更なる支援と商業の振興を図るとともに、新規事業として、商店街LED化事業補助金を創設し、街路灯の省エネルギー化と環境にやさしいまちづくりを推進してまいります。さらに、地元消費の拡大、地域経済の活性化を図るため、国の交付金を活用したプレミアム付きあつぎ元気商品券事業を実施してまいります。
 新たな戦略による観光のまちの実現につきましては、自治体連携による広域観光圏の取組をより一層推進するとともに、ターゲットを絞った観光情報の発信力を強化することで、広域的な誘客につなげてまいります。また、4月に法人化が予定されている厚木市観光協会との連携を更に深め、観光振興を一層推進するとともに、観光協会が運営する「厚木市まるごとショップ あつまる」の運営を支援し、物産販売を通じた市内名産品等の販売促進と併せ、地方の自治体との観光交流を推進してまいります。
 都市農業・林業をいかした地域産業の実現につきましては、厚木市都市農業支援センターと連携し、新たな担い手の育成や耕作放棄地の再生等による農地の有効利用を推進するとともに、農業の経営基盤強化を図るため、6次産業化の普及促進や農業機械の導入支援等に努めてまいります。また、安心・安全な農畜産物の地産地消の推進、園芸施設への省エネ設備の導入を支援してまいります。
さらに、林業の振興を図るため、荒廃林を計画的に整備し、積極的な間伐材の搬出に努めるとともに、公共施設における地元産木材の利用を促進してまいります。
また、有害鳥獣対策につきましては、適正な捕獲を始め、農作物被害や生活被害の防止を目的に設置した広域獣害防護柵の機能維持や、ヤマビルが生息しにくい環境整備などに取り組んでまいります。
 安心して働くことができる社会の実現につきましては、求職者の人材育成等の支援を行いながら、市内企業とのマッチングの場を提供するなど、非正規から正規雇用に結び付ける雇用拡大促進事業を実施してまいります。また、就労や職場の諸問題などに対応する各種相談事業等と併せて、よりよい就労環境づくりを進めてまいります。

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。

行財政改革の推進につきましては、本市が今後も発展し続け、「強いあつぎ」の未来を創造するため、第6次厚木市行政改革大綱「あつぎ行政経営プラン」において、「強い組織をつくる」、「強い財政をつくる」、「市民とともに公共サービスを向上させる」の3つの重点目標を掲げ、更なる改革に積極果敢に取り組んでまいります。
 財政運営につきましては、少子高齢化の進展による社会保障関係経費や公共施設の老朽化による維持管理経費の増大に伴い、より一層厳しさが増す状況にあります。このため、税・料等の自主財源や国庫補助金等の特定財源など、様々な面から積極的な財源確保に努め、多様な市民ニーズに的確に対応するとともに、将来の税収確保を見据えた都市基盤整備など、強い財政につながる取組を行ってまいります。
さらに、急速な少子高齢化の進展及び人口減少などに対応するため、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、人口の現状及び将来の展望を示す「(仮称)厚木市人口ビジョン」を策定するとともに、平成27年度から5か年の施策の目標、基本的方針及び具体的な施策等をまとめた「(仮称)厚木市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定してまいります。
また、市内の公共施設の老朽化が進み、建て替えや大規模改修が必要となることから、「厚木市公共建築物の維持管理計画」に基づく計画的な修繕を進めるとともに、今後も良質な市民サービスを次代へと引き継ぐため、公共施設のより効率的かつ効果的な適正配置を推進してまいります。
情報化につきましては、マイナンバー法による社会保障・税番号制度が平成28年1月に導入されることに伴い、関連業務が円滑に執行できるよう、住民記録、税、保険料などを扱う基幹系情報システムの対応等を行うとともに、市民の皆様へ個人番号カードの交付を行ってまいります。
また、窓口の混雑緩和を図るための自動交付機及び全国のコンビニエンスストアで住民票の写し等が取得できるコンビニ交付システムを導入してまいります。
さらに、国や県、他の自治体などの動向を踏まえつつ、本市が持つ公開可能な情報を、コンピュータで直接読み取ることができるデータとして積極的に公開するオープンデータなどの新たな取組を行ってまいります。
 都市間連携の推進につきましては、近隣市町村と市域を越えた連携を強化し、都市間連携の円滑な推進を図ってまいります。また、鉄道等の広域交通につきましては、小田急多摩線等の延伸を、国、県等の関係機関へ働きかけるとともに、引き続き調査研究に取り組んでまいります。
国内友好都市との交流につきましては、友好都市締結30周年を迎える秋田県横手市、10周年を迎える北海道網走市と文化、教育、スポーツ等を通して相互理解を更に深めるとともに、今までにない歴史や文化などの交流を一層推進するため、新たな友好都市の締結を目指してまいります。
信頼政策の最後になりますが、本年2月1日、本市は市制施行60周年を迎えました。昨年は市制60周年の気運を高めるためのカウントダウン事業を実施してまいりましたが、本年につきましても、多くの市民の皆様に厚木市への愛着と誇りを感じていただけるよう、実行委員会などの御協力をいただきながら、様々な記念事業を展開してまいります。
また、市制60周年記念日に宣言した「あつぎ市民ふれあい都市宣言」につきましては、市民自治のシンボルとして、合言葉のように市民の皆様に身近に使っていただけるよう広くお知らせするとともに、市民相互のふれあいの輪を、家庭から地域へ、そしてまちづくりへと広げ、市民の皆様と共に、「心ふれあうまち厚木」を築いてまいります。

3 おわりに

 以上、平成27年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策につきまして、御説明申し上げました。
 私は今年の市政運営のテーマとして、「光輝」の2文字を掲げました。言葉のとおり光り輝くという意味であります。市民の皆様お一人お一人が光り輝く素晴らしい社会を実現し、子どもや孫など次の世代にしっかりと受け継いでいくことが、今を生きる私たちの使命であります。
更なる少子高齢化や人口減少社会の到来、経済・産業構造の変化、地方分権の進展など、厚木市を取り巻く環境は誰もが経験したことのない局面を迎えようとしており、この先直面する課題も数多く存在しています。
しかしながら、経営革新度日本一の原動力となった本市が誇る「あつぎの市民力」をもってすれば、どんなに困難な課題であっても、必ずや、乗り越えることができるものと私は確信しております。
市民の皆様お一人お一人の熱い思いを一つに結集し、これまで築いてまいりました「元気なあつぎ」が、将来にわたって光り輝く雄都として更に発展できますよう全身全霊をかけて取り組んでまいる所存であります。
総合計画に掲げる将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを、心からお願い申し上げ、平成27年度の施政方針といたします。

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