令和4年度第1回厚木市文化財保護審議会会議録

更新日:2022年07月14日

公開日:2022年07月12日

会議情報

会議主管課

文化財保護課

会議開催日時

令和4年6月28日(火曜日)午前10時00分から正午まで

会議開催場所

厚木市役所第二庁舎4階 教育委員会会議室

出席者

委員8人、社会教育部長、文化財保護課長、文化財保護係長、同主任、同主事、傍聴者なし

説明者

事務局(文化財保護係長、同主任、同主事)

開会

  1. 文化財保護課長

挨拶

  1. 社会教育部長挨拶
  2. 会長挨拶

案件

案件1 令和3年度文化財保護事業結果について(資料1)

・資料1に基づき、事務局が説明

会長 今説明があったが、これまでの説明について皆様から何か御質問或いは御意見があれば、御発言をお願いしたい。

委員 保存修理等補助金の中で個人所有のカシワの木について、駆除剤の散布がなされているが、これは何の害虫だったのか。特定出来ているのか。

事務局 特定までは出来ていないが、葉を食べてしまう青虫や毛虫が大量発生してしまうため、こういった形で何年かに一度、造園業者に依頼する形で薬剤による駆除が行われている。虫の種類については、確認したい。

委員 分かった。

会長 他に何かあるか。

委員 昨年度は、悉く中止が続いてしまい、仕方がなかったとも思うが、それに代替するものとして、YouTube等を活用して発信するという新たな方法が生まれてきたのではないかと思う。最後のところにオンラインで発信したとあるが、これは市がアカウントを持っていてそこから発信している。芸能団体独自にYouTubeやTwitterで発信しているところはどのくらいあるか。

事務局 長谷座と林座については、それぞれ、長谷座がアメブロ(Ameba Blog)、林座がFacebookのアカウントを持っており、公演の情報などを発信している。団体自身で映像を撮影して発信することは難しいようだが、SNSを活用した情報発信は実施されており、事務局でも拝見している。動画による発信は難しいというとのことであるため、市で(収録・動画配信の)機会を設け、活用していただいた。

委員 里神楽はどうか。

事務局 相模里神楽垣澤社中が市内8団体の中で1番熱心に取り組んでいられる。団体独自のホームページを設けるとともに、団体のFacebookや団体個人の方のInstagramなどを活用されて、積極的な情報発信をされている。ただ、一方で、ファンの方に高齢者が多いため、そこまで辿り付けないという課題もあると伺っている。そのため、ここで初めて紙媒体の会報を作られており、先日、現物を御提供いただいた。それぞれの応援してくださっている方に届くように、会報だったり、SNSだったり、様々な媒体を活用して情報発信を行われている。

委員 こういう状況で、YouTubeとかTwitterとかの活用が出てきたと思うが、今後も併用していくべきツールだと思う。そのあたりの現状把握と、状況に応じた支援というものを、是非、市の方でも取り組んでもらいたい。後は、どれくらいの方が見てくださっているかが何より大事であるため、そのチェックもお願いしたい。若い人はとにかくSNSを見ており、私自身も若い人から情報が入ってくる。若い層の人に後継者になってもらうため、素地は良いと思うので、ツールとしての活用をお願いしたい。

事務局 承知した。

会長 やはり状況を把握しないと意味が無いと思うので、引き続き、取り組んでもらいたい。他に何かあるか。無いようであれば、次の案件に進めたい。

案件2 令和4年度文化財保護事業計画について(資料2)

・資料2に基づき、事務局が説明

会長 只今、令和4年度の文化財保護事業計画について説明があった。当該年度に入っているが、今年は何とか事業が実施出来るような雰囲気があるように思う。説明のあった内容について、皆様から御質問・御意見があればお願いしたい。

委員 指定文化財の保存修理で、妻田の薬師堂(防犯機器更新)があるが、こちらは現在無住か。

事務局 妻田薬師自体に住職は居られない。他のお寺の住職が兼務されている。

委員 薬師堂にはどういったものがあるのか。

事務局 保存修理については案件4で詳細を御説明する予定であるが、妻田薬師には8件の文化財があり、薬師堂、厨子、木造十二神将、須弥壇、薬師如来坐像、梵鐘、日光と月光の菩薩像と、大変多くの指定文化財を所蔵されている。市内で一番多いと思われる。直ぐ近くに飲食店等があり、若者が溜まったりすることもあるため、保存会の皆様については、防犯意識を高く持っていられており、防犯機器の更新の補助を申請いただいた。資料5に写真が載せているので、後ほど、そちらを御覧いただきたい。

