2019年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

壇上に設置されたマイクに向かって演説している、スーツ姿にネクタイを締めた小林市長の上半身の写真

1 はじめに

 2019年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 去る2月17日、多くの市民の皆様からの御支持をいただき、4期目となる厚木市長の任を託されました。 今、改めてその責任の重さを感じているところであります。
 私は、これまでの市政運営において、「市民協働」、「現地対話主義」を信念に、常に市民の皆様の声をお聴きしながら、様々な施策を進めてまいりました。
 この信念は今も変わらず、揺るぎない一貫したものであり、今後においても、この信念の下、本市の進むべき道を示すリーダーとして、我が身を市政に捧げ、課せられた使命を誠心誠意果たしてまいる所存であります。
 弓道の世界では、「正射必中」という言葉があるそうです。「正しく矢を射れば、必ず的に当たる」という弓道における真理を表しています。正しい姿勢で、正しい心持ちで、正しい方向を目指せば、自ずと最良の結果が導かれるという真理は市政にも通じることであります。
 私が「市民協働」、「現地対話主義」という信念を掲げ、市政を進めてまいりましたのは、市民の皆様にとって最良の結果を導き出すための正しい市政運営の在り方は、皆様の声を聴き、皆様が本当に望んでいることを理解し、その上で、自らの役目をしっかりと認識しながら、皆様と共に寄り添い歩むことであると考えているからであります。
 今、社会は、人口減少や少子高齢化の進展、災害の激甚化など、これまで経験したことのない未曾有の時代を迎えております。
 このような中、引き続き市民の皆様の期待に応えるべく、真に正しい政策を正しい方法で実践することにより、最良の結果をもたらすことができるよう、「正射必中」を胸に、市政運営という道を市民の皆様と共に着実に歩んでまいります。
 昨年11月、第13回マニフェスト大賞において、私のマニフェストが最優秀マニフェスト推進賞をいただくとともに、12月には日経DUAL(デュアル)と日本経済新聞社の「共働き子育てしやすい街ランキング」において、本市が全国3位の評価をいただきました。
 また、昨年は、沖縄県糸満市との友好都市締結を始め、アジア地域セーフコミュニティ会議厚木大会の開催、関東地方で初となる用地国債先行取得制度の活用、全ての市立小・中学校へのコミュニティ・スクール導入など、全国でも例の少ない先進的な取組を進めることができました。
 これは、市民の皆様並びに議員の皆様と共に進めてきたまちづくりが実を結んだ結果であり、改めて感謝を申し上げます。
 さて、私は、本年の市政運営のテーマに「大志」を掲げました。「大志」とは「遠い将来までを見通した心の目指すところ」を意味する言葉であります。
 私は、本市のポテンシャルの高さを確信しております。日本一の市民力を始め、交通網の発達した地の利、様々な企業の立地による雇用の創出と豊かな財政力、これら総合的なまちの強みを持ち合わせている本市の将来は、輝かしく明るいものであると信じて疑いません。
 市民の皆様が明るく元気で幸せに暮らすことができる日本一のまちの実現に向け、大きな志を持って全力で取り組んでまいります。
 こうした思いから、2019年度当初予算につきましては、将来を見据えた長期的な視点や市民の皆様のニーズを踏まえ、「人口の将来展望を実現する地方創生の推進」、「誰もがいきいきと生活できる地域包括ケア社会の実現」、「将来にわたって活力あるまちであり続けるための都市基盤整備の推進」、「防災・減災対策の強化による安心・安全の推進」、「2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機としたレガシーの創出」、「中心市街地の魅力や利便性の向上」の六つの重点プロジェクトを中心とし、中でも特に市民の皆様のニーズや関心が高い「活力ある中心市街地」と「安心・安全」という大きな財産を将来にわたり残すことにつながる事業を優先的に、「あつぎの元気大志予算」として編成を進め、一般会計は、過去最大となる863億円、特別会計を合わせた総額では1,465億円を超える予算規模といたしました。
