【陳情第5号】市職員の「厚木市の積極的な情報公開を推進するための行政文書作成指針」の遵守及び厚木市情報公開条例の改正を…

更新日:2025年05月30日

公開日:2025年05月30日

陳情第5号 令和7年4月25日受理

件名

市職員の「厚木市の積極的な情報公開を推進するための行政文書作成指針」の遵守及び厚木市情報公開条例の改正を求める陳情

陳情者

非公表

 

付託委員会

総務企画常任委員会

陳情の趣旨

厚木市(以下「市」という。)では「厚木市の積極的な情報公開を推進するための行政文書作成指針」(以下「指針」という。)が平成20年6月5日に施行され、市のサイトにも1ページを割き、市民に見やすく公開されている。しかし、市職員には指針を遵守していない事例やそれを指針の所管部署(行政総務課)の一部職員に問うても、むしろ、市民側の指摘が間違っているかのように非難されるような言われ方をされる場面が複数あった。そのため、市民・国民の憲法で保障された知る権利の行使を妨害しないよう、指針の徹底した遵守、また、さらには過去の最高裁判例に基づき、厚木市情報公開条例の改正を求めるものである。

1 指針は「1 趣旨」のとおり、「本市の徹底した情報公開の推進」と「市政に対する市民の信頼確保と市民への説明責任を果たすため」のものであり、「行政文書の確実な作成と適切な保存管理について示したもの」である。そして、いうまでもなく指針は、市全職員が遵守しなければならないルールである。

2 項目の順序が逆になるが、まず「4 文書不存在理由の明確化」では、厚木市情報公開条例に基づく行政文書公開請求に対する市の決定通知の際、「不存在を理由とした非公開決定時の非公開決定理由については、説明責任を果たす観点から、単に「作成(取得)していない」という事実ではなく、なぜ作成(取得)していないのかを記述しなければならない。」とされている。下線部の“なぜ”の記述(記載)をせず、行政文書非公開決定通知書の通知がされている(別紙1)。別紙1は、過去の原行政文書非公開決定通知書に対し、“なぜ作成(取得)していないのか”に関する行政文書の公開を求めたものであるが、ここでも、“なぜ”は記述されていない。本件に関し、市政情報コーナーにおいて対面で指針をスマートフォンで確認しながら、当該行政文書担当部署役職者や指針の所管部署であり行政文書の公開・非公開決定通知書の内容を審査・チェックする部署でもある行政総務課役職者にも上記旨を問うたがすでに非公開決定が出ていることを理由としてや、そもそも指針にのっとっているのかどうかすら明確な回答はなかった。このことについては、陳情者は「決定通知を出してしまえば、市民から審査請求さえされなければ、文句を言わない」と考えていると感じ、指針があるのにもかかわらず指針の要件を満たした決定通知を出すという義務をないがしろにできることになる。また、後日に電話にて同役職者に同様の質問をした際は、「なぜ作成(取得)していないのかを記述しなければならない。」の“しなければならない”は“必ず”という意味ではなく“できるだけ”や“必要であれば”という意味を含んでいる旨の説明を受けた。しかしながら、「しなければならない」は「努めなければならない」という努力義務ではなく、法令用語としても一般的な用語としても、明らかに義務を課す言葉である。

また、「4 文書不存在理由の明確化」には、「説明責任を果たす観点から」という前提が入っており「作成(取得)していない」という事実のみでは、説明責任を果たすとは言えず、当然に“なぜ作成(取得)していないのか”を記述(記載)しなければならない。

