令和2年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

演台のマイクの前で小林市長が話をしている写真

1 はじめに

 令和2年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 昨年の改元により、我が国は、新たに「令和」の時代を迎えました。
 万葉集から選ばれた「令和」という言葉は、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味を表し、そこには、平和を希求する思いが込められています。
 この思いは、私も同じであり、新たな時代においても、市民の皆様が心を寄せ合い、平和に暮らせる市政運営に邁進(まいしん)してまいります。
 昨年は、大型の台風15号や19号が猛威を振るい、全国各地に甚大な被害をもたらしました。本市においても、ダムの緊急放流に伴い、河川の氾濫の危険性が高まる中、緊迫した対応が続きました。心配された市街地の浸水被害も、厚木南地区に設置した雨水貯留施設がその機能を十分に発揮したことにより、大事には至りませんでしたが、自然の脅威をまざまざと見せつけられ、災害に対する備えの重要性を改めて身をもって認識したところであります。
 安心・安全に暮らせることのありがたさ、そして大切さを実感するとともに、市民の皆様を守り抜くことが私の大きな使命であると決意を新たにいたしました。
 昨今、SDGsという言葉を様々なところで聞くようになりました。
 2015年に国連サミットで採択されたSDGsは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた国際目標であります。
 このSDGsが標榜(ひょうぼう)する持続可能な社会の実現に向け、AIやロボットなどの活用を進める Society 5.0 時代への対応を始め、気候変動対策や循環型社会の構築など、世界の課題解決という視点も踏まえながら、多種多様な取組を推進していく必要があります。
 本市では、これまでも常々、持続可能なまちづくりを意識しながら市政を運営してまいりましたが、改めてSDGsの達成に寄与すべく、全ての職員が一丸となって、事業を展開してまいります。
 さて、私は、今年の市政運営のテーマに「大輪(たいりん)」を掲げました。
 持続可能なまちづくりの礎となるのは、人と人とがつながり、固く絆(きずな)を深めることによって生まれる大きな人の輪であります。
 この輪を、市民の皆様と共に更に大きく広げ、笑顔が咲き誇る、幸せにあふれるまちを築いてまいる所存です。
 こうした思いから、令和2年度当初予算につきましては、長期的な視点や市民の皆様のニーズを踏まえ、「人口の将来展望を実現する地方創生の推進」、「誰もがいきいきと生活できる地域包括ケア社会の実現」、「将来にわたって活力あるまちであり続けるための都市基盤整備の推進」、「防災・減災対策の強化による安心・安全の推進」、「2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機としたレガシーの創出」、「中心市街地の魅力や利便性の向上」の六つの重点プロジェクトを中心に編成を進めてまいりました。
 中でも特に、次代を担う子どもたちを始め、市民の皆様の命と暮らしを守り抜くための「安心・安全」につながる事業に重点を置き、「あつぎの元気大輪予算」として、一般会計は859億円、特別会計を合わせた総額では、1,496億円を超える予算規模といたしました。
 令和2年度は、「あつぎ元気プラン」の最終年度となります。
 将来都市像である「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現に向け、計画の総仕上げとなる第4期実施計画を力強く推し進め、新たな総合計画へと確実に橋渡しをしてまいります。
 新たな第10次総合計画の策定につきましては、昨年12月に、市民検討会議から、「活気と幸せが満ちあふれ、誰もが希望と生きがいを持てる住みたいまち日本一を目指し、チャレンジし続ける厚木」を理想のまちの姿とする提言をいただきました。
 この提言をしっかりと受け止め、第10次総合計画を市民の皆様と共に策定し、現計画との継続性を図りながら、本市を取り巻く社会・経済環境に対応した行政運営と、将来を見据えたまちづくりを推進してまいります。
 それでは、主要な取組につきまして、「あつぎ元気プラン」の五つの基本政策ごとに御説明申し上げます。

2 五つの基本政策