 2019年度は、「あつぎ元気プラン」の最終年度の前年に当たり、その集大成に向け重要な年度であります。「総仕上げ実行プラン」と位置付けた第4期実施計画の着実かつ効果的な推進を図るとともに、予算編成の柱に掲げた六つの重点プロジェクトを中心とした各事業に積極的に取り組み、将来のまちづくりの方向性を定める、新たな「総合計画」への橋渡しとなるよう取り組んでまいります。
 それでは、主要な取組につきまして、「あつぎ元気プラン」の五つの基本政策ごとに御説明申し上げます。

2 五つの基本政策

(1) 安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 安心して子育てできる社会の実現につきましては、「子育て環境日本一」の実現に向けた子育て支援策として、市内幼稚園において、特別な配慮が必要な児童が、同年齢の子どもたちとの集団生活を楽しめるよう、支援を充実してまいります。
 また、発達に不安のある親子が地域の中で幸せに暮らせるよう、療育相談センター「まめの木」を核とし、幼児期から生涯にわたる切れ目のない一貫した療育支援体制の確立に取り組んでまいります。
 母子支援事業につきましては、身近に相談できる人がいない方などを対象に、産前・産後サポート事業を新たに実施し、妊産婦などの支援を強化してまいります。
 また、出産後の保護者が抱えるストレスや孤独感を軽減するため、家事や育児を援助するサービスや、子育て中の保護者がリフレッシュできる場を提供してまいります。
 保育環境につきましては、施設整備の取組の成果により、「保育所待機児童ゼロ」を実現してまいります。
 また、保育人材の確保・離職防止に向け、新たに保育士を雇用するための支援や、認可保育所などに就労している保育士を応援するための助成制度を創設してまいります。
 さらに、障がい児や医療的ケア児の受入れに向けた取組の強化や保育施設へのAEDの設置など、多様化する保育ニーズへの対応と保育の質を高めるための施策を実施してまいります。
 また、働きながら安心して子育てができるよう、「学童保育待機児童ゼロ」に向けた新たな取組として、民設民営の待機児童対策放課後児童クラブを開所する事業実施者を公募し、仕事と子育てを両立できるよう保護者に寄り添った施策を積極的に推進してまいります。
 児童虐待防止対策につきましては、関係機関との緊密な連携により、早期発見、早期対応を徹底するとともに、子ども家庭総合支援拠点を整備し、よりきめ細かな対応を進めることにより、「居所不明児童ゼロ」を継続してまいります。
 また、DV防止対策につきましては、相談者の安全確保や自立支援を最優先に進めてまいります。
 ひとり親家庭の学び直しにつきましては、より良い条件で就職や転職ができるよう、高等学校卒業程度認定試験の合格に向けて支援してまいります。
 高齢者・障がい者が生きがいを感じる社会の実現につきましては、誰もが住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを、人生の最期まで続けることができる地域包括ケア社会の実現に向け、地域福祉推進委員会などの団体と連携を図るとともに、地域包括支援センターや障がい者相談支援センターが身近な総合相談窓口となるよう、運営体制の更なる充実を図るなど、高齢者・障がい者の支援体制を強化してまいります。
 また、旧荻野埋蔵文化財展示・収蔵室を改修整備し、荻野地域包括支援センターと荻野・睦合北・睦合西地区を所管する障がい者相談支援センターを移転することにより、両センターの機能的連携を図り、高齢者と障がい者だけでなく、家族を包括的に支えることができるよう、相談支援体制を強化してまいります。
 さらに、2025年以降の医療・介護需要の一層の増加を見据え、引き続き看護職や介護職などの人材確保を図り、市民の皆様が安心して医療・介護を受けることができるよう強力にサポートしてまいります。
 また、一人住まいの高齢者が安心して民間賃貸住宅に入居いただけるよう、神奈川県居住支援協議会が提供する神奈川あんしんすまい保証制度の初期登録に対する補助を全国に先駆けスタートし、住宅セーフティネットの更なる強化を図ってまいります。
 健康・長寿社会の実現につきましては、市民の主体的かつ継続的な健康づくりや食育を推進するため、2021年度の「第3次健康食育あつぎプラン」策定に向け、健康意識の実態調査などを実施してまいります。
 また、白血病患者への骨髄移植などを推進するため、新たに骨髄ドナー支援事業を創設してまいります。
 国民健康保険事業につきましては、公平で適正な賦課と収納率の向上などにより、安定的な事業運営を行うとともに、被保険者の健康課題を分析し、生活習慣病の潜在的なリスク把握から重症化予防まで、効果的かつ効率的な保健事業を実施してまいります。
