子宮頸がん予防ワクチン(ヒトパピローマウイルス感染症予防ワクチン)の接種について

更新日:2024年04月01日

公開日:2021年04月01日

子宮頸(けい)がんは、子宮頸部(けいぶ)という子宮の出口に近い部分にできるがんで、そのほとんどが、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染で生じます。

HPVは、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、200以上の種類があります。粘膜に感染するHPVのうち、少なくとも15種類が子宮頸がんの患者から検出され、「高リスク型HPV」と呼ばれています。

これらの高リスク型HPVは、一度でも性的接触の経験があれば誰でも感染する可能性があり、多くの女性が「一生に一度は感染する」といわれています。感染しても、約90%の確率で、2年以内にウイルスは自然に排除されるとされています。ウイルスが自然に排除されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合は、がんになってしまうことがあります。

日本では、年間、約1.1万人の女性が子宮頸がんになり、約2,900人の女性が亡くなっています。(※国立がん研究センターがん情報サービス 2018年全国推計値に基づく累積罹患リスク、2019年累積死亡リスク、2019年人口動態統計がん死亡データによる)

子宮頸(けい)がんは、若い女性から年齢の高い女性まで全ての年代の女性が罹患する可能性がありますが、近年若い女性の罹患が増えています。

子宮頸がんの予防法としては、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)を接種することが挙げられます。

また、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、医師と相談しながら経過観察をしたり、負担の少ない治療につなげたりすることができます。

ワクチンを受ける前に知ってほしい大事なこと

有効性とリスク(副反応)

全てのワクチンの接種には、効果とリスクがあります。

HPVワクチンは、現在、日本国内で使用できるワクチンは、防ぐことができるHPVの種類によって、2価ワクチン(サーバリックス)4価ワクチン(ガーダシル)9価ワクチン(シルガード9)の3種類があります。

サーバリックスとガーダシルは、子宮頸がんをおこしやすいタイプであるHPV16型と18型の感染予防効果があり、接種することにより子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐことができるとされています。シルガード9は、HPV16型と18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型の感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。

ヒトパピローマウイルスワクチンで予防できる範囲の接種画像(厚労省HPより)

しかし一方で、接種1万人当たり約6人に重篤な症状(入院相当上の症状を含む)が起こるリスクがあります。

HPVワクチンは、予防接種法に基づいて接種が実施されますが、接種は強制ではなく、本人が希望した場合に限り接種が行われます。また、接種対象者やその保護者の同意なく、接種が行われることはありません。

このため、接種を受けるに当たっては、HPVワクチンの有効性とリスク(副反応)について十分に理解した上で、受けるかどうかをご判断ください。

 

厚生労働省が発信しているリーフレットに、HPVワクチンの有効性とリスク(副反応)のほか、ワクチンについての疑問や接種後に困ったことがあった場合の相談窓口、健康被害救済制度についてまとめてあります。

次に厚生労働省のHPリンクを添付いたしますので、接種について検討する際に、参考にしてください。

必ず、子宮頸がん検診を受診しましょう!

HPVワクチンは、全ての高リスク型HPV感染を予防することはできません。

また、接種前に感染しているHPVを排除したり、子宮頸がんや前がん病変(がんになる前の異常な細胞)の進行を抑制したりする作用はありません。

HPVワクチンを接種しても、しなくても、20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。子宮頸がんは長期間かけて発症する病気です。早期に発見すれば、がんになる前に治療が可能です。

厚木市の子宮頸がん検診についてはこちらをご確認ください。

接種勧奨の再開について(令和4年4月から)

HPVワクチンの予防接種については、平成25年4月1日から定期接種として公費(無料)で接種ができるようになりました。しかし、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がHPVワクチン接種後に特異的に見られたことから、同年6月14日、国の方針により、接種後の副反応の発生頻度等がより明らかになるまでの間は、対象者に個別通知をして接種をお勧めするなどの「積極的な接種勧奨」を差控えることとされました。(定期接種自体は中止することなく継続されました)

