令和4年度施政方針

更新日:2022年02月22日

公開日:2022年02月21日

施政方針演説をする小林市長

1 はじめに

令和4年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な取組について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
国内で新型コロナウイルス感染症が確認されてから早2年が過ぎ、私たちはその未知なるウイルスへの不安、そして度重なる緊急事態宣言等により、厳しい社会生活を強いられることとなり、今なお、その感染力は衰えることを知りません。
私は、市民の皆様の命と暮らしを守り抜くことが最大の使命であると常に考えており、感染症の発症や重症化予防のため、厚木医師会や厚木商工会議所など関係団体の御協力を頂き、迅速にワクチン接種を実施するとともに、厚木市立病院では、市民の皆様の命を守る公立病院として、その使命を果たすべく、感染症病床を増床するなど、万全の医療提供体制で臨んでまいりました。
また、市内事業者の皆様の経済支援として、5度にわたる支援金の交付や飲食店応援電子商品券の発行など、これまで、感染症対策と経済回復の両面から取組を進めてまいりました。
この間、感染症拡大防止と収束に全力を傾け、御尽力頂いた医療従事者の皆様を始め、市民・事業者の皆様に心より感謝を申し上げます。
現在、第6波に対応するため、3回目となるワクチン接種を前倒しして進めておりますが、皆様には、引き続き感染症拡大防止対策に御協力を賜りますよう改めてお願い申し上げます。
昨年、千葉県八街(やちまた)市で起きた集団下校中の小学生が犠牲となった痛ましい交通事故は、私たちに大きな衝撃を与えました。本市においても、交通事故により市民の尊い命が失われており、胸が張り裂ける思いです。次代を担う子どもたちの光輝く命を交通事故で失うようなことがあってはなりません。私は改めて、「交通死亡事故ゼロ」の実現を固く誓い、児童生徒を守るべく、更なる交通安全対策強化を図り、集中的に通学路の安全対策に取り組んでまいります。
市民の皆様の安心・安全な暮らしがなければ、まちの発展は望めません。 あらゆる脅威から市民の皆様の命と暮らしを必ず守り抜くという決意を新たに、セーフコミュニティ認証都市として、世界に誇れる安心・安全なまちの実現に向け突き進んでまいります。
昨今は、気候変動に伴い激甚化・頻発化する自然災害や都心南部直下地震などに備えた国土強靭化に加え、地球温暖化対策の推進、老朽化が進むインフラの保全など、SDGs(エスディージーズ)を踏まえた持続可能なまちづくりが求められています。
線状降水帯などによる強い長雨の影響は、河川の氾濫や浸水など、甚大な被害を引き起こす懸念があります。異常気象がもたらす被害から市民の皆様の暮らしと企業活動を守るため、対策をより一層強化してまいります。
カーボンニュートラルの実現に向けては、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロを目指して、行政自らがその役割を果たし、市民・事業者の皆様と一体となって、取組を加速させなければなりません。
重要なインフラの一つである、学校施設の更新に備えた取組につきましては、計画的な整備に向け、新たに基金を設置するなど、子どもたちの安心安全な教育環境の充実を図ってまいります。
さて、私は、今年の市政運営のテーマに「前進」を掲げました。「もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である。」日本資本主義の父、渋沢栄一の言葉です。歩みを止めてしまえば、それは後退を意味します。
「常に前進」。市民の皆様と共に培(つちか)い育(はぐく)んできた市民協働という大きな推進力で、しっかりと将来を見据え、新たな時代を切り拓(ひら)き、本市が目指す将来都市像「自分らしさ輝く 希望と幸せあふれる 元気なまち あつぎ」の実現のため、粉骨砕身(ふんこつさいしん)、取り組んでまいる所存です。
こうした思いから、令和4年度当初予算につきましては、第10次総合計画に位置付ける重点項目を積極的に推進し、特に「交通死亡事故ゼロへの前進」、「防災・減災のまちへの前進」、「カーボンニュートラル実現への前進」、「人にやさしい都市への前進」、「将来都市像実現への前進」の五つの前進につながる取組を最重要事項として、一般会計936億円、特別会計を合わせた総額は1,591億円を超え、いずれも過去最大となる「あつぎの元気前進予算」として編成いたしました。
それでは、令和4年度の主要な取組につきまして、総合計画に掲げる六つのまちづくりのビジョンごとに、御説明申し上げます。