(1) 安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 安心して子育てできる社会の実現につきましては、「子育て環境日本一」に向け、幼児教育・保育の無償化に伴う、教育・保育ニーズの増加・多様化に対応するための補助を拡大するとともに、久保子どもの未来応援基金を活用した新たな助成により、幼稚園教諭の確保、定着、離職防止を図り、幼児教育・保育の受入れ体制の充実を図ってまいります。
 また、本市独自の取組であるおむつ等宅配事業の対象者を、第1子からに拡大し、初めての育児を支援してまいります。
 さらに、子ども医療費助成やひとり親家庭に対する自立・生活支援、親と子の学び直しの支援を引き続き実施するなど、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりを推進してまいります。
 「学童保育待機児童ゼロ」の実現につきましては、新たに民設民営の児童クラブをスタートする事業者を支援するなど、児童の放課後の居場所づくりを推進してまいります。
 療育支援体制の確立につきましては、支援を必要とする親子が幸せに暮らせるよう、療育相談センターまめの木を核とし、関係機関との連携強化や相談支援員のスキルアップを図ってまいります。
 妊娠・出産・子育てへの支援の充実につきましては、妊産婦等の悩みや不安を解消するため、相談体制を強化するとともに、家事・育児を援助するサービスや、保護者同士の交流の場を提供してまいります。
 定期予防接種事業につきましては、本年10月から追加されるロタウイルスワクチンを、対象者に確実に接種していただけるよう周知徹底を図り、乳幼児のロタウイルス胃腸炎と神経系の合併症予防を推進してまいります。
 児童虐待防止対策につきましては、関係機関との連携により、早期の発見・対応を徹底し、「居所不明児童ゼロ」を継続してまいります。
 また、DV防止に向け、相談者の安全確保や自立支援を進めるとともに、啓発活動を充実させてまいります。
 高齢者・障がい者が生きがいを感じる社会の実現につきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降の医療・介護需要の増加を見据え、看護職、介護職、歯科衛生士等の人材確保を図るため、奨学金返済助成等を継続するとともに、「地域包括ケア社会」の実現に向け、第8期となる「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定してまいります。
 また、障害福祉サービスの充実を図るため、第6期となる「障がい者福祉計画」を策定するとともに、重度の自閉症者を専門的かつ適切に支援する事業所の開設や、歯科医師会が実施する障がい者歯科診療に対する支援に加え、日常生活で運動する機会の少ない高齢者・障がい者の健康保持・増進に取り組んでまいります。
 健康・長寿社会の実現につきましては、市民の皆様の健康づくりや食育を推進するため、「第3次健康食育あつぎプラン」を策定するとともに、あゆコロちゃんGENKIポイント事業を引き続き実施してまいります。
 国民健康保険事業につきましては、安定的な事業運営を確保するとともに、被保険者の健康課題の分析結果に基づき、生活習慣病の潜在的なリスク把握や重症化予防等に取り組んでまいります。
 また、後期高齢者医療制度事業につきましては、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に向け、準備を進めてまいります。
 がん予防対策につきましては、肺がん施設検診において、新たに喀痰(かくたん)からがん細胞を確認する検査を実施するとともに、がん検診受診率向上に取り組んでまいります。
 市立病院につきましては、地域医療支援病院として、医療機関と連携を図りながら、信頼される医療の提供を継続していくため、救急患者の積極的な受入れによる「断らない救急」の実現や、後発医薬品への切替えによる費用の抑制化等、徹底した経営改善を支援してまいります。
 多様な市民活動が共存する社会の実現につきましては、自治会を始めとする地域活動団体やボランティア団体等への支援を行うとともに、地域活動を維持することができるよう、担い手の育成に取り組んでまいります。
 また、地域福祉推進委員会を支援するほか、見守り活動の充実や居場所づくり等の施策を推進するため、第5期となる「地域福祉計画」を策定してまいります。
