平成29年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

スーツ姿でネクタイを締めてマイクの前で話をしている小林市長の写真

1 はじめに

 平成29年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 先人のたゆまぬ努力と挑戦により、県内有数のまちへと発展してまいりました厚木市は、前回の東京オリンピックが開催された1964年から53年連続で普通交付税不交付団体を堅持しており、地に足を付けた「自主・自立」の市政運営を行っている全国に誇れるまちであります。
 また、大山や相模川などの豊かな自然環境や都心から最も近い本格的な温泉などの観光資源を有するとともに、今後、新東名高速道路や厚木秦野道路のインターチェンジ開設が予定されるなど、将来に向けて大きく発展する可能性を秘めております。
 国内の動向に目を向けますと、昨年は熊本地震や、新潟県糸魚川市の大規模火災など、災害に対する備えの重要性を再認識させられた出来事が強く印象に残っており、様々な課題に対し、引き続き不断の取組を進めていかなければならないという決意を新たにしているところであります。
 また、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題など、高齢化の更なる進展や人口減少により市税収入が減少し、公共施設の維持管理や市民サービスの質の確保にも影響を及ぼすことが懸念されており、将来を見据えたまちづくりが求められております。
 「人生の本舞台は常に将来に在(あ)り」。これは、憲政の神様といわれた尾崎行雄の言葉であり、「現在為(な)していることは、全て将来に備えてのことである」という意味であります。この考え方は、現代においても全く色褪(あ)せることのない自治体経営にも当てはまるものであり、「先見」をテーマに掲げた平成28年は、将来を見据えたまちづくりに迅速果断(じんそくかだん)に取り組んでまいりました。
 平成29年は、こうしたまちづくりを更に前へ進めるとともに、新しい視点からの発想を常に意識したまちづくりを進め、県央地区はもとより、全国の自治体をリードしていく強い決意を持って、市政運営のテーマに「進取」を掲げました。
 地方創生の取組が本格化し、都市間競争が厳しさを増している中、市民の皆様が誇りと愛着を持って安心・安全に暮らすことができる「元気なあつぎ」の実現に向け、進取果敢(しんしゅかかん)に取り組んでいく所存であります。
 こうした思いから、平成29年度当初予算につきましては、本市の発展に欠かせない「都市基盤整備・地域経済活性化の推進」、人口の将来展望の実現を目指す「保育所・学童保育待機児童ゼロの実現及び児童・生徒の学力向上を始めとした地方創生の推進」、誰もが生きがいを持って安心して生活できる「地域包括ケア社会の実現」、市民の生命と財産を守るための「安心・安全の推進」、「東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた環境整備の推進」の五つを重点項目とする「あつぎの元気進取予算」として編成を進め、一般会計は過去最大となる808億円、特別会計を合わせた総額では1,447億円を超える予算規模といたしました。
 また、平成29年度は、「あつぎ元気プラン」第3期実施計画の最終年度でもあります。計画に位置付けた事業を着実に推進することはもとより、更なる市民満足度の向上に向け、総仕上げとなる第4期実施計画を策定してまいります。
 それでは、主要な取組につきまして、「あつぎ元気プラン」の五つの基本政策ごとに御説明申し上げます