3 「3 行政文書の作成及び保存管理」では「(1)意思形成過程文書を確実に作成すること。」となっている。具体的には、「意思決定に至る経過を明確にするため、意思形成過程における文書を確実に作成し、行政文書として適正に保存管理しなければならない。」とされている。特に陳情者の行政文書公開請求に対する行政文書一部公開決定通知書(別紙2)において公開された文書(個人名が記載されているため省略)は、決裁の結果と決裁に対する伺い文(両面印刷1枚)のみであった。しかしながら、同決裁文書によると起案日から決裁日までは15日間あり、起案・確認・承認・合議・決裁まで、各部署の13名の職員が関わっており、その間に誰一人として、出席はおろか、意思形成過程に係る打合せや会議等がなかったのかという疑問に至る。この件について、上記2と市政情報コーナーにて、同席した指針所管部署担当者に尋ねたところ、例えば、決裁者1名と各部署の役職者である合議者は、どこかで集まって、会議のようなことをしていたとのことであった。「合議」であるゆえ、集まるか、または持ち回りでなければ、合議とは言えないのは明らかであり、それこそがまさに「意思決定に至る過程」であるが、同担当者は、なぜ会議録等を作成していないのかについては、無言を通し、何ら回答をしなかった。「3(1)」には、特に留意点として、「ウ 複数の部にまたがって連絡調整を行うことを目的とする会議録等」とある。この決裁者と合議者は各部署から集まったのであり“複数の部にまたがった連絡調整”であることは明白であり、会議録等を作成するルールとなっている。

また、別紙2の行政文書公開請求の内容は、市側から示された「聞き取りの範囲(在職職員)の具体的な説明や退職職員への聞き取りはなされなかった」ことに対し、どういう経緯、意思形成過程により、聞き取り範囲が決定されたのかについての行政文書であった。聞き取りの範囲をどのように決定したかを全くの会議や打合せ等なく、意思決定されることはあり得ない。よって、会議録等が指針に基づき作成されていないと考えられる。

4 行政文書の情報公開を求めることは、表現の自由の一内容として日本国憲法で保障された「知る権利」であり、それに基づく国の情報公開法制、そして、厚木市情報公開条例がある。同条例第1条では「地方自治の本旨にのっとり市民の知る権利を尊重し、行政文書の公開を請求する権利を明らかにすること等により、実施機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって市政について市民に説明する責務が全うされるようにするとともに(以下略)」とある。“市政について市民に説明する責務が全うされるようにする”とあり、本件の情報公開請求に関していえば、厚木市中央図書館の地下トイレに貼付してあった貼付物に関し、器物損壊等の刑事事件・民事事件ともなり得る内容であったが、どのような経緯、事例・事象があり、貼付することになったのか、また貼付内容は明らかに予算執行を伴うものであり、貼付後、どういう経過(貼付による効果はあったのか、どのような検証をしたのか)を知り、市に説明を求めるための行政文書公開請求である。

指針では、「1 趣旨」において「行政文書の確実な作成と適切な保存管理」であり、具体的に、上記3のとおり「意思形成過程文書を確実に作成すること」の義務を市職員に課している。つまり、意思形成過程文書等を作成していることが原則であり、それらを作成・取得していないことは例外である。例外であるため、文書不存在理由の明確化として、“なぜ作成(取得)していないのか”の記述(記載)を求めている。これに対し、指針の所管部署や国民全体の奉仕者である公務員たる役職者が、この指針を遵守せず、市民・国民の知る権利の行使を妨害することは、あり得ない。

5 厚木市情報公開条例(以下「厚木市条例」という。)第11条第2項では「実施機関は、公開請求に係る行政文書の全部を公開しないとき(前条の規定により公開請求を拒否するとき及び公開請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)は、公開をしない旨の決定をし、公開請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。」と規定している。さらに、厚木市条例第14条では「実施機関は、第11条各項の規定により、公開請求に係る行政文書の全部又は一部を公開しないときは、公開請求者に対し、当該各項に規定する書面にその理由を示さなければならない。」とされ、非公開決定通知の場合には理由を付記しなければならないと規定されている。

この各条文に関連し、公開文書開示請求事件(最高裁一小/平成4年12月10日)判決において、「公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分ではないといわなければならない。」と判示している。同判例は、東京都に対する行政訴訟であるため、上記“本条例”とは、「東京都公文書の開示等に関する条例」(以下「東京都条例」という。)であるが、他県である千葉県情報公開審査会の答申(第352号/平成23年12月15日付)(別紙3)でも引用されており、東京都のみで適用される判例ではないと言える。

