令和3年度施政方針

更新日:2021年05月27日

公開日:2021年05月27日

施政方針演説をする小林市長

1 はじめに

令和3年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な取組について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
新型コロナウイルス感染症は、未だ収束の兆しを見せず、今年1月に発出された、2度目となる緊急事態宣言の期間が延長されるなど、深刻な状況が続いております。特に、医療現場は逼迫(ひっぱく)した状況にあり、今もなお、最前線で感染症の脅威と戦う医療従事者の皆様を始め、関係者の皆様に対しまして、衷心(ちゅうしん)より厚く御礼を申し上げます。
私は、これほどまでに、「当たり前の生活」が尊いものであると、強く実感した一年はありませんでした。先行きの見えない不安の中、市民の皆様も同じ思いではないでしょうか。
本市では、感染症拡大の中で、学校、医療機関、福祉施設等における感染症拡大防止対策への支援を始め、企業や商業者の皆様に対する経済支援など、市民の皆様の命と生活を守ることを最優先に取り組んでまいりました。
また、現在は、感染症拡大防止の鍵となる、ワクチン接種に向け、万全の準備を進めているところであります。ワクチン接種に当たっては、市民の皆様へ迅速かつ確実にワクチンを届けるために、国県と密接に連携を図るとともに、医師会や病院協会等の医療関係団体の皆様にも、引き続き御協力をいただきながら、しっかりと取り組んでまいります。
このような感染症対策に当たっては、職員一同、総力を挙げて取り組んでおりますが、その中心的な役割を担っていたのは、去る1月25日、道半ばにしてお亡くなりになりました、佐藤明副市長でありました。
思い返せば、佐藤副市長は、本市の魅力が全国に知れ渡るきっかけとなった「B-1グランプリ」や、今では本市を代表するイベントとなった「にぎわい爆発!あつぎ国際大道芸」、中心市街地活性化に向けた一大プロジェクト「アミューあつぎ」整備事業など、本市に大きな功績を残してくれました。
彼はいつも、イベントでは自ら来場者を楽しませ、災害などの危機管理事案では、まず、現場に出向くといった、まさに、率先垂範(そっせんすいはん)の人でした。
かけがえのない存在を失った今、彼の志(こころざし)、情熱をしっかりと受け継ぎ、歩みを止めることなく、職員一丸となってまちづくりを前に進めていかなければなりません。
昨今は、感染症の脅威はもとより、激甚化する災害への備えや、地球温暖化防止に向けた脱炭素・循環型社会の実現、少子高齢化の進展を見据えた地域包括ケア社会の実現など、誰もが経験したことのない、厳しい局面を迎えております。
また、人口減少社会の中にあっても、持続可能なまちであり続けるためには、地域の特性に応じた、誰もが暮らしやすいコンパクト・プラス・ネットワーク型の都市づくりや、まちの活力向上を図る都市基盤整備が求められております。
このような様々な課題を解決すべく、昨年12月には、議会の皆様にも御理解をいただき、今後12年間にわたる行政運営の最高指針である「第10次総合計画基本構想」を策定いたしました。
本市が目指す将来都市像は、「自分らしさ輝く 希望と幸せあふれる 元気なまち あつぎ」であります。この将来都市像には、市民の皆様が多様性を認め合いながら、安心して暮らせるまちづくりを進めていくという想(おも)い、そして、先人が守り、育んできた自然や文化、産業など、魅力ある資源を最大限にいかし、将来にわたって活気にあふれたまちを実現するという想(おも)いが込められております。
そして、総合計画のもう一つの大切なキーワードは、「自分ごと」であります。これは、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現にも寄与するものであり、行政や議会だけでなく、市民の皆様、事業者の皆様が主体的にまちづくりに参画し、想(おも)いを一つにして施策を推進するために欠かすことのできない、重要な姿勢であります。
これまで市民の皆様と共に進めてまいりました「市民協働」は、本市の大切な財産、そして大きな誇りであり、市民の皆様がまちづくりを、まさに「自分ごと」として捉え、取り組んでいただいた成果であります。今後も引き続き、市民の皆様と手を携え、新たな時代に向けたまちづくりを着実に推進してまいります。
さて、私は、今年の市政運営のテーマに「希望」を掲げました。希望とは、どんなに困難な状況においても、決して絶やしてはならない光であります。一日も早く今までの日常生活を取り戻し、将来都市像にも掲げる「希望と幸せ」を市民の皆様に実感していただける社会の実現に向け、市政運営に全力を尽くしてまいります。
こうした想いから、令和3年度当初予算につきましては、一般会計872億円、特別会計を合わせた総額は1,522億円を超え、いずれも過去最大となる「あつぎの元気希望予算」として編成いたしました。令和3年度は、総合計画に掲げる六つのまちづくりのビジョンの実現に基づく施策を中心に、特に、「感染症対策」、「安心・安全に暮らせるまち」、「誰もが快適に移動でき、地域で暮らし続け、働き続けることができるまち」、「デジタル化の推進及び自然環境と共生した持続可能なまち」につながる取組について、重点的に進めてまいります。
それでは、令和3年度の主要な取組につきまして、総合計画に掲げる六つのまちづくりのビジョンごとに、御説明申し上げます。