2 五つの基本政策

(1) 安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 安心して子育てできる社会の実現につきましては、保育所や認定こども園等への本市独自の財政支援、子育て世帯等の経済的負担軽減に引き続き取り組むとともに、子育て支援センターの拡充整備による個々の家庭の状況に対応した適切な支援や、幼児期教育の充実など、安心して子どもを産み、育て、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりに努めてまいります。
 保育環境につきましては、平成29年度を「保育所待機児童ゼロに向けた総仕上げの年」と位置付け、新たな認可保育所や小規模保育施設、認定こども園における保育所機能の整備などを積極的に推進し、保育の受け皿を更に拡大してまいります。
 また、昨年、市民の方からいただきました寄附を基に「久保子どもの未来応援基金」を創設し、保育士の人材確保を目的とした全国トップの補助額となる奨学金返済助成金及び県内初の転入奨励助成金制度を導入することで、保育所待機児童の解消につなげてまいります。
 さらに、働きながら安心して子育てができるよう、放課後児童クラブの受入定員を拡大するなど、「学童保育待機児童ゼロ」に取り組んでまいります。
 深刻化している児童虐待及びDV対策につきましては、相談体制の更なる強化と、関係機関との緊密な連携により、「居所不明児童ゼロ」を継続してまいります。
 また、保健福祉の拠点として本年4月にオープンする保健福祉センター内に、発達に不安のある親子の療育相談の場「まめの木」、障がい児の通所施設「ひよこ園」、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行う母子健康包括支援センターの三つの拠点施設を新たに開設し、関係機関との連携を更に深め、全ての親子が地域の中で安心して暮らすことができるよう、療育支援・相談支援を充実してまいります。
 さらに、発達や行動上において支援を必要とする児童を早期に発見し、療育支援につなげるため、新たに5歳児健康診査を幼稚園及び保育所のモデル園でスタートするほか、子どもの健全な発達を支援するため、新たに軽度(けいど)・中等度(ちゅうとうど)の難聴児に対し、補聴器購入費の一部を助成してまいります。
 高齢者・障がい者が生きがいを感じる社会の実現につきましては、「地域包括ケア社会」の実現に向け、地域福祉の拠点となる地域包括支援センターの機能を拡充するとともに、障がい者相談支援センターを新たに1か所整備するほか、(仮称)在宅医療・介護・生活支援連携センターの設置に向けた準備を進め、地域における高齢者や障がい者の支援体制の強化に取り組んでまいります。
 また、在宅福祉を推進するため、85歳以上の世帯を対象とした県内初となるタクシー助成制度を創設するほか、介護職の人材確保及び定着を図るため、介護職員のキャリアアップを支援してまいります。
 健康・長寿社会の実現につきましては、「健康食育あつぎプラン」に基づきモデル地区で実施してまいりました、まちの保健室を全市展開するなど、「生涯現役健康都市」の実現を目指してまいります。
 がん検診につきましては、受診者の利便性の向上を図るため、複数のがん検診を一度に行えるセット検診の定員数を拡大するとともに、成人眼科健康診査につきましても対象者を拡大してまいります。
 国民健康保険事業につきましては、医療データや特定健康診査などの医療情報を活用したデータヘルス計画に基づく効果的・効率的な保健事業を実施することで、生活習慣病の発症や重症化の予防に努めるとともに、平成30年度から始まる国民健康保険新制度の円滑な実施・運営に向けた準備や県等との協議を進めてまいります。
 市立病院につきましては、昨年11月に外来及び内科系病棟を含む全ての医療機能が整いました。今後も、地域医療の中心を担う基幹病院として、その機能を十分に発揮し、市民の皆様の生命と健康を守ってまいります。
 多様な市民活動が共存する社会の実現につきましては、自治会を始めとする地域活動団体を支援するとともに、地域活動の担い手の育成を図るなど、市民協働を更に推進してまいります。
 また、高齢者等の日頃の見守りや、身近な助け合いの体制づくりなどに主体的に取り組んでいただいております地域福祉推進委員会の活動を積極的に支援するとともに、地域の皆様と協力して、「孤独死ゼロ」に取り組んでまいります。
 自信と誇りを持てる人権尊重社会の実現につきましては、誰もがお互いを尊重し、共に認め合うことができる人権意識の更なる高揚を図るとともに、平成30年度から始まる「男女共同参画計画」を策定してまいります。
 セーフコミュニティの推進による安心・安全な社会の実現につきましては、全国セーフコミュニティ推進自治体ネットワークのリーダーとして、全国の自治体への情報発信とネットワークの拡大に取り組むとともに、平成30年に本市で開催いたします第9回アジア地域セーフコミュニティ会議に向け、市民の皆様や、関係団体等の皆様と共に準備を進めてまいります。
 安心・安全の向上に取り組む社会の実現につきましては、中心市街地の更なる環境浄化を促進するため、「客引き行為等防止条例」に基づく指導・勧告を徹底し、「中心市街地客引きゼロ」を目指すとともに、自治会や商店会、防犯ボランティア団体などと連携した環境浄化パトロールを重点的に実施することで、体感治安の更なる向上に取り組んでまいります。
 また、多様化する消費者トラブルに対応するため、相談員等の対応能力の向上に努め、消費生活相談体制の充実を図るとともに、悪質商法などによる被害を防止するため、地域や関係団体と連携した積極的な啓発活動を展開することにより、「振り込め詐欺被害ゼロ」を目指してまいります。
 さらに、地域防犯力の一層の向上を図るため、街頭犯罪や不審者が発生している通学路等に、防犯カメラを設置してまいります。
 交通安全対策につきましては、自転車ヘルメット購入費助成の対象者を高校生まで拡大するほか、中学生を対象としたスケアード・ストレイト教育技法による自転車安全教室を新たに実施するとともに、厚木警察署と連携した啓発活動に取り組むなど、「交通死亡事故ゼロ」を目指してまいります。
 また、本厚木駅及び駅周辺施設利用者の利便性の向上と「放置自転車ゼロ」を目指し、厚木労働基準監督署跡地を取得し、新たな自転車等駐車場の整備に取り組んでまいります。
 命と暮らしを守る社会の実現につきましては、局地的な集中豪雨や大型台風等に起因する浸水被害への対策を強化するため、厚木南地区における雨水貯留施設の整備工事に着手するとともに、周辺地区の雨水管整備を進めるほか、準用河川善明川における洪水浸水想定区域図を作成し、市民の皆様の水害に対する意識向上を図ってまいります。
 また、発生の確率が引き上げられた南海トラフ地震などの大地震に備え、新型防災ラジオの有償配布に引き続き取り組むとともに、熊本地震の揺れを体験することができる最新式の起震車を導入し、市民の皆様の防災意識の高揚に努めてまいります。
 さらに、高齢者や障がい者等の避難支援をより実効性のあるものとするため、避難行動要支援者名簿を作成し、新たな地域ぐるみの避難支援体制の確立に努めるほか、災害時に大量に発生する災害廃棄物を迅速かつ適切に処理し、早期復旧・復興を図るための「災害廃棄物等処理計画」を策定してまいります。
 また、木造住宅の更なる耐震化を進めるため、耐震改修補助制度の活用を促進するとともに、既存下水道施設の耐震化などに着手してまいります。
 消防・救急体制につきましては、今後開通予定の新東名高速道路などの高規格幹線道路における災害対応や、大規模災害時における消防・防災拠点施設としての機能を確保するため、新たな厚木消防署相川分署の整備に向けた用地取得等に着手するとともに、消防隊員の接近が困難な災害現場において効果的な消防活動を行うため、無人航空機「ドローン」を導入してまいります。
 また、消防団員の活動環境の充実や、近隣消防機関との広域的な連携強化に取り組むとともに、「火災のない安心・安全なまち」を目指し、住宅防火対策の更なる推進や、多くの市民の皆様が利用する集客施設等の防火管理体制の強化に努めてまいります。
 さらに、高齢化の進展等により増加する救急需要に的確に対応するため、救急救命士を計画的に養成するとともに、市民救命サポート隊を新たに宮の里地区に組織するなど、「救命第一のまち」を目指してまいります。