2 六つのまちづくりのビジョン

(1) 命、財産を守り抜くまち

まず一つ目のビジョン「命、財産を守り抜くまち」の実現に向けた取組につきまして、御説明申し上げます。
災害に強いまちの実現につきましては、「災害対応力日本一」に向け、「地域防災計画」を改定し、感染症対策など新たな課題に対する取組を反映させることにより、大規模災害等への対策を強化してまいります。
また、防災・減災に加え、復興に向けた事前準備の方針や取組を示す「防災都市づくり計画」を新たに策定してまいります。
災害時における避難体制の充実・強化につきましては、大規模災害時に拠点施設となる荻野運動公園に、太陽光発電設備を新たに設置するとともに、避難所となる公民館において、電気自動車の電力を供給できる体制を整備し、非常用の電源確保に努めてまいります。
風水害対策につきましては、浸水想定区域内に立地する避難所等における水害リスクの把握や解消・軽減のための調査を新たに実施し、安全に避難することができる施設として必要な対策を進めるとともに、浸水対策に取り組む市民の皆様や企業等に対する補助制度を創設し、被害の防止・軽減を図ってまいります。
また、本厚木駅を中心とした厚木排水区において、令和4年度末の完成を目指し、引き続き雨水貯留管の整備を行うとともに、水引一丁目から南町付近までの浸水対策として、雨水貯留管整備計画を新たに策定するなど、強力に浸水対策を進めてまいります。
さらに、準用河川恩曽川において、河床整理工事を実施し、治水能力の向上を図るとともに、増水時における避難等の判断材料となるよう、インターネットで配信している河川水位の情報に危険水位等を新たに設定することで、安心・安全なまちづくりを推進してまいります。
市立病院につきましては、災害拠点病院として、水害時においても継続的に医療を提供するため、必要な対策を進めてまいります。
耐震化の推進につきましては、新たな「耐震改修促進計画」を策定するとともに、木造住宅の耐震化に対する補助制度を拡充してまいります。
また、建築に係る事故や違反建築物等への対応の迅速化を図るため、新たに建築確認台帳を電子化してまいります。
消防力の充実・強化につきましては、あらゆる災害に対応するため、より実践的な訓練ができる消防訓練場の再整備に着手するほか、化学消防ポンプ自動車や高規格救急自動車の更新・整備を行ってまいります。
また、地域防災の要である消防団の活動環境の充実や警察・県内消防機関との広域的な連携訓練等により、消防体制を強化するとともに、火災予防対策の推進に向け、地域や事業所と連携し、防火意識の更なる普及啓発に努めてまいります。
救急体制の充実につきましては、高度な救命処置が可能な認定救急救命士を計画的に育成するとともに、救急ワークステーションによる医療機関との連携などにより、適切な救急医療サービスを提供してまいります。
セーフコミュニティの推進につきましては、3度目の国際認証取得を新たなスタートとして、更なる取組の充実を図り、誰もが健康で安心して安全に暮らすことができるまちづくりを推進してまいります。
交通安全対策の強化につきましては、保育所、幼稚園、小学校における交通安全教室の更なる充実や市内15地区における高齢者交通安全教室の開催等により、交通ルール・交通マナーの啓発活動を強化するほか、自転車ヘルメットの購入費補助の対象を拡大し、交通事故の未然防止や重傷化リスクの軽減を図るなど、市民総ぐるみで「交通死亡事故ゼロ」を目指してまいります。
防犯に対する取組の推進につきましては、「振り込め詐欺ゼロ」に向け、引き続き、迷惑電話防止機能付電話機の購入費の一部を補助するとともに、郵便局や公民館に移動番屋を開設するなど、最新の特殊詐欺の手口などについて啓発活動を行い、防犯意識の高揚を図ってまいります。
また、成年年齢が18歳に引き下げられることから、悪質商法などに対する消費生活相談体制の一層の充実を図るとともに、効果的な啓発活動に取り組んでまいります。
さらに、「中心市街地客引きゼロ」に向け、客引き行為等に対する指導を徹底するとともに、市民の皆様や警察等との協働による環境浄化パトロールを継続し、体感治安の更なる向上に取り組んでまいります。

