平成28年度施政方針

更新日:2021年04月01日

公開日:2021年04月01日

スーツ姿にネクタイを締めた格好で、マイクに向かって話しをしている小林市長の写真

1 はじめに

 平成28年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な施策について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 昨年2月1日、厚木市は市制施行60周年を迎え、多くの市民の皆様を始め、各種団体や企業の皆様と共に、私たちのふるさとあつぎの60年の歩みと、還暦という大きな節目を迎えた喜びを共有するため、様々な記念事業に取り組んでまいりました。
 多くの記念事業を通じて、私は、先人のたゆまぬ努力と、絶え間ない挑戦によって築かれた厚木市の歴史の重みを再認識すると同時に、現在の市政の舵取り役として、全身全霊をかけて市政運営に臨むことを改めて決意したところであります。
 国内の動向に目を向けますと、人口減少・少子高齢化の急速な進展を始め、相次ぐ自然災害、経済・産業構造の変化、環境問題、さらには、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題など、私たちは多くの課題に直面しており、本市におきましても、長期を見据えた的確な市政運営が求められております。
 私は、市民の皆様の暮らしを身近で守り抜く基礎自治体の長として、この素晴らしいあつぎを10年、20年、更に先の世代に引き継ぐためにも、いずれの課題も先送りにすることは許されないという強い決意を持って、平成28年の市政運営のテーマに「先見」を掲げました。
 厚木市が将来にわたって「県央の雄都」であり続けるために、今為(な)すべきことを的確に見極め、時期を逸することなく迅速果断(じんそくかだん)に取り組んでいく所存であります。
 こうした思いから、平成28年度当初予算につきましては、税や料等の収納対策強化や国庫補助金等の財源確保、将来負担を十分に考慮した市債の効果的な活用を図るなど歳入確保に努めるとともに、限りある財源のより効果的・効率的な活用に努め、将来の元気なあつぎへの確かな投資となり、全ての市民の皆様が夢と希望を持ち続けることができるよう「あつぎの元気先見予算」として編成を進め、一般会計は805億8千万円、特別会計を合わせた総額では1,503億円を超える過去最大となる予算規模といたしました。
 平成28年度は特に、産業系の都市計画事業としては半世紀ぶりとなる森の里東地区の土地区画整理事業や、中心市街地の新たなシンボルとなる本厚木駅南口地区市街地再開発事業を始め、将来の企業誘致にもつながる本厚木下津古久線、厚木環状3号線等の都市計画道路や、(仮称)厚木パーキングエリアスマートインターチェンジの整備など、本市の将来の発展に欠かすことのできない都市基盤整備に重点的に取り組んでまいります。
 また、将来の人口展望を実現するための地方創生、さらには、誰もが安心して生きがいを持って生活することができる地域包括ケア社会の実現など、長期を見据えた取組を重点的に進めてまいります。
 それでは、主要な取組につきまして、「あつぎ元気プラン」の五つの基本政策ごとに御説明申し上げます。