 国際交流の推進につきましては、友好都市締結15周年を迎えた韓国軍浦市を始め、海外友好都市等との交流事業を推進し、未来を担う子どもたちや多くの市民の皆様に交流の機会を提供してまいります。
 自信と誇りを持てる人権尊重社会の実現につきましては、子どもや女性、高齢者、障がい者、外国人、LGBTQなど、あらゆる人権を理解し尊重する社会を目指し、「人権施策推進指針」に基づく施策を推進するほか、ワーク・ライフ・バランスの充実にも取り組んでまいります。
 また、認知症やひとり暮らしの高齢者・障がい者の増加に伴う権利擁護に対する需要の高まりを踏まえ、「成年後見制度利用促進基本計画」に基づく事業を推進するほか、権利擁護支援センター事業を拡充することにより、個人の権利と利益を守り、社会全体で支え合うまちづくりを推進してまいります。
 セーフコミュニティの推進による安心・安全な社会の実現につきましては、3度目の認証取得に向け、市民の皆様や関係機関、団体との連携を深め、更なる取組の充実を図るとともに、全国セーフコミュニティ推進自治体ネットワーク会議のリーダーとして、国内外のモデルとなるよう、活動を推進してまいります。
 安心・安全の向上に取り組む社会の実現につきましては、「中心市街地客引きゼロ」に向け、違反者に対する指導・勧告を徹底するとともに、環境浄化パトロールを実施し、体感治安の更なる向上に取り組むほか、地域防犯力の強化を図るため、自治会が行う防犯カメラの設置を引き続き支援してまいります。
 また、「振り込め詐欺被害ゼロ」に向け、巧妙化する詐欺や悪質商法の被害を防ぐため、新たに録音機能付き電話機等の購入費助成をスタートするほか、引き続き消費生活相談体制の強化や効果的な啓発活動を行ってまいります。
 交通安全対策につきましては、「交通死亡事故ゼロ」に向け、警察や交通関係団体との連携による交通安全教育等の充実を図ってまいります。
 また、交通事故を未然に防止するため、交差点の歩道部分にポールや車止め等の安全施設を設置してまいります。
 さらに、「放置自転車ゼロ」を目指し、放置自転車の指導・整理を徹底するとともに、自転車利用者のマナー向上に取り組んでまいります。
 命と暮らしを守る社会の実現につきましては、「災害対応力日本一」を目指し、防災・減災と復旧・復興のための施策を推進し、災害被害を最小限にとどめるため、新たに「国土強靭(きょうじん)化地域計画」を策定してまいります。
 防災意識の向上につきましては、市内15地区の災害リスクや対応策をまとめた地区別防災マップを市民協働により作成してまいります。
また、新たにオールハザードマップを作成し、全戸配布してまいります。
 災害への備えにつきましては、市民生活の復旧を支援するため、新たに被災者支援システムを構築し、被害認定調査や、り災証明発行事務等の手続を迅速に処理できる体制を整備してまいります。
 また、電気自動車から電力を供給するための設備を新設し、良好な避難所環境の確保に努めてまいります。
 さらに、新たな「耐震改修促進計画」を策定し、木造住宅等の耐震化を促進するほか、盛土造成宅地における滑動崩落の危険箇所を把握するため、新たに変動予測調査を実施してまいります。
 浸水対策につきましては、「公共下水道雨水計画」に基づき、厚木北地区の雨水貯留管の整備を始め、各地区における雨水管の整備を推進してまいります。
 また、準用河川の維持管理計画策定に向けた現況調査を実施するとともに、恩曽川の水位をリアルタイムで観測することができる監視カメラを増設してまいります。
 消防・救急体制につきましては、相川分署と南毛利分署の移転整備を推進するとともに、消防団活動の安全性に万全を期すため、全消防団員に新たなヘルメットを配布し、活動環境の充実に取り組んでまいります。
 また、増加する救急需要に対応するため、救急車の適正利用を促進するとともに、小・中学生を対象とした救命講習会を開催し、若年層への応急手当の普及を図るほか、医療機関との連携により救急救命士の研修体制の充実を図ってまいります。
 さらに、風水害対策として、救命ボートや救命胴衣を追加配備するとともに、あらゆる災害に対応するため、警察や県内消防機関との広域的な連携訓練を実施し、消防力の強化を図ってまいります。
 火災予防につきましては、家庭の防火対策を推進するとともに、消防法令の違反対象物に対する是正指導を徹底してまいります。

(2) 成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 学校教育の一層充実した社会の実現につきましては、「教育環境日本一」に向け、子どもたちが社会の多様な変化に順応し、生き抜く力を身に付けることができるよう、教育振興施策の方向性を示す「第2次教育振興基本計画」を策定してまいります。
