令和7年度施政方針
はじめに
令和7年度の予算及び諸案件の御審議をお願いするに当たり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただくとともに、主要な取組について御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
昨年は、震度7を観測した「令和6年能登半島地震」に始まり、度重なる豪雨による土砂災害や河川の氾濫が発生し、全国各地に甚大な被害をもたらしました。また、「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表され、その翌日には、本市で震度5弱を観測した地震が発生するなど、自然災害が発生しやすい国土であることを痛感させられた1年となりました。日本が度重なる災害に見舞われる中、パリ オリンピック・パラリンピックでの日本選手の活躍や、メジャーリーグで史上初めて「50-50」を達成した大谷翔平選手の活躍は、勇気と元気を与えてくれました。私自身も、改めて、スポーツが与えてくれる力を実感したところです。
私は「スポーツの聖地」の実現を主要な施策の一つに掲げております。昨年10月には、荻野運動公園でバスケットボールチーム「湘南ユナイテッドBC」のホームゲームとして、本市で初となるプロバスケットボールリーグの公式戦が開催されたほか、本年2月15日には、ハンドボールチーム「ブルーサクヤ鹿児島」のホームゲームが開催されました。
今後も全国規模の大会を積極的に誘致し、トップアスリートのプレーを見ていただく機会を増やすなど、スポーツをする・みる・支える取組を通して、市民の皆様や地域が、つながり支えあう社会を実現するとともに、スポーツを通じた市民の皆様のウェルビーイング向上を図ってまいります。
さて、本年の2月1日に、本市は市制施行70周年を迎えることができました。市制を施行した昭和30年の人口は3万1千人程度でしたが、現在では22万人を超えるまでに成長しております。これもひとえに、先人の皆様のたゆまぬ努力と、市民の皆様、事業者の皆様の御理解と御協力の賜物に他なりません。
市民憲章の一文に「わたくしたち厚木市民は、健康ではたらき、力あふれるまちをつくりましょう。」と示されています。本市は、昭和43年の東名高速道路の開通を契機として、急速に都市基盤整備が進み、県央の近代都市として、成長してきました。
これまでの先人の皆様の功績に敬意を表するとともに、襷を受け取った市長として、市民憲章の精神にのっとり、厚木を更に発展させ、次世代へ引き継ぐという重責を感じています。
私は本年の市政運営を進める上での想いを「誇」としました。70年の歩みやこれまで築いてきた業績を振り返るこの一年は、改めて厚木というこのまちに、より一層の「誇」を感じる年となることを確信しております。私自身、厚木への誇り、「あつぎプライド」を胸に抱きながら、市民の皆様も厚木に誇りを持っていただけるよう、魅力あふれるまちづくりに全力で取り組んでまいります。
現在、本市では、第10次厚木市総合計画に基づき、まちづくりを進めていますが、この間、市民生活に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス感染症のパンデミック、急速なAIの進歩と普及、市民ニーズの多様化等、社会・経済環境は大きく変化しています。また、本市においては、広域連携の強化による広域的な視点を踏まえたまちづくり、スポーツ・文化芸術 ・歴史の聖地づくりという、まちづくりの新たな局面を迎えています。
これからの厚木が目指すべきまちの姿、これを実現するための政策・施策について、改めて見直しを行い、令和8年度から令和17年度までの10年間を期間とした、第11次となる新たな総合計画の策定により、今後のまちづくりの方向性を示すとともに、持続可能なまちづくりを進め、輝く未来に着実につなげてまいりたいと強く決意しております。
こうした思いの中、令和7年度の当初予算につきましては、新たな総合計画への確実な橋渡しとなるよう、魅力あふれる厚木創造プロジェクトや第11次総合計画策定方針を踏まえた、新たなまちづくりへの取組などを柱として編成を進めてまいりました。予算総額につきましては、一般会計1,091億円、特別会計を合わせた総額は1,789億円を超え、過去最大の予算規模となります。
それでは、令和7年度の主要な取組につきまして、御説明申し上げます。