2 五つの基本政策

(1) 安心政策

 始めに、「安心政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 安心して子育てできる社会の実現につきましては、保育所や認定こども園への新たな支援と併せ、本市独自の財政支援や保護者の経済的負担軽減など、幼児期の教育や保育、地域の子育て支援を拡充することにより、子育てしやすく、子どもたちが豊かに育つことができる環境づくりに努めてまいります。
 保育環境の充実につきましては、新たに認定こども園における園児以外の幼児の一時預かり保育事業を実施するほか、認定あつぎ保育室から小規模保育施設への移行を支援し、保育等の受け皿を更に拡大するとともに、全国初の幼稚園送迎ステーション事業などにより、幼稚園の利用を促すことで、「保育所待機児童ゼロ」を実現してまいります。
 また、放課後児童クラブにつきましては、働きながら安心して子育てができるよう、開所時間の延長や対象学年の拡大を図るとともに、新たな場を確保することで、「放課後児童クラブ待機児童ゼロ」に取り組んでまいります。
 さらに、深刻化している児童虐待及びDV対策につきましては、関係機関との一層の連携強化と適切な支援に努め、「居所不明児童ゼロ」を継続してまいります。
 産前産後の家庭を支援するほっとタイムサポーター事業につきましては、子育て家庭の身体的・精神的負担の一層の軽減を図るため、利用できる期間を出産後3か月から6か月に拡充してまいります。
 また、未来を担う子どもたちが広く科学分野について学び、考え、体験できる施設整備に向け、「(仮称)こども未来館」の基本構想を策定してまいります。
 さらに、全ての妊産婦等の状況を継続的に把握するため、新たに母子保健コーディネーターを配置し、ニーズに対応した妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目のない相談体制を確立してまいります。
 また、乳幼児健診や療育支援など、保健福祉の新たな拠点となる(仮称)保健福祉センターにつきましては、平成29年春のオープンに向け、引き続き、総合福祉センターの改修工事を進めてまいります。
 高齢者・障がい者が生きがいを感じる社会の実現につきましては、高齢者や障がい者の急激な増加が見込まれるため、介護職の人材確保と定着につながる支援に努めてまいります。
 また、平成28年度を「地域包括ケア元年」と位置付け、住まい・医療・介護・介護予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を核として、高齢者や障がい者などの孤立化を防ぎ、「孤独死・孤立死ゼロ」を目指すとともに、社会的参加や交流を活性化する包摂力(ほうせつりょく)のある地域包括ケア社会の実現に向け、具体的な検討に入ってまいります。
 地域包括ケアシステムの中核となる地域包括支援センターにつきましては、新たに2か所整備するとともに、障がい者基幹相談支援センターや障がい者相談支援センターとの連携を強化するなど、地域における高齢者や障がい者の相談支援体制を更に充実してまいります。
 また、重症心身障がい児の生活の安定と介護者の更なる負担軽減を図るため、新たに訪問看護ステーションから自宅へ看護師を派遣する事業をスタートしてまいります。
 健康・長寿社会の実現につきましては、誰もが安心して、生きがいを感じながら、いつまでも心身共に健康で充実した生活を送ることができるよう、引き続き、地域保健や医療環境の充実に努めるとともに、「あつぎ健康相談ダイヤル24」を始め、健康づくりに関する施策を積極的に展開してまいります。
 また、看護職人材確保事業につきましては、安定的な地域医療体制の構築に欠かせないことから、一人でも多くの看護職を確保するため、看護職合同就職相談会事業を支援してまいります。
 「健康食育あつぎプラン」につきましては、「健康寿命の延伸、みんなで描く健幸(けんこう)生活」を目指し、健康増進や食育推進に取り組むとともに、地域における健康食育あつぎプラン推進モデル事業を拡大してまいります。
 また、幅広い年代の皆様が楽しんで健康づくりに参加できるあゆコロちゃんGENKIポイント事業を更に推進してまいります。
 がん検診につきましては、要望の多い婦人科系のセット検診を拡充し、女性特有のがん予防に努めるほか、口腔がんの施設検診を導入してまいります。
 また、二次保健医療圏域内の5市1町1村による健康寿命の延伸に向けた取組として、市民の皆様が手軽に健康チェックできる「健康度見える化コーナー」を新たに設置してまいります。