2 六つのまちづくりのビジョン

(1) 命、財産を守り抜くまち

まず一つ目のビジョン「命、財産を守り抜くまち」につきましては、「災害対応力日本一」の実現に向けた防災・減災の取組や、市民協働によるセーフコミュニティの推進等により、災害や犯罪等で市民の皆様の生命や財産が脅かされることなく、安心・安全に暮らせるまちを目指してまいります。
それでは、具体的な取組につきまして、御説明申し上げます。
災害に強いまちの実現につきましては、防災・減災に加え、復興に向けた事前準備の方針や取組を示す「防災都市づくり計画」を新たに策定するとともに、都心南部直下地震等、近い将来発生が危惧される大地震に備え、新たな「耐震改修促進計画」を策定し、木造住宅を始めとする既存建築物の耐震化をより一層促進してまいります。
また、大規模災害時の緊急輸送道路の確保及び安心・安全に移動できる歩行空間の形成を図るため、新たに「無電柱化推進計画」を策定してまいります。
災害時における避難体制の充実・強化につきましては、指定避難所及び救援物資の集積拠点である荻野運動公園に、電気自動車の蓄電池を再利用した非常用電源設備を整備し、災害時の電力を確保してまいります。
また、民間の避難所運営に対する新たな補助制度を創設し、民間事業者と連携した避難体制を構築するとともに、土砂災害警戒区域等に居住する高齢者や妊産婦等、要配慮者の皆様の避難を支援するため、ホテル等の協定施設に避難する費用に対する助成制度を新たに創設してまいります。
さらに、本厚木駅周辺における帰宅困難者対策として、「新たな日常」を見込んだ帰宅困難者数の見直しや地震及び水害の被害想定調査を踏まえ、「本厚木駅周辺地域都市再生安全確保計画」を改定し、防災対策を強化してまいります。
風水害対策につきましては、気象観測装置を3基増設し、市内全域での正確かつ迅速な情報収集体制の強化に努めるとともに、相模川流域における水害対策について、県や近隣市町村と連携した取組を進めてまいります。
また、準用河川恩曽川について、出水時に避難を行う判断基準の一つとなる、氾濫危険水位等を設定するとともに、流下能力等の機能を保全するため、河川施設や河床整理に関する「準用河川恩曽川維持管理計画」を新たに策定してまいります。
さらに、本厚木駅を中心とした厚木排水区における雨水貯留管の整備や厚木郵便局前交差点西側周辺の浸水被害を軽減する事業に着手してまいります。
災害拠点病院である市立病院につきましては、継続的に医療を提供し、患者の生命や病院機能を守るため、更なる浸水対策を進めてまいります。
地域における防災対策につきましては、引き続き市民の皆様との協働により、市内15地区の災害リスクや課題、対応策をまとめた地区別防災マップを作成するとともに、様々な災害リスクの把握や、状況に応じた防災対策につながるオールハザードマップを作成し、全戸配布するなど、更なる防災意識の啓発に取り組んでまいります。
消防力の充実・強化につきましては、地域の消防・防災拠点となる南毛利分署及び相川分署の新築移転を完了するとともに、消防訓練場の再整備や地域防災の要である、消防団の活動環境を充実してまいります。
また、救急車の適正利用を始め、けがや事故を未然に防止する予防救急を促進するとともに、救命講習会を開催し市民救命力の向上を図るほか、感染症に対応した高規格救急自動車を導入するなど、救急体制を強化してまいります。
さらに、複雑・多様化する災害に迅速・的確に対応するため、関係機関と、より実践的な訓練を実施し、消防体制を強化するとともに、地域や事業所と連携し、防火意識の普及啓発を行うなど、火災予防対策を推進してまいります。
セーフコミュニティの推進につきましては、3度目の認証取得に向け、市民の皆様や関係機関、団体との連携を深め、更なる取組の充実と機運の高揚を図るとともに、セーフコミュニティ認証都市として、世界に誇れる安心・安全なまちを目指してまいります。
防犯に対する取組の推進につきましては、「振り込め詐欺被害ゼロ」に向け、引き続き、迷惑電話防止機能付電話機等の購入費の一部を補助するとともに、悪質商法等による消費者トラブルを早期に解決するため、消費生活相談体制を充実してまいります。
また、「中心市街地客引きゼロ」に向け、違反者への指導、勧告を徹底するとともに、市民の皆様や警察等と協働した環境浄化パトロールを実施し、犯罪の未然防止や体感治安の更なる向上に取り組んでまいります。
交通安全対策の強化につきましては、「交通死亡事故ゼロ」に向け、警察や交通関係団体と連携し、啓発活動を強化するとともに、交通事故の恐ろしさを伝えるスケアード・ストレイト交通安全教室や、高齢者のための交通安全教室を実施してまいります。