「子育て・教育で選ばれるまち」の実現に向けた取組
始めに、「子育て・教育で選ばれるまち」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
こどもまんなか社会の実現につきましては、こどもや若者一人一人が自分らしく幸せに暮らし続けられる社会の実現に向け、従来の子育て支援を中心とした「厚木市子ども育成条例」を、こどもや若者を中心とし、権利を保障する条例に改正してまいります。
希望する人が安心して出産・子育てができる環境整備につきましては、妊婦健康診査補助券の補助額を、県内トップクラスの水準まで拡大してまいります。
また、不妊治療のうち、医療保険適用の生殖補助医療と併用して実施された先進医療費の一部を助成してまいります。
出産後から就学前までの切れ目のない健康診査につきましては、疾病等の早期発見につなげるため、全ての乳児が1か月児健康診査を受診できるよう、費用を補助してまいります。
幼稚園教諭の安定的な確保につきましては、幼稚園教諭等雇用サポート事業補助金に、新たに就労手当を追加し、幼児教育・保育に携わる人材の確保、定着及び離職防止を強化してまいります。
保育士の安定的な確保につきましては、保育士等就労応援給付金を始め、様々な対策を実施するとともに、「手ぶらで保育」を導入するために必要な費用の一部を新たに補助することにより、保護者と保育士双方の負担軽減に取り組んでまいります。
子育て支援センターのリニューアルにつきましては、こどもの健やかな成長の原点である遊びを通じて、こども心をくすぐる、冒険・経験・体験の場となる魅力あふれる施設を目指し、計画を策定してまいります。
三田児童館の整備につきましては、市内の児童館で最も古く、令和9年に築60年が経過することから、こどもが安心して過ごせる居場所として、三田小学校の一部を活用し、児童館と放課後児童クラブの一体的な整備に向けた新築設計を進めてまいります。
「第3次厚木市教育振興基本計画」につきましては、社会情勢や教育環境の急速な変化を踏まえ、将来を見据えた本市の教育の方向性を定めるとともに、教育を通したウェルビーイングの向上や持続可能な社会の創り手の育成などの視点を取り入れ、学校教育や社会教育、生涯学習など広く本市の教育の在り方を示す計画として策定してまいります。
GIGAスクール端末を活用した教育活動の充実につきましては、現在利用している端末が耐用年数を経過するため、機器の一斉更新を行い、引き続き、児童・生徒一人一台の学習環境を確保してまいります。
また、全てのこどもたちの可能性を引き出すために、新たに、AI型デジタルドリル教材を導入し、児童・生徒一人一人の理解や進度に応じた学びを提供するとともに、GIGAステップアップ支援員を増員し、教職員が端末を使用した授業を行う際の技術支援を充実させ、端末の利活用を推進してまいります。
日本語が分からないまま市立小・中学校に編入・転入する児童・生徒の支援につきましては、新たに開設する「日本語指導プレクラス」において、日本語の初期指導を進めてまいります。
また、登校支援を必要としている児童・生徒に対しましては、「校内教育支援センター フリールーム」への非常勤講師の配置を市立中学校4校に拡大し、個別支援の充実に取り組んでまいります。
児童虐待の防止やヤングケアラーの早期発見及び支援につきましては、近年、児童に関する相談件数が増加し、内容も複雑・多様化していることを踏まえ、対応する職員を増員し、支援体制を強化するとともに、新たに相談できる機関を身近な地域に設置し、不安や悩みに寄り添った相談支援等を行うことにより、虐待の未然防止等につなげてまいります。
「こどもフェスタ2025」につきましては、次代を担うこどもたちに夢を与え、心豊かな青少年を育成するため、楽しみながら学べるだけでなく、本市の魅力を感じ、愛着と誇りを深めることのできるイベントとして開催してまいります。
「福祉の充実による住みやすいまち」の実現
次に、「福祉の充実による住みやすいまち」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
視覚障がい者の外出支援につきましては、スマートフォンアプリの活用により、視覚情報を音声で得ることで、社会参加の支援や利便性の向上に取り組んでまいります。