 また、新たに小中学校適正規模等検討委員会を設置し、統廃合も含めた小・中学校の適正規模等について、学習環境や地域コミュニティへの影響を踏まえ検討してまいります。
 教職員の多忙化解消につきましては、スクールアシスタント事業を拡大するとともに、校務支援システムを活用し、児童・生徒と向き合う教職員の労働環境の向上に努めるほか、部活動の活性化に向け、部活動指導員の配置を拡大してまいります。
 学校教育の情報化につきましては、更なるICT環境の整備を図るため、新たな「学校教育情報化推進実施計画」を策定してまいります。
 児童・生徒の学力向上につきましては、「県内一学力向上のまち」の実現に向け、学力向上プロジェクトを展開するとともに、企業・大学と連携した理科教育や、ニュージ―ランドとの交流等を含めた英語教育、ICT機器を活用した小学校のプログラミング教育を充実してまいります。
 いじめ防止対策につきましては、「いじめ防止基本方針」に基づき、引き続きいじめの未然防止と、早期の発見・対応に向けた取組を進めるとともに、学校教育指導員による学校訪問を実施し、児童・生徒指導の体制を強化することにより、「いじめゼロ」を目指してまいります。
 不登校対策につきましては、児童・生徒が抱える多様化・複雑化した課題に対応するため、元気アップアシスタント等を活用し、個々の状況に応じた支援を行うとともに、児童・生徒支援推進アドバイザーを活用することにより、各校の相談体制を強化し、不登校の未然防止と早期の発見・対応を目指してまいります。
 インクルーシブ教育の推進につきましては、全ての子どもがお互いを尊重し合いながら共に学び、個々の可能性を伸ばせるよう、一人一人の教育ニーズに応える支援体制を確立してまいります。
 児童・生徒の安心・安全につきましては、地域との協働によりインターナショナルセーフスクールの再認証取得に取り組むとともに、登下校時の安全確保に向けた取組を進めてまいります。
 教育環境の充実につきましては、全中学校に安心・安全な給食を提供するため、PFI手法を用いて整備する新たな学校給食センターの令和4年度稼働開始を目指し、整備運営事業者を選定してまいります。
 また、児童・生徒が快適な教育環境の中で安心して安全な学校生活を送ることができるよう、各校のトイレ改修を完了するとともに、校舎の改修や校庭の整備、特別教室への空調設備導入に向けた準備を進めてまいります。
 社会教育の一層充実した社会の実現につきましては、公民館を中心に、地域で子どもたちを育てる取組や家庭教育の充実、体育・文化の振興等を図ってまいります。
 また、地域活動の更なる充実のため、厚木北公民館の新築整備に向け、整備方針を策定するとともに、建設用地の取得を進めてまいります。
 いつでも生涯学習に取り組むことができる社会の実現につきましては、市民講師や市内5大学、企業による充実した講座を開催するとともに、生涯学習をいかしたまちづくりや取組を推進するため「第3次生涯学習推進計画」を策定してまいります。
 文化芸術に親しむことができる社会の実現につきましては、市民の皆様や関係団体との協働による「あつぎ市民芸術文化祭」や、文化振興財団と連携した文化芸術事業を実施するとともに、本市の特性をいかした文化芸術振興を図るため、「第2次文化芸術振興計画」を策定してまいります。
 また、郷土文化を発信するため、新たにホームページを開設し、日頃の研究や活動を広く周知してまいります。
 さらに、現在、アメリカのハーバード美術館に所蔵されている、渡辺崋山が描いた「厚木六勝(あつぎろくしょう)」の里帰り展示に向け、ゆかりある自治体等から作品をお借りし、博物館が所蔵する関連資料と併せて展示するなど、「(仮称)渡辺崋山展プロジェクト」を推進してまいります。
 誰もがスポーツに親しむことができる社会の実現につきましては、本年7月に開幕する東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、本市がホストタウンを務めるニュージーランドのバスケットボール、ゴルフ、サッカー、車いすラグビー等、各種競技選手の受入れについて、市民・企業・関係団体と連携し、万全の体制を整えるとともに、市民の皆様と選手が交流できるスポーツ教室や学校訪問等の事業を実施し、レガシーの創出に取り組んでまいります。