(2)成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 学校教育の一層充実した社会の実現につきましては、平成30年度から始まる「教育大綱」及び「教育充実プラン」を策定するとともに、「教育環境日本一」への取組を広く市内外に発信するため、新たに教育委員会広報紙を発行してまいります。
 また、学校、家庭及び地域が協働し、地域に開かれた学校づくりを進める学校運営協議会制度「コミュニティ・スクール」を2か年で全小・中学校に導入してまいります。
 児童・生徒の学力の向上につきましては、全小・中学校にタブレット型パソコンを導入することにより、分かりやすく、より深まりのある授業内容とするなど、学習活動の充実を図るほか、個別の学習支援を行う「あつぎICT元気塾」を新たに実施するとともに、全小・中学校に配置しております学力ステップアップ支援員による学習支援を拡充し、児童・生徒の確かな学力の向上につなげてまいります。
 また、障がいのあるなしにかかわらず、全ての子どもができるだけ同じ場で共に学ぶ、インクルーシブ教育の実現を目指し、個々の状況に応じた支援体制を充実してまいります。
 いじめ防止及び不登校対策につきましては、未然防止・早期発見・早期対応に向けた実効的な取組を進めるとともに、児童・生徒が抱える多様化・複雑化している課題に的確に対応するための教育ネットワークコーディネーターの計画的な派遣や、個々の状況に応じたきめ細かな支援・指導を行うなど、不登校の改善と「いじめゼロ」を目指してまいります。
 また、市民の方からの寄附を基に創設した「久保奨学金基金」を活用し、一人でも多くの生徒が夢の実現に近づき、意欲的に学校生活を送ることができるよう、引き続き支援してまいります。
 また、安心・安全で快適な学校生活を送ることができるよう、平成30年度にインターナショナルセーフスクール認証取得を目指しております妻田小学校及び睦合東中学校に対し、なお一層の支援を行うほか、引き続き校舎のトイレ・外壁等の改修、校庭整備を進めるとともに、三田小学校体育館の建設工事に着手してまいります。
 学校給食につきましては、将来にわたり、児童・生徒に安心・安全な給食を提供するため、「学校給食施設の整備方針」に基づき、第一段階である(仮称)学校給食センターの整備に取り組んでまいります。
 社会教育の一層充実した社会の実現につきましては、地域全体で子どもを守り、育てる気運を高め、地域全体の教育力の向上を図るため、モデル地区で実施しておりました地域ぐるみ家庭教育支援事業を全地区で推進してまいります。
 いつでも生涯学習に取り組むことができる社会の実現につきましては、「読書大好きあつぎっ子」を育成するため、「第3次子ども読書活動推進計画」を策定してまいります。
 また、あつぎ協働大学につきましては、より魅力ある内容とするため、「進化」をテーマに、市内企業の最先端テクノロジーなどを学ぶことができる企業科目を充実してまいります。
 文化芸術に親しむことができる社会の実現につきましては、市民の皆様や関係団体との協働による、あつぎ市民芸術文化祭の開催を始め、文化振興財団と連携し、魅力ある様々な文化芸術事業を展開するとともに、市民協働提案事業として、吹奏楽を愛する人々が集い、奏でる新たな音楽文化振興発信事業を実施してまいります。
 さらに、これまで3組の若手アーティストを輩出しております、あつぎミュージックフェスティバルの開催を引き続き支援することで、若者の夢と希望の実現を後押しし、まちの活力につなげてまいります。
 また、本市の歴史や文化、自然を学ぶ場として、郷土への愛着と誇りを育む拠点施設となる、(仮称)あつぎ郷土資料館の建設工事に着手してまいります。
 誰もがスポーツに親しむことができる社会の実現につきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、ホストタウン相手国であるニュージーランドとの交流事業として、ラグビーチームのキャンプ誘致を始め、子どもたちの夢と希望を育むための様々な事業を展開するとともに、県との共催事業として、かながわパラスポーツフェスタを開催してまいります。
 また、荻野運動公園における競技環境の充実を図るとともに、キャンプに適した施設として国内外に発信するため、メインアリーナの冷暖房設備の整備工事や、競技場施設の改修工事に着手してまいります。
 さらに、未来のトップアスリートの発掘と育成を目指した、あつぎスポーツアカデミーを充実するとともに、学校法人日本体育大学と連携し、幼児から高齢者まで幅広い世代の体力向上や健康増進に取り組んでまいります。