高齢者への支援につきましては、加齢による物忘れや認知症になることに不安を感じる方が年々増加していることから、認知症地域支援コーディネーターの増員や認知症への理解を深めることを目的とした普及啓発イベントを開催し、認知症バリアフリーを目指してまいります。
生活支援体制の整備につきましては、地域の課題を住民主体で解決し、安心して地域で生活できるよう、多様な要望に沿ったサービスや居場所の提供に取り組んでまいります。
歯と口腔の健康につきましては、成人歯科健診において、新たに加齢に伴う口腔機能低下の早期発見、早期治療を目的とするオーラルフレイル健診を同時実施することで、口腔機能全体の維持による、健康寿命の延伸に取り組んでまいります。
平和都市の推進につきましては、戦後80年を迎えるに当たり、戦争の悲惨さを後世へ語り継ぐため、市内のこどもたちを対象に、被爆地である広島県への平和学習訪問などの新たな取組を実施し、平和意識の普及啓発に取り組んでまいります。
「生まれ変わる中心市街地」の実現に向けた取組
次に、「生まれ変わる中心市街地」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
図書館、(仮称)未来館、市庁舎等で構成する複合施設につきましては、市民の皆様の投票により愛称が「ATSUMEKI(あつめき、アツメキ)」に決定し、あらゆる世代の人々にとっての居場所となるよう、令和9年度の供用開始に向け、本体建設工事を進めるとともに、円滑な移転を実現するための計画策定に着手してまいります。
また、本市の玄関口である本厚木駅北口周辺を面として捉え、快適な歩行空間や広場と建物が一体となった「歩いて楽しいまち」の実現による、にぎわいの創出に向けた取組を、再開発準備組合と共に進めてまいります。
現本庁舎敷地の跡地活用につきましては、周辺エリアのにぎわい創出及び価値の向上や本厚木駅周辺の中心市街地の活性化につながる新たな交流拠点の形成を目指してまいります。
中心市街地の空き店舗対策につきましては、新規に出店する商業者に対する改装費、家賃の一部や出店に要する費用の補助について、本厚木駅周辺に限定していた対象エリアを、新たに愛甲石田駅周辺にも拡大してまいります。
「持続可能なあつぎの農業」の実現に向けた取組
次に、「持続可能なあつぎの農業」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
地産地消の推進につきましては、市内の農産物直売所で開催される直売所まつりに係る経費の一部を補助するとともに、市内農産物の宣伝及び啓発活動等を支援してまいります。
昨年、開設50周年を迎えた厚木市民朝市につきましては、安くて新鮮な本市の農畜産物等を提供し、更なる魅力の向上に取り組んでまいります。
また、復興を願って実施した出張輪島朝市につきましても、継続して開催し、輪島朝市の支援につなげてまいります。
さらに、森の里地区で開催されている森の里朝市に対して新たに支援を行い、農業振興とともに、地域福祉や地域振興に取り組んでまいります。
令和9年に横浜市で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO2027」につきましては、新たな暮らし・地域・経済の創造や社会的な課題解決等への貢献を目的として開催され、国内外から1,000万人以上の来場者が見込まれることから、本市の魅力を広く発信するため、準備を進めてまいります。
「スポーツ・文化芸術・歴史の聖地」の実現に向けた取組
次に、「スポーツ・文化芸術・歴史の聖地」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
スポーツの聖地に向けた取組につきましては、市制70周年を記念して招致する「モルックジャパンオープン」を始め、アーバンスポーツに関するイベントなどを実施し、市民の皆様のスポーツに対する意識の高揚とスポーツによる交流を通じたスポーツ人口の増加を目指してまいります。
また、「スポーツの聖地づくり基本構想」に基づき、スポーツのする・みる・支えるなどの多様化する環境に対応するため、スポーツ施設全体の方向性を定めた「スポーツの聖地づくり基本計画」を策定し、「スポーツの聖地あつぎ」と呼んでいただける取組を進めてまいります。
文化芸術の発信強化につきましては、アミューあつぎやリニューアルした文化会館を拠点とし、市民の皆様が気軽に文化芸術に触れる機会を提供するとともに、地域に根付いた文化芸術事業を絶やすことなく次世代に引き継げるよう、時代に即した事業を展開してまいります。