(2) 支え合い、生き生きと暮らせるまち

二つ目のビジョン「支え合い、生き生きと暮らせるまち」につきましては、「見守り、つながり、支え合い、一人一人が尊重される地域づくり」を推進し、誰もが自分らしく生き生きと活動でき、幸せに暮らせるまちを目指してまいります。
それでは、具体的な取組につきまして、御説明申し上げます。
住み慣れた地域で自分らしく暮らせるまちの実現につきましては、誰もが参加できる地域活動と歩いて暮らせる生活空間を備え、誰もが生き生きと生活できる地域包括ケア社会の実現に向け、複雑化・複合化した支援ニーズに対する包括的な支援体制を充実してまいります。
また、今後の医療・介護需要の増加を見据え、看護職、介護職等の人材を確保するため、奨学金の返済や本市への転入、復職に対する各助成制度を継続し、市民の皆様が安心して医療・介護の提供を受けることができるサポート体制を充実してまいります。
超高齢社会の進展とともに、需要の高まりが見込まれる成年後見制度につきましては、必要とする全ての人が適切に利用でき、確実な支援につながる体制を構築してまいります。
障がい者福祉サービスの充実につきましては、障がいのある方が自宅で安心して生活ができる社会を目指し、緊急時に支援等を行う地域生活支援拠点の拡充に取り組むとともに、福祉的就労の充実に向け、就労継続支援事業所等が提供する、製品やサービスに対する受注拡大を支援してまいります。
また、医療的ケア児、障がい児等への支援を充実するため、保育所や小・中学校への看護師の派遣を新たに実施してまいります。
さらに、発達障がい者への専門的かつ適切な支援を行うため、障がい者基幹相談支援センターの相談体制を拡充してまいります。
子育て環境の充実につきましては、「子育て環境日本一」の実現に向け、医療費助成やおむつ支給を始めとする、全国トップクラスの支援を継続することで、子育て世帯への手厚いサポートを推進してまいります。
また、出産後のストレスや孤独感を軽減するため、子育て中の保護者を対象とした、家事や育児を援助するサービスや、保護者同士が交流し、リフレッシュできる場を提供してまいります。
特別な支援・配慮を必要とする家庭・子どもに対するサポートにつきましては、課題を抱えるひとり親家庭に対する相談体制を充実するとともに、家庭の状況に寄り添った自立支援プログラムを基に、適切な支援を行ってまいります。
また、先天的に聴覚に障がいのある子どもを早期に発見し、きめ細かな支援を行うため、新生児聴覚検査の費用を新たに補助してまいります。
保育・幼児教育等の提供体制の充実につきましては、「保育所待機児童ゼロ」を目指すとともに、配慮を必要とする児童への対応や災害時等における特別保育の実施など、公立保育所が担うべき役割を果たすため、小鮎保育所及び南毛利保育所の再整備を進めてまいります。
また、保育士の確保・定着を図るため、奨学金の返済や本市への転入、復職に対する各助成制度等を継続し、保育受入枠の堅持に努めるとともに、児童と保護者に寄り添った、質の高い保育を提供してまいります。
さらに、幼稚園・認定こども園を利用する子育て世帯の負担軽減のほか、多様な保育ニーズに対応するため、幼稚園への幼児教育支援の拡大や幼稚園教諭の確保の支援に努めてまいります。
放課後児童対策につきましては、受入体制の充実を目指し、民間児童クラブの運営支援を拡充するほか、安心・安全に過ごすことができる放課後の居場所づくりを推進してまいります。