員 写真を拝見したが、通常は閉めていられて、御住職は何かがある時に点検をしているのか。

事務局 地震があった場合などは、市から各所有者に御連絡し、状況の確認をお願いしている。妻田薬師保存会の皆様にも確認いただくなど、積極的に御協力いただいているところである。

委員 地震対策などは出来ていて、今回は防犯機器の更新なのか。

事務局 把握している限りにおいて、耐震診断は、近年では行われていないと思われる。直近の課題として、防犯機器が古くなり、データが保存できない状況にあったため、ここで御申請いただいている。現在、本禅寺で本堂の耐震補強工事が行われており、来年度には、妙傳寺で、釈迦堂の耐震補強工事が予定されるなど、順番に、そういった耐震補強工事のお話が来ると思われる。ただ、市の補助上限は500万円であるため、市指定については寄附等をいただかないと実施が難しい状況にある。

委員 分かった。保存会の方が熱心ということだが、地震等があった場合には不安である。

会長 木造十二神将は、転倒防止の措置は取られているか。随分前に伺った際には措置を講じられていたように思うが、どうだったか。

委員 一度チェックをした方がいいよう思う。いつ頃のものか。

会長 おそらく室町位ではないかと思う(近世文化に再興されたもの)。

委員 分かった。

会長 他に何かあるか。

委員 第44回相模ささら踊り大会の開催予定について、約1カ月後の7月27日とあるが、感染症対策として、お客さんはどのように対応するのか。

事務局 今お話しいただいたささら踊り大会については、(配布済みの)こちらがチラシになる。チラシ裏面の写真を御覧いただくとお分かりいただけるように、荻野運動公演体育館という大変広い会場であり、スペースがあるため、来場者には1席ずつ開けてお座りいただくなど十分距離を取っていただく。もちろん、入場の際にはアルコール消毒と体温測定を行い、感染症対策を行いながら開催する。

会長 特に人数制限をせずとも収まるということか。

事務局 例年の来場数を踏まえ、今回の会場であれば、人数制限を行う必要はないと、市が事務局を務める連合会で判断をしている。

会長 中止になっていた分、怒涛の如く人が訪れることもあるかもしれないが、会場が大きいため問題ないということでよろしいか。

委員 分かった。

会長 他に何かあるか。

委員 先ほどの仏像の件もあるが、指定になった後に、維持管理の協力が必要だと思われる。そうすると文化財パトロールを常態的に実施していたと思うが、どうなっているか。指定を行うということは、市として責任を持つということではないか。年に1回位くらい状況把握に行くというのは、通常のことだと思う。どこの自治体も指定までは熱心だが、指定後は…というところがある。それは厚木だけではなく、20~30年前は組織的な文化財パトロールが実施されていて、私自身も学生を動員して協力していた。そこが薄れてきている。組織的には責任があるから、実施する必要があると思うが、組立がどうなっているか、お答えいただきたい。

事務局 文化財パトロールについては、以前は行っていたが、現状では定期的な実施は出来ていない。台風や地震等の自然災害の前後には、現地を回ったり、状況を各所有者に確認したりしている。

会長 昔、厚木市は保護委員がいられて、チェックしていただいていたように思うが、予算の都合などで実施しなくなったのか。

事務局 そういう事情もあるとは思う。職員が回るとなると、なかなか手が回らない状況にある。

会長 その辺は、ある程度、かなりの人数で速やかに回らないといけない。事務局で全部というのは難しいと思う。考えていく必要がある。

委員 電話一本でも構わない。出来ないではなく、出来る方法を検討していただきたい。やってないから駄目ということではない。ただ、本来の形では無いのではないか。一方的に指定して、指定した先が管理に協力しないというのは駄目だと思う。やってないことを責める訳ではなく、前向きに検討していただきたい。

会長 大変貴重な御意見をいただいたと思う。過去にはやっていたのだから、新しい発想でも構わないので、検討をお願いしたい。

案件3 厚木市指定文化財の指定候補について(資料3・4)

