第2回厚木市新たな交流拠点検討委員会の会議録について
会議概要
| 会議主管課 | 行政経営課 |
| 会議開催日時 |
令和7年10月29日(水曜日) |
| 会議開催場所 | 厚木市役所 第二庁舎15階 農業委員会会議室 |
| 出席者 |
厚木市新たな交流拠点検討委員会委員 14人 基礎調査機関(株式会社日本総合研究所2人) |
| 説明者 | 公共施設マネジメント係長、基礎調査機関 |
| 傍聴者 | なし |
第2回厚木市新たな交流拠点検討委員会
案件
(1) 需要予測ヒアリング結果、(2)ヒアリングを踏まえた需要予測について
資料1に基づき、基礎調査機関(株式会社日本総合研究所)より説明。
本厚木駅前周辺のスマートシティ化やDX化が今回の施設設置と一緒に推進されていくと望ましい。厚木市は「音楽都市」を掲げているように、施設だけではなく、まち全体が音楽やスポーツ等のコンテンツを保有していることは強みである。需要調査の結果からも、プロスポーツやライブエンタメは一定の需要があることが分かる。今回は施設単体の検討だが、この事業を皮切りに駅前全体のまちづくりに議論を広げたい。スポーツ庁が推進する「スポーツコンプレックス」におけるエリアマネジメントを踏まえたスマートベニューの考え方を取り入れたうえで、まちづくりに展開すべきと考える。加えて、各リーグや利用用途ごとの滞在時間、興行前後の利用者数を調べてみてはどうか。例えば、コンコース等を活用し、観客を試合前後も長く滞在させる仕掛けを展開している長崎スタジアムシティの事例を参考に、周辺施設との間の中間領域について、アリーナの整備と共にどう作り込んでいくかを検討してみてもよい。その際にも役に立つのが、スマートシティやデジタルコンテンツだと考えられる。
イタリアでは、ホテルのフロントや食堂、宿泊場所、エンターテインメントなどが分散し、町全体がホテルとしての機能を果たす「アルベルゴ・ディフューゾ(分散型ホテル)」という考え方があり、日本でもチャレンジしている自治体がある。上林委員の意見は、それをスポーツに応用した「アレーナ・ディフューゾ(分散型アリーナ)」という考え方とも言える。それに厚木市がチャレンジするのであれば、極めて先進的な考え方であり、期待感がある。
単体の施設だけではなくまち全体で、という視点は重要である。神戸市にあるジーライオンアリーナ神戸の事例では、アリーナ運営会社と市が連携協定を結び、アプリを活用し、市内200箇所程度にビーコンを入れ、アリーナの来場者が、その前後にどういった施設に訪れ、どう回遊しているのかを可視化する仕組みをつくっている。事業者選定の中で連携協定を結び、官民連携で賑わいづくりの方法、地元の商店街の活性化を検討している。是非参考にしてほしい。
自身の体験でも、ライブイベントの際には、宿泊、イベント前の食事、グッズ購入、終了後の食事などで、会場周辺に長く滞在し消費していた。周辺施設にもお金が落ちていくことになるため、イベント前後の利用について、より深堀して調べてみてはどうか。
自身はホテルを運営しているが、市内では土日には大学や中学・高校のスポーツ大会が開催され、選手や観客が近隣のホテルに泊まって会場に向かうということも多い。アリーナ建設において、どのような宿泊客がいるのかというデータも収益面における検討材料となるだろう。
クラブ運営者だが、リーグには遠征がつきもので、アウェイゲームの日には遠征先で宿泊が発生する。近隣に複数のクラブが同時に宿泊できるキャパシティがあるかは重要である。試合会場に近い所であればあるほど利便性が高い。夏の甲子園を見ると、まち全体のインフラが整っていることが必須であると考える。
Bリーグの試合におけるホーム:アウェイファンの比率は9:1、会場へのアクセスが悪くなるとアウェイファンはさらに減少する。厚木市の立地を考えると、首都圏の集客に加え、羽田空港や東京駅を利用した遠方からの集客が見込める。