 また、オリンピアンやパラリンピアンによる講演、パラスポーツの体験講座等を通じて、スポーツへの関心・意欲の向上や、障がいへの理解促進に取り組むほか、できる限り多くの児童・生徒が大会を観戦する機会を創出し、子どもたちの心に残る体験の場を提供してまいります。
 スポーツ活動の推進につきましては、未来のトップアスリートを育成するため、「あつぎスポーツアカデミー」を充実させ、子どもたちの競技力向上や指導者育成を推進するとともに、体力向上・健康増進に向けた事業を展開してまいります。
 また、飯山グラウンドを始めとした、市民の皆様の多様なスポーツ活動の場となる施設の整備等を推進してまいります。
さらに、令和3年度の「ねんりんピックかながわ2021」の開催に向け、健康マージャンのリハーサル大会を開催し、ねんりんピックへの機運醸成を図ってまいります。

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 地球温暖化防止・低炭素社会の実現につきましては、持続可能な消費や生産、気候変動対策など、SDGsに掲げる開発目標の達成に向けた取組を推進するほか、良好な環境保全に資する施策を推進するため、「第5次環境基本計画」を策定してまいります。
 また、CO2排出の削減を図るため、地球温暖化防止に対する意識向上への取組を始め、家庭における太陽光発電設備や省エネ設備等の導入に対する補助を引き続き行ってまいります。
 さらに、新たな課題である気候変動への対応を踏まえた地球温暖化対策を推進するため、「地球温暖化対策実行計画」を改定してまいります。
 持続可能な循環型社会の実現につきましては、超高齢社会の進展を踏まえ、ごみの戸別収集を視野に入れた今後の収集方法等を検討するとともに、更なるごみの減量化・資源化を推進するため、新たな「一般廃棄物処理基本計画」を策定してまいります。
 また、生ごみの削減に向け、新たに学校給食から排出される食品廃棄物の減量化・資源化のモデル事業を実施してまいります。
 さらに、製品プラスチックの資源化を図るため、モデル地区事業を実施するとともに、紙おむつの資源化に向けた調査を実施してまいります。
 新ごみ中間処理施設につきましては、ごみの広域処理の実現を目指し、令和7年度の稼働に向け、環境施設組合とともに事業を推進してまいります。
 また、ごみ焼却の余熱を利用し、健康増進等の機会を提供しているふれあいプラザにつきましては、令和5年度の供用開始を目指し、整備運営事業者を選定するなど、PFI手法を用いた再整備を進めてまいります。
 自然と共生する社会の実現につきましては、生物多様性の普及・啓発を図るため、環境学習講座等を開催するとともに、希少生物を保護するため、厚木市版レッドデータブックを完成させてまいります。
 また、里地里山の保全・活用に向け、保全活動団体に対して引き続き支援を行うとともに、多面的な機能の発揮や次世代への継承を図るため、新たな「里地里山保全等促進計画」を策定してまいります。
 豊かな生活環境の実現につきましては、市民の皆様が安心して安全に公園を利用できるよう、「公園施設長寿命化計画」に基づき、都市公園の老朽化した遊具をリニューアルしてまいります。
 環境美化の推進につきましては、市民協働による地域美化清掃を引き続き実施するとともに、「路上喫煙ゼロ」を目指し、喫煙マナーの向上に取り組んでまいります。
 河川と共生する社会の実現につきましては、神奈川県等と連携し、河川敷の樹林化対策や河床整理を進めるとともに、市民協働により草花の植栽を行うほか、「県央相模川サミット六市町村合同クリーンキャンペーン」を実施し、河川美化意識の向上を図ってまいります。

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 活力ある中心市街地の実現につきましては、本厚木駅南口駅前広場の拡充整備や再開発ビルの令和2年度の完成に向け、再開発組合が進める建設工事を支援するとともに、新たに自転車等駐車場を整備してまいります。
 本厚木駅北口周辺につきましては、本市の玄関口としてふさわしい駅前広場や街区の再整備に向け、関係権利者の皆様との意見交換会や勉強会等を開催し、市街地再開発準備組合の設立に向け、具体的な整備内容を検討してまいります。
 愛甲石田駅周辺につきましては、交通環境を改善するため、北口広場の暫定整備を行うとともに、北口広場を中心とした整備構想策定に向け、地域の皆様と検討を進めてまいります。
 中町第2-2地区につきましては、多くの市民の皆様が気軽に立ち寄り、充実した時間を過ごすことができる「サードプレイス」の創出を目指し、中心市街地の新たな中核拠点となる図書館、(仮称)未来館、市庁舎等で構成する複合施設の設計に向けた準備を進めてまいります。