・資料3・4に基づき、事務局が説明

会長 今説明があったように厚木市には指定候補文化財が多くあり、これらについて、指定に向けて審議していくということが、本会の大きなテーマであると思っている。それでは、この中で、妙傳寺の弁財天十五童子像については、レールに乗ったということだが、委員から何かあるか。

委員 調べ始めていたら、残っているものが他県にもある。比較していくと非常に面白い。弁財天と、弁財天十五童子と、宇賀神が習合していく中でその拠点となるところが2か所くらいあって、天台系つまり、滋賀 近江の地区だが竹生島、もう1つは、宇賀神社、天河の方の拠点があって、微妙に造形的に違う部分がある。ただ、妙傳寺でお持ちの作品には、束帯男神像と唐装女神像がいられるが、その上で色々な作品を見ていくと、色んな所に、童子に付随するものとして、また違う眷属のようなものがいる。今まで、あまり着目されていないため、妙傳寺の弁財天十五童子像が起爆剤みたいなものになって、弁財天十五童子像の図像的な1つのものになれば面白いと思う。

また、もう1つとして(修復歴に関して)、妙傳寺は日蓮宗であるため、やはり七面天女と繋がりがあるように思う。七面天女が江戸時代に入って広がっていくが、その七面天女が弁財天十五童子と同じように如意宝珠と鍵を持っている。おそらく妙傳寺では、そういった関連で修復を行ったのではないか。さらに、妙傳寺は蓮生寺と同じく星下りの伝承がある。日蓮宗でも江戸時代後半に聖跡を回っていく順礼が行われており、そういう流れもあったのではないかと思う。しかも、修復した日應は、身延に入っているやり手で、独特の書体を持っており、色んな所に題目も書いたりしていることが分かってきた。

そういったことから、地形的な問題、図像的な問題、日蓮宗の関わりなど、この作品が日の目を見れば、注目度のある作品である。

会長 指定になってからも、一石を投ずるような資料であるということである。他に質問や御意見はあるか。

委員 金田の建徳寺は無住ということだが、宗派はどちらか。

会長 臨済宗である。『厚木市史 中世資料編』に収録されている頁の写しを手元に資料として配ってもらっている。

委員 (市史の中で)鎌倉の覚園寺に続くとあるが、どういう意味か。

会長 地蔵菩薩は、割とぽっちゃりしたタイプと、こういう長身のスラっとしたタイプがある。地蔵菩薩(金田建徳寺 木造地蔵菩薩立像)は、覚園寺の御像のようにスラっとしたスタイルの系統である。そういったことを書かせていただいている。

委員 分かった。この胸前の衣には特徴があるのか。

会長 複雑で、左の肩にかかっている。着衣の形式として一番賑やかなもので、鎌倉地方的な作品と言える。建長寺派は、建長寺のように、本尊が地蔵菩薩であるところが多い。

それでは、これについては、(これまでの記録を)調書にまとめ上げ、それを海老名市の定国寺に示し、それから建長寺に、といった流れでよろしいか。

事務局 その流れで進めていく。

委員 七沢の石丁場についてだが、前回の会議で御説明いただいたのは、現地に行って、どの範囲で、といったところが非常に難しいということだったと思うが、民俗資料としての石切りの道具は博物館が押さえているのであれば、そこで指定の議論は出来ないのか。評価者としては、門田委員がいられるのだから、委員と外部の専門家によって評価すればよいのではないか。

事務局 石工の道具については、博物館で石工を辞められた方から、何回かに分けて寄贈をいただいているが、整理が進んでいない状況にある。

委員 それであれば、年限を切って、整理を行えばよいのではないか。

会長 (寄贈を受けているのであれば、)所有者の問題もクリアしている。

委員 今年度ということではなく、数年の内に、委員の指導を受けながら、整理できるのではないか。工夫の範囲ではないか。

事務局 覚悟を決めて取り組まなければならない。

委員 現地の丁場跡は、最近入ったが、ヤマビルの増え方が凄まじい。とても一般の人には入るのは、非常に難しい状況である。今おっしゃられたように、今手持ちであるものから整理するということが大事である。50年前まで石切り場に入っていた人がいるので、今の内に、聞き取りをしたほうが良い。

会長 つまり、史跡としての石丁場跡と、有形民俗としての石工の道具については、必ずセットでなくとも進められるということで、よろしいか。後から、史跡を指定というのも考えられる。