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 地球温暖化防止・低炭素社会の実現につきましては、子どもたちの積極的な環境保全活動を促進するため、小学生をジュニアエコリーダーとして認証する事業や、エコスクールの取組を引き続き推進してまいります。
 また、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネルギーの推進を図るため、スマートエネルギー設備やゼロ・エネルギー・ハウスの導入を引き続き支援してまいります。
 持続可能な循環型社会の実現につきましては、市民の皆様を始め、関係団体や事業者等との協働により、「もったいない」を合言葉に、ごみの減量と資源化を推進するとともに、食品ロスを削減するため、3010(さんまるいちまる)運動を推進してまいります。
 また、粗大ごみの収集期間の短縮化を図るとともに、将来に向けたごみの収集・運搬方法等の検討を進めてまいります。
 さらに、平成37年度の新ごみ中間処理施設の稼働に向け、厚木愛甲環境施設組合との連携を図り、環境アセスメントの手続を行うとともに、周辺地区のより良いまちづくりを進めてまいります。
 金田地区の皆様の御理解と御協力により、円滑に事業が進捗しておりますことに心から感謝申し上げます。
 自然と共生する社会の実現につきましては、生物多様性の保全や再生を図るため、フォーラムや環境学習講座などを開催するとともに、外来種問題に積極的に対応するため、外来生物の繁殖状況を投稿していただく写マップあつぎ外来生物調査隊の拡大や、自治会や環境団体等と連携した駆除活動を推進してまいります。
 また、新たな里地里山活動団体を認定するとともに、市民協働による様々な活動を推進するなど、里地里山の保全及び活用の促進を図ってまいります。
 豊かな生活環境の実現につきましては、市民の皆様のレクリエーション活動や安らぎの場を確保するとともに、市内北部地域における防災力の向上を図るため、(仮称)北部地区公園の整備に向け、検討を進めてまいります。
 また、環境美化を推進するため、市民協働による落書き消去活動や壁画制作などの取組を推進するほか、「路上喫煙ゼロ」に向け、関係機関と連携したパトロールを強化してまいります。
 さらに、人と動物との調和のとれた生活環境の実現を目指し、動物愛護精神の普及啓発、適正飼養の推進を図るとともに、災害時におけるペット動物に関するルールづくりに取り組んでまいります。
 河川と共生する社会の実現につきましては、観光等の活性化につながる水辺交流拠点づくりに向け、三川合流点地区において、手ぶらバーベキューや鮎のつかみ取りの社会実験を実施するとともに、(仮称)厚木パーキングエリアスマートインターチェンジ周辺地区の具体的な活用方策について引き続き検討してまいります。
 また、良好な河川環境の再生に向け、河川敷の樹林化対策や河床(かしょう)整理を促進するとともに、水源環境の保全や生態系に配慮した河川整備を引き続き進めるほか、準用河川恩曽川の未改修区間の整備に向けた用地取得等に着手してまいります。