 また、歩行者、自動車等が安全かつ円滑に移動できる交通動線の確保に向け、関係機関と協議し、周辺交通アクセス整備を推進してまいります。
 地域特性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、今後の人口減少や超高齢社会の進展、道路・交通や社会経済状況等の変化を見据え、本市の都市づくりの方向性を示す「都市マスタープラン」の改定を始め、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方を基本とした「立地適正化計画」や「(仮称)総合都市交通マスタープラン」を新たに策定してまいります。
 南部産業拠点酒井地区につきましては、広域交通の結節点にふさわしい産業拠点の形成を目指し、土地区画整理組合を支援するとともに、関連する道路・水路の整備に向けた準備を進めてまいります。
 森の里東地区につきましては、新たな立地企業の操業開始に向け、整備中のエリアの完成を目指し、引き続き土地区画整理組合を支援するとともに、関連する排水路の整備を進めてまいります。
 山際地区・山際北部地区につきましては、引き続き権利者の皆様と検討を進めてまいります。
 快適生活空間の実現につきましては、分譲マンションの老朽化を見据え、立地や管理の実態調査を実施し、今後の住宅施策を検討してまいります。
 また、「空家等対策計画」に基づき、解体費や取得費に対して補助を行うなど、総合的な空き家対策を進めてまいります。
 住居表示整備につきましては、住所の混乱や不便を解消するとともに、災害や事故発生時に緊急車両等が迅速かつ正確に現地に到着できるよう、飯山地区の早期実施に向け、地域の皆様の御意見をお聴きしながら、取り組んでまいります。
 公共下水道事業につきましては、市街化調整区域の下水道整備に向け、調査・設計等の準備を進めるとともに、地方公営企業法の一部を適用し、経営マネジメントの強化に取り組んでまいります。
 交通環境の整備につきましては、日常生活で移動に不便を感じている方々を支援するため、地域コミュニティ交通の実現に向けた取組を進めてまいります。
 また、本厚木駅におけるホームからの転落や列車との接触事故を防止し、安全・安定輸送の確保を図るため、令和3年度のホームドア使用開始を目指し、設置に要する費用の一部を補助してまいります。
 道路ネットワークの構築につきましては、「第8次道路整備三箇年計画」に基づき、厚木環状3号線や本厚木下津古久線等の都市計画道路を整備するとともに、交通の円滑化や安全性・快適性の向上を図るため、交差点改良や生活道路の整備を推進してまいります。
 歩道整備につきましては、高齢者や障がい者に優しいバリアフリー化を進め、安全かつ快適な歩行空間の確保に努めてまいります。
 (仮称)厚木パーキングエリア・スマートインターチェンジにつきましては、令和2年度上半期の開通を目指し、事業を推進してまいります。
 また、厚木秦野道路につきましては、早期の整備促進に向け、引き続き、用地国債先行取得制度を活用し、事業推進を強力に後押しするとともに、関係自治体と連携し、国等への要望活動を積極的に行ってまいります。
 さらに、広域幹線道路ネットワークを含めた将来的な道路整備を見据え、道路に関する総合的な方針を定めるため、新たに「(仮称)あつぎの道づくり計画」を策定してまいります。
 道路施設の維持管理につきましては、定期的な点検を行い、施設の安全性を確保するとともに、施設維持費の平準化を図るため、新たに「道路維持管理計画」を策定してまいります。
 企業・商業活動が活発なまちの実現につきましては、適切な事業承継を促進するため、新たに補助金制度を創設し、経営者の高齢化や後継者不足に悩む市内中小企業に対する支援を行ってまいります。
 また、市内企業や勤労者に寄り添った施策の方向性を定め、活発な商業活動やロボット産業の推進が図られるよう、新たな「産業マスタープラン」を策定してまいります。
 企業誘致につきましては、新規企業の市内進出や既存企業の事業拡大を引き続き支援することにより、地域経済の活性化や雇用機会の拡大を図るとともに、持続可能な強い財政基盤の構築につなげてまいります。
 商業活動の推進につきましては、商工会議所や商店会、大規模小売店舗と連携し、「にぎわい爆発あつぎ国際大道芸」等のイベントを契機とした、商店会の活性化に向けた取組を実施してまいります。