その後も、継続的にHPVワクチンの有効性と安全性などについて議論されてきましたが、令和3年11月12日に開催された国の審議会において、最新の知見を踏まえ、改めてHPVワクチンの安全性について特段の懸念がないことが確認され、接種よる有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められました。これを受け、令和3年11月26日付の厚生労働省通知において、引き続きHPVワクチンの安全性の評価を行っていくことや、HPVワクチンについての情報提供を充実させていくことなど、今後の対応の報告性を踏まえ、積極的な接種勧奨の差控えを終了することとされました。

予防接種法施行令の一部を改正する政令が令和4年4月1日施行され、子宮頸がん予防ワクチンの積極的勧奨が差し控えられたことにより、定期予防接種の対象期間である小学校6年生相当から高校1年生相当(12歳となる日の属する年度の初日から16歳となる日の属する年度の末日までの間)までの間に接種機会を逃してしまった方(以下「キャッチアップ接種対象者」という。)は、公費(無料)でHPVワクチンを受けることができるようになりました。引き続き、HPVワクチンの有効性とリスク(副反応)について十分に理解した上で、接種を受けるかどうかご判断いただくようご案内していきます。

(参考)厚生労働省ホームページ

(参考)独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)ホームページより

接種を希望する場合

接種について検討した結果、接種を希望する場合は、定期接種対象者及びキャッチアップ接種対象者は実施医療機関において公費(無料)で受けられます。

※既に、任意接種(有料)により接種された方や、定期接種により接種された方は対象となりません。

なお、接種前の注意事項、接種後に生じうる副反応や多様な症状、体調に変化が起きたときの相談窓口などについては、接種をする前に再度確認をしておきましょう。

接種前の注意事項

(1)定期接種対象者

接種当日、本市に住所を有する小学6年生相当から高校1年生相当の女子

(12歳となる日の属する年度の初日から16歳となる日の属する年度の末日まで)

(2)キャッチアップ接種対象者(接種機会を逃した方)への対応

平成9年4月2日から平成20年4月1日までの間に生まれた女性で(1)に該当する以外の方

※接種期間:令和4年4月1日から令和7年3月31日

本人又は保護者の同意

定期予防接種実施要領に基づき、予防接種は予診(※)の際に、予防接種の有効性と安全性、予防接種後に起こり得る副反応や予防接種健康被害救済制度について十分に説明を受けて、接種の同意について保護者が予診票に署名をした場合に限り行われます。

説明を受けるに当たっては、市ホームページや厚生労働省で作成したリーフレットのほか、予防接種予診票に添付されている説明文も参考にしてください。

※予防接種前に、医師が問診、検温、視診、聴診等の診察を行い、予防接種を受けることが適当であるかどうかを判断すること。

接種方法

現在、定期予防接種で使用されているHPVワクチンは、サーバリックスとガーダシル、シルガード9の3種類です。

規定の間隔をおいて、同じワクチンを接種します。(標準的には中学1年生で接種)

ワクチンによって接種スケジュールが異なります。

定期予防接種で使用されているHPVワクチン
ワクチン(製品)名 標準的な接種スケジュール

サーバリックス🄬

【組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン】

1か月の間隔をおいて2回接種した後、1回目の接種から6か月の間隔をおいて1回接種する(標準的な接種方法)。

ただし、上記の方法をとることができない場合は、1か月以上の間隔をおいて2回接種した後、1回目の接種から5か月以上、かつ2回目の接種から2か月半以上の間隔をおいて1回接種する。

ガーダシル🄬

【組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン】

2か月の間隔をおいて2回接種した後、1回目の接種から6か月の間隔をおいて1回接種する(標準的な接種方法)。

ただし、上記の方法を取ることができない場合は、1か月以上の間隔をおいて2回接種した後、2回目の接種から3か月以上の間隔をおいて1回接種する。

シルガード9🄬

【組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン】

シルガード9で接種を開始する方は、1回目の接種を受けるときの年齢によって接種のスケジュールが異なります。

●1回目の接種が15歳未満の場合

合計2回接種。1回目から6か月以上おいて2回目を接種して完了(標準的な接種方法)。

●1回目の接種が15歳以上の場合

合計3回接種。1回目から2か月おいて2回目を接種し、1回目から6か月以上おいて3回目を接種して完了(標準的な接種方法)。

ヒトパピローマウイルスワクチンの接種間隔画像

新型コロナウイルスワクチンとの関係性

新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける場合、接種を受ける前及び接種を受けた後13日間は、他の予防接種を受けられませんのでご注意ください。