また、あつぎ郷土博物館を拠点に「ふるさと厚木」の歴史や文化に興味を持っていただけるよう、本市が発祥の地である毛利氏ゆかりの品を山口県立山口博物館及び山口県防府市にある毛利博物館から借用して特別展を開催するとともに、講座やワークショップなども実施してまいります。
さらに、国指定無形民俗文化財である相模人形芝居の詳細な記録を後世に残すため、平塚市、小田原市、南足柄市との4市合同による総合的な調査に取り組むとともに、文化会館などを会場として郷土芸能保存団体と協働で「郷土芸能まつり」や「郷土芸能普及公演」などを実施し、相模人形芝居や相模里神楽などの郷土芸能を後世に継承してまいります。
「強い財政力をいかしたまち」の実現に向けた取組
次に、「強い財政力をいかしたまち」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
持続可能な財政基盤の構築につきましては、市外から新たな企業を呼び込むとともに、市内企業による再投資を支援し、産業の活性化や雇用機会の拡大を進めてまいります。
また、企業誘致に係る奨励措置などについて定める「厚木市企業等の立地促進等に関する条例」について、奨励金の増額を始めとした競争優位性のある内容に改正し、企業の新規進出や市内企業の事業継続を支援してまいります。
さらに、新たな産業用地の創出に向け、立地に適した業種を事前に把握するため、候補地周辺の地質や水資源、電力などの調査を実施するとともに、土地区画整理事業による新市街地整備の取組を支援することにより、市内産業の発展に向け、より効果的な企業誘致に取り組んでまいります。
酒井土地区画整理事業につきましては、日本を代表する企業等が進出を予定するなど、広域交通の結節点として交通利便性をいかした産業拠点の形成を引き続き推進してまいります。
「時代と市民に寄り添う行政運営」の実現に向けた取組
次に、「時代と市民に寄り添う行政運営」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
公共施設最適化の推進につきましては、本市の公共施設の今後の方向性を示す「公共施設最適化基本計画」の策定から10年を迎えることに伴い、これまで培ってきた公共施設最適化の目的を踏まえつつ、まちづくりの新たな局面に適切に対応するため、計画の見直しに向けた取組を進めてまいります。
学校施設の包括管理業務につきましては、公共施設の床面積の約半数を占める市立小・中学校36校を、統一的な方針に基づき、適切に維持管理及び保全するため、包括管理業務委託の導入に向けた取組を進めてまいります。
マイナンバーカードの保有促進につきましては、制度開始当初に取得した方の更新時期を迎えることから、マイナンバーカードセンターを開設し、混雑の緩和や市民の皆様の利便性向上に取り組んでまいります。
市民参加・市民協働の推進につきましては、本市の魅力あるまちづくりの推進において、重要なパートナーである自治会や市民活動団体の活動を支援するため、地域コミュニティ活動の拠点整備や次世代の地域の担い手づくりなどの支援に取り組んでまいります。
また、近年、加入率が減少している自治会に対し、回覧板の電子化による効率化等の支援や市民の皆様に自治会活動を広く周知し、地域の絆を紡ぐことができるよう、厚木市自治会連絡協議会と協働して取り組んでまいります。
「道路交通の円滑化」の実現に向けた取組
次に、「道路交通の円滑化」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
地域間の移動円滑化の向上につきましては、本市における重要な都市インフラとなる厚木秦野道路の整備効果を検証し、早期整備をアピールするとともに、(仮称)森の里インターチェンジへのアクセス道路となる、船子飯山線や尼寺原幹線について新たに事業着手するなど、市内中心部に集中する交通の分散を図ってまいります。
モビリティ・マネジメントの取組につきましては、過度に自動車に頼る状態から、公共交通機関や徒歩などを含めた多様な交通手段を適度に利用する状態へと行動変容を促すとともに、コンパクト・プラス・ネットワーク型都市構造の更なる充実を図るため、動画やリーフレット等の媒体を活用して、公共交通の重要性を広く発信してまいります。