(2) 支え合い、生き生きと暮らせるまち

二つ目のビジョン、「支え合い、生き生きと暮らせるまち」の実現に向けた取組につきまして、御説明申し上げます。
住み慣れた地域で自分らしく暮らせるまちの実現につきましては、地域包括ケア社会の実現に向け、より複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、各分野の支援機関が協働し、包括的な支援体制の強化を図るとともに、障がい者相談支援センターの職員増員と施設の増設を行い、相談体制を拡充・強化してまいります。
また、超高齢社会の進展により、更なる需要が見込まれる成年後見制度の活用促進を図るとともに、「見守り、つながり、支え合い、一人一人が尊重される地域づくり」を推進するため、各地区の地域福祉推進委員会の活動を支援してまいります。
さらに、市民の皆様が安心して医療・介護を受けることができるよう、看護職や介護職等の人材確保に向けた助成制度を継続してまいります。
子育て環境の充実につきましては、「子育て環境日本一」に向け、安心して幼稚園・認定こども園・保育所が利用できるよう、幼稚園教諭や保育士の確保に努めるとともに、園を利用する子育て世帯の負担軽減や園の運営を支援するなど、幼児教育・保育環境を充実してまいります。
また、「保育所待機児童ゼロ」を継続するため、多様な保育ニーズに応じた運営に対する補助を拡大するほか、感染症対策のための施設改修に対する新たな補助など、認可保育所等への支援を行ってまいります。
小鮎保育所につきましては、一時預かりのための保育室や保護者の育児相談に活用できる専用室を新たに設けた施設として、建て替えのための調査・設計等を進めてまいります。
児童の放課後対策につきましては、児童クラブ指導員を確保し、受入体制の充実を図るとともに、放課後子ども教室の拡大により、放課後の居場所づくりに取り組んでまいります。
子育て支援の充実につきましては、医療費助成やおむつ支給など、子育て世帯を対象とした家計や日常生活への支援を継続するとともに、ひとり親家庭等に対する経済的支援や自立の促進など、家庭の状況に寄り添った適切な支援を行ってまいります。
また、育児中のストレスや孤独感等を軽減するため、保育士が地域の児童館で個別に相談に応じる出張相談を新たに実施するとともに、リフレッシュ等の機会が広がるよう、アミューあつぎの託児室「わたぐも」を利用する保護者に、アミューあつぎ内で利用できるクーポン券を新たに配布してまいります。
療育支援につきましては、療育相談センター「まめの木」を核とし、関係機関とのより一層の連携強化を図り、幼児期からの一貫した支援体制を充実してまいります。
親と子の健康づくりの推進につきましては、妊婦健康診査について、県内トップクラスの補助を継続するとともに、産婦健康診査及び産後ケア事業により、退院直後の母子に対して心身のケアを行うなど、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援してまいります。
児童虐待防止対策につきましては、こども家庭相談管理システムにより、これまで以上に迅速かつ適切な支援に努め、「居所不明児童ゼロ」を継続してまいります。
また、DV防止対策につきましては、相談者の安全確保や自立支援を最優先に進めるとともに、児童虐待と密接な関係があることから、一体的に周知・啓発活動を実施してまいります。
健康寿命延伸の推進につきましては、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化の予防を目的に、希望する方へのワクチン接種を円滑に進めてまいります。
また、一般の診療所では治療が困難な要介護者や高齢者等に対する歯科診療を、歯科保健センターで新たに実施するとともに、健康寿命の延伸を図る上で重要な口腔(こうくう)ケアに関する知識の普及啓発に取り組んでまいります。
国民健康保険事業及び後期高齢者医療制度事業につきましては、生活習慣病の潜在的なリスク把握から重症化予防まで、効果的かつ効率的な保健事業を実施してまいります。
介護予防と認知症に対する取組の推進につきましては、多様なニーズに対応した介護サービスを提供するとともに、健康状態など個々の状況に寄り添った支援を行う介護予防ケアマネジメントを実施してまいります。
また、高齢者が生き生きと生活を送るため、就労や地域での居場所づくりなどを支援してまいります。
市立病院につきましては、重点施策として、高度ながん診療の提供体制や新たに開設する脳卒中センターによる救急の受入体制を強化することにより、地域の基幹病院としての役割を果たすとともに、新型コロナウイルスを始めとする感染症についても、引き続き、感染症指定医療機関としての体制を確保してまいります。
多様性の尊重と平和都市の推進につきましては、一人一人の人権が尊重される社会を目指し、人権施策を推進するとともに、「第4次男女共同参画計画」を策定し、女性が様々な分野において活躍することができる環境づくりやワーク・ライフ・バランスの充実などに取り組んでまいります。
また、性的少数者や事実婚の方が抱えている悩みや生きづらさの軽減と、性の多様性に対する市民の皆様の理解を深めるため、パートナーシップ宣誓制度を新たに導入してまいります。
国際交流の推進につきましては、海外友好都市との交流事業を始め、東京2020(にいぜろにいぜろ)オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウンとして交流を重ねてきたニュージーランドとの青少年交流事業などをより一層推進し、大会のレガシーを引き継いでいくとともに、未来を担う若者世代に国際交流の機会を提供してまいります。
また、海外友好都市等を市民の皆様に身近に感じていただくことができる写真展の開催やニュースレターの発行に取り組むとともに、友好都市の訪問、受け入れ等交流事業を実施する市民団体や市内大学を支援してまいります。