 後期高齢者医療制度事業につきましては、長寿健康診査の受診率向上に取り組むとともに、神奈川県後期高齢者医療広域連合と連携し、高齢者の特性を踏まえた保健事業を実施してまいります。
 また、がん予防対策につきましては、乳がん施設検診に、新たにマンモグラフィー検査を加えてまいります。
 市立病院につきましては、今後も救急医療、小児・周産期医療を中心に、地域の中核病院として、専門性や質の高い医療を提供してまいります。
 多様な市民活動が共存する社会の実現につきましては、地域福祉推進委員会の活動を支援し、地域の皆様との協働による「見守り、見守られ、支え合う地域づくり」を推進することにより、「孤独死ゼロ」に取り組んでまいります。
 また、自治会やNPO、ボランティア団体などと協働・連携しながら、地域が抱える様々な課題解決に取り組むとともに、地域の絆を深める活動やまちづくりの担い手を育成する活動を支援してまいります。
 国際交流の推進につきましては、友好都市締結35周年を迎える中国揚州市を始め、海外友好都市との市民相互の交流を更に深めるとともに、互いに発展できるよう、より一層連携を強めてまいります。
 自信と誇りを持てる人権尊重社会の実現につきましては、誰もがお互いを尊重し、共に生き、認め合う社会を目指し、ワーク・ライフ・バランスの充実や女性が様々な分野において活躍することができる男女共同参画の推進などに取り組んでまいります。
 セーフコミュニティの推進による安心・安全な社会の実現につきましては、2020年に迎える3回目の認証取得に向け、関係機関や団体との連携を深め、更なる取組の充実を図るとともに、引き続き、広く国内外に取組を発信してまいります。
 また、自殺予防対策につきましては、「地域のつながりの中で 誰も自殺に追い込まれることのない 安心して暮らすことができるまち あつぎ」を目指し、「自殺対策計画」を推進してまいります。
 安心・安全の向上に取り組む社会の実現につきましては、「中心市街地客引きゼロ」に向け、引き続き指導・勧告の徹底と環境浄化パトロールの強化により、体感治安の更なる向上に取り組んでまいります。
 また、複雑化かつ巧妙化する悪質商法などによる消費者被害を未然に防止するため、相談体制の強化や効果的な啓発活動の展開により、「振り込め詐欺被害ゼロ」を目指してまいります。
 さらに、地域防犯力の一層の強化を図るため、通学路に防犯カメラを設置するとともに、自治会が行う防犯カメラの設置を支援してまいります。
 交通安全対策につきましては、警察や交通関係団体との連携による啓発活動を強化するなど、「交通死亡事故ゼロ」を目指してまいります。
 また、放置自転車の指導・整理を徹底するとともに、本厚木駅南側の労働基準監督署跡地に新たな自転車等駐車場を整備し、「放置自転車ゼロ」を目指してまいります。
 命と暮らしを守る社会の実現につきましては、災害に対する具体的な対応策として、避難所における発電設備を整備するほか、迅速・的確な避難ができるよう、新たに避難場所等周知プレートを設置してまいります。
 また、市内15地区の災害リスクや課題、対応策をまとめた、地区別防災マップを市民の皆様との協働により作成するとともに、防災意識の更なる向上を図るため、市独自の防災ポケットブックを作成し、配布してまいります。
 このほか、厚木医師会に対して大型エアーテントや担架、投光器を貸与するなど、災害時医療体制の充実を図ってまいります。
 さらに、土砂災害警戒区域における防災対策工事のための調査を実施するとともに、大地震に備えて木造住宅の耐震化を更に推進するため、補助制度の拡充を図るほか、地震時に倒壊し緊急輸送道路の機能を阻害するおそれのある沿道建築物に対して耐震化への支援を行うなど、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
 台風や集中豪雨などによる浸水対策につきましては、厚木南地区における雨水貯留施設の整備を、本年8月の完成に向け着実に進めるとともに、厚木北地区においても雨水貯留管の整備に着手するほか、周辺地区の雨水管整備を推進してまいります。
 また、恩曽川に増水状況をリアルタイムで観測することができる監視カメラを増設してまいります。
 消防・救急体制につきましては、地域の消防・防災拠点となる相川分署と南毛利分署の整備を引き続き推進するとともに、複雑化・多様化・大規模化する災害に迅速・的確に対応するため、人命救助のエキスパートで編成する高度救助隊を4月1日から発足してまいります。