新たなモビリティサービスの導入につきましては、地元企業と将来のモビリティサービスの在り方等について共同研究を行い、誰もが快適に移動でき、地域で暮らし続け、働き続けることができる、人にやさしい都市の実現を目指してまいります。
交通死亡事故ゼロの実現及び交通事故を更に減少させる取組につきましては、厚木警察署や交通関係団体と連携し、幼児から高齢者までの年齢段階に応じた交通安全教育、交通安全意識の向上を図る普及啓発活動を実施してまいります。
「災害から命と暮らしを守り抜くまち」の実現に向けた取組
次に、「災害から命と暮らしを守り抜くまち」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
地域防災力の強化につきましては、防災対策に関する講話や防災訓練での指導の充実を図るため、防災に関する見識を持った防災アドバイザーを養成する防災士資格取得講座を開催してまいります。
防災行政無線の更新につきましては、デジタル化更新整備から20年が経過することから、放送音声の明瞭化を図るため、最新の放送設備に更新し、災害時等における市民の皆様への情報伝達の向上に取り組んでまいります。
指定避難所である市立小・中学校の整備につきましては、水源調査等を実施し、生活用水を確保するための防災井戸及び災害用水洗式マンホールトイレの設置に向け、取り組んでまいります。
(仮称)北部地区公園につきましては、平常時には市民の皆様のコミュニティや憩いの場として、また、災害時には防災機能を担う拠点としての整備に向け、都市計画決定や事業認可の取得に取り組んでまいります。
公民館における熱中症対策につきましては、対策が必要な公民館に対し、空調設備の設置や、遮熱フィルムを施すなど、より利用しやすい施設環境を整備してまいります。
近い将来、発生が危惧される大地震への備えにつきましては、「厚木市耐震改修促進計画」に基づき、既存建築物の耐震化を促進するとともに、耐震性が不足している木造住宅において、除却費に対する補助を追加し、地震に強い安心・安全なまちづくりに取り組んでまいります。
豪雨による浸水被害への対応につきましては、下水道による浸水対策を実施すべき区域や対策目標等を定めた「雨水管理総合計画」を策定するとともに、市民の皆様が設置する止水板の購入等にかかる費用の一部を補助し、被害を最小限に抑える取組を推進してまいります。
激甚化・頻発化する自然災害や社会情勢などにより増加する救急需要への迅速・的確な対応につきましては、消防車両の更新や地域防災の要である消防団の活動環境の充実に取り組むとともに、新たに、スマートフォン等を活用した119番映像通報システムを導入し、救急対応力の強化に取り組んでまいります。
また、市庁舎等からなる複合施設「ATSUMEKI(あつめき、アツメキ)」への消防本部機能の移転を見据え、災害対応の中核を担う高機能消防指令センターの整備に向けた設計に着手するとともに、災害時の拠点施設である厚木消防署本署庁舎の建て替えを推進してまいります。
「安心して暮らせる防犯のまち」の実現に向けた取組
次に、「安心して暮らせる防犯のまち」の実現に向けた取組について、御説明申し上げます。
防犯に関する取組につきましては、市民の皆様が安心して安全に暮らすことができるよう、市内都市公園に防犯カメラを新たに設置し、地域の防犯力を強化してまいります。
また、本厚木駅周辺や厚木一番街における飲食店等への客引き行為等が、市民の皆様に不安を与えている現状を踏まえ、規制の強化を含め、関係団体や厚木警察署と連携して、本厚木駅周辺の環境浄化に取り組んでまいります。
犯罪被害者等の支援につきましては、支援を行う目的や基本理念などを明確にし、社会全体で犯罪被害者等を支える地域づくりを推進するため、相談体制を整備するとともに、日常生活支援や経済的支援を実施するなど、犯罪被害者等が再び安心して暮らすことができるよう支援してまいります。
カーボンニュートラルの達成や循環型社会の実現など環境分野の取組
次に、カーボンニュートラルの達成や循環型社会の実現など環境分野の取組について、御説明申し上げます。
カーボンニュートラルの推進につきましては、令和12年度までに設置可能な公共施設の50%以上に太陽光発電設備を設置するとともに、全ての公共施設のLED化に向け、引き続き公共施設の脱炭素化を推進してまいります。
また、公用車の電動化を進めるため、電気自動車への入替えを実施してまいります。
さらに、国の重点対策加速化事業を活用した太陽光パネルの設置に係る補助金の拡充について周知を強化し、多くの市民の皆様や企業に利用いただけるよう取り組んでまいります。