 さらに、子どもの発達障害を早期に発見できる機会として、5歳児健診の導入に向け、具体的な検討を行ってまいります。
 市立病院につきましては、新病院の医療機能が十分に発揮できるよう、専門性のある医師や高度な技術を持った医療職を確保、育成し、市民の皆様に、より高度で安全な医療を着実に提供するとともに、平成29年春の全面オープンに向け、引き続き工事を進めてまいります。
  多様な市民活動が共存する社会の実現につきましては、市民自治や地域福祉を更に推進するため、地域が抱える様々な課題の解決に向けて、主体的に取り組んでいただいております地域づくり推進委員会や地域福祉推進委員会等の活動を積極的に支援してまいります。
 自信と誇りを持てる人権尊重社会の実現につきましては、誰もがお互いを尊重し認め合うことができるよう人権意識の高揚を図るとともに、自らの意思で職業生活を営むことができる男女共同参画社会を目指してまいります。
 セーフコミュニティの推進による安心・安全な社会の実現につきましては、市民の皆様と共に進めてまいりました取組が評価され、昨年11月に再認証を取得することができました。今後は、この再認証を新たなスタートとして、更なる安心・安全なまちづくりを進めてまいります。
 また、インターナショナルセーフスクールにつきましては、昨年11月に睦合東中学校が新たに認証取得したことを受け、なお一層の支援を行うほか、安心・安全な教育環境づくりを更に推進してまいります。
 安心・安全の向上に取り組む社会の実現につきましては、中心市街地の環境浄化を促進するため、自治会、商店会、防犯ボランティア団体などとの協働による防犯パトロールを重点的に実施するとともに、「客引き行為等防止条例」に基づく指導・勧告を徹底することにより、「中心市街地客引きゼロ」を目指し、体感治安の更なる向上に取り組んでまいります。
 また、悪質商法などによる被害を防止するため、消費生活センターを中心に地域や関係団体などと連携した積極的な啓発に取り組むことにより、「振り込め詐欺被害ゼロ」を目指してまいります。
 さらに、夜間における歩行者の安全確保のために設置している防犯灯につきましては、電気料金等の維持経費の削減や環境負荷の軽減を図るため、LED灯への一斉交換を実施してまいります。
 交通安全対策につきましては、新たに自転車走行を疑似体験(ぎじたいけん)できる自転車シミュレーターを導入するなど、交通安全教育の充実や啓発活動の強化に取り組むことにより、「交通死亡事故ゼロ」を目指してまいります。
 また、本厚木駅やその周辺施設利用者の安全な通行を確保するため、放置自転車の整理・移動の対策を強化することにより、「放置自転車ゼロ」を目指してまいります。
 命と暮らしを守る社会の実現につきましては、本厚木駅周辺における浸水被害を軽減するため、厚木南地区における雨水貯留施設の早期完成を目指した新設工事を進めるとともに、ソフト対策として、平常時から防災意識の向上や迅速な避難行動に必要な情報共有を図るため、内水ハザードマップを全戸配布してまいります。
 また、局地的な集中豪雨や大型台風等に起因する土砂災害への対策を強化するため、土砂災害警戒区域にある避難所の地質調査を実施するとともに、準用河川恩曽川における浸水想定区域図を作成してまいります。
 さらに、近い将来、発生が危惧される大地震に備え、災害情報の確実な伝達体制を構築するため、防災行政無線を補完する新型防災ラジオの有償配布を行うとともに、建築物の倒壊等により救助活動への支障が生じることのないよう、沿道建築物の耐震診断を義務化する道路を指定し、補助制度を創設するほか、本厚木駅周辺の帰宅困難者等の安全を確保するため、民間事業者の一時滞在施設の機能を充実するなど、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
 また、高齢者や障がい者など、災害時に一人で避難することが困難な方の命を守ることを目的とする「避難行動要支援者避難支援計画」や、災害時に大量に発生する災害廃棄物を迅速かつ適切に処理し、早期復旧・復興を図ることを目的とする「災害廃棄物処理計画」の策定に取り組んでまいります。
 消防・救急体制につきましては、4月1日から清川村との消防の広域化を開始することで、市民の皆様の生命と財産を守る消防・救急体制の更なる充実強化を図るとともに、高齢化の進展等により増加する救急需要や複雑・多様化する災害に迅速かつ的確に対応するため、高規格救急自動車や、はしご付消防自動車等の更新整備を行ってまいります。
 また、災害現場で活動する消防団員の活動環境の充実を図るため、水害に対応する救命ボートやライフジャケットなどの装備品を配備し、地域防災力の向上を図ってまいります。