(3)夢や希望を持ち、自己実現ができるまち

三つ目のビジョン、「夢や希望を持ち、自己実現ができるまち」の実現に向けた取組につきまして、御説明申し上げます。
学校教育の充実につきましては、「教育環境日本一」に向け、基礎的・基本的な知識や技能の確実な習得と課題を解決するための力の育成などにより、自立につながる生きる力を育(はぐく)むとともに、感染症対策の徹底や変化に対応することができる指導体制の確保に取り組んでまいります。
また、ニュージーランドとの教育に関する連携を更に強め、オンライン交流や留学の機会を通して、グローバルな人材を育成してまいります。
さらに、人権教育やインクルーシブ教育を推進し、共生社会の担い手となるための資質・能力を育(はぐく)むとともに、特別な配慮や日本語指導が必要な児童・生徒への支援を一層充実してまいります。
GIGA(ギガ)スクール構想に基づく1人1台のパソコン端末の活用につきましては、指導者用デジタル教材の利用環境を拡大するとともに、児童・生徒の一人一人の状況に合わせた学びが提供できるよう、調査・研究を進めてまいります。
小・中学校における支援体制の充実につきましては、授業の補助を行う支援員や非常勤講師を配置し、主体的に学ぶ力を育成するとともに、「いじめゼロ」につなげる取組や不登校への対応をきめ細かく行ってまいります。
また、インターナショナルセーフスクールにつきましては、来年度の清水小学校、妻田小学校、睦合東中学校の再認証取得に向けて取り組んでまいります。
安全な教育環境の整備につきましては、教育の公平性確保や教育水準の維持向上を図るため、学校規模の適正化が必要となる地域ごとに、通学区域や学校施設の適正化に向けた検討を進め、適正規模・適正配置の推進の在り方に関する計画を策定してまいります。
また、小・中学校プール施設の老朽化に対応するとともに、児童・生徒に安全で質の高い水泳指導を提供するため、モデル校による検証など、プール施設の最適化に向けた取組を新たに進めてまいります。
学校施設につきましては、児童・生徒が快適な教育環境の中で安心して安全に学校生活を送ることができるよう、新たに小学校特別教室への冷暖房設備の設置などを進めてまいります。
また、依知南小学校中央棟校舎は令和6年度に、緑ケ丘小学校東棟校舎は令和7年度に、それぞれ目標耐用年数を迎えることから、施設整備に係る基本計画策定などの取組を進めてまいります。
さらに、将来の学校施設の整備を確実に進めるため、新たに学校施設整備基金を設置してまいります。
学校給食施設につきましては、新たな学校給食センターを9月から運用していくことで、全中学校に安心・安全な給食を提供してまいります。
地域での学びを支える社会教育と生涯学習の推進につきましては、誰もがいつまでも、気軽に生涯学習活動に取り組むことができるよう、市民講師や市内5大学、企業と連携し、様々な学習機会を提供してまいります。
また、公民館活動や地域活動による住民同士の学び合いなどを通して、豊かな地域づくりと担い手づくりを推進するとともに、引き続き、地域学校協働活動の研究を進め、地域全体が協働して子どもたちの学びや成長を支える仕組みづくりを進めてまいります。
さらに、誰もが気軽に立ち寄ることができる交流の場としての機能を備え、科学を始めとした学びや体験ができる(仮称)未来館の整備に向けた取組を進めてまいります。
厚木北公民館の整備につきましては、様々な学習ニーズや防災機能の確保など、地域の課題に対応した拠点として、令和6年度の完成を目指し、新築設計を進めてまいります。
来館することなく24時間利用できる電子図書館につきましては、音声読み上げ機能等のある電子書籍を充実し、より多くの方に読書を楽しんでいただける環境を整備してまいります。
文化芸術の振興につきましては、市民の皆様や関係団体との協働により、あつぎ市民芸術文化祭など様々な文化芸術事業を推進するとともに、市内の郷土芸能の保存と伝承を図るため、郷土芸能まつりや郷土芸能普及公演等を実施してまいります。
また、あつぎ郷土博物館においては、大英博物館でも展示された林(はやし)王子(おうじ)遺跡(いせき)出土の有孔鍔付(ゆうこうつばつき)土器(どき)や国指定重要文化財を含む縄文時代の特徴的な資料を一堂に集め、豊かな縄文文化への理解を深める特別展示を開催してまいります。
生涯スポーツの振興につきましては、年齢や障がいの有無にかかわらず、全ての市民の皆様がスポーツを楽しむことができる機会を提供するとともに、「ねんりんピックかながわ2022(にせんにじゅうに)」の開催を通じて、全国の皆様に本市の魅力を発信してまいります。
また、多様なスポーツ活動の充実を図るため、(仮称)及川グラウンド・ゴルフ場や飯山グラウンドの整備を進めてまいります。