 また、市民の皆様の利便性が向上するキャッシュレスシステムの導入を促進するとともに、アミューあつぎへの魅力あるテナント誘致に取り組むなど、にぎわいあふれるまちづくりを推進してまいります。
 新たな戦略による観光のまちの実現につきましては、飯山白山森林公園桜の広場周辺の更なる魅力向上を図るため、周辺整備に向けた実施設計等の準備を進めてまいります。
 また、観光協会と連携した観光プロモーションを展開するとともに、「あつぎ食ブランド」を活用した食のイベントや観光資源を紹介するバスツアーの開催、SNSを利用したPR動画の配信等により、本市の魅力を市内外にPRし、観光客の誘致拡大を図ってまいります。
 「あつぎ鮎まつり」につきましては、本年7月から8月にかけて東京オリンピック競技大会が開催されることに伴い、来場者の皆様が安心して安全にイベントに参加していただけるよう、開催を10月に延期してまいります。
 都市農業・林業をいかした地域産業の実現につきましては、「都市農業振興計画」に基づき、持続可能な都市農業の創造や魅力ある農業の振興に取り組むとともに、「人・農地プラン」の充実を図り、農地の集積等に取り組んでまいります。
 また、林業につきましては、森林環境譲与税等の活用により、森林の整備や木材利用を促進し、成長産業化や山崩れの防止、水源かん養など、森林の持つ多面的機能の向上を図ってまいります。
 有害鳥獣対策につきましては、ニホンザル等の適正な捕獲・追い払いや、群れの除去に取り組むことにより、農作物や生活への被害防止を強化してまいります。
 安心して働くことができる社会の実現につきましては、中小企業の障がい者雇用及び就労機会の更なる拡大につなげるため、雇用奨励金を交付するとともに、ハローワーク等の関係機関と連携して企業を支援してまいります。
 また、高年齢者の雇用促進や就労機会拡大、企業の人材確保につなげるため、新たに高年齢者継続雇用奨励補助金制度を創設してまいります。

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 あつぎの魅力の創造と発信及び地方創生の推進につきましては、人口減少を克服し、人口の将来展望を実現するため、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定してまいります。
 また、企業や大学、団体の若い世代で構成する地方創生推進プロジェクトにおいて、「住みたい・働きたい・訪れたい」と思える魅力あるまちづくりに向け、本市の魅力の発信や交流の場の創出を推進するとともに、親世帯との近居・同居のための住宅取得・改修を支援し、若年層の定住を促進してまいります。
 さらに、市民・商店・企業の皆様によるSDGsの取組を促進し、地域における相互のつながりを深めるため、スマートフォンアプリを活用した、SDGsつながりポイント事業を実施し、地方創生につなげてまいります。
 相模川・中津川の水産業の活性化につきましては、関係市町村や団体等と連携し、新たに整備したアユ中間育成施設を核として、6次産業化、ブランド化を図るとともに、魚類の生息環境の向上等に取り組んでまいります。
 積極的な情報提供の推進につきましては、市民の皆様を始め、観光やビジネスで本市を訪れる方々に対し、観光や災害等に関する行政情報を発信するため、本厚木駅南口にデジタルサイネージを設置するとともに、気軽にインターネットに接続できる環境を提供するため、本厚木駅周辺に「Atsugi Free Wi-Fi」を増設してまいります。
 また、ホームページにつきましては、近年の情報通信環境を踏まえながら、より利用しやすく、分かりやすいホームページを目指し、全面リニューアルに取り組んでまいります。
 市民参加・市民協働の推進につきましては、「現地対話主義」に基づく「自治会長とのまちづくりフリートーク」や「子育てコミュニティトーク」などを通して、市民の皆様の御意見を市政に反映してまいります。
 また、「日本一絆の強いまち」を目指し、市民自治推進組織の活動を引き続き支援するとともに、「市民参加条例」や「市民協働推進条例」の適正な運用を図ってまいります。
 行財政改革の推進につきましては、本市を取り巻く社会情勢の変化や多様化するニーズに対応するため、「あつぎ行政経営プラン実施計画」に位置付ける取組を推進するとともに、引き続き外部評価を実施してまいります。
 さらに、持続可能な経営基盤を確立するため、「第7次行政改革大綱」を策定するとともに、公共施設の最適化を推進するため、新たに施設ごとの具体的な対応方針を定める実行計画を策定してまいります。