委員 3年程前にセットでという話が会議であったが、現在、史跡は自然状況の問題があって進まない。出来るものから進めた方が良いのではないか。

委員 私も反省で、有形民俗の中では、それが一番最優先であると思っている。聞き書きが取れる状態なら、尚のこと良い。急ぐべき案件だろうと思う。是非お願いしたい。

委員 御検討いただきたい。

会長 よろしいでしょうか。凍結状態になっていたが、博物館については、鋭意、作業に取り組んでもらいたい。当会では、全員一致でそういう意見であるので、事務局で進めてもらいたい。

委員 資料5に関して、神楽面の保存修理があり、面の写真が載っているが、これは赤鬼と青鬼か。

事務局 おっしゃる通りである。

委員 この赤鬼と青鬼は剥落が多いようだが、特に使っていたとかそういうことか。

事務局 現在、修理工房に持ち込んだところであるため、全部を把握している訳ではないが、塗りを少し取ったところ、一部の面では何層にもなっていたと聞いている。何回か修理をしているので、そういった状況もあるかもしれない。修理中の写真の撮影を依頼しているので、その写真を見れば詳しい状況が分かるかもしれない。

委員 分かった。女の人の顔(面)について、能だとニュートラル、無表情に近いが、神楽になると、結構目が吊り上がっている。顔のバランスも目が上の方に来ている。人間的になっているというか、中世の雰囲気とは違う。民間で使っていると分かりやすい表情になるのだと思われる。非常に興味深い。

委員 先程、防犯機器の更新という話があったが、指定文化財があるお寺や神社には設置されているのか。

事務局 近年では、すぐ近くに住んでいられないということもあり、こういった形で設置しているところもある。しかし、金銭的な都合もあり、ほとんど設置されていない。

委員 例えば、今度、金田の建徳寺の文化財が指定された際などにも、安全性やどう保存していくかも所有者のお考えが一番になってしまうのか。所有者の方から申請や希望があれば、相談に応じるということか。

事務局 指定になると盗難が発生するといったこともお伺いしており、指定になれば、補助金を活用していただくことも出来るため、御提案はさせていただけるとは思う。しかし、最終的なところは、所有者の判断となる。

委員 となると、妻田薬師は先進的というか、保存会がしっかりされていて、意識の差になるということか。

会長 保存会がしっかりしているところは、複数人で日々手入れをしたり、チェックをしたり、そういう状況にある。正に、無住のお寺で指定するということは、指定後のことをどう想定するかが大事である。極論をいえば、博物館に預けてしまうということも考えられる。それから、指定というのは周知になる、周知になるということは諸刃で、盗難といった、善からぬ人達に良いものであることが分かってしまう、逆に、盗みに入りにくいということもある。その辺のことも考えなくてはいけない。私は、価値の高いものはどんどん指定していくべきだと思うが、その先のことも考えなくてはいけない。

案件4 指定文化財の保存修理等について(資料5)

・資料5に基づき、事務局が説明

会長 今説明があった内容について、皆様から御質問・御意見があれば、御発言いただきたい。それでは、委員に補足をお願いしたい。

委員 本禅寺本堂に関しては、県の指定文化財だが、かなり傷みが激しく、耐震補強と書かれているが、それ以外にも出来るだけ文化財に相応しい形に戻していきたいという意図を持ってやっている。今回は、半解体とまではいかない程度の工事であったが、出来るだけ部材などの取替えなどを行い、創建当時の姿に戻したいということがあったが、そこまでの工事は出来ていない。大きな変更は屋根である。写真にあるように、(工事前は)鉄板葺きになっているが、元々は茅葺き屋根であった。この屋根をどうするかについて、予算の問題もあり色々検討されたが、最終的には茅葺き型の銅板葺きになった。本来は茅葺きであるため、茅葺きに戻せれば良いが、費用が掛かり、維持管理も大変だということで、茅葺き型の銅板葺きに落ち着いた。その辺りの写真が資料にあるが、仮囲いが外れる前に一度視察をということで、県の担当者と一緒に見てきた。この屋根の銅板葺きに関して、なかなか難しい工事だったらしく、非常に丁寧に、綺麗に施工されており驚いた。とっても腕の良い職人さんがやってくれたようである。この銅板葺きについては、私も知らずに、最終的に緑青が吹いて緑色になるという風に思っていたが、空気中の物質によって、今はもう緑色ならず、焦げ茶色っぽい色になるそうだ。逆に、茅葺きの色に近くなるということで、それはそれで良かったのではないかと思いながら見ていた。我々として、少し物足りなかったのかなと思うのは、とても良い須弥壇があるが、今、来迎柱の後ろに下げられている。広く取って、色々な行事が出来るようにということである。我々としては、出来れば須弥壇を前に戻してもらえると、最初の形に戻ってとても良いが、残念ながら、お寺さんの都合などもあり、やられなかった。それ以外は、大体、出来る範囲で元の形に戻されている。ただ、柱について、実は、側柱という外側の柱は何も残っておらず、全部入れ替わっている。外側がどうだったかは、残念ながら全く分からない。そのため、外観がどれほど本来の形に近いのかは分からないが、今の段階で出来ることは出来ているように思う。