 また、県内初となる大型の拠点機能形成車を配備し、災害現場の最前線において消防活動や救護活動をサポートするなど、災害対応力の更なる強化を図ってまいります。
 さらに、消防団の活動環境の充実と処遇改善に取り組むほか、警察や県内消防機関との広域的な連携訓練を実施し、消防体制を強化してまいります。
 また、年々増加する救急需要に対応するため、厚木消防署に最新鋭の高規格救急自動車を配備するとともに、市民の皆様への応急手当の普及促進や医療機関との連携強化を図ってまいります。

(2) 成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 学校教育の一層充実した社会の実現につきましては、「教育環境日本一」に向け、「教育大綱」に掲げる「未来を担う人づくり」の基本理念の下、新たな「教育振興基本計画」を2020年度に策定するため、策定委員会を設置し、進むべき方向性を検討してまいります。
 教職員の多忙化解消につきましては、全小・中学校に導入した校務支援システムの円滑な運用を推進するなど、児童・生徒と向き合う教職員の労働環境の向上に努めてまいります。
 また、新規事業として、部活動指導員をモデル校に配置し、教職員の多忙化解消と併せて、部活動の活性化についても取り組んでまいります。
 全小・中学校で展開している学校運営協議会制度「コミュニティ・スクール」につきましては、子どもの豊かな学びと健やかな成長を支えるため、学校、保護者、地域が協働し、着実に継続的な活動ができるよう支援するとともに、その取組を教育委員会だより「Edu Navi(エデュナビ)」などを通して積極的に発信してまいります。
 児童・生徒の学力向上につきましては、ICT機器の活用による学習環境の充実や、教員への支援を引き続き進めてまいります。
 また、各学校の実態に合わせたきめ細かな教育を推進するとともに、企業や大学と連携した理科教育などを充実してまいります。
 さらに、全国学力学習状況調査などの結果を活用した実践的な取組や授業改善を支援するとともに、学校現場における教育の一層の充実に向けた調査研究や教育資料の提供を行ってまいります。
 いじめ防止対策につきましては、様々な課題に対応するためのプロジェクトチームを組織し、「いじめゼロ」に向け、未然防止の観点から学校を支援してまいります。
 また、不登校対策につきましては、未然防止・早期対応を目指して実効的な取組を進めてまいります。
 さらに、障がいのあるなしにかかわらず、児童・生徒の可能性を伸ばし、学校生活において自己実現が図れるよう支援体制を確立することにより、インクルーシブ教育を推進してまいります。
 児童・生徒の安心・安全につきましては、インターナショナルセーフスクールの再認証取得に向け、地域との協働により取り組むとともに、登下校時の安全確保に向けた取組を進めてまいります。
 また、校庭や体育館などにおいて、屋外活動中の児童・生徒や学校施設一般開放時の利用者の急病などに備えるため、全ての小・中学校において屋外にもAEDを設置してまいります。
 教育環境の整備につきましては、トイレの改修を重点的に進めるとともに、校庭の整備や三田小学校の再整備事業を着実に進めてまいります。
 学校給食につきましては、安心・安全な給食を継続的に提供するため、全中学校を対象とした新たな学校給食センターの整備に向け、建設計画地の用地取得などを進めてまいります。
 社会教育の一層充実した社会の実現につきましては、公民館を拠点とし、学校、家庭、地域の協働により、地域全体で子どもを守り、育てる機運を高めてまいります。
 また、公民館の体育室などの照明を計画的にLED照明に交換してまいります。
 いつでも生涯学習に取り組むことができる社会の実現につきましては、市内5大学や企業と連携した「あつぎ協働大学」や、市民講師が学びの場を提供する「輝き厚木塾」など、特色ある講座の充実により、多様化する学習ニーズに応え、生涯にわたり学ぶことができる環境づくりに取り組んでまいります。
 文化芸術に親しむことができる社会の実現につきましては、市民の皆様や関係団体との協働による、「あつぎ市民芸術文化祭」の開催を始め、厚木市文化振興財団と連携し、魅力ある様々な文化芸術事業を展開してまいります。