(2)成長政策

 二つ目として、「成長政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 学校教育の一層充実した社会の実現につきましては、「教育大綱」の基本理念のもと、各種事業を計画的、効果的に展開し、「教育環境日本一」の実現を目指してまいります。
 特に、教職員が児童・生徒一人一人に対して向き合う時間と自己研さんに励む時間を確保することが大切であることから、教員の多忙化解消のため、全小・中学校に学校業務を支援するスクールアシスタントを派遣してまいります。
 また、個性や特徴を伸ばし、確かな学力を身に付けられる「あつぎ教育」の実現に向け、教職員の研修の充実に加え、引き続き外国語指導助手の派遣や、特別な配慮が必要な児童・生徒への支援を行う特別支援介助員等の活用を積極的に推進してまいります。
 いじめ防止につきましては、いじめの未然防止と早期発見・早期対応に向けた実効的な取組を進めるとともに、引き続き小学校に非常勤講師を派遣することで児童支援体制を充実し、「いじめゼロ」を目指してまいります。
 不登校対策につきましては、児童・生徒が抱える心の悩みの早期発見・早期対応を目指し、学校へ元気アップアシスタントやスクールカウンセラーを派遣するとともに、不登校児童・生徒が通う適応指導教室を充実するなど、関係機関との連携を図りながら、より効果的な支援を行ってまいります。
 また、市民の方からの寄附を基に創設した奨学金制度を活用し、一人でも多くの生徒が夢の実現に近づき、意欲的に学校生活を送ることができるよう、支援してまいります。
 さらに、恵まれた自然環境をいかし、地域と連携した農業体験など、特色ある教育活動を行っている玉川小学校において、通学区域外からの就学を認める小規模特認校制度を実施してまいります。
 教育環境の整備につきましては、児童・生徒が安全で快適な教育環境の中で学校生活を送ることができるよう、平成25年度から進めてまいりました小・中学校の教室冷暖房設置を完了するとともに、引き続き校舎のトイレや外壁・屋上の改修、校庭の整備を実施してまいります。
 学校給食につきましては、将来にわたり、児童・生徒に安心・安全な給食を提供することができるよう、最適な学校給食施設の整備方針を策定し、計画的な施設整備に取り組んでまいります。
 社会教育の一層充実した社会の実現につきましては、公民館を活用して家庭・学校・地域が連携し、地域ぐるみで教育の原点である家庭教育を支援することで、地域全体で子どもを守り、育てる環境づくりを進めてまいります。
 また、厚木南公民館につきましては、平成29年春の完成を目指し、引き続き工事を進めてまいります。
青少年の健全育成につきましては、青少年が心豊かに育つ環境づくりを推進するため、青少年関係団体の地域における活動を支援してまいります。
 いつでも生涯学習に取り組むことができる社会の実現につきましては、市内5大学や企業との協働による「あつぎ協働大学」を開設するとともに、市民講師との連携・協働により、市民の皆様が生涯学び続ける場と機会を提供する「輝き厚木塾」を充実してまいります。
 また、読書環境の充実を図るため、中央図書館と南毛利公民館図書室とのオンラインネットワーク化に取り組むとともに、市民の皆様に愛され、利用される図書館となるよう、未来を見据えた図書館基本構想を策定してまいります。
 文化芸術に親しむことができる社会の実現につきましては、市民の皆様や関係団体の方々との協働による文化芸術活動を推進するとともに、あつぎ市民交流プラザを拠点に生涯学習、文化芸術活動が活発なまちづくりに取り組んでまいります。
 また、厚木市の豊かな自然や歴史文化について、市民の皆様に一層認識を深めていただくため、郷土文化を育む拠点となる(仮称)あつぎ郷土資料館の建設に向け、実施設計に着手してまいります。
 さらに、本市の歴史を後世に伝え、未来を展望するため、「厚木市史民俗編(2)」を発行してまいります。
 誰もがスポーツに親しむことができる社会の実現につきましては、昨年協定を締結いたしました学校法人日本体育大学との連携を更に進めるとともに、未来のトップアスリートの発掘と育成を目指した「あつぎスポーツアカデミー」の充実や、幼児から高齢者まで幅広い世代の体力向上や健康増進に取り組んでまいります。
 また、ラグビーワールドカップ2019日本大会や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、荻野運動公園メインアリーナへの冷暖房設備の設置に向けた取組を進めるとともに、子どもたちの夢と希望を育むためのキャンプの誘致や、スポーツ文化の振興などに取り組んでまいります。
 さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会におけるホストタウンとして、対象国との交流を進めてまいります。

