ぼうさいの丘公園「野鳥の池」復活プロジェクトについて
野鳥の池復活プロジェクトとは
本市の豊かな自然環境を保全・回復し、次世代へ継承していく取組の一つとして、ぼうさいの丘公園にある「野鳥の池」の生態系を復活させるプロジェクトを開始します。
現在の野鳥の池は汚泥で常に濁り、気象条件などにより泡が出て臭気があります。池にはコイとミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)が泳いでいますが、野鳥を見掛けることはほとんどありません。
この池を多様な生き物が生息できる環境に整え、豊かな生態系を目当てに再び野鳥が戻ってくる場所にすることが最終的な目標となります。
野鳥の池の水質改善について
野鳥の池は水が循環しにくい構造となっており、土や落ち葉、生物の死骸などが堆積し、常に濁った状態になっています。濁った水は、酸素が少なくなりやすく、光が届かず植物も生育しにくいため、生態系の構築に向いている環境とは言えません。
そこで、市内企業の「株式会社リスニ」と連携し、同社が開発した「小規模池用小型循環器」を使用して、まずは池の水質改善に取り組みます。
株式会社リスニについて
株式会社リスニ(温水1950)小笠原利江代表取締役
同社は本市の中小企業等SDGs推進事業補助金を活用し、小規模池用小型循環器を開発しました。本件は、同社から同機器による無償での池の水質改善事業の提案があり、開始することになった事業です。
事業実施に当たり、令和7年8月19日に「生物多様性の保全及び回復によるネイチャーポジティブの実現に向けた包括連携協定」を締結しました。
水質改善の手法について
野鳥の池に小規模池用小型循環装置を設置し、ナノバブルを発生させながら池の水を循環させます。水中に酸素を取り込みやすくし、好気性微生物の活動を活性化させて、水中の有機物や窒素、リン酸などを分解し、水質や底泥の改善につなげます。
化学薬品や市販の微生物製剤を使うことなく、自然に存在する微生物の浄化能力を引き出すため、しゅんせつ工事に比べて低コストでの導入が可能です。
小笠原代表取締役と小型循環装置
野鳥の池の状況
水質改善の様子について、定期的に観測した結果を写真でお知らせします。
実験開始前の様子(令和7年7月1日)
水面が厚い藻に覆われて水中が見えません。
実験開始前の様子(令和7年8月27日)
濁りが強く泥水のようです。
実験開始前の様子(令和7年8月27日)
生きものが動いて泥が舞い上がっています。
事業開始前の様子(令和7年9月2日)
かなり濁っており、水中の様子は全く分かりません。
実験初日の様子(令和7年9月2日)
ナノバブルを含む水が循環する様子です。
実験2日目の様子(令和7年9月3日)
水面に藻が浮いている様子が分かります。
実験2日目の様子(令和7年9月3日)
ナノバブルの周辺では、早くも濁りが薄くなっているように見えます。
実験15日目の様子(令和7年9月16日)
水面の藻が減ってきていることが確認できます。
実験15日目の様子(令和7年9月16日)
透明度が上がり、鯉が泳ぐ姿が見えるようになっています。
一方、水中のガスが気泡となって上がる様子が確認できます。
実験21日目の様子(令和7年9月21日)
水中に酸素が取り込まれやすくなっているためか、鯉の動きが活発化しています。
そのため、池底の泥が舞い上がり濁ってしまいますが、以前よりも鯉が見えやすくなっています。
実験21日目の様子(令和7年9月21日)
池で鴨が泳いでいました。餌を食べに来たのか、休憩しに来てくれたのかは分かりませんが、環境が改善してきているのだとしたら嬉しいですね。
実験28日目の様子(令和7年9月29日)
時期的に落ち葉が増えるようになってきました。これまでは落ち葉が流れにくく底に沈んで泥となっていましたが、今年は微生物の力で分解されるでしょうか?
実験28日目の様子(令和7年9月29日)
リスニさんが装置のカバーにプロジェクトの説明文を貼り付けてくれました。現地を散歩する方にもこの装置で何をしているかお伝え出来ます。
実験28日目の様子(令和7年9月29日)
鴨が3羽に増えていました。仲間を連れてきてくれたのですね。
実験28日目の様子(令和7年9月29日)
実験28日目の様子(令和7年9月29日)
これまで見えにくかった黒い鯉が見えるようになってきました。非常に大きい鯉がたくさん泳いでいます。生態系にどのような影響があるのか観察を続けます。
実験36日目の様子(令和7年10月7日)
遠くからでも鯉が確認できるようになってきました。
池の濁りが全体的に薄くなり、鯉の巻き上げる泥も減ってきたように感じます。
実験36日目の様子(令和7年10月7日)
今日は2羽の鴨が泳いでいました。ここが気に入ったのか居続けてくれています。
実験43日目の様子(令和7年10月14日)
この日は鴨がいませんでした。鯉は相変わらず活発に泳いでいます。
実験43日目の様子(令和7年10月14日)
池の中ほどに比べて、浅瀬(手前側)の水が澄んできました。こちら側には鯉が巻き上げた泥が届かないようです。
実験50日目の様子(令和7年10月21日)
鴨が10羽泳いでいました。これまでで一番多いです。
ほかにもアオサギが飛来していたとの目撃情報も入りました。
実験52日目の様子(令和7年10月23日)
池の浅瀬の様子です。透明度が上がっていることがよく分かります。
実験53日目の様子(令和7年10月24日)
鴨と鯉が一緒に泳いでいます。にぎやかな様子で見ていて楽しめました。ほかに水生植物などが生えていると景観も良くなると思っていますが、定着しない理由があるのでしょうか?