アリーナに求められる防災機能としては、帰宅困難者の一時滞在施設、物資の集積所、避難所が考えられる。また、市役所が被災した場合の代替機能としても、アリーナは選択肢となる。避難所の運営の基地として、ボランティアの受付場所、給水所、備蓄品の配布場所としても利用できる。ただし、防災機能の検討に当たっては、どういった自然災害を対象としたものであるべきかをまず定める必要がある。災害と一言でいっても、地震、洪水、津波など様々ある。昨今は線状降水帯やゲリラ豪雨・台風等、非常に水害におけるリスクが高く、伴って土砂災害も起こる。加えて、市においては富士山噴火による降灰被害のリスクも存在する。災害復旧などの一連の流れに、アリーナが役に立てると素晴らしいと思う。前回の委員会で小学校の災害時の連携が必要という話があったが、ホテルや健康ランド等の施設があれば避難施設の代わりとなる。また災害関連死防止に対しても、アリーナ整備は有効となる可能性がある。
「2022年1月~12月音楽・ステージ公演開催実績(2,500~5,000人)」はコロナ禍の期間のデータを使用しているが、本件の需要予測に対して影響はあるか。
2022年はコロナ禍から回復した時期であり、基本的に影響はないと思われる。一方、稼働率が高い東京国際フォーラム•ホール A(収容人数5,000人の音楽専用ホール)が入っていないことは気にかかる。また、県民会館や市民会館の最大収容人数である約2,500-3,000人を超える「ホール」は例が少なく、5,000人規模の施設での公演実績は自ずと少ない状況である。
(3) 施設計画について
各シミュレーションパターンにおいて、整備費は同額を見込んでいるのか。それとも1~3で金額が異なるのか。整備費が同額であれば、1と比べ3に寄れば寄るほど、内装や設備スペックが1に比べ下がっていくのではないかという懸念がある。1よりも2や3の兼用型の方が、当然音響スペックが高いため同金額では済まないと思われるが、どのように想定して検討しているか。
現時点では整備費は一律で試算しているが、音楽利用のためにどのような設備や内装を入れていくかによって金額はかなり異なると考えている。スポーツ利用を重視する場合でも導入する諸室機能の検討が必要である。例えば、3,000席では、Bプレミアクラブのホームアリーナとしては規格外となり、アマチュア寄りのスポーツ利用を中心として考える必要がある。考え方を整理して適切な金額を試算したい。
コンセッション事業であれば、事業者の収益の範囲内で設備の更新や収益事業を展開できると考えているが、その見解でよいか。
コンセッション事業者の狙いにもよるが、基本的には事業者が事業採算性を見込めるスペックの施設を整備し、それに対し運営権を付けることで、公共負担が減るという考え方である。そのため、事業者の投資を考える前に、まずはこの施設においてどのようなタイプ・スペックが望ましいのか検討する必要がある。
まとめていただいた資料の配置イメージについて、客席のサイズが少し大きいように感じる。経験上75m四方規模だと7,000席が配置できるイメージがあるが、席数が少ないのは比較的余裕を持たせたという理解でよいか。
濃い青で客席としている部分は、客席以外のコンコースやVIP室などの諸室を含めている。7,000席を配置できる可能性もあるが、特に今回コンセッションを目指すのであれば、収益を上げるための機能の床面積も確保する必要があるため、諸室とアリーナの面積バランスについては引き続き検討させていただく。
フロアサイズの設定範囲だが、プロセニアム型のステージサイズと比較しても意味がないのではないか。1万人以下のサイズでコンサート用の常設設備を充実させるのはコスト的に非常にバランスが悪い。2,500人規模のZepp Hanedaでは、収容人数が少ない代わりに、あらかじめ固定のステージを設置した上で音響照明等のコンサート用の常設設備を充実させて、イベント主催事業者の収益性を確保(主催事業者のコスト低減)している。会場サイズと利用範囲をきめ細かく設定して、利用者側の観点を踏まえ検討することも重要ではないか。
アリーナの容積率はどの程度を想定しているか。商業地域で容積率の規定が500%と考えると、平坦な形状のアリーナでは、厚木市中央公園の横という好立地において、市民感覚として少しもったいなく感じる。階上に東町スポーツセンターにあるようなスポーツ機能を追加したり、スポンサー企業が入ったりするようなことができると、新しい交流の拠点として良いのではないか。