(4)人が集い、交流し、新たな価値を生むまち

四つ目のビジョン、「人が集い、交流し、新たな価値を生むまち」の実現に向けた取組につきまして、御説明申し上げます。
誰もが生活しやすいコンパクト・プラス・ネットワークの推進につきましては、誰もが快適に移動でき、地域で暮らし続け、働き続けることができる、人にやさしい都市づくりに向け、生活利便施設が不足している地域のバス路線沿道等にスーパーや診療所等の立地を誘導する補助制度を拡充するほか、都市機能誘導区域である本厚木駅及び愛甲石田駅周辺へ大規模商業施設の維持・誘導を図るための補助制度を新たに創設してまいります。
また、災害リスクの高い区域から居住誘導区域への移転のための補助制度を拡充してまいります。
さらに、荻野地区でのコミュニティ交通「ココモ」を継続運行するとともに、毛利台地域でタクシーを活用したデマンドタクシーチケット制度の実証実験を行うなど、日常生活での移動に不便を感じている方々の移動手段の確保に取り組んでまいります。
安全で快適な住環境の整備につきましては、空き家の解体費の支援など、引き続き、空き家に起因する様々な不安を解消してまいります。
また、マンション管理組合への様々な支援やマンション管理計画の認定制度の創設により、マンションの適正管理を推進してまいります。
市営住宅につきましては、予防保全的な修繕や改善等を適正かつ効率的に実施することにより、施設の長寿命化を図ってまいります。
住居表示の整備につきましては、地域の皆様と策定した計画に基づき、飯山地区の住居表示を実施し、住所の利便性や緊急時の連絡支援の向上を図ってまいります。
通学路の整備につきましては、新たな歩道整備や橋りょうの架け替えを計画的に行ってまいります。
また、運転者への注意喚起を図るため、小・中学校周辺の交差点や路側帯のカラー化を推進し、児童・生徒の安全確保を徹底してまいります。
さらに、児童の目線で通学路の安全を検証するためのウェアラブルカメラを新たに導入し、地域との連携・協働により点検・整備を進めることで、子どもの命を守る取組を強力に推進してまいります。
市民生活や産業活動を支える道路ネットワークづくりの推進につきましては、広域的・地域的交通の役割を担う厚木秦野道路の早期開通に向け、引き続き、用地国債先行取得制度を活用するとともに、関係自治体と連携し、国へ事業推進を強く要望してまいります。
また、厚木環状3号線や本厚木下津古久線等の都市計画道路整備を推進するとともに、交差点改良や生活道路整備等により、安心・安全でスムーズに移動できる道路空間を形成してまいります。
移動しやすい公共交通環境の整備につきましては、妻田薬師バス停交差点などのバス待ち環境の改善を図るとともに、中町第2-2地区周辺における、移動が安全かつスムーズにできる交通導線の確保に向け、アクセス道路の整備を推進してまいります。
魅力ある中心市街地等の形成につきましては、市民・事業者の皆様を始め、まちに関わる多くの皆様と共に、居心地が良く、歩きたくなるまちなか空間の創出を目指し、新たに「(仮称)本厚木駅周辺歩いて楽しいまちづくり推進計画」を策定してまいります。
また、本市の玄関口としてふさわしい本厚木駅前北口周辺地区の再整備に向け、再開発準備組合の活動を積極的に支援してまいります。
中町第2-2地区につきましては、市民の皆様が気軽に立ち寄り、「いい日々、いい時間。」を過ごすことができるサードプレイスの創出を目指し、中心市街地の新たな中核拠点となる図書館、(仮称)未来館、市庁舎等で構成する複合施設の基本設計業務を完了し、実施設計・施工に向け、準備を進めてまいります。
愛甲石田駅周辺につきましては、地域や関係機関などと、将来のまちづくりの方向性を示す「(仮称)愛甲石田駅周辺まちづくり基本構想」を新たに策定してまいります。