(3)共生政策

 三つ目として、「共生政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 地球温暖化防止・低炭素社会の実現につきましては、特に、子どもたちの積極的な環境保全活動を促進するため、新たに小・中学生を「(仮称)環境リーダー」として認証する事業を実施するほか、引き続きエコスクールの取組を推進してまいります。
 また、国の新たな温室効果ガス削減目標を踏まえ、「地球温暖化対策実行計画」を改定してまいります。
 さらに、創エネ、省エネ、蓄エネの取組を推進するため、住宅用太陽光発電システム、住宅用蓄電池システムなどのスマートエネルギー設備や、ゼロ・エネルギー・ハウス導入を支援するとともに、防災拠点となる学校施設に太陽光発電システムを設置してまいります。
持続可能な循環型社会の実現につきましては、市民の皆様を始め、団体や事業者等との協働により、「もったいない」を合言葉とした、ごみの減量と資源化を推進してまいります。
 また、更なるごみの減量の推進や超高齢社会に対応するため、市民検討組織を設置し、将来に向けたごみの収集・運搬方法等の検討を行ってまいります。
 自然と共生する社会の実現につきましては、生物多様性の保全と施策の推進を図るため、フォーラムや環境学習講座を開催するなど、生物多様性の普及啓発を行うとともに、インターネット投稿サイト「写(しゃ)マップあつぎ」を活用し、自治会、団体、企業、学校等との協働による特定外来生物の駆除に取り組んでまいります。
 また、里地里山の保全を図るため、里地里山活動団体の認定を行い、活動を支援してまいります。
 豊かな生活環境の実現につきましては、子どもたちが豊かな自然の中で「遊んで学んで元気になれる」自然体験活動型の「あつぎこどもの森公園」におきまして、魅力ある自然体験プログラムを提供してまいります。
 また、多くの市民の皆様が憩い安らぐ場として利用されている厚木中央公園の大型遊具をリニューアルしてまいります。
生活環境の保全につきましては、引き続き市民の皆様との協働により、「落書きをさせないまちづくり」や「路上喫煙ゼロ」の取組を推進するとともに、動物愛護精神の普及啓発やペット動物に関する災害時のルールづくりに取り組んでまいります。
 河川と共生する社会の実現につきましては、自然に親しめる環境づくりを推進するため、三川合流点地区の観光等の活性化につながる水辺拠点づくりを始め、水辺環境の保全と再生に取り組んでまいります。
 また、河川敷の樹林化対策や河床整理の促進、水源環境の保全や再生への直接的な取組である生態系に配慮した河川の整備を実施してまいります。