アリーナは、一般的な施設に比べ同程度の建物の大きさに対し、床面積はそれほど大きくはないため、容積率には余裕がある。また、施設の立体的な使用については、5,000~6,000席の事例として長崎ハピネスアリーナがあるが、コンパクト仕様でアリーナの屋根の上にはフットサルコートが設置されている。新たな機能の追加を検討する余地はあってよい。
フロアサイズは重要な検討ポイントだと思う。横浜BUNTAIはアマチュア競技スポーツ団体の要請もあり、アリーナ面積を約2,400平方メートルとしているが、やや間延びした印象である。一方、長崎ハピネスアリーナは、プロスポーツ利用の考えから、アリーナ面積を約1,600平方メートルとしており、観戦における快適性も高く、コンサート等の利用もしやすくなっている。私見だが、長崎ハピネスアリーナのように、コンパクトなアリーナ面積を前提とした整備計画で進めてもよいと考える。
プロスポーツのレギュレーションについて、本アリーナができる頃の2030年には、SVリーグの規定は5,000人がターゲットになる。修正されたい。
(4) 防災機能及び厚木中央公園等に係る連携の方向性について
アリーナにおける防災設備の例に、「帰宅困難者の対応」や「一時避難所」などのキーワードが入っていないのはなぜか。
本アリーナに導入される防災機能はまだ決まっていないため、資料では、一般的な事例を挙げている。市では3月に発表した方針において、帰宅困難者の一時滞在施設が本厚木駅周辺に不足していると認識している。アリーナは帰宅困難者の一時滞在施設の有力な候補になる。今後の具体的な策として、アリーナに導入される防災機能を市としてお示しできればと考えている。
発想を広げると、駅周辺のアミューあつぎや厚木市スポーツセンターなども避難所として活用できる可能性がある。アリーナに防災機能を一極集中させ過ぎないような考え方が必要である。
フェーズフリーの考えの元、普段から人が集まる場所として認識されていると、いざとなった時に避難場所として集まるという行動を促しやすくなる。平時利用から施設を防災的な機能として適合させていくような考え方だが、これもまちづくりに拡張できるとよいと考える。スポーツが防災に関わる事例として、宮崎県延岡市では陸上イベントを行うためのスポーツボランティアが大勢集まっていたが、2013年の竜巻被害の際にそのまま防災ボランティアに転身することで、比較的他の市区町村よりも早くボランティア活動ができた。厚木という地域に立脚したスポーツ文化や音楽文化を中心としたコミュニティをつくるという考えでアリーナを整備してもよいだろう。
最近の中学生の遊び場は、高額になりがちなことに加え、居場所として安心できないものもある。普段の場所がいざという時の居場所になるという話があったが、平時から青少年も大人も含め気楽に休める、滞在できるような、飲食を伴わないような場所があると、平時と有事の両方で活用できるのではないかと思う。
(5) 事業手法の検討について
コンセッション方式はよいと思う。ただし、コンセッション方式はバイアウト契約で、一回金額を決め民間が買い取るという形が多かった。それはオールオアナッシングの形になりやすく、参入障壁が高くなりやすい。また、事業が上手くいくほど、民間のみ儲かり、行政が安売りしたのではないかと評価される恐れもある。事業条件をミニマムギャランティ+レベニューシェアにするなど、コンセッションを柔軟にカスタマイズさせることで、不調を防ぐような方策をとることがよいだろう。
コンセッションの柔軟性を考えるべきという点に同意したい。そもそもPFI事業は2000年代以降からの低金利だからこそ成立したと言われている。昨今の半年後の物価も分からない状態の中、事業期間の最初のタイミングで全てを決めてしまい、何十年も事業を任せる従来通りのPFIというのは、今尾となっては事業者のみならず市側にとってもリスクが高い。一方で、分離発注のように各タイミングで発注を行う手法では市の負担も大きい。柔軟なコンセッション事業を調整しながらPFIの要求水準等を作っていくほうが建設的な議論になるのではないか。PFI法の2011年改正は、制度の柔軟性、冗長性を高めるようにしたという法解釈上の意味合いもある。コンセッション方式を採用するのであれば、参入障壁を下げることを念頭に、今後、より細かく詰めていくことを求める。