 1月にオープンいたしました「あつぎ郷土博物館」につきましては、本市の文化や歴史、自然を学び、伝える、郷土文化の拠点としての機能を発揮し、市民の皆様を始め、より多くの方々に足を運んでいただけるよう展示、講座などを開催するとともに、先人から受け継いでまいりました郷土芸能を後世に伝えるための活動の場として活用してまいります。
 誰もがスポーツに親しむことができる社会の実現につきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、ニュージーランドなどを対象とした事前キャンプ受入れの基本合意の最終調整を進めるとともに、ホストタウン交流事業などの更なる充実を図り、レガシーの創出に取り組んでまいります。
 また、オリンピアン・パラリンピアンによる講演や障がい者スポーツの振興を通じて、スポーツへの関心を高めるとともに、障がいへの理解促進に取り組み、オリンピック・パラリンピックへの機運を醸成してまいります。
 さらに、未来のトップアスリートの発掘・育成や指導者の養成を目指す「あつぎスポーツアカデミー」を充実するほか、幼児から高齢者まで幅広い世代の体力向上や健康増進に取り組んでまいります。

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 地球温暖化防止・低炭素社会の実現につきましては、2020年度の「環境基本計画」改定に向け、基礎調査や国内外の動向の確認、整理を行うとともに、環境意識調査などを実施してまいります。
 また、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネルギーの推進を図るため、住宅用スマートエネルギー設備やゼロ・エネルギー・ハウスの導入を支援するとともに、太陽光発電と営農を両立させるソーラーシェアリングを支援してまいります。
 持続可能な循環型社会の実現につきましては、家庭から出るごみの減量や資源化の更なる推進とごみ出し環境の改善を目指し、将来のより良い収集体制を検討するため、市内3地区をモデル地区として、燃えるごみの戸別収集を試行してまいります。
 また、市民協働提案事業として新たにフードバンク事業に取り組み、食べきれない食品を必要とする方に提供する仕組みを構築し、社会問題となっている食品ロスの削減を推進するなど、更なるごみの減量や資源化に取り組んでまいります。
 さらに、イベント用分別リユースボックスの活用により、鮎まつりなどのイベントにおいて資源とごみの分別を推進するとともに、自治会主催のイベントなどにおいても活用いただき、分別意識の向上を図ってまいります。
 新ごみ中間処理施設につきましては、ごみの広域処理の実現を目指し、2025年度稼働に向け、厚木愛甲環境施設組合と連携して都市計画を定めてまいります。
 また、民間の資金や能力を活用したPFI手法により、ふれあいプラザの再整備を進めてまいります。
 自然と共生する社会の実現につきましては、生物多様性への理解を深めるため、フォーラムや講座を開催するとともに、市民協働による外来生物の駆除活動を進めてまいります。
 また、里地里山の多面的機能を次世代へと継承するため、里地里山保全活動団体を支援してまいります。
 豊かな生活環境の実現につきましては、維持経費の削減や環境負荷の低減を図るため、公園などに設置している照明をLED照明に一斉交換してまいります。
 また、雨水貯留施設の工事完了に伴い、あさひ公園の全面リニューアル工事を実施するとともに、市民ニーズに即した身近な公園として、新たに(仮称)上戸田公園を整備してまいります。
 環境美化の推進につきましては、市民の皆様や企業との協働による地域美化清掃に引き続き取り組むとともに、「路上喫煙ゼロ」を目指し、喫煙マナーの向上に取り組んでまいります。
 動物愛護の推進につきましては、生命の尊さやペットの適正飼養などに関する普及・啓発を行ってまいります。
 河川と共生する社会の実現につきましては、良好な河川環境の保全・再生に向けて、河川敷の樹林化対策や河床整理を促進するとともに、市民の皆様との協働により草花の植栽や維持管理を行うほか、水源環境の保全や生態系に配慮した良好な河川環境の整備に取り組んでまいります。
 また、河川美化意識の向上を図るため、引き続き「県央相模川サミット六市町村合同クリーンキャンペーン」を実施してまいります。

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 活力ある中心市街地の実現につきましては、「にぎわい爆発あつぎ国際大道芸」などのイベント開催に合わせ、商店会や大型店の連携による中心市街地の回遊性向上や、商業の振興とにぎわい創出の取組を推進するとともに、中心市街地商店街空き店舗対策事業を推進してまいります。