親と子の健康づくりの推進につきましては、妊婦健康診査費用の補助額を大幅に増額するとともに、母親の心身の状態を把握し、産後うつ等のリスクを軽減するため、新たに産婦健康診査及び産後ケア事業を実施するなど、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援体制を構築してまいります。
また、特定不妊治療費の一部助成を引き続き実施し、不妊治療を受ける御夫婦を支援してまいります。
療育支援につきましては、療育相談センター「まめの木」を核とし、関係機関との連携強化、早期療育の充実、相談支援専門員のスキルアップの支援等、引き続き、生涯にわたる一貫した支援体制を確立してまいります。
児童虐待防止対策につきましては、相談件数の増加及び内容の複雑多様化が進んでいることから、虐待を未然に防止し、事態の深刻化を防ぐため、全国統一のサーバーと連携した児童相談システムを新たに導入し、これまで以上に迅速かつ適切な支援に努め、「居所不明児童ゼロ」を継続してまいります。
また、DV防止対策につきましては、相談者の安全確保や自立支援を最優先に進めるとともに、児童虐待防止と合わせた効果的な啓発活動を実施してまいります。
健康寿命延伸の推進につきましては、誤嚥(ごえん)性肺炎等の全身疾患や認知症の予防にもつながる、口腔(こうくう)ケアの普及啓発に取り組んでまいります。
国民健康保険事業及び後期高齢者医療制度事業につきましては、被保険者の健康課題を分析し、生活習慣病の潜在的なリスク把握や重症化予防に取り組むとともに、高齢者の保健事業と介護予防に一体的に取り組んでまいります。
介護予防と認知症に対する取組の推進につきましては、要支援者等の多様なニーズに対応した介護サービスの提供を行うとともに、生活の実情や健康状態に合わせた支援を行う、介護予防ケアマネジメントを実施してまいります。
また、認知症に対する正しい理解を促進し、地域住民が互いに支え合い、活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。
市立病院につきましては、信頼される医療の提供を継続していくため、「断らない救急」の実現や、徹底した経営改善を支援するとともに、第二種感染症指定医療機関としての役割を果たすため、院内の徹底した感染症対策と感染症患者の継続的な受入れを支援してまいります。
多様性の尊重と平和都市の推進につきましては、一人一人の人権が尊重される社会を目指し、人権施策を推進するとともに、人権侵害や生活における悩み、問題を身近に相談することができる体制を充実してまいります。
また、男女共同参画社会の実現に向け、ワーク・ライフ・バランスの推進や女性が様々な分野で活躍することができる環境づくりに取り組んでまいります。
国際交流の推進につきましては、海外友好都市である米国ニューブリテン市、中国揚州市、韓国軍浦市との青少年交流事業に取り組むとともに、オンライン交流を含めた様々な国際交流の機会を提供してまいります。
開催が延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、ホストタウンであるニュージーランドのゴルフ、サッカー、車いすラグビー等の選手受入れについて、感染症対策を講じた上で、選手が安心して事前キャンプを行うことができる環境を整備するとともに、市民の皆様との交流事業を実施し、レガシーを創出してまいります。
また、パラスポーツ体験講座やパラリンピアンとの交流を通して、パラスポーツへの関心を高めるとともに、障がいへの理解促進を図ってまいります。