(4)快適政策

 四つ目として、「快適政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 活力ある中心市街地の実現につきましては、引き続き、「県央の雄都」にふさわしいまちづくりを全力で進めてまいります。
 中町第2-2地区周辺の整備事業につきましては、充実した時間を過ごすことができる第3の場所づくり「サードプレイス」をコンセプトに、未来の図書館・科学館機能を核とした複合施設の基本計画と、その周辺の交通機能を充実させるための整備計画を作成するとともに、課題となっている企業送迎バス等の発着場所の早期整備に向け、保健センターの解体に着手してまいります。
 本厚木駅南口地区市街地再開発事業につきましては、駅前広場の拡充整備を図るとともに、商業、業務、居住機能を合わせた魅力ある再開発ビルの整備を促進するため、既存建築物の除却、整地を始めとする工事着工に向け、今後設立が予定されている市街地再開発組合に対する積極的な支援や事業推進に取り組んでまいります。
 中心市街地の商店街空き店舗対策につきましては、更なるにぎわいの創出と活性化を図るため、対象業種の範囲を拡大してまいります。
 また、中心市街地における大型商業施設については新たなライフスタイルや文化の発信拠点としての機能強化を、伝統的な商店街については人が自然と集まる温かみのあるコミュニティ空間の形成を図り、集客の相乗効果によって、市内外からの来街者が長く滞在できる商業のまちづくりを目指してまいります。
 地域特性をいかした魅力あるまちの実現につきましては、森の里東地区の先行整備エリアについて、平成29年の工事完成と企業の操業開始を目指し、引き続き土地区画整理組合への支援を行い、全国でも例の少ない環境に配慮した新たな産業拠点を創出してまいります。
 関口・山際地区、南部産業拠点地区につきましては、産業系土地利用を図るため、保留区域に位置付けるための都市計画手続を進めるとともに、土地区画整理事業の実施に向けた検討を行っている準備委員会等への技術的支援や、更なる権利者の合意形成を進めるほか、早期の市街化区域編入に向け、関係機関との調整を進めてまいります。
 また、空き家対策につきましては、市内全域を対象とした空き家の実態調査を行うとともに、この度設置いたしました空家等対策協議会におきまして、本市の空き家対策の基本方針となる「空家等対策計画」を策定し、総合的かつ効果的な対策を進めてまいります。
 快適生活空間の実現につきましては、将来にわたり持続可能な下水道事業経営を目指し、地方公営企業法の財務規定適用に向け、着実に取り組んでまいります。
 また、安全で快適な生活環境の向上を図るため、引き続き、道路の維持管理や橋りょうの点検等を適切に進めてまいります。
 (仮称)厚木パーキングエリアスマートインターチェンジにつきましては、平成30年度末の供用開始を目指し、実施設計や用地取得等に着手してまいります。
 また、高規格幹線道路等の整備の進捗と合わせ、本厚木下津古久線や厚木環状3号線等の都市計画道路を整備するとともに、周辺の県道や1級市道を補完する道路として、赤坂竹ノ内線の整備を進めてまいります。
 なお、厚木秦野道路につきましては、早期整備促進に向け、引き続き関係自治体と連携し、国等へ強く要望してまいります。
 企業・商業活動が活発なまちの実現につきましては、商業や観光の方向性などとの整合を図りつつ、次世代を見据えた計画として「産業マスタープラン」を改定し、横断的な施策展開による効率性の高い地域産業の活性化に取り組んでまいります。
 また、製造業を営む市内中小企業者等の生産の拡大・効率化を図るため、新たに環境負荷を軽減させる機器の導入に対し、補助金の交付範囲を拡大してまいります。
 企業誘致につきましては、交通の要衝としての優位性や世界的な企業の集積を最大限にいかし、森の里東土地区画整理事業と連携を図りつつ、戦略産業を中心とした企業誘致を進めるとともに、既存企業の事業拡大を促進し、更なる地域経済の持続的な発展と雇用の創出につなげてまいります。
 ロボット産業につきましては、2020年には2兆4千億円まで市場規模が拡大するといわれる中、ロボット関連企業等の研究開発の促進や技術力の向上を支援するとともに、ロボットとの協働・共生に欠かせないロボットに対する知識や利活用する力の向上を図り、生活支援ロボットの普及につなげてまいります。
 また、生産年齢人口の減少による人手不足の解消や生産性の向上などを目的として、産業用ロボットを含めた「(仮称)ロボット産業推進計画」を策定してまいります。
 商業活動につきましては、商店会等の関係団体と連携を深めつつ、店舗経営の相談を始め、商店会の各種PR事業などを支援してまいります。
 また、まちの魅力を創造し、活力とにぎわいあふれる商業活動を促進するため、今後の商業振興の方向性を示す「(仮称)商業まちづくり計画」を策定してまいります。
 新たな戦略による観光のまちの実現につきましては、地方創生を始めとする国の施策や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、広域的観光コースの設定や商品化、訪日外国人に向けた情報発信力の強化など、インバウンド客を始めとする交流人口増加に向けた取組を、厚木市観光協会や観光事業者と連携し、戦略的に推進してまいります。
 また、近隣自治体や公共交通機関等との連携による広域的な観光振興を更に推進するとともに、市内外に向け「鮎のまちあつぎ」を積極的にPRするため、公共施設に鮎の水槽を設置するほか、テーマやターゲットを絞った効率的で質の高い観光情報を発信してまいります。
 さらに、内水面漁業を振興するため、相模川流域の市町村や関係団体と連携し、鮎を活用した地域の活性化施策の検討を進めてまいります。
 また、昨今の観光を取り巻く環境の変化を踏まえ、「観光振興計画」を改定するとともに、官民協働や広域連携、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりが求められる中、観光による地域づくりの舵取り役として重要な役割が期待される「日本版DMO」の導入について研究してまいります。
 都市農業・林業をいかした地域産業の実現につきましては、厚木市都市農業支援センターと連携し、担い手の育成や農地の有効活用を推進するとともに、農産物等の6次産業化の推進や地産地消の充実を図るほか、施設の近代化や農業機械の導入を支援し、生産性の向上や農作業の省力化・省エネルギー化を推進してまいります。
 有害鳥獣対策につきましては、有害鳥獣の適正な捕獲を始め、広域獣害防護柵の機能の維持を引き続き行うとともに、新たに簡易電気柵などの設置を支援することで、農作物被害や生活被害の防止に取り組んでまいります。
 また、農業基盤施設の整備や改修等を実施するとともに、農業水利施設の改修時期の平準化を図るため、長寿命化計画策定に着手してまいります。
 安心して働くことができる社会の実現につきましては、正規雇用を希望する若者やキャリアブランクのある女性などを対象として、労働環境の変化や求職者の多様化に対応した就労支援を引き続き実施し、近隣市にない求職者のスキルアップを実施するなど、就職支援策の充実に取り組んでまいります。
 また、よりよい就労環境づくりを進めるとともに、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、市内中小企業に働きかけてまいります。