 本厚木駅南口地区市街地再開発事業につきましては、2020年度の完成に向け、引き続き駅前広場の拡充整備や再開発ビルの建設工事を推進するとともに、積極的に再開発組合を支援してまいります。
 本厚木駅北口周辺につきましては、本市の玄関口としてふさわしい駅前広場や周辺地区の再整備に向け、関係権利者との意見交換、勉強会などを行い、整備手法を検討してまいります。
 愛甲石田駅周辺につきましては、交通環境の改善に向けた整備構想を策定してまいります。
 中町第2-2地区につきましては、中心市街地の新たな中核拠点となる図書館、(仮称)こども未来館、市庁舎などで構成する複合施設の基本計画を策定するとともに、厚木バスセンターを中心とした周辺道路の交通計画作成や関係者との協議を行ってまいります。
 地域特性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、今後の人口減少や更なる高齢化を見据え、本市の都市づくりの方向性を示す新たな「都市マスタープラン」を始め、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方を基本とした「立地適正化計画」や「(仮称)総合都市交通マスタープラン」の策定に取り組んでまいります。
 広域交通の結節点にふさわしい産業拠点の形成を目指す南部産業拠点酒井地区につきましては、市街化区域編入や土地区画整理組合の設立に向け、都市計画手続などを進めてまいります。
 森の里東地区につきましては、先行整備エリアにおいて、昨年の立地企業操業に続き、7月に新たな立地企業の操業開始が予定されております。その他のエリアにつきましても早期完成を目指し、引き続き土地区画整理組合を支援してまいります。
 また、山際地区・山際北部地区につきましては、事業化に向け、土地区画整理組合設立準備委員会への支援や、権利者の合意形成を図ってまいります。
 快適生活空間の実現につきましては、「空家等対策計画」に基づき、引き続き空き家の解体費や取得費を補助してまいります。
 また、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている空き家の所有者などに対して、法に基づく実効性のある指導を行うなど、生活環境の保全を図り、安心・安全なまちづくりを推進してまいります。
 住居表示整備事業につきましては、三田地区において住居表示を実施し、住所を合理的で分かりやすくすることにより、混乱や不便を解消してまいります。
 公共下水道事業につきましては、市街化調整区域の下水道整備に向け、受益者分担金制度の創設や調査、設計などの準備を進めるとともに、2020年度の地方公営企業法の一部適用に向け、資産評価や会計システムの構築に取り組んでまいります。
 市民の皆様や企業の活動を支える交通環境につきましては、地域コミュニティ交通の実現に向けた取組を進めてまいります。
 また、本厚木駅において、ホームからの転落や列車との接触事故を防止し、安心・安全な安定的輸送の確保を図るため、いち早くホームドアが設置できるよう、費用の一部を補助してまいります。
 道路ネットワークの構築につきましては、「第8次道路整備三箇年計画」に基づき、本厚木下津古久線や厚木環状3号線などの都市計画道路の整備を始め、交通の円滑化や市民生活の安全性・快適性の向上を図る交差点改良、生活道路の整備を推進してまいります。
 また、中町第2-2地区周辺交通アクセス整備につきましては、新たな交通需要にも対応できる周辺道路網の拡充を図り、交通の円滑化に取り組んでまいります。
 (仮称)厚木パーキングエリア・スマートインターチェンジにつきましては、早期開通を目指し事業進捗を図るほか、アクセス道路となる相模川右岸堤防道路を通行する大型車両の増加が想定されることから、道路改修を実施してまいります。
 厚木秦野道路につきましては、引き続き、用地国債先行取得制度を活用し、事業推進に協力するとともに、関係自治体と連携し、早期の整備促進を国などへ強く要望してまいります。
 また、広域幹線道路ネットワーク整備の進捗を見据え、道路に関する総合的な計画として「(仮称)あつぎの道づくり計画」の2020年度策定に向け取り組むとともに、費用の平準化や計画的な維持管理を行うための「道路維持管理計画」の策定に取り組んでまいります。