(3)夢や希望を持ち、自己実現ができるまち

三つ目のビジョン「夢や希望を持ち、自己実現ができるまち」につきましては、子どもたちの感性や個性を伸ばす教育環境の整備を始め、生涯学習、文化芸術、スポーツ環境の充実により、社会の中で自らの夢や希望を持ち、自己実現に向け、前向きに取り組むことができるまちを目指してまいります。
それでは、具体的な取組につきまして、御説明申し上げます。
学校教育の充実につきましては、「教育環境日本一」に向け、GIGAスクール構想に基づく一人一台のパソコン端末を活用した、主体的・対話的で、深い学びの授業づくりを進めるとともに、指導者用デジタル教材や学習支援システムの利用環境を整備するなど、ICTを活用した効果的・効率的な学習活動を推進してまいります。
また、「いじめゼロ」を目指し、不登校や問題行動、中1ギャップ等の未然防止・早期対応や、学力向上につながる少人数学級編制に向け、引き続き、小・中学校に非常勤講師を派遣してまいります。
さらに、「小・中学校の適正規模・適正配置に関する基本方針」を新たに策定し、通学区域や学校施設の適正化に向けた検討を進めてまいります。
安心して共に学べる教育の推進につきましては、外国につながる児童・生徒への言葉の支援や、障がいのある児童・生徒への支援に努めるとともに、子どもたちの人権尊重の精神を育むため、学校・家庭・地域が連携し、人権教育・インクルーシブ教育を充実してまいります。
小・中学校で展開しているコミュニティ・スクールにつきましては、地域と学校の連携・協働を更に推進するため、「地域学校協働活動」の導入について研究を進めてまいります。
安全な教育環境の整備につきましては、地域との協働によりインターナショナルセーフスクールの再認証取得に取り組み、その理念や手法を各小・中学校に広めるとともに、学校生活におけるけがの予防や登下校時の安全確保に取り組んでまいります。
また、目標耐用年数を迎える学校施設の在り方や整備手法を検討し、校舎の再整備及び長寿命化改修に向けた取組を進めてまいります。
安心・安全な学校給食の継続的な提供につきましては、民間事業者の活力を導入し、全中学校を対象とする新たな学校給食センターの建設工事に着手し、令和4年度の供用開始に向け、整備を進めてまいります。
地域での学びを支える社会教育と生涯学習の推進につきましては、いつまでも継続して気軽に学べる機会の創出に向け、市民講師や市内5大学、企業と連携し、様々な学習講座を提供してまいります。
厚木北公民館の整備につきましては、現公民館の解体工事を進めるとともに、令和6年度の完成を目指し、新築設計に着手してまいります。
また、厚木北児童館の再整備につきましては、令和3年度の完成を目指し、建設工事を進めてまいります。
図書館の利便性向上につきましては、「新たな日常」における図書館として、来館することなくスマートフォン等で24時間いつでも借りることができ、読書を楽しむことができる電子図書館事業を開始してまいります。
文化芸術の振興につきましては、オンライン配信を含め、市民の皆様が様々な文化芸術活動を発表、鑑賞できる機会の提供に努めてまいります。
また、友好都市である北海道網走市と本市に生息する動物等を中心に、両市の自然や文化に対する理解を深めていただくため、あつぎ郷土博物館の特別展示を実施してまいります。
生涯スポーツの振興につきましては、市民の皆様の健康増進や体力の維持・向上を図るため、「新たな日常」に対応したスポーツイベントを開催してまいります。
また、「ねんりんピックかながわ2022」の開催に向け、健康マージャンのリハーサル大会を開催し、機運を醸成してまいります。
スポーツ施設の整備・充実につきましては、健康増進や多世代交流につながる(仮称)及川グラウンド・ゴルフ場を整備するとともに、飯山グラウンドの整備や荻野運動公園の施設の長寿命化を推進してまいります。