にぎわい創出に向けた取組の推進につきましては、中心市街地の空き店舗対策を推進するとともに、まちを彩る装飾イベントの開催に併せて来場者を店舗に誘導する商業支援策を新たに実施し、中心市街地のにぎわい創出や店舗の売上向上の支援に取り組んでまいります。
地域の個性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、森の里東土地区画整理事業地内において、既に5社が操業を開始するなど、新たな産業拠点として順調に企業立地が進展しており、酒井地区においては、広域交通の結節点としての交通利便性を生かした新たな拠点形成に向け、着実に事業が進捗しており、引き続き、両土地区画整理組合を支援するとともに、関連する道路・排水路の整備を進め、早期完成を目指してまいります。
山際地区及び山際北部地区につきましては、土地区画整理事業の実施に向け、関係者の皆様と協議を進めてまいります。
産業・商業の振興及び安心して働くことができるまちの実現につきましては、環境の変化に対応するための事業展開に取り組む中小企業を新たに支援するとともに、コロナ禍で重要性が急速に高まっているデジタル化への支援に取り組んでまいります。
また、商店会が実施するプレミアム商品券発行事業を支援し、地域における消費を喚起するなど、商店会の活性化を図ってまいります。
企業誘致の促進につきましては、引き続き、市内への企業立地を支援するほか、市内企業の再投資について、アウトリーチ型の支援を行い、雇用機会の拡大や産業の活性化を推進してまいります。
観光の振興につきましては、飯山白山森林公園桜の広場を新たな観光資源として活用するとともに、その周辺道路やハイキングコースなどの整備を進め、観光拠点としての機能強化を図ってまいります。
また、「あつぎ飯山桜まつり」や「あつぎ鮎まつり」を始め、魅力ある観光イベントを安心・安全に開催し、地域経済の活性化につなげてまいります。
さらに、七沢と大山を結ぶ登山道の中間に位置する不動尻広場を、安全で快適に過ごせる憩(いこ)いの場として整備するとともに、独自の発想で観光振興に取り組む市民団体等を支援するなど、民間活力を生かした新たな観光資源の創出を図ってまいります。
シティプロモーションと定住促進につきましては、市内企業や大学、団体の若い世代で構成する地方創生推進プロジェクトにおいて、本市の魅力創造や交流事業を推進してまいります。
また、20歳・30歳代の転入促進と転出抑制の二つの視点から、若年子育て世帯の住宅取得に対する支援を引き続き行ってまいります。
さらに、バランスのとれた人口構成を確保するため、親世帯との近居・同居のための住宅取得や改修についても、引き続き支援してまいります。
農業・林業・水産業の振興につきましては、ICT(アイシーティー)などの最先端技術を活用した農業用設備や機械の導入に対する支援制度を創設し、地域農業の中心的な担い手の確保・育成とスマート農業の推進に取り組んでまいります。
また、良好な都市環境の形成に向け、市街化区域内の農地である生産緑地を維持・拡大し、都市農地の保全を図るとともに、災害時における防災協力農地としての活用を広げ、防災機能を強化してまいります。
農業と福祉の連携の推進につきましては、農業の担い手確保と障がい者等の就労機会の拡充に向け、関係機関と更なる連携を図ってまいります。
鳥獣被害対策につきましては、適正な捕獲や追い払い等により、農作物(のうさくぶつ)や生活への被害防止を強化してまいります。
林業への支援につきましては、森林の有する多面的な機能を発揮させるため、林道の整備や木材の活用など森林の整備を計画的に進めるとともに、新たに厚木産間伐材を活用した木製品を新生児へ贈呈することにより、乳幼児から木に触れて親しむ「木育(もくいく)」を推進してまいります。
水産業の活性化につきましては、相模川の流域市町村及び内水面漁業関係者と連携し、漁業者の所得向上につながる取組を支援してまいります。