接種場所

定期予防接種は、市と契約を締結している実施医療機関で個別接種により実施します。

持ち物

母子健康手帳(過去の接種記録がわかるもの)、健康保険被保険者証又は生活保護費受給票、バーコードシール及び予診票(接種する医療機関にあります)

保護者が同伴しない場合

定期予防接種は、原則保護者の同伴が必要です。しかし、被接種者が13歳以上の場合、事前に文書による保護者の同意(予診票に自署)が確認できれば、保護者の同伴がなくても接種を行うことができます。

特に、1回目の接種については、保護者同伴で接種医師の説明を受けることをお勧めします。

接種後の注意事項

HPVワクチン接種後の痛みの診療について

HPVワクチンは、筋肉注射という方法で腕や太ももに接種します。インフルエンザの予防接種等と比べて、痛みが強いと感じる方もいます。痛みや緊張によって、接種直後に一時的に失神や立ちくらみ等が生じることがあります。倒れないように注意し、すぐに帰宅せずに接種後30分程度は病院内にとどまり、イスに座るなど体重を預けられるような場所で安静にしてください。

また、HPVワクチンは合計3回接種しますが、1回目、2回目に気になる症状が現れた場合は、2回目以降の接種を止めることができます。接種後に気になる症状が現れたときは、担当の医師に相談してください。

なお、ワクチン接種後の急性炎症が軽快せず、痛みやしびれ等の症状が持続している場合は、専門の医療機関での受診をお勧めします。
受診の際は、発症からの検査結果や診療内容が記載されている診療情報提供書(紹介状など)が必要となります。

予防接種後に発生した症状に関する報告

病院等の開設者又は医師は、定期の予防接種または臨時の予防接種を受けた者が、厚生労働大臣が定める病状を呈していることを知ったときは、厚生労働大臣に報告することが義務づけられています。
また、予防接種を受けられた方や保護者の方についても、定期の予防接種後に発生した健康被害について「予防接種後に発生した症状に関する報告書」により報告することができますので、必要に応じて健康づくり課にご相談ください。
市に提出された報告書は神奈川県を通じて厚生労働省へ報告いたします。

健康被害への対応

HPVワクチンに限らず、全てのワクチンについて、ワクチン接種によって医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害が残るなどの健康被害が生じた場合は、法律に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

副反応が疑われる症例については、ワクチン接種との因果関係を問わず報告を集めています。令和元年8月末までに、HPVワクチン接種との因果関係が否定できないとして予防接種法に基づく救済の対象となった方は、審査した計54人中28人です。

救済制度の基本的な考え方である「厳密な医学的因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も救済の対象とする」に沿って、救済の審査を実施しています。

給付申請の必要が生じた場合や予防接種による健康被害についてのご相談は、こども家庭センターにお問い合わせください。

(参考)厚生労働省ホームページ

その他

20歳になったら子宮頸がん検診を受けましょう

HPVワクチンは、全ての高リスク型HPV感染を予防することはできません。

また、接種前に感染しているHPVを排除したり、子宮頸がんや前がん病変(がんになる前の異常な細胞)の進行を抑制したりする作用はありません。

HPVワクチンを接種しても、しなくても、20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。子宮頸がんは長期間かけて発症する病気です。早期に発見すれば、がんになる前に治療が可能です。

平成25年3月31日以前に接種したHPVワクチンについて

平成25年3月31日以前に接種したHPVワクチンは、任意の予防接種となります。

任意予防接種により生じた健康被害が、当該予防接種を受けたことによるものであると認められた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)法に基づく救済を受けることになります。

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この記事に関するお問い合わせ先 inquiry

健康こどもみらい部 こども家庭センター こども保健第一係
〒243-0018
厚木市中町1-4-1
電話番号:046-225-2203
ファックス番号:046-223-7066

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