(4)人が集い、交流し、新たな価値を生むまち

四つ目のビジョン「人が集い、交流し、新たな価値を生むまち」につきましては、コンパクト・プラス・ネットワーク型の都市づくりや産業集積の推進、商工業の活性化、観光・農林水産業の振興により、活力を感じる魅力あふれたまちを目指してまいります。
それでは、具体的な取組につきまして、御説明申し上げます。
誰もが生活しやすいコンパクト・プラス・ネットワークの推進につきましては、新たな「都市計画マスタープラン」等に基づき、市民の皆様の生活利便性を高め、誰もが快適に移動でき、地域で暮らし続け、働き続けることができる都市づくりに向け、災害リスクの高い区域から居住誘導区域への移転の支援や、生活利便施設が不足している地域のバス路線沿道等にスーパーやコンビニエンスストア、診療所等の立地を誘導するため、新たな補助制度を創設してまいります。
また、水引交差点周辺等の交通混雑の解消に向け、ハード、ソフト両面から対策を検討し、路線バスの定時性、速達性の向上を図ってまいります。
さらに、荻野地区においては、路線バスを補完するコミュニティ交通として、乗合型のジャンボタクシー「ココモ」を運行することにより、日常生活での移動に不便を感じている方々の移動手段を確保してまいります。
安全で快適な住環境の整備につきましては、新たな「空家等対策計画」を策定し、空き家等の状況把握に努めるとともに、引き続き空き家の解体等を支援してまいります。
住居表示整備事業につきましては、住所の混乱や不便の解消に加え、災害や事故発生時の円滑な緊急対応等を目的に、飯山地区における、令和4年度の実施を目指し、準備を進めてまいります。
市民生活や産業活動を支える道路ネットワークづくりの推進につきましては、広域的・地域的交通の役割を担う厚木秦野道路の早期開通に向け、引き続き、用地国債先行取得制度を活用し、事業推進を強力に後押しするとともに、関係市町村と連携し、国等へ積極的に要望してまいります。
また、厚木環状3号線や本厚木下津古久線等の都市計画道路整備を推進するとともに、交差点改良及び歩道整備・生活道路整備等、安心・安全でスムーズに移動ができる道路空間の形成に取り組んでまいります。
魅力ある中心市街地等の形成につきましては、将来の社会環境の変化を見据え、市民の皆様や事業者の皆様を始め、まちに関わる多くの皆様と共に、居心地が良く、歩きたくなるまちなか空間の創出を目指してまいります。
また、本市の玄関口としてふさわしい本厚木駅前の北口広場等の再整備に向け、権利者の皆様や関係者の皆様と具体的な整備内容について検討を進めてまいります。
中町第2-2地区につきましては、多くの市民の皆様が気軽に立ち寄り、「いい日々、いい時間。」を過ごすことができる、サードプレイスの創出を目指し、中心市街地の新たな中核拠点となる図書館、(仮称)未来館、市庁舎等で構成する複合施設の設計業務を進めてまいります。
また、歩行者や自動車等が安全かつスムーズに移動できる交通動線の確保に向け、関係機関と協議し、周辺道路の整備を推進してまいります。
愛甲石田駅周辺につきましては、駅北口広場の拡張を基本とした整備構想の策定に向け、地域の皆様や関係機関と協議を進めてまいります。
地域の個性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、森の里東土地区画整理事業地内において、既に3社が操業を開始するとともに、操業に向け4社が建築工事に着手するなど、新たな産業拠点として順調に企業立地が進展しており、引き続き土地区画整理組合を支援し、早期完成を目指してまいります。
酒井地区につきましては、進出を予定している大手事業者が10ヘクタールを超える保留地等を取得するなど、着実に事業が進捗しており、広域交通の結節点としての交通利便性をいかした新たな産業拠点の形成に向け、引き続き土地区画整理組合を支援してまいります。
山際地区及び山際北部地区につきましては、土地区画整理事業の実施に向け、関係者の皆様と協議を進めてまいります。
産業・商業の振興につきましては、重点的に企業誘致を推進する地域を拡大し、産業用地の保全を図るとともに、奨励金対象となる戦略産業として、新たに情報関連産業を位置付け、市内への企業立地や市内企業の工場増設等の再投資を支援し、雇用機会の拡大や産業の活性化に取り組んでまいります。
また、商工会議所や商店会連合会等の商業団体との連携を深め、各商店会の販売促進、商業の活性化に取り組んでまいります。
さらに、子育てパスポートの電子化やキャッシュレス決済の普及促進等により、市民の皆様と商業者の皆様の利便性向上に取り組んでまいります。
安心して働くことができるまちの実現につきましては、市内中小企業等の人材確保のため、若い世代の勤労者を対象に、奨学金返済の一部を新たに助成してまいります。
また、「新たな日常」への対応や働き方改革の促進のため、テレワーク導入に係る経費の一部を補助するなど、市民の皆様が安心して働くことができる環境を整備してまいります。
観光の振興につきましては、本市の魅力である自然をいかしたアウトドアツーリズムや、市民の皆様にも楽しんでいただけるマイクロツーリズム等、「新たな日常」における、新しい旅行スタイルの普及を推進してまいります。
また、観光資源のブラッシュアップや広域観光の推進、効果的なプロモーションを展開し、集客促進及び観光消費額の拡大を図ってまいります。
さらに、飯山白山森林公園・桜の広場周辺の整備工事に着手し、更なる魅力向上とにぎわいの創出に取り組んでまいります。
シティプロモーションと定住促進につきましては、20歳代、30歳代の定住促進を効果的に推進するため、人口動態に関する調査を実施するとともに、市内企業や大学、団体の若い世代で構成する地方創生推進プロジェクトにおいて、本市の魅力発信や交流の場の創出に取り組んでまいります。
また、バランスの取れた人口構成を確保するため、親世帯との近居・同居のための住宅取得や改修を引き続き支援してまいります。
さらに、若い世代の定住促進を目的に、新たに子育て世帯の住宅取得を支援してまいります。
農業・林業・水産業の振興につきましては、持続可能な都市農業や魅力ある農業の振興を図るとともに、農業者団体が運行する移動販売車の経費に対する補助制度を新たに創設し、地産地消や買い物支援を推進してまいります。
また、鳥獣被害対策につきましては、適正な捕獲や追い払い等により、農作物や生活への被害防止を強化してまいります。
さらに、水源かん養や山崩れの防止等森林の有する多面的な機能を発揮させるため、林道の整備や木材利用の促進等、森林の整備を計画的に進めるとともに、水産業の活性化に向け、相模川の流域市町村及び内水面漁業関係者と連携し、漁業の生産性向上を支援してまいります。