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 活力ある中心市街地の実現につきましては、未来ある子どもたちが学び、考え、体験できる場として検討を進めております(仮称)こども未来館と新たな図書館の基本構想の策定と併せ、中町第2-2地区における複合施設の基本計画を策定するとともに、バスセンターを中心とした周辺の交通機能を充実させるための整備計画を作成してまいります。
 また、保健センター跡地につきましては、検診車等の駐車場として整備するとともに、市民の皆様から要望が寄せられております企業バスや観光バスの発着場として活用してまいります。
 本厚木駅南口地区市街地再開発事業につきましては、平成29年中の工事着手を目指し、駅前広場の拡充整備と商業、業務、居住機能を合わせた魅力ある再開発ビルの整備に向け、引き続き再開発組合への支援を行い、事業の計画的な推進に努めてまいります。
 また、「商業まちづくり計画」の将来像に掲げる「人が自然に集まるような温かみのあるまち」の実現を目指し、商店会や関係団体等が一体となった効果的なイベントの開催や、大型店と商店会の連携による共同事業の取組を推進し、まちのにぎわい創出と商業の活性化を図ってまいります。
 地域特性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、森の里東土地区画整理事業先行整備エリアの本年6月の工事完成と、平成29年中の企業操業を目指し、引き続き土地区画整理組合への支援を行うとともに、その他の整備エリアにつきましても、早期の完成を目指した工事を着実に推進してまいります。
 また、新たな産業用地として土地利用の検討を進めております関口・山際地区及び南部産業拠点地区につきましては、第7回線引き見直しにおきまして、一般保留に位置付けられたことから、土地区画整理事業の検討を行っている準備委員会等への支援や、権利者の合意形成を図るとともに、早期の市街化編入に向けた都市計画手続を進めてまいります。
 さらに、社会経済情勢の変化に的確に対応し、持続可能なまちづくりを推進するため、新たな「都市マスタープラン」及び「(仮称)総合都市交通マスタープラン」の策定に取り組むほか、愛甲石田駅周辺における都市機能の拡充に向けた検討を行ってまいります。
 快適生活空間の実現につきましては、(仮称)戸室ハイツ第2期の建設工事に着手するとともに、「空家等対策計画」に基づき、空き家の解体費や取得費に対する補助制度を創設し、利活用を促進してまいります。
 また、住宅政策を総合的かつ効果的に進めるため、「(仮称)住宅基本計画」を新たに策定してまいります。
 さらに、平成32年4月からの公共下水道事業への地方公営企業法適用に向け、下水道管きょ等の資産評価に取り組んでまいります。
 また、市民の皆様や企業の活動を支える交通環境の充実を図るため、連節バスを活用した新規路線や、新たな広域的拠点へのアクセスについて検討を進めるとともに、引き続き関係自治体と連携し、小田急多摩線等の延伸に向けた取組を進めてまいります。
 (仮称)厚木パーキングエリアスマートインターチェンジにつきましては、平成30年度末の供用開始を目指し、引き続き事業用地の取得等に取り組んでまいります。
 また、本市の道路ネットワークを構築する本厚木下津古久線や厚木環状3号線等の都市計画道路の整備を着実に推進するとともに、赤坂竹ノ内線につきましては、平成29年度末の供用開始に向け、整備を進めてまいります。
 さらに、東名高速道路や新東名高速道路、さがみ縦貫道路などと一体となって広域的・地域的交通の役割を担う厚木秦野道路につきましては、早期の整備促進に向け、引き続き関係自治体と連携し、国等へ強く要望してまいります。
 また、平成29年度中に予定されている新東名高速道路(仮称)厚木南インターチェンジの開設に当たり、記念イベントを開催し、市民の皆様と開通の喜びを分かち合うとともに、「元気なあつぎ」を市内外に発信してまいります。
 企業・商業活動が活発なまちの実現につきましては、新たな「産業マスタープラン」に基づき、商業や観光などの関連する個別計画と連携した横断的な施策を展開し、地域産業の活性化に取り組むとともに、「厚木市・日産自動車グリーンモビリティ・プロジェクト協定」に基づく充電インフラの整備促進を図るため、民間事業所における電気自動車充電設備設置に対する補助制度を創設してまいります。
 企業誘致につきましては、更なる地域経済の持続的な発展と雇用の創出を図るため、交通の要衝としての優位性と、我が国を代表する企業の研究所や開発センター等が集積している本市の強みをいかしながら、新たな戦略産業の誘致や既存企業の事業拡大を促進してまいります。
 また、市内の企業情報をデータベース化して情報発信することにより、企業間における提携・取引の機会の拡大及び産学公の連携強化につなげてまいります。
 ロボット産業につきましては、「ロボット産業推進計画」の将来像に掲げる「ロボットでつながる、ものづくり都市あつぎ」の実現を目指し、ロボット産業の創出を支援する補助制度を創設するとともに、産学公が連携し、市内企業のロボット産業への参入促進に向けた支援や仕組みづくりを進めるほか、ロボットの利活用に関する理解を深めてまいります。
 商業活動につきましては、商工会議所を始め、商店会連合会や商店会等との連携をより一層深め、魅力と特色のある商業活動を推進するため、にぎわい元気繁盛店相談支援事業や、あつぎ商店会PR事業などを実施するとともに、鮎を始めとする厚木産食材を使用した新たなご当地グルメの開発を支援してまいります。
 新たな戦略による観光のまちの実現につきましては、「観光振興計画」の基本目標に掲げる「自然と都会をつなぐ都市(まち)」の実現を目指し、広域的な周遊ルートにおける観光拠点の形成と交流人口の拡大を図るため、観光協会及び観光事業者と連携し、本市の観光資源を効果的に発信するとともに、外国人観光客の受入体制の強化に取り組んでまいります。
 また、本市の魅力であります温泉旅館を全国に発信することで宿泊施設の稼働率向上につなげるため、旅行代理店等と連携し、観光資源を活用した新たな観光ルートの創出や商品化に取り組んでまいります。
 さらに、厚木観光漁業協同組合並びに相模川第二漁業協同組合と締結した観光振興に関する協定に基づき、本市の観光シンボルである鮎を始め、相模川の豊かな自然を積極的に発信することにより観光振興を推進するとともに、相模川の流域市町村及び内水面漁業関係者と連携し、「浜の活力再生プラン」に位置付けた取組を展開してまいります。
 都市農業・林業をいかした地域産業の実現につきましては、持続可能な都市農業の創造や多面的機能の維持、魅力ある新たな農業振興を図るため、「(仮称)都市農業振興計画」を新たに策定してまいります。
有害鳥獣対策につきましては、市民協働による追い払い活動を強化するとともに、有害鳥獣の適正な捕獲や広域獣害防護柵の機能維持、個人向けの簡易防護柵の設置支援を引き続き行うなど、農作物被害や生活被害の防止に取り組んでまいります。
 安心して働くことができる社会の実現につきましては、労働環境の変化や求職者の多様化に対応した就労支援を引き続き実施するほか、近隣市にない求職者のスキルアップのための集合研修を実施するなど、若者を中心とした就職支援に取り組んでまいります。