(5)環境に優しく、自然と共生するまち

五つ目のビジョン、「環境に優しく、自然と共生するまち」の実現に向けた取組につきまして、御説明申し上げます。
地球温暖化対策の推進につきましては、2050年までのカーボンニュートラル実現に向け、実効性のある戦略を策定し、組織横断的に取り組んでまいります。
また、市民・事業者の皆様や団体、市が一体となって行動していくための仕組みを新たに構築し、オールあつぎの取組として強力に推進してまいります。
さらに、環境以外の分野においても、新たな取組を実践し、カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
防災・消防の分野につきましては、避難所等を対象とした再生可能エネルギー設備の導入可能性調査を実施するとともに、県内初となるEV消防車両を導入してまいります。
教育・生涯学習の分野につきましては、学校教育を通じたカーボンニュートラル推進や小・中学校の照明器具のLED化に取り組むとともに、市民の皆様の脱炭素・地球温暖化防止に対する知識を深める講座を開催してまいります。
交通環境の分野につきましては、自家用車に過度に依存しない交通体系の実現に向け、モビリティマネジメントの取組として「あつぎノーマイカーデー」の社会実験により、公共交通の利用促進とカーボンニュートラルの実現に向けた効果検証を実施してまいります。
産業の分野につきましては、企業等における自家消費型太陽光発電システムの導入を補助するとともに、工場における省エネ効果の高い照明・空調の導入や事業用電気自動車等の導入に係る経費の一部を補助してまいります。
市民の皆様への補助につきましては、電気自動車購入補助やスマートハウス機器設置におけるコンパクト・プラス・ネットワークの考え方を取り入れた居住誘導加算など、新たな補助制度を設け、更なる二酸化炭素の排出削減を図ってまいります。
未来へつなげる循環型都市の実現につきましては、もえるごみの戸別収集モデル地区を拡大し、家庭系ごみの更なる減量化・資源化に取り組んでまいります。
また、事業所から排出される食品廃棄物の減量化・資源化の推進に向け、生ごみ処理機を設置する事業者への補助制度を創設するとともに、民間事業所から排出される食品廃棄物のバイオエネルギー化による資源化に新たに取り組んでまいります。
新たなごみ中間処理施設につきましては、厚木愛甲環境施設組合と連携し、令和7年度の稼働に向け整備を進めてまいります。
ふれあいプラザにつきましては、令和5年度の供用開始に向け、市民の皆様の健康増進や交流の拠点として愛される施設を目指し、整備を進めてまいります。
自然との共生の推進につきましては、急速に進んでいるナラ枯れの拡大を食い止めるため、森林環境譲与税を活用し被害木を伐採するなど、引き続き対策に取り組むとともに、伐採した樹木を小・中学校の机の天板として活用してまいります。
また、里地里山の保全や活用に向け、引き続き、保全活動団体を支援するとともに、豊かな自然環境や生物多様性を保全するため、自然と触れあうエコツアーや講演会などを開催してまいります。
緑豊かで美しいまちの実現につきましては、睦合南地区に(仮称)瀬戸(せと)睦(むつみ)公園を新たに整備するとともに、土砂災害特別警戒区域の指定を受けた公園等法面の対策を検討してまいります。
また、市民の皆様や企業との協働による地域美化清掃を行い、環境美化の向上を図るとともに、「路上喫煙ゼロ」を目指し、喫煙マナーに関する啓発活動を実施してまいります。
河川と共生するまちの実現につきましては、相模川三川合流点において、市民の皆様の憩(いこ)いの場として水辺の利活用を図るため、良好な自然環境と親水性を備えた水辺ふれあい拠点の創出を目指してまいります。
また、市民の皆様との協働による草花の植栽や「県央相模川サミット六市町村合同クリーンキャンペーン」を実施し、河川美化意識の向上を図るとともに、河川の水質調査や工場及び事業場の排水調査を実施するなど、良好な河川環境の保全に取り組んでまいります。
公共下水道事業につきましては、経営マネジメントの強化に取り組むとともに、河川環境の保全や生活環境の改善に向け、効率的な下水道整備を進めてまいります。