(5)環境に優しく、自然と共生するまち

五つ目のビジョン「環境に優しく、自然と共生するまち」につきましては、地球温暖化対策や循環型社会の形成、里山・緑地・農地の保全、良好な河川環境の整備等により、先人から受け継いだ自然の恵みに囲まれながら生活できるまちを目指してまいります。
それでは、具体的な取組につきまして、御説明申し上げます。
地球温暖化対策の推進及び未来へつなげる循環型都市の実現につきましては、脱炭素社会の実現に向け、「地球温暖化対策実行計画」に基づく再生可能エネルギーの普及促進や、省エネルギーの推進、温暖化防止の意識向上等により、2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロを目指してまいります。
また、ごみの焼却で発電した電力を活用し、二酸化炭素を排出しないEVごみ収集車を導入してまいります。
家庭系ごみと事業系ごみにつきましては、平成14年度対比50%減量を目指し、更なる減量化・資源化に取り組んでまいります。
新たなごみ中間処理施設の整備につきましては、厚木愛甲環境施設組合と連携し、令和7年度の稼働に向け、事業を着実に推進してまいります。
また、民間事業者の活力を導入して再整備するふれあいプラザにつきましては、市民の皆様の健康増進や交流の拠点として愛される施設を目指し、令和5年度の供用開始に向け、事業を進めてまいります。
自然との共生の推進につきましては、急速に進んでいるナラ枯れの拡大を食い止めるため、森林環境譲与税を活用し、徹底した駆除及び被害木の処分に取り組んでまいります。
また、里地里山の保全や活用に向け、引き続き、保全活動団体を支援するとともに、自然と触れ合うエコツアーや講演会を開催するなど、豊かな自然環境や生物多様性の大切さについて普及啓発してまいります。
緑豊かで美しいまちの実現につきましては、市民の皆様や事業者の皆様との協働により、地域美化清掃に取り組むとともに、「路上喫煙ゼロ」を目指し、啓発活動を通して喫煙マナーの向上に取り組んでまいります。
河川と共生するまちの実現につきましては、相模川三川合流点において、観光や中心市街地の活性化につながる水辺の利活用を図るため、良好な自然環境と親水性を備えた水辺ふれあい拠点の整備に向けた検討を進めてまいります。
良好な河川環境の保全・再生につきましては、河川の水質調査や工場及び事業場の排水調査を実施し、水源環境を保全してまいります。
また、生態系に配慮した河川環境を整備するとともに、市民の皆様との協働により草花の植栽や維持管理を行うほか、貴重な資源である谷戸の保全・再生に取り組んでまいります。
市街化調整区域の汚水処理につきましては、河川環境の保全や生活環境の改善に向け、効率的な下水道整備に取り組んでまいります。