 情報化社会の進展に伴うマイタウンクラブリニューアル事業につきましては、市民の皆様のニーズの多様化などを踏まえ、各サービスについて見直しを行うとともに、民間サービスの活用なども視野に入れ、取り組んでまいります。
 企業・商業活動が活発なまちの実現につきましては、市内中小企業に対し、生産性向上に向けた設備投資により、継続的な操業を促すため、設備投資促進事業補助金を始めとする支援を行ってまいります。
 企業誘致につきましては、引き続き新規企業の市内進出や既存企業の事業拡大を支援することにより、地域経済の活性化や雇用機会の拡大、将来にわたる確固たる財政基盤の構築につなげてまいります。
 また、市内企業のロボット関連産業への参入や事業展開を支援することにより、引き続きロボット関連産業の振興と集積を図ってまいります。
 商業活動につきましては、商店会連合会や商工会議所などの関係団体と連携するとともに、あつぎ商店会PR事業や販売促進事業を支援することにより、にぎわいあふれるまちづくりに取り組んでまいります。
 また、商店や商店会の活性化のきっかけづくりとなるよう商業活性化セミナーを開催し、更なる商業のにぎわいを図ってまいります。
 新たな戦略による観光のまちの実現につきましては、「飯山白山森林公園」桜の広場周辺の更なる魅力向上とにぎわいづくりを図るため、周辺整備に向けた実施設計に取り組んでまいります。
 また、観光PR動画の作成を始め、広域的な誘客プロモーションとして小田急電鉄株式会社と連携するほか、大山登山客が利用する伊勢原大山ケーブル駅構内への電光型PR看板の設置など、新たな情報発信に取り組み、観光客の誘致拡大を図ってまいります。
 都市農業・林業をいかした地域産業の実現につきましては、「都市農業振興計画」に基づき、持続可能な都市農業の創造や魅力ある農業の振興を着実に推進するとともに、「人・農地プラン」の充実を図り、農地の集積に取り組んでまいります。
 また、林業の振興や地球温暖化防止など、森林が有する多面的機能の維持増進を図るため、新たな森林管理システムによる計画的かつ効果的な森林整備を実施してまいります。
 有害鳥獣対策につきましては、適正な捕獲や追い払いにより、農作物や生活への被害防止を強化してまいります。
 特に、ニホンザルにつきましては、引き続き被害の抜本的な解消に向け、群れの除去に取り組んでまいります。
 安心して働くことができる社会の実現につきましては、市内中小企業において、障がい者の雇用促進を図るため、雇用奨励金を交付するとともに、関係機関と連携して、障がい者が安心して働き続けられるよう取り組んでまいります。

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 あつぎの魅力の創造と発信及び地方創生の推進につきましては、若年世代の定住を促進し、バランスのとれた人口構成を確保するため、引き続き親世帯との近居・同居のための住宅取得や改修を支援してまいります。
 また、企業や大学、団体の若い世代で構成する地方創生推進プロジェクトにおいて、本市の魅力の発信や出会いの場・交流の場の創出など、「人口減少ゼロ」の実現に向けた取組を展開してまいります。
 さらに、愛甲石田駅北口にデジタルサイネージを設置し、行政情報や観光情報などを効果的に発信するとともに、台風や地震などの災害発生時には、迅速な情報提供に努めてまいります。
 また、相模川・中津川における水産業の活性化を図るため、関係漁業団体と連携し、アユの生産振興などの取組を推進するとともに、アユ中間育成施設の整備を支援してまいります。
 市民参加・市民協働の推進につきましては、「現地対話主義」に基づく「自治会長とのまちづくりフリートーク」や「子育てコミュニティトーク」などを通して、市民の皆様の御意見を市政に反映してまいります。
 また、地域の様々な課題解決に向け、地域全体で連携する地区市民自治推進組織の活動を、地域の実情や特性をいかしながら更に推進してまいります。
 行財政改革の推進につきましては、本市を取り巻く社会・経済環境の変化に対応した行政運営を図り、将来を見据えたまちづくりを推進するため、2021年度からスタートする第10次総合計画の策定に向け、様々な市民参加の手法を用い、市民協働により基本構想や基本計画の骨子を策定してまいります。