 事務の効率化及び生産性の向上につきましては、定型業務等を自動化するRPAを導入し、市民サービスの向上につなげてまいります。
 財政運営につきましては、社会保障関係経費や公共施設の維持補修経費の増大を見据え、収納対策の更なる強化により、税や料などの自主財源を確保するとともに、国庫補助金等の特定財源の確保に努めてまいります。
 また、ふるさと納税の更なる拡充や債券運用等、新たな財源確保に積極的に取り組むとともに、今後の税収確保を見据えた将来への投資となる都市基盤整備を推進するなど、持続可能な強い財政を堅持してまいります。
 組織運営につきましては、経験豊富な専門職の任期付職員としての採用や会計年度任用職員制度の有効活用により、効率的な行政運営を進める強い組織を構築してまいります。
 また、積極的な情報公開を進め、行政の透明性や信頼性を更に高めることにより、市民の皆様に対する説明責任を果たしてまいります。
 さらに、窓口サービスの一層の向上を図るため、家族の死亡により悲しみや心労を抱える御遺族が、必要な行政手続をスムーズに行うことができるよう、支援する窓口を設置してまいります。
 情報化につきましては、市民の皆様の利便性の向上や安定的な市政運営の実現を目指し、効果的なICTの利用を促進するとともに、本市の情報化施策を更に推進するため、新たな「情報化推進計画」を策定してまいります。
 都市間連携の推進につきましては、広域的な課題解決や行政運営を推進するため、「県央相模川サミット」において、激甚化する風水害への対策を検討するとともに、「広域行政連絡会」において、観光振興に向けた事業に取り組んでまいります。
 国内友好都市との交流につきましては、沖縄県糸満市や、友好都市締結15周年を迎えた北海道網走市と、幅広い分野で魅力ある市民交流事業を実施してまいります。
 また、友好都市締結35周年を迎える秋田県横手市との職員相互派遣を引き続き実施することにより、幅広い視点で物事を捉えることができるよう職員を育成するとともに、交流の更なる強化を図ってまいります。

3 おわりに

 以上、令和2年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策について、御説明申し上げました。
 本市を訪れ、その際の様子を「厚木六勝」や「游相日記(ゆうそうにっき)」に記した江戸時代の画家であり、蘭学者の渡辺崋山は、「眼前の繰り廻しに百年の計を忘(ぼう)するなかれ」という言葉を残しています。目の前の事象にばかりとらわれることなく、将来を見据えた持続可能な市政運営が大切であり、現在の施策は市民の皆様の未来の生活につながっているということを常に意識する必要があります。
 これからも、輝かしい未来に向かって、市民の皆様が明るく元気で幸せに暮らし、一人一人が心の中に大輪の花を咲かせることができるよう、誠心誠意、市政運営に取り組んでまいる所存であります。
 さて、皆様御承知のとおり、今年は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される年であります。
 冒頭、私の今年の市政運営のテーマは、「大輪」であると申し上げました。「大輪」の「輪」は、「五輪」の「輪」でもあります。
 6月には、聖火リレーが本市を通過するに当たり、記念イベントを開催するなど、56年ぶりに東京で開催されるオリンピックに向け、大いにムードを盛り上げてまいります。
 また、通過ルートとなった道路に記念パネル等を設置するほか、事前キャンプを始め、国内外から迎える多くの皆様との友好の輪を大きく広げ、将来に大きなレガシーを残すことが、私の務めであると考えております。
 私はこれまで、「市民協働」、「現地対話主義」を信念として、市政に邁進してまいりました。
 オリンピックマークは、五大陸を示す五つの輪が重なって描かれております。本市のまちづくりを表すとするならば、いくつもの輪が水平に強くつながり合う構図が思い浮かびます。市民の皆様や企業、行政などが同じ目線で固く結ばれ、つながり合うことで、大きな人の輪を築き、まちづくりの原動力・推進力として大きな役割を発揮するものと確信しております。
 今後も引き続き、「あつぎ元気プラン」に掲げる将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを心からお願い申し上げ、令和2年度の施政方針といたします。
(公開日2月25日)

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