(6)市民と共に確かな成長を創り出すまち

六つ目のビジョン「市民と共に確かな成長を創り出すまち」につきましては、更なる市民参加・市民協働の推進や、信頼される行政運営等により、市民の皆様や事業者の皆様と行政がこれまで以上に連携を深め、成長を実感できるまちを目指してまいります。
それでは、具体的な取組につきまして、御説明申し上げます。
市民参加・市民協働の推進につきましては、「日本一絆の強いまち」を目指し、自治会を始めとする地域コミュニティ団体やボランティア団体に加え、地域の課題を解決する地区市民自治推進組織への支援を行うとともに、地域の担い手づくりに取り組んでまいります。
また、「現地対話主義」の理念に基づき、「自治会長とのまちづくりフリートーク」や「子育てコミュニティトーク」等を開催し、「新たな日常」においてもこれまでと同様に、市民の皆様の御意見を市政に反映してまいります。
行財政改革の推進につきましては、質の高い行政サービスを持続的に提供していくため、「第7次行政改革大綱」に掲げる三つの重点目標、「強くしなやかな組織をつくる」、「強い財政基盤を確立する」、「市民協働により公共サービスを向上させる」の実現に向けた取組を積極的に推進してまいります。
特に、公共施設の最適化推進のため、「公共施設最適化基本計画」を改定するとともに、施設ごとの具体的な対応方針を定める個別施設計画を新たに策定してまいります。
「新たな日常」の実現に向けたデジタル化の推進につきましては、定型業務等を自動化するRPAの導入や会議録作成におけるAI技術の活用、テレワークの推進により、業務の効率化及び生産性の向上に取り組んでまいります。
また、電子申請の拡充や住民票の手数料等、現金を取り扱う窓口におけるキャッシュレス決済の導入、公衆無線LANサービスAtsugi Free Wi-Fiを各公民館に整備するなど、利用者の皆様の利便性向上を図ってまいります。
組織運営につきましては、予測困難な社会環境の中でも、市民の皆様が安心して暮らすことができる社会の実現に向け、課題に対して迅速に対応する組織を構築するとともに、職員がテレワーク等を通じて柔軟に働くことができる環境づくりを推進してまいります。
財政運営につきましては、コロナ拡大に伴う減収が見込まれる一方で、社会保障関係経費や公共施設の維持補修経費の増大が避けられない中、国庫補助金等の特定財源を確保するとともに、税や料だけでなく、ふるさと納税や債券運用等自主財源の確保についても、更に積極的に取り組んでまいります。
また、今後の税収確保を見据えた都市基盤整備を着実に推進するなど、将来にわたって持続可能な強い財政を堅持してまいります。
都市間連携の推進につきましては、「県央相模川サミット」や「広域行政連絡会」において、災害対策や観光振興等の広域的な課題解決に向けた取組を推進してまいります。
国内友好都市との交流につきましては、秋田県横手市、北海道網走市、沖縄県糸満市の3市それぞれと、幅広い分野で市民の皆様が参加できる交流事業を実施してまいります。

3 おわりに

以上、令和3年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な取組について、御説明申し上げました。
禅の教えに、「雪裡の梅花只一枝」(せつりのばいかただいっし)という言葉があります。この言葉は、一枝(ひとえだ)の梅の花が厳しい冬を耐え、春には美しく咲き香る姿に例え、苦難を凌(しの)いでこそ、道は拓(ひら)かれるということを説いています。
令和2年度は、本市最大のイベントである、あつぎ鮎まつりや、二十歳(はたち)の門出を祝う成人式など、様々な事業が中止、縮小を余儀なくされ、さらには東京オリンピック・パラリンピック競技大会が史上初めて延期となりました。
新型コロナウイルス感染症の脅威が予断を許さない状況の中、市民の皆様におきましては、「新たな日常」への対応を始め、感染症拡大を防ぐための取組に御協力いただいておりますことを、心から御礼申し上げます。
長引く感染症拡大の影響は、皆様に大変な御負担となっており、心苦しいばかりではありますが、感染症収束のために、引き続き、御協力を賜りたいと存じます。
コロナ禍を乗り越えた先には、必ずや希望に満ちた未来が待っていると、私は信じています。明けない夜はありません。市民の皆様が心から笑い合える日常を取り戻すために、今こそ、一丸となって、この困難を乗り越えようではありませんか。
市民の皆様一人一人の希望は、未来を照らす光となり、前に進む原動力となります。個性という彩りが自分らしく燦然(さんぜん)と輝き、誰もが未来への希望を胸に、幸せを実感できるよう、私は先頭に立って、全身全霊、まちづくりに邁進(まいしん)してまいります。
令和3年度は、第10次総合計画がスタートする節目の年となります。将来都市像「自分らしさ輝く 希望と幸せあふれる 元気なまち あつぎ」の実現に向け、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを心からお願い申し上げ、令和3年度の施政方針といたします。
(公開日2月22日)

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