会長 詳細な説明に感謝申し上げる。そういえば、銅板の話だが、県立歴史博物館のドームの下のところが劣化していて、銅板にする時、上と同じように綺麗にはならないといわれたことを思い出した。やはり大気の問題か。

委員 その通り、大気中の物質により青く反応しないということである。

会長 他に御発言はあるか。よろしければ、案件(4)については、これで了承とする。

案件5 愛甲大塚古墳について(資料6)

・資料6に基づき、事務局が説明

会長 (説明を受け、)何故これが案件として挙げられているのか、よく分かった。要するに、土地の寄贈希望をいただいていて、それを、今度活用をしてほしいということで、色んな問題が一緒くたに入っているということである。それで、本会としての考え方を聞きたいということだと思う。まずは、委員から専門として要点をお話いただけるか。

委員 『厚木市史たより第22号』を御覧いただきたい。(執筆者である)望月先生は、厚木市史を書かれており、東京国立博物館の学芸員を務められていた方でもある。厚木にも前方後円墳があったということだが、前方後円墳というのは古墳の形状としては代表的なもので、大和政権と考古学では言っているが、大和の国づくりの過程で全国に広がった古墳である。それの象徴的な古墳の形態が前方後円墳である。それで、厚木には、地頭山と愛甲大塚と、それからホウダイヤマという3例を望月先生は挙げられている。厚木にとって、貴重な文化財ということである。歴史的な価値、考古学的な価値というのは、私どもは認めているが、詳細な調査というのはまだ行われていないというのも事実である。望月先生がまとめられたことと、詳細な測量によって、今後の、例えば、指定の範囲とか、削られているところもあるためそれをどうするかとか、色んな検討が必要だと思う。そのデータ作りを、まずは市教委としてやっていただきたい。その体制を早急に組んでほしい。それからもう1つは、地元への段取りを示していただきたい。そういう体制で臨んでほしい。段取りというのは、価値があったとして、そしたらその価値を一般の人達により良く知らせるにはどうしたらいいか(という内容である)。先行きの展望、それを示していただきたい。それで、指定候補となるという考え方を取っている。その旨、努力していただきたい。それからもう1つは、推定範囲で、資料に周溝が載せられていない。周溝の範囲の調査も実施していただきたい。そうすると、どの範囲までを市が責任を持つかということも明示されてくる。それはいかがだろうか。調査をする、或いは価値を明確にするということである。

事務局 先程おっしゃっていただいた価値の明確化というところで、御覧いただいている資料内のイメージ図というのは、1987年に作られたデータのまま動いていないものである。そういった30年以上前の話であるため、令和の時代の形状に合わした測量図というのは、当然必要だと思う。併せて、資料内に周溝を載せていないということであるが、載せていないのは、分からないというのが正直なところである。今寄贈の希望をいただいているのは資料内で色付けした部分だが、その他の部分に関する調査というのは、必要ではないかと思っている。それを含めて位置付けという型になっているので、それは、当然必要ではないかと思う。

委員 その際に、県内を含めて、望月先生も勿論そうだが、専門家の意見を柔軟に聞きながら対応するということもお願いできるか。

事務局 (厚木市では)前方後円墳の発掘を行ったことがなく、(他市には)経験がある行政の職員もいるため、そういったところで御意見をもらいながら対応することも考えられる。また、古墳時代を専門とされている先生方もいられるので、必要な調査を出来るような形で御意見をいただきながら対応したい。