実験66日目の様子(令和7年11月6日)
この日は20羽の鴨が泳いでおり、最多記録を更新しました!実験開始前からは想像できない状況です。
散歩に来ていた方から「以前は汚れていて匂いもしたけど、最近はきれいになって嬉しい。」とお言葉をいただきました。
実験66日目の様子(令和7年11月6日)
仲間と一緒にリラックスしているように見えます。
実験66日目の様子(令和7年11月6日)
しばらくすると2羽を残して飛び立っていきました。
実験70日目の様子(令和7年11月10日)
この日は鴨がいませんでした。時間帯によって状況が違うようです。やはり鴨がいないと寂しく感じます。
実験70日目の様子(令和7年11月10日)
この浅瀬に水生植物を植えられないか検討中です。まずは落ちている枝の撤去から始めたいと思います。
実験73日目の様子(令和7年11月13日)
鴨が2羽、岸辺を歩いて餌を探しているようでした。歩いている様子は初めて見ましたが、この場所に大分慣れてきたようです。
実験77日目の様子(令和7年11月17日)
秋の深まりとともに、落ち葉も大分増えていました。この日は、鴨が飛び立った後に枝の撤去のために池に入ったのですが、以前と比べて池底の地面が柔らかくなっているように感じました。落ち葉などの堆積物が微生物により分解された結果かもしれません。
実験77日目の様子(令和7年11月17日)
この日も鴨が20羽ほど泳いでいました。同規模の池でこれだけ泳いでいるのは、あまり見たことがありません。しばらくすると飛び立っていきました。
実験77日目の様子(令和7年11月17日)
よく見るとマガモとカルガモが一緒に泳いでいます。頭が緑色のものがマガモのオスで、くちばしの先端が黄色のものがカルガモです。
実験77日目の様子(令和7年11月17日)
浅瀬に落ちている枝を撤去しました。浅瀬の底には石が敷き詰められており、ここに水生植物を植えるのは難しそうです。浅瀬から中心部に向かうと水深も深くなってしまうため、別の手法を考える必要があります。
実験79日目の様子(令和7年11月19日)
ナノバブルを含む水を放出しているホースが切断されていました。原因は不明ですが誰かが故意に切断したのだとすれば、非常に悲しく思います。何かを見かけることがありましたら、環境政策課まで御連絡くださいますようお願いします。
実験79日目の様子(令和7年11月19日)
鴨が通路を歩いていました。縄張りが広がってきています(笑)
実験82日目の様子(令和7年11月22日)
たくさんの鴨がリラックスして泳いでいます。
実験82日目の様子(令和7年11月22日)
岸辺で歩く鴨も増えてきました。安心できる環境と認識したのか、どんどん行動に変化が現れます。
実験82日目の様子(令和7年11月22日)
池の側の茂みでもくつろいでいます。さらに縄張りが拡大しています(笑)
実験82日目の様子(令和7年11月22日)
たくさんの鯉がはっきりと見えるようになりました。実験を通じて水質もかなり改善したと思います。
実験89日目の様子(令和7年11月29日)
夕暮れどきの野鳥の池です。池の様子はどうでしょうか。
実験89日目の様子(令和7年11月29日)
日が暮れる前でも鴨は池で泳いでいました。鴨は夜行性なのでこれから餌を探しに行くのかもしれません。
実験90日目の様子(令和7年11月30日)
この日は鴨がいませんでした。水温も下がってきたのか鯉も静かに泳いでおり、鏡のような水面になっていました。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
池の手前側の湿地の様子です。この時期でも植物が緑鮮やかに生い茂っています。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
この日も鴨はいませんでした。鯉も1~2匹ゆっくりと泳いでいる姿を確認しました。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
前日から一日でこんなに落ち葉が積もっていました。果たして池から流れていくのでしょうか。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
排水口付近の様子です。落ち葉は流れずに池の底に沈んでいました。微生物がしっかり働いていればやがて分解されますが、今は機械の力で微生物を元気にしています。
自然の力で微生物を活性化させるには、水生植物の力が有効なのですが、かつてはこの池に自生していた植物は現在姿を消しています。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
植物が姿を消した原因の一つとしてアメリカザリガニが考えられます。アメリカザリガニが生息しているのか罠を仕掛けて確認したいと思います。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
餌はスルメです。
実験91日目の様子(令和7年12月1日)
罠にスルメを入れて池に投入します。水温が低いためアメリカザリガニの動きは鈍いと思われますが、数日後に引き上げてみようと思います。
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更新日:2025年12月02日
公開日:2025年09月05日