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 あつぎの魅力の創造と発信及び地方創生の推進につきましては、20歳代の定住促進・転出抑制と合計特殊出生率の上昇に向け、市内の企業や大学、団体の若い世代で構成する地方創生推進プロジェクトにおきまして、出会いの場・交流の場の創出や、住みたい、働きたい、訪れたいと思える魅力あるまちづくりに向けた事業を引き続き実施してまいります。
 また、空き家を活用した親世帯との近居・同居や、若い世代の市内企業への就職を促進することで、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる人口の将来展望の実現を目指してまいります。
 市民参加・市民協働の推進につきましては、自治基本条例に基づく市民自治推進組織のモデル地区を拡大し、市民協働による地域自治を更に推進してまいります。
 行財政改革の推進につきましては、「あつぎ行政経営プラン」に基づき、市民の皆様に継続して質の高いサービスを提供するため、PPP・PFIなどの民間活力の導入を推進し、積極的な財源確保に努めてまいります。
 また、徹底した情報公開を推進するため、新たに公共施設の管理運営に係るコストなどの見える化に取り組んでまいります。
 さらに、本市を取り巻く社会環境の変化に即応できる効率的で機能的な強い組織を構築するとともに、市民の皆様や地域への貢献を最優先に考え、意欲と情熱を持って職務に取り組む職員の育成に努めてまいります。
 財政運営につきましては、法人税の実効税率の引き下げや、法人市民税の一部国税化の影響がある一方、少子高齢化の進展による社会保障関係経費や公共施設の老朽化による維持管理経費の増大に伴い、より一層厳しさが増す状況にあります。
 このため、税や料等の自主財源や国庫補助金等の特定財源の確保はもとより、ふるさと納税を始めとした新たな財源確保にも積極的に取り組み、市民の皆様の要望や社会的ニーズに的確に対応するとともに、今後の税収確保を見据えた都市基盤整備の推進など、将来にわたり持続可能で強い財政につながる取組を行ってまいります。
 また、持続可能な市民サービスの実現を目指し、「公共施設最適化基本計画」に基づく適正配置に取り組んでまいります。
 特に、市庁舎につきましては、近年関心が高まっております災害対策本部機能の強化や、市民の皆様の更なる利便性の向上に向け、建て替えを含めた検討を進めてまいります。
 情報化につきましては、福祉施策全般に係る迅速かつ正確な事務執行を支える福祉総合情報システムを更新するとともに、戸籍事務の効率化を図るため、新戸籍総合システムの構築に取り組んでまいります。
 都市間連携の推進につきましては、相模川流域河川敷の環境問題や、広域的な観光振興の更なる推進を図るため、県央相模川サミット及び広域行政連絡会などにおいて課題を共有し、具体的な取組を検討してまいります。
 また、新たな友好都市の締結に向け、候補地との文化、観光、スポーツ等の交流を促進してまいります。