委員 (資料の測量図は)東海大が30年前に調査・作成したもので、そこから動いていないということである。そうすると、これは国家座標に載らない。今、地権者との微妙な話し合いをする時に、国家座標に載る図というのが是非必要である。それから周溝部分がどうだとか。そういうことが、昔の測量図は精緻な測量図であるが、これだけでは足りない。だから、そこからスタートしていただきたい。

会長 要するに、今日的な測量調査をもう一度きちっとして、ベースになるものを作って、それから話になるということか。

委員 協力したい人達というのが地元に居られるということだが、そことやり取りをするための、しっかりとしたデータをまず作るということをお願いしたいことである。

会長 これは、この土地を寄贈したいという意思は明確にいただいているのか。

事務局 お話の中としては頂戴している。それを書面に残すということではないが、お話ではそういった御意向を伺っている。

会長 市としては、欲しいということか。

事務局 市としては、指定候補にもなっているレベルのものであるため、非常に有難いお話ではある。ただ、いずれにしても、測量、発掘といったお話になってくると、時間が非常に長くなってくる。今日の明日といったお話ではなくなってしまう。長い目で見ておかないといけない。途中で考え方や話が変わってしまったり、ブレたりしないように、ましてや、土地を頂戴するようなお話であるため、御意向に沿えるような形で考えたい。

会長 くれぐれも食い違いが出てきて、寄贈を辞めたとか、そんなことになっては困る。後は、かなり年数が経っているので、話として積んでいかないといけない。皆様、いかがでしょうか。

委員 隣の伊勢原市側とはどうなっているのか。

会長 伊勢原市と接しているというか、伊勢原側の部分が掘られているようだがどうか。

事務局 伊勢原市の担当とは常々話をさせていただいている。今回の資料に使用した写真を頂戴したり、その時に取った記録だったりとか、そういうものも拝見させていただいている。しっかり連携が取れるとは思う。

会長 伊勢原市側はもう開発されてしまっているのか。

事務局 もう残っておらず、一切消滅ということである。残っているのは、厚木市側である。後は、地面の中に埋まっているということはあり得るかもしれないが、表面上見える部分に関しては、伊勢原市側は消滅している。

委員 周溝が確認出来るかもしれない。

委員 4世紀後半の土器が周溝から出ていると書いてある。

委員 だから古手のものになると思う。ホウダイヤマは厚木市の(前方後円墳)になるが、削平されてしまって、周溝部分だけで確認されている。僅かに残る2つ、地頭山と愛甲大塚は大事にしていただければという思いである。色んなやり取りがあって、そこも含めて地元と関係を作っていかないと上手くいかないように思う。簡便だからって、測量会社に丸投げは避けてほしいと思う。図は出来るが、地元との関係がある。やはり、教育委員会、文化財保護課の方々が、地元に行って、指揮を取って、教育委員会だけということではなく、丸投げして、事業者が作ってきた図面を頼りに地元との方と接点を持つというのは、この先を考えると難しいと思う。そういうところを含めて、神経を尖らして進めていただきたい。それから、今は草が生い茂っているのか。今年度だと下草が枯れる11月以降になるか。

事務局 今はジャングルのような状況であるため、下草が枯れて、高木も葉が落ちてといった位の時期にならないと、手は付けられない。仮にだが、測量に御協力いただけるということで、御了解いただけたとするならば、冬期に実施させていただくこととなる。

会長 周りには家が建ってしまっているのか。

事務局 資料で色付けをした部分以外は、全て家である。

会長 それならば、地元との間で、きちんとコミュニケーションを取りながらでないと、近藤委員が言われたように、丸投げは危ないように思う。

委員 最後に臍を曲げられてしまうと、にっちもさっちもいかない。そういう経験がある。慎重に検討をお願いしたい。

会長 今、委員が今後どのようにしていくかを示唆されたが、当委員会としては、勿論、指定候補でもあり、貴重な前方後円墳であるため、どういう方法であれ残す方向で、地権者の方も寄贈の方向にあるということであれば、慎重を期して進めていってもらいたいということで、よろしいか。これについては、次回、或いはその先に報告していただきたい。それでは、(5) 愛甲大塚古墳について、以上とする。

その他

各種事業について

・チラシに基づき事務局が説明

  1. あつぎ郷土博物館特別展「有孔鍔付土器と人体装飾文の世界」
  2. 第44回相模ささら踊り大会

 

閉会

  1. 職務代理者挨拶

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