 また、引き続き外部評価を実施するとともに、「あつぎ行政経営プラン実施計画」に位置付ける取組を着実に推進してまいります。特に、公共施設の最適化につきましては、施設ごとの具体的な対応方針を定める実行計画の2020年度中の策定に向け、施設の点検・診断を実施するなど現状を把握し、整理するとともに、適正配置の考え方について検討を行ってまいります。
 財政運営につきましては、法人税の実効税率の引下げや法人市民税の一部国税化の影響が引き続き見込まれる一方で、社会保障関係経費や公共施設の維持補修経費の増大は避けられない状況にあることから、税や料などの自主財源や国庫補助金などの特定財源の確保はもとより、ふるさと納税の更なる拡充や債券運用など、新たな財源確保に積極的に取り組んでまいります。
 また、今後の税収確保を見据えた将来への投資となる都市基盤整備を着実に推進するなど、持続可能で強い財政を堅持してまいります。
 組織運営につきましては、行政の透明性や信頼性を高め、市民サービスの更なる向上を図るため、効率的な行政を推進する強い組織を構築するとともに、働きやすさと生産性の向上を両立させるため、「あつぎスマート・ワーク宣言」などの取組を推進してまいります。
 情報化につきましては、情報通信技術が急速に進展している中、市民の皆様の利便性の向上や将来にわたる安定的な市政運営の実現を目指し、効果的なICTの利用を促進するとともに、情報化の方向性を明確にするため、「情報化推進計画」の策定に向け取り組んでまいります。
 都市間連携の推進につきましては、広域的な課題解決や行政運営を推進するため、「県央相模川サミット」において、相模川流域における水害対策に係る取組を推進するほか、「広域行政連絡会」において、新東名高速道路の全線開通を見据えた観光振興や交通政策などについて検討を行ってまいります。
 国内友好都市との交流につきましては、昨年友好都市を締結いたしました沖縄県糸満市を中心に、幅広い分野における市民相互の交流をより一層深めてまいります。
 秋田県横手市との交流につきましては、環境、文化などの違いを経験することにより、新たなアイデアや幅広い視点で物事を捉える能力を醸成するため、職員相互派遣を実施し、連携、交流の更なる強化を図ってまいります。

3 おわりに

 以上、2019年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策について、御説明申し上げました。
 冒頭にも申し上げましたとおり、2019年度は、特に市民の皆様のニーズや関心が高い「活力ある中心市街地」と「安心・安全」に関わる事業に優先的に取り組んでまいります。
 中心市街地においては、本厚木駅南口の再開発事業が更に進捗するとともに、(仮称)旭町2丁目自転車等駐車場や厚木南地区の雨水貯留施設が完成し、中心市街地の魅力と利便性、安全性が更に向上いたします。
 また、安心・安全に関しては、避難所において発電設備を整備するとともに、市内15地区の地区別防災マップの作成や、相川分署、南毛利分署の整備、人命救助のエキスパートで編成する高度救助隊の発足など、誰もが安心・安全に暮らせる災害に強いまちづくりを推進してまいります。
 昨今、「持続可能なまちづくり」という言葉をよく耳にいたします。
 私は、「持続可能なまちづくり」とは、現状を保つということではなく、新たな課題に対応するために常に一歩先を行くということだと常々考えております。現状維持は後退と心得るべきであり、局面を打開するために、常に新たな挑戦に立ち向かう大きな志がなければ、市政の発展は望めません。
 そのためには、しっかりと現状を把握し、そこから導き出される課題に対応した施策を実行する「根拠に基づいた政策運営」が大切であります。
 また、実行した施策はその効果を検証し、次の展開へと結び付けることにより、いわゆるPDCAサイクルが構築され、持続可能な政策運営が実現できるのではないでしょうか。
 その原動力となるのは、市民の皆様と共に「市民協働」、「現地対話主義」により取り組むことで育まれた「強い絆」であります。
 2019年度は、「大きな志」と「強い絆」の下、優先的に取り組むべきテーマとして掲げました「活力ある中心市街地」と「安心・安全」なまちづくりに邁進してまいります。
 「あつぎ元気プラン」に掲げる将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを心からお願い申し上げ、2019年度の施政方針といたします。
(公開日3月4日)

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