3 おわりに

 以上、平成29年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策につきまして、御説明申し上げました。
 平成29年度は、市民の皆様から信頼される基幹病院として整備を進めてまいりました市立病院を始め、保健・医療・福祉の拠点となる保健福祉センターや地域の拠点となる厚木南公民館のオープン、さらには、産業系の都市計画事業としては半世紀ぶりとなる森の里東土地区画整理事業先行整備エリアが完成するなど、将来への備えとして進めてまいりました事業が、まさに花開く年であります。
 「天(てん)の時(とき)は地(ち)の利(り)にしかず、地(ち)の利(り)は人(ひと)の和(わ)にしかず」という孟子(もうし)の言葉があります。これは、物事を進めていくには、タイミングや置かれている環境もさることながら、何よりも人と人との心の和による「絆(きずな)」を築き、協力していくことが重要であるという意味であります。
 この理念は、まさに私の信念であります「現地対話主義」、「市民協働」に通ずるものであり、これからも、市民の皆様と共に手を携え、人と人との絆(きずな)を大切にしながら、一方では、前例に捉(とら)われず、進んで新しい物事に取り組んでいく進取の気概を持って、市政運営に取り組んでいく所存であります。
 「あつぎ元気プラン」に掲げる将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを心からお願い申し上げ、平成29年度の施政方針といたします。

関連ファイル

この記事に関するお問い合わせ先 inquiry

政策部 企画政策課 企画政策係
〒243-8511
厚木市中町3-17-17(市役所本庁舎4階)
電話番号:046-225-2450
ファックス番号:046-225-3732

メールフォームによるお問い合わせ