(6)市民と共に確かな成長を創り出すまち

六つ目のビジョン、「市民と共に確かな成長を創り出すまち」の実現に向けた取組につきまして、御説明申し上げます。
市民参加・市民協働の推進につきましては、「日本一絆(きずな)の強いまち」を目指し、地域の課題を解決する地区市民自治推進組織や自治会、ボランティア団体の活動を支援するとともに、地域コミュニティ活動の拠点整備や次世代の地域の担い手づくりに取り組んでまいります。
また、「現地対話主義」に基づく「自治会長とのまちづくりフリートーク」や「子育てコミュニティトーク」などを通して、新たな日常においても市民の皆様の御意見を確実に市政に反映してまいります。
SDGs(エスディージーズ)の推進につきましては、スマートフォンアプリ「まちのコイン・アユモ」の利用促進を図るとともに、参加・体験型のイベント「(仮称)あつぎSDGs(エスディージーズ)フェスティバル」の開催や企業・団体等を対象とした(仮称)あつぎSDGs(エスディージーズ)パートナー制度の創設などにより、市民・事業者の皆様がSDGs(エスディージーズ)を「自分ごと」として捉え、まちぐるみで一体となって取り組むことができる環境を構築してまいります。
行財政改革の推進につきましては、「第7次行政改革大綱」に基づく取組を推進し、社会環境の変化に対応した質の高い行政サービスを持続的に提供してまいります。
また、「公共施設最適化基本計画」に基づき、公共施設の計画的な更新及び長寿命化を推進するとともに、施設の有効活用について検討してまいります。
さらに、毎年実施している外部評価に加え、事業の効果や必要性を検証するための事務事業評価を実施してまいります。
行政手続におけるデジタル化の推進につきましては、電子申請システムに電子決済サービスを導入し、申請から手数料納付まで、来庁せずに手続が完結する環境を整え、市民の皆様の更なる利便性の向上に取り組んでまいります。
また、利用者の皆様に少ない手順で快適に手続をしていただけるよう、便利で分かりやすい窓口を目指し、デジタル技術を積極的に活用した総合窓口の整備に向け、取組を進めてまいります。
さらに、庁内業務において、定型業務を自動化するRPA(アールピーエー)やAI(エーアイ)技術を用いた会議録作成システムを活用し、事務の効率化や業務の生産性向上を図ってまいります。
組織運営につきましては、新たな行政需要に迅速かつ柔軟に対応する組織を構築するとともに、令和5年度の地方公務員の定年年齢引上げに向け、役職定年制や定年前再任用短時間勤務制等の導入など、準備を進めてまいります。
財政運営につきましては、社会保障関係経費や公共施設の維持補修経費の増大が避けられない中、国庫補助金などの特定財源の確保はもとより、税や料だけでなく、土地の貸付け、債券運用など、更なる自主財源の確保についても積極的に取り組んでまいります。
また、今後の税収確保を見据えた未来への投資となる都市基盤整備を着実に推進し、将来にわたって持続的な強い財政を堅持してまいります。
都市間連携の推進につきましては、「県央相模川サミット」や「広域行政連絡会」において、環境問題や観光振興、災害対策などの課題解決に向けた広域的な取組を進めてまいります。
国内友好都市との交流につきましては、市民の皆様が参加できる魅力ある事業を実施するとともに、市民団体による交流事業を支援してまいります。

3 おわりに

以上、令和4年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な取組について、御説明申し上げました。
世界的な感染症流行という困難の中、昨年夏には、東京2020(にいぜろにいぜろ)オリンピック・パラリンピック競技大会が、この2月には、本市出身の大塚(おおつか)健(たける)さんがスノーボード競技で活躍した、北京2022(にいぜろにいにい)冬季オリンピック競技大会が開催されました。
ひたむきに競技と向き合い、躍動する選手たちの姿は、私たちに多くの勇気と希望を与えてくれました。
選手たちの活躍の陰にあるのは、たゆまぬ努力と血のにじむような練習の積み重ね、そして前に進むという確固たる信念です。
東京大会において、本市がホストタウンを務めたニュージーランドの先住民のことわざに「太陽に顔を向ければ、あなたの後ろに影はできる」という言葉があります。「太陽」は、「神聖なもの」、「良いもの」、「正しいこと」の象徴であり、「正しいことを信じて、前を向いて歩みを進めていけば、未来は必ず輝いている。」という意味が込められています。
市民の皆様が笑顔で幸せに暮らす未来を心に思い描き、日本に、そして世界に誇れるまちとして、力強く前進していかなければなりません。
何事も将来を見据え、果敢に挑戦しない限り成長はありません。輝ける未来をつくることができるのは、今を生きる私たちであり、その手に託されているのです。想(おも)いをひとつに、市民協働という強い絆で、共に前進していきましょう。
総合計画に掲げる将来都市像「自分らしさ輝く 希望と幸せあふれる 元気なまち あつぎ」の実現のため、市民の皆様並びに議員の皆様のより一層のお力添えを心からお願い申し上げ、令和4年度の施政方針といたします。

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