具体的には、同答申では、理由付記に関し(答申「第4 審査会の判断 4 理由付記について」の箇所)、【(1)ところで、本件決定1(陳情者注:同審査会で審査の対象となった千葉県の行政文書不開示決定)において実施機関は、不開示(不存在)決定の理由について「開示請求に係る行政文書を保有していないため。」とのみ記載する。】【(2)】で同判例を引用した判断を示し、【(3)実施機関が、本件決定1に係る行政文書不開示決定通知書に記した、単に不存在である旨だけの記載は、行政文書が不存在である根拠として、最小限、類型的に、情報公開請求に係る行政文書は作成されていないのか、作成されたがその後破棄されたのかなどを具体的に付記しなければ、条例(陳情者注:千葉県情報公開条例(以下「千葉県条例」という。))12条第3項の定める理由付記の要件を満たさないというべきである。】【(4)よって、本件決定1は、理由付記に不備があり、取り消すべきである。】と千葉県情報公開審査会が判断している。

よって、厚木市条例でも同判決を引用できるものであると言える。東京都条例においては同判決を反映し改正したと思われ、現在施行されている東京都条例第13条において、「(省略)この場合において、当該理由の提示は、開示しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」と具体的に規定されているが、東京都条例の同判決に係る行政訴訟当時(改正前)の条文、千葉県条例第12条第2項及び第3項、並びに厚木市条例の各条文も同様の条文となっており、同判例は、千葉県情報公開審査会の同答申と併せて考慮しても、厚木市条例にも適用し得る。

指針の「4 文書不存在理由の明確化」では、「不存在を理由とした非公開決定時の非公開決定理由については、説明責任を果たす観点から、単に「作成(取得)していない」という事実ではなく、なぜ作成(取得)していないのかを記述しなければならない。」とされている。これは、同判決の「非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分ではないといわなければならない。」の趣旨にも一致する。ゆえに、上記の厚木市条例第11条第2項における「公開請求に係る行政文書を保有していないとき」が、同判例における“非開示の根拠規定”であり、本件に係る行政文書非公開通知書は、まさにこの“単に非開示の根拠規定を示すだけであり理由付記としては十分ではない”と結論づく。

よって、過去に東京都が最高裁判例を反映し条例改正をしたのに倣い、厚木市でも、行政文書を非公開(非開示)とした場合には、「開示しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」との内容で、とりわけ、文書不存在による非公開決定の場合には、理解され得るその根拠や“なぜ”を決定通知書に記載するよう厚木市情報公開条例を改正し、より市民の知る権利に応えるべきである。

よって、市全職員の指針の遵守履行と、所管部署の指針に対する審査・チェック体制の在り方、教育、そして、厚木市情報公開条例を過去の最高裁判例を反映し、東京都に倣い、国民・市民の知る権利に応え、改正することを求め、陳情する。

陳情の項目

1 市全職員に対し、国民全体の奉仕者として、憲法の保障する知る権利の行使に対する理解徹底や市政の情報公開・説明責任に対する理解・遵守の徹底、教育

2 指針にのっとり、適切に行政文書を確実に作成し、保存管理を徹底していく理解や教育、実効性のある体制づくりの構築

3 上記1、2の状況や理解の調査の結果の公表

4 所管部署(行政総務課)の指針に対する審査・チェック体制の在り方の調査、知る権利の行使を妨害しない体制の形成

5 行政文書情報公開請求やそれに対する決定通知書に関し、所管部署によるチェックだけではなく、審議会など第三者の目で決定通知書が指針要件を満たしている等(本件で言えば、文書不存在理由として「なぜ作成(取得)していないのか」が明確になっているか)をチェックする体制の設置。指針要件を満たしていない場合には、決定通知書を請求者に通知させない等の措置・ルールの制定。また請求者に条例や指針にのっとっていることを説明し、要件を満たしていない決定通知書の受領を拒否し、差し戻すルールの制定。

6 行政文書公開請求に合わせ、保有個人情報開示請求やさらには審査請求に至るまで、政府のe-Gov電子申請のようにオンラインで請求から電子納付、公開までシームレスな行政づくりの構築

7 指針に遵守を徹底し、意思形成過程文書等の行政文書をしっかり作成していく体制の構築

8 過去の最高裁判例を基に東京都に倣い、厚木市情報公開条例の改正をする。

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