企業活動における脱炭素化の推進につきましては、省エネ機器や電気自動車の導入などを行う中小企業の取組を引き続き支援してまいります。
新ごみ中間処理施設につきましては、周辺の生活環境に配慮した循環型社会実現の一翼を担う施設として、本年12月の稼働に向け、支援してまいります。
生物多様性の保全及び回復につきましては、ネイチャーポジティブの実現に向けて、身近な生き物からヒメアマツバメ等の希少な生き物まで、市民の皆様に触れていただく機会とするため、引き続き、スマートフォンを活用した「あつぎいきもの調査隊」を実施してまいります。
また、市内に生息する希少な生き物のミニチュアフィギュアを作成し、市民の皆様に周知することで、生物多様性の重要性について普及啓発に取り組んでまいります。
市内産業の振興など産業分野の取組
次に、市内産業の振興など産業分野の取組について、御説明申し上げます。
中小企業に対する支援につきましては、中小企業設備投資補助金に係る補助率を拡大し、中小企業の市場競争力や経営基盤の強化につなげてまいります。
また、設備投資などを通して賃上げを実現した中小企業を支援する国の業務改善助成金の上乗せ補助となる生産性向上・賃上げ応援補助金を実施してまいります。
インバウンド需要の対応につきましては、外国人観光客の心をつかむ観光ツアーを観光関連事業者と連携して実施するとともに、本市の観光資源の体験機会を創出し、インバウンド観光の需要を更に高め、地域外からの投資や消費流入による地域経済の活性化につなげてまいります。
都市間連携による「強いエリア」「魅力あるエリア」の創造
次に、都市間連携による「強いエリア」「魅力あるエリア」の創造について、御説明申し上げます。
県央やまなみ地域における広域連携の取組につきましては、大山・丹沢・宮ヶ瀬を軸としたエリアの発信力・認知度の向上及び民間企業等との連携により地域全体の活性化を推進することを目的とした「県央やまなみ協議会」を核として、産学公が新たな形で連携することにより、多様な分野における広域的な取組を進めてまいります。
観光振興につきましては、地域で愛される食をテーマとしたガストロノミーツーリズムを活用した広域連携による観光プロモーションを実施することで、回遊性や情報発信力を高め、観光地としての魅力向上に取り組んでまいります。
野生鳥獣被害防除対策につきましては、令和6年7月に発足した県央やまなみ協議会鳥獣被害対策専門部会と協力し、ニホンザルを始めとする野生鳥獣の被害対策を効果的に実施することに加え、魅力ある資源として、ジビエの研究に取り組んでまいります。
本市における重要な都市インフラとなる厚木秦野道路につきましては、昨年10月から、私が会長を務めております国道246号バイパス建設促進協議会などの関係団体を通じて、早期整備を国等へ積極的に要望してまいります。
おわりに
以上、令和7年度の市政運営に当たり、私の所信及びこれを実現するための主要な取組について、御説明申し上げました。
昨年開催されたパリオリンピックの金メダリストである体操の岡慎之助選手は、挑戦することや目標を持つことの大切さについて、次のように語っています。
「常にチャレンジャーとして挑戦する気持ちを持ち、目標がちゃんとあれば、諦めることはない。」
岡選手はオリンピックで輝かしい実績を残されましたが、開催の2年前に全治約10カ月の大けがを負うなど、その道のりは、決して順風満帆なものではありませんでした。それでも、目標をしっかりと定め、諦めずにチャレンジャーとして挑戦を続けた結果、金メダル3個を含む4個のメダル獲得という快挙につながりました。
市政運営においても、新たな事業に着手する時や、変化を伴う選択をしなければならない時は、乗り越えなければならない難問や課題に直面いたします。
それでも、挑戦する気持ちと目標、そして「あつぎプライド」を心に刻み、市民の皆様お一人お一人があつぎ愛を育み、「ふるさと厚木」を誇りに感じていただくだけでなく、全国・全世界から憧れを抱かれる魅力あるまちとなるよう、市政運営に邁進してまいります。
市民の皆様並びに議員の皆様のより一層のお力添えを心からお願い申し上げ、令和7年度の施政方針といたします。
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更新日:2025年02月20日
公開日:2025年02月20日