ビジネスモデルの部分で、プロモーター機能を有すればコンサート公演に関する自主興行事業による収入が見込まれるとあるが、収入が見込まれるということは赤字の可能性もあると認識しなければならない。施設運営事業者は、収益を上げるための組織・機関を内包する必要があり、そのコストも見込まなければならない。設備の整え方と宣伝広告の費用対効果を考慮すべきである。
民間連携手法を採用した場合、事業が計画どおり進まなかった場合の官民のリスク分担はどのように行うのか。事業者が居なくなってしまった、財政負担が増えてしまうなど、どのようなリスクが考えられるか。
今回の事業については、市税を費やすことになるため、丁寧に議会の同意を得て、予算を確保する必要がある。追加負担についても、議会に上げて市の補正予算を活用することが想定されるため、市民に対して丁寧に説明しながら事業を進めていく。
従来型の事業は資金調達の部分は行政が行い、それ以外の部分を事業者に委託するような形であった。PFI事業が画期的だったのは、資金調達等のファイナンスリスクを民間も負うという仕組みを採用していることである。ただし、昨今の金利上昇、金融危機的な話は想定外の話であり、リスク分担を見据えながら仕組みを考えていく必要がある。
公共施設として、長期的・安定的な運営が求められる。当然事業者のボラティリティという側面はあるものの、PFI事業者の信頼性が求められるのと、そもそも何を基準に事業者を選定するのかが重要であるという認識でよいか。
コンセッション事業では、民間側に運営を任せるにあたり、運営権対価を担保として銀行が事業者に資金を貸しているような形になっている。そのため、もし事業者が不振になっても、銀行は運営権を担保として別の事業者を募集することができるというリスクテイクの方法がとられている。
事業手法に関して、委員の共通認識を図るためには、公設公営から民設民営へ移行するモデルを説明したほうがよいのではないか。勉強会のような機会を設けてはどうか。
市職員向けの勉強会は開催予定である。
アリーナ使用者側の持続可能性も考慮する必要がある。Bリーグの経済規模は、右肩上がりに成長しているが、足元では会場料が高く1試合当たりの収益構造が悪化しているクラブもある。収益性が確保できないことは、スポーツクラブの誘致に大きな足かせとなるため、会場料の設定にあたり、考慮が必要である。ミニマムギャランティ+レベニューシェアはポジティブな点もあればリスクでもある。Bリーグクラブは神奈川県内に4クラブあるが、本アリーナで、他のアリーナと同等の使用料をクラブに支払わせることは難しいと考えている。クラブが潰れては誰も幸せにならない。
日本には、利用用途によって施設使用料を傾斜設定する文化がある。例えば、武道館は、武道で利用する際には利用料が安くする分、音楽コンテンツでは高額の使用料を設定している。厚木市民会館の頃から音楽とスポーツの共存が市では謳われている中、さらに踏み込んで音楽利用の中でも、イベントの規模や市民参加などのバリエーションを想定し、ケースごとに利用料を下げるなどの工夫をするのも一案である。厚木市ならではで、オリジナリティがあって面白い。本アリーナの在り方として、音楽とスポーツの共存を考えてはどうか。
コンセッションで民間事業者がVIPルーム設置等の追加投資を行い、収益を拡大することには同意する。海外では、スポーツの場での接待文化があることもあり、法人に対して、複数年契約を交わし、VIPルームを販売している。VIPルームは、法人だけでなく、個人でも予約できるようにすると一般市民の満足度が上がるのではないか。
事業の在り方は、最終的には民間提案に委ねることになる。利用料金についても市が設定するわけではなく運営する民間事業者の提案によって決まる。ゼネコン関係者からは、PFIよりコンセッションのほうが柔軟に事業を展開できるので、参加しやすいという話も聞いている。本事業の検討に当たっては、最終的には民間が良い提案ができるような仕組みをつくることが重要であり、個別の利用料やVIPルームについては民間のアイデアを期待する形で進めていったほうがよい。
それでは本日の議題を終了とする。
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更新日:2025年11月25日
公開日:2025年11月25日