(5)信頼政策

 最後に、「信頼政策」の取組につきまして、御説明申し上げます。
 あつぎの魅力の創造と発信につきましては、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の重点項目である20歳代の定住促進と転出抑制を図るため、若い世代で構成する組織を新たに設置し、住みたい、働きたい、訪れたいと思える魅力あるまちづくりに向けた事業を検討・実施するとともに、あらゆる世代から選ばれる都市を目指し、あつぎの魅力を全国に発信してまいります。
 市民参加・市民協働の推進につきましては、「あつぎ市民ふれあい都市宣言」にふさわしい、ふれあいの家庭づくり・地域づくり・まちづくりの実現に向け、人と人とのつながりを深めるための施策を積極的に展開してまいります。
 また、市民協働による地域自治を更に推進するため、地区の地域づくり推進委員会を自治推進組織として位置付けるとともに、4つのモデル地区を選定し、地域の特色をいかした事業をより一層支援してまいります。
 行財政改革の推進につきましては、新たにインターネット経由で事業賛同者から資金調達を行うクラウドファンディングなどの手法を取り入れ、積極的な財源の確保を図るとともに、マイナンバーカードを活用した市独自のサービスについて研究を行い、市民サービスの拡充に努めてまいります。
 また、少子高齢化など社会情勢の変化に即応できるよう効率的で機能的な組織体制を構築するとともに、全ての職員がまちづくりの担い手であるという自覚を持ち、市民の皆様や地域への貢献を最優先に考え、意欲と情熱をもって職務に取り組む人材の育成を進めてまいります。
 財政運営につきましては、法人税の実効税率の引き下げや法人市民税の一部国税化が拡大されるなどの税制改正が行われる一方、少子高齢化の進展による社会保障関係経費や公共施設の老朽化による維持管理経費の増大に伴い、より一層厳しさが増す状況にあります。
 このため、税や料等の自主財源や国庫補助金等の特定財源など、様々な面から財源確保に努め、市民の皆様の要望や社会ニーズに的確に対応するとともに、今後の税収確保を見据えた都市基盤整備に積極的に取り組むなど、将来にわたり持続可能で強い財政につながる取組を行ってまいります。
 情報化につきましては、国や県、他自治体などの動向を踏まえつつ、本市が保有する公開可能な情報を積極的に公開するオープンデータなどの取組を一層推進してまいります。
 また、本年1月から社会保障・税番号制度に係る個人番号の利用が開始されたことから、住民記録、税、保険料などを扱う基幹系情報システムのセキュリティの確保やシステム運用等を適切に行うとともに、マイナンバーカードを活用し、夜間や休日でも全国のコンビニエンスストアで住民票の写しなどが取得できるコンビニ交付サービスの利用を促進してまいります。
 都市間連携の推進につきましては、2027年に開業を予定しているリニア中央新幹線神奈川県駅等の新たな拠点や、ツインシティ等への広域的なアクセスについて調査研究を進めるとともに、関係市町村と連携し、引き続き、小田急多摩線等の延伸を国、県等の関係機関に要請してまいります。
 また、引き続き友好都市である秋田県横手市、北海道網走市との交流を深めるとともに、新たな友好都市の締結を目指してまいります。

3 おわりに

 以上、平成28年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な施策につきまして、御説明申し上げました。
 冒頭でも申し上げましたとおり、私は、平成28年の市政運営のテーマに「先見」を掲げました。
 国と地方が一体となった地方創生の取組が本格的にスタートし、全国的に「まち・ひと・しごと」の流れが大きく変わる局面を迎えた今、時代の潮流を見極めた更なる一手が求められております。
 私は、将来にわたって活力あるまちの礎を築くため、今こそ、都市基盤整備を始めとした確かな未来への投資に、勇気を持って挑戦していく所存であります。
 平成28年度の市政運営に当たりましては、今を生きる私たち、そして、将来厚木市で暮らす全ての市民の皆様が本市に誇りと愛着を持ち、光り輝く豊かな生活を送ることができるよう、引き続き市民の皆様と共に、元気なあつぎの創造に積極果敢に取り組んでまいります。
 総合計画に掲げる将来都市像「元気あふれる創造性豊かな協働・交流都市 あつぎ」の実現、そして、厚木市がいつまでも「県央の雄都」であり続けるために、市民の皆様並びに議員の皆様の、より一層のお力添えを心からお願い申し上げ、平成28年度